Lahat ng Kabanata ng 身代わり花嫁の女装王子は狼陛下を遠ざけたい: Kabanata 31 - Kabanata 40

47 Kabanata

第5章:3

 「クラウス卿……」急いできたのだろう、肩で息をしているクラウスを見るダミアンが冷ややかな笑みを浮かべた。「お疲れ様でした。もうあなたの出番はありませんよ」「何を言っている? 我々の計画では……」「計画?」ダミアンが顎に手を当て、宙をぼんやり見つめる。そして何かを思い出したようにパチンッと指を鳴らし、今度はにこっと人懐こい笑みを向けた。「ああ、あの幼稚な人間至上主義の妄想のことですか? 子供が描いた絵本のような題材の」くっくっと喉を鳴らしながら笑うダミアンをクラウスは真っ青な顔をして見つめていて、やはりクラウスはただ利用されていただけなのだなとロレインは確信した。「貴様……まさか……」「はい、その通りです。最初からあなたを利用するだけして、あとは捨てるつもりでした。あなたが提供してくれた帝国内部の情報、皇帝陛下の秘密、軍事機密……全て有効活用させていただきました。感謝しておりますよ」「裏切ったのか……!」「裏切り? とんでもない。最初から対等な関係など結んでいません」クラウスがいつからヴァルモン魔国と手を結んでいたのか定かではないが、シルヴァンとリリアの結婚すら仕組まれていたことなので、ずいぶん前からこの日を計画していたのだろう。ただ、クラウスは完全に嵌められ、計画していた『人間至上主義』の理想郷は一瞬して崩れ去った。「人間ごときが魔王陛下と対等だと思っていたのですか? 身の程知らずにも程がありますね」「人間ごとき……だと?」「そうです。我々魔族にとって、人間も獣人も等しく支配すべき対象でしかありません。あなたが獣人を見下していたように、我々はあなた方全てを見下しているのです」ダミアンは抑揚のない冷たい声でそう言い放ち、ロレインの体には氷のような冷気が付き纏う感触がした。「特に、自分の種
last updateHuling Na-update : 2025-07-31
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第5章:4

 「陛下!」セレスティアが血相を変えて飛び込んできた。その後ろには帝国騎士団の騎士たちが続いている。「セレスティア!」シルヴァンの変身が一瞬止まった。ロレインの言葉と、信頼する宮廷魔導師の登場によって、かろうじて理性を保っているようだった。「陛下、その魔法陣から離れてください! 完全変身すれば取り返しがつきません!」「分かっている……だが……!」「まずは私が魔法陣を破壊します!」セレスティアが詠唱を始めると、床に刻まれた魔法陣が不安定に明滅し始めた。「邪魔をするな!」ダミアンが片手でロレインを拘束したまま、もう一方の手で黒い魔法を放った。セレスティアは防御魔法でそれを弾くが、詠唱が中断されてしまう。「くっ……!」「せっかくの楽しみを台無しにしてくれますね」ダミアンがロレインの首筋に鼻を寄せる。その瞬間、ロレインは全身に鳥肌が立った。「やめろ!」シルヴァンの怒りが爆発し、彼は完全に黒き狼の姿になってしまったのだ。牙を剥き出しにし、真紅と琥白の瞳には憎悪が浮かんでいる。まるで『シルヴァン』であることを忘れているような姿に、ロレインはダミアンの腕から逃げようともがいた。「シルヴァン様、だめです! お願いです、止まってください!」ロレインが必死に叫ぶが、愛する人を汚されそうになっている狼の怒りは収まらない。ダミアンに向かって吠えたシルヴァンは真っ黒な毛を逆立てていた。「もう手遅れですね。皇帝陛下は完全に獣となり、私の忠実な駒になるでしょう」ダミアンが勝ち誇ったように笑った時、動けないはずのクラウスが突然動き出した。「貴様……私を騙していたな……」「おや、まだ諦めていませんでしたか」ダミアンが振り返ると、クラウスは憎しみに燃える瞳で睨みつけていた。「私は確かに国を裏切った。だが
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第5章:5

 クラウスの言葉を最後に、応接室に静寂が戻った。クラウスの亡骸、拘束されたダミアン、そして抱き合うシルヴァンとロレイン。陰謀劇の幕切れにふさわしい、重苦しい空気が漂っていた。「陛下、まずは宮廷医を呼びましょう」セレスティアがクラウスの傍らに膝をつき、その瞳を静かに閉じてやった。「それと、ダミアンの身柄を牢獄に移す必要があります」「ああ……頼む」シルヴァンの声は疲労で掠れていた。理性を保ったまま完全変身を成し遂げたとはいえ、その消耗は激しかったのだろう。「シルヴァン様、大丈夫ですか?」ロレインが心配そうにシルヴァンの顔を見上げた。「大丈夫です。それより……あなたが無事で本当によかった」シルヴァンがロレインの頬にそっと触れる。その手は微かに震えていて、ロレインはぎゅっと握りしめた。「俺も……陛下が無事で安心しました」「あなたの声が聞こえていました。『民を守るために授かった力』だと……その言葉があったから、俺は自我を保てたのです」二人が見つめ合っていると、セレスティアが咳払いをした。「お二人とも、申し訳ございませんが、まだやるべきことがあります」セレスティアが魔王ガルバトロクスからの親書を取り出した。「これを読む限り、魔王陛下はダミアンの暴走を知らなかったようです。むしろ、平和的解決を強く望んでおられます」「つまり、交渉のやり直しが可能だということですか?」「はい。ただし、今度は真の代表者との交渉になります。魔王陛下ご自身がこちらに向かっているとのことです」「魔王自らが?」「ダミアンの行為を深くお詫びしたいとのことです。それに……皇帝陛下の完全変身能力について、魔王陛下は大変興味を示しておられます。敵意ではなく、純粋な研究としてですが」「研究……」シルヴァンの表情が曇ったが
last updateHuling Na-update : 2025-08-02
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第6章:1

 応接間の扉を開けると、そこには想像していた恐ろしい魔王の姿はなかった。代わりに、落ち着いた雰囲気の綺麗な顔立ちの青年が立っていた。深い紫色のローブを纏い、頭上には小さな角が生えているものの、その表情は穏やかで知的だった。「シルヴァン皇帝陛下、そして……」魔王ガルバトロクスがロレインを見て、少し困惑したような表情を浮かべた。「ロレイン・エマニュエル・レグルス王子。会談を始める前にお伝えしたいことがあります」「何でしょうか?」「リリア・ローズマリー・レグルス王女のことです」魔王の言葉にロレインの眉がぴくりと動く。ちらりとシルヴァンを見ると、彼はひとつ大きく頷いた。「……リリア王女のこと、とは?」「王女は愛する者と駆け落ちした、という置き手紙を残しておりませんでしたか?」「それをどこで……」ロレインはそう言ったが、別段驚くことでもないのかもしれない。なんせ、ダミアンは最初からロレインの正体を知っていたので、リリアが駆け落ちしたことを魔王が知っているのは当然と言えば当然だ。ただ、彼は難しそうな顔をして額に手を当てて溜め息をついた。「実はリリア王女殿下は、駆け落ちなどしておりません。ダミアンによって誘拐され、我が国に囚われていたのです」「誘拐……!?」「駆け落ちの置き手紙も、ダミアンが偽装したものでした。そして……ヴァルモン魔国がレグルス王国に侵攻しようとしていたことも、全てダミアンの策略だったのです」「えっ?」魔王の口から語られる事実にロレインもシルヴァンも素っ頓狂な声が出てしまう。リリアは駆け落ちしたわけではなくヴァルモン魔国に囚われていて、レグルス王国への侵攻も全てダミアンの企みだと言ったのだ。「我が国の領土拡張政策、近隣諸国への脅威……全てダミアンが私を操って行わせていたのです」「操っていた、というのは…
last updateHuling Na-update : 2025-08-03
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第6章:2

視線に気がついたシルヴァンは魔王との握手を終えると、ロレインの元へと歩み寄ってくる。その表情は普段の皇帝としての威厳ではなく、一人の男性としての優しさに満ちている気がした。「ロレイン……」「陛下……」「俺からお願いがあります」シルヴァンがロレインの前に立ち、その手を取った。「これからどうか、俺の側にいてください。皇后として、愛する人として、そして俺の番として」「シルヴァン様……」シルヴァンの言葉にロレインの瞳には涙が溜まる。でも、今後のことを考えると本当に自分が側にいてもいいのか悩み、すぐに返事をすることができなかった。「でも、俺は男で、本物の皇后ではありません。それに、今までずっと男だというのを隠し、国民を騙してきた身です……」「それはこれから、俺たちの行動で信頼関係を構築していったらいいんです。あなたはきっと、愛される皇后になります」「陛下……」「確かに始まりはダミアンの策略だったかもしれません。しかし、俺があなたを愛していることに偽りはありません。あなたがいなければ、俺は本当にダミアンの駒になっていたでしょう」ロレインの手をぎゅっと握りしめるシルヴァンの手はとても温かくて安心した。この体温を手放すのは、とても惜しい。もしもロレインがアストライア帝国に留まらずレグルス王国に帰ることを望んだ後、シルヴァンはきっと違う人を皇后に迎えるだろう。そう思うと、言いようのない不安と嫉妬心がふつふつと湧き上がってきた。「……ロレイン、お前の気持ちはよく分かった」「兄上?」「シルヴァン陛下、弟をよろしくお願いいたします」ヴェストールがシルヴァンに向かって深々と頭を下げた。「リリアの身代わりとして嫌々この役目を引き受けてくれたので、弟が望むなら連れて帰ろうと思っていました。ですが、これほど深い愛で結ばれているなら、兄として安心です
last updateHuling Na-update : 2025-08-04
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第6章:3

 その日は結構夜遅くまで会議が続き、ロレインはくったりしながら自分の部屋に戻ろうとしていた。「ロレイン」疲れ切った顔をしているロレインの手をシルヴァンが控えめに握り、くいっと引いた。「今日はもう一緒には眠りませんか?」「え……っ」最近よく一緒に眠っていたのは、何かあったらお互いを守れるためにとロレインは思っていたのだ。だからその脅威がなくなった今シルヴァンと一緒に眠る意味がないと感じていたので、彼のほうから言ってくれたことに胸がときめいた。「い、いいんですか?」「むしろ断る必要が? 俺たちはもう心を通わせた夫夫同士……ですよね」「そっ、れはそう、ですね……!」改めてそう言われると照れてしまって、繋がれた指先からじわじわと熱が伝わってきてロレインは肌を真っ赤に染め上げた。「何も面白味はない部屋ですが、どうぞ」「お邪魔します……」シルヴァンから手を引かれたまま部屋に入ると、突然横抱きにされたロレインはベッドに連れて行かれた。王宮にはまだヴェストールやリリア、それに魔王も滞在しているので何だか緊張してしまった。「……危険な目に遭わせてすみませんでした」「陛下のせいではありません! 俺だってダミアンに目をつけられていたのが原因でしたし……」「でもそれはあなたの落ち度ではないですから。何はともあれ……無事でよかったです」「はい。陛下も無事でよかったです」ロレインの体がベッドに沈み、シルヴァンの額がこつんっと合わさる。緋色と金色の瞳がじっとロレインを見つめていて、吸い込まれるようにシルヴァンの唇に触れた。「本当に俺なんかが側にいていいんですか?」「……実は、一目惚れです」「え? 一目惚れ? 俺に!?」「はい。初めて会った日&hellip
last updateHuling Na-update : 2025-09-02
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第6章:4

 ロレインの体に手を這わせるシルヴァンの目つきが変わるのが分かった。もう完全に狼になれる能力の証であるオッドアイの瞳を隠すことなく晒している、緋色と金色の瞳にじわりと欲が浮かぶ。服越しにでもシルヴァンの体温が伝わってきて、胸から腹部にかけてロレインの体を確かめるように這っていく大きな手の感触にロレインの唇からは熱い吐息が漏れた。「ん、ふ……」「……あなたは、レグルス王国にいた時は騎士でしたよね?」「はい、そうですが……」「しっかりと筋肉がついているわりに、女性の服を着こなせるほどしなやかで肉感がある」「あぁ、ん……っ」「オメガになれるポテンシャルは、十分かと」薄い素材の夜着が心許ないと思ったのは初めてかもしれない。シルヴァンの重厚な声と熱がロレインに降り注いできて、一瞬で全身に血が巡る感覚がした。ロレインはシルヴァンの元に嫁ぐまで男として生活してきたので、自分の体が子供を産めるように変わるなんて想像もできない。シルヴァンとの子供を自分の体に宿せるなんて想像もできないし恐怖すら感じるのに、それを嬉しいと思ってしまう自分がいる。できることなら自分がシルヴァンの子供を産みたいのだと、そう思ってしまったロレインは無意識にシルヴァンの手に自分の手を重ねていた。「……物欲しそうな顔をしないでください、ロレイン」「へぁ……?」「俺の子種がほしいと、この奥が期待していますか?」「んひゃ……っ」ぐっと腹部を指で押されると、ロレインの口からは甘い嬌声が漏れた。変な声が出てしまったと口を塞いでも遅く、シルヴァンが嬉しそうに微笑んでいる顔が目に入った。「ロレイン。正直に答えてほしいのですが……」「な、んですか……?」「あなたは、男を受け入れたことは?」
last updateHuling Na-update : 2025-09-03
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第6章:5

 「アストライア帝国の皇帝になるには、完全体になれる能力が皇帝の器であるとされていたんだ」汗だくになったロレインの体を拭いて綺麗にしたあと、細い体を抱きしめながらシルヴァンがぽつりぽつりと話し出す。外はまだ真っ暗で、太陽が昇る気配すらない。シルヴァンと初めて体を重ねたロレインは彼の太い腕に頭を預け、シルヴァンの言葉に耳を傾けた。「なぜ、完全体になる能力が必要なんです?」「それが“神”の象徴だとされているから、だな。人の姿にも獣の姿にもなれる者はこの国では神とされていて、その能力を持つ者が皇帝に相応しいとされてきた」「なるほど……」「だから、皇帝に見初められた者たちは自分の子供を次期皇帝にするために血眼になるのが常だった。……俺の母もそうだったよ」母親のことを思い出しているのかシルヴァンはどこか遠くを見つめていた。ロレインがアストライア帝国に来た当初、シェリー・バーンズ侯爵夫人やエレノア・クイエット侯爵夫人とのお茶会の時に気になる話があったなと思い出した。彼女たちは『歴代の皇后や側室はそれはもう血眼で……』と言っていたり、シルヴァンは以前はもっと人を寄せ付けないほど別人のようだったというような話を聞いたことがあった。シルヴァンの過去についてロレインはちゃんと話を聞いたことがなかったのだが、きっとロレインが想像できないような過去があったのだろう。「俺はアストライア帝国の過去や皇族に関して勉強不足ですが……その中で陛下だけが能力を持って生まれた?」「いや……ダミアンも言っていたように、俺の能力は改造されて得たものです。母が血眼になって俺の体を改造した――力を得られる体だったばかりに、他の皇子や側室たちは俺の母によって殺された」「……」「俺は生まれながらにして皇帝の器ではなかった。本来皇帝の椅子に座る資格はないんだ」「そんなことありません…&hel
last updateHuling Na-update : 2025-09-04
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第7章:1

「兄上、リリア、道中気をつけて」 数日に渡り会談を行い、魔国とは友好条約を結んで終わりを迎えた。ダミアンに関しての処分は魔国に一任し、魔王が幽閉を決めて魔国へと連れて帰ることに決まった。 そしてレグルス王国からやってきたヴェストールとリリアもアストライア帝国をあとにし、自国へと帰る日がやってきたのだ。 「陛下、うちの愚弟をどうぞよろしくお願いいたします」 「任されました。きっと幸せにします」 「お兄様、お元気で。また遊びに来ますわ」 「リリア……お前こそ元気で。たくさん兄上に甘えて困らせて、自分の幸せを探すんだぞ」 レグルス王国への帰還ではなくアストライア帝国に残ることを決めたロレインは、二人の兄妹をシルヴァンと共に見送った。二人を乗せた馬車が見えなくなるまで見送っていたロレインが寂しさを考えないようにしていると、シルヴァンがその肩をそっと抱いた。 「俺たちも今度、レグルス王国に遊びに行きましょう」 「陛下……」 「あなたがどんな場所で生まれて育ったのか、その国を見てみたい」 「俺も、陛下と一緒に里帰りしたいです」 シルヴァンがそっとロレインの頭に口付けると、後ろから数名の感嘆の声が聞こえた。 「本当にお美しい姿ですわ……」 「まぁ、収まるところに収まってよかったですね」 「リリア様……ではなく、ロレイン様は男性のお姿でも麗しいです……!」 フィオナやジェイクをはじめ、王宮の従者たちが『男の姿』のロレインと、そんなロレインに愛おしい眼差しを向けるシルヴァンの姿を見てうっとりと溜め息を漏らしていたのだ。 そういえば、ここ最近色んなことがあってからというものの、ロレインは『リリア』の変装ではなくありのままの姿で過ごしていた。コルセットの締め付けにも慣れていたのに、今のロレインはドレスではなく男性用の服に袖を通す毎日だ。 「あの……みなさんのことを騙していて、すみませんでした」 「そんな、お顔をあげてください皇后陛下! 私共は元々、皇后陛下が男性だと気づいておりましたから……!」 「そ、それはそれで複雑なんだけど……」 「ははっ! だから言っただろう、ロレイン。この国の者たちは鼻が効くんだと」 「はぁ……完璧に騙せていると思っていたのは俺とフィオナたちだけだったんですね」 「何かご事情がおありなのだと思い……陛下から箝口令がし
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第7章:1

「兄上、リリア、道中気をつけて」数日に渡り会談を行い、魔国とは友好条約を結んで終わりを迎えた。ダミアンに関しての処分は魔国に一任し、魔王が幽閉を決めて魔国へと連れて帰ることに決まった。そしてレグルス王国からやってきたヴェストールとリリアもアストライア帝国をあとにし、自国へと帰る日がやってきたのだ。「陛下、うちの愚弟をどうぞよろしくお願いいたします」「任されました。きっと幸せにします」「お兄様、お元気で。また遊びに来ますわ」「リリア……お前こそ元気で。たくさん兄上に甘えて困らせて、自分の幸せを探すんだぞ」レグルス王国への帰還ではなくアストライア帝国に残ることを決めたロレインは、二人の兄妹をシルヴァンと共に見送った。二人を乗せた馬車が見えなくなるまで見送っていたロレインが寂しさを考えないようにしていると、シルヴァンがその肩をそっと抱いた。「俺たちも今度、レグルス王国に遊びに行きましょう」「陛下……」「あなたがどんな場所で生まれて育ったのか、その国を見てみたい」「俺も、陛下と一緒に里帰りしたいです」シルヴァンがそっとロレインの頭に口付けると、後ろから数名の感嘆の声が聞こえた。「本当にお美しい姿ですわ……」「まぁ、収まるところに収まってよかったですね」「リリア様……ではなく、ロレイン様は男性のお姿でも麗しいです……!」フィオナやジェイクをはじめ、王宮の従者たちが『男の姿』のロレインと、そんなロレインに愛おしい眼差しを向けるシルヴァンの姿を見てうっとりと溜め息を漏らしていたのだ。そういえば、ここ最近色んなことがあってからというものの、ロレインは『リリア』の変装ではなくありのままの姿で過ごしていた。コルセットの締め付けにも慣れていたのに、今のロレインはドレスではなく男性用の服に袖を通す毎日だ。「あの……みなさんのことを騙していて、すみませんでした」「そんな、お顔をあげてください皇后陛下! 私共は元々、皇后陛下が男性だと気づいておりましたから……!」「そ、それはそれで複雑なんだけど……」「ははっ! だから言っただろう、ロレイン。この国の者たちは鼻が効くんだと」「はぁ……完璧に騙せていると思っていたのは俺とフィオナたちだけだったんですね」「何かご事情がおありなのだと思い……陛下から箝口令がしかれておりました」「え、そうなの?」「あ
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