LOGIN【愛するお父様、お兄様たちへ。リリアは愛する人と遠くへ行きます、探さないでください……本当にごめんなさい。でも私は耐えられません。】 なんて手紙が妹の部屋に置かれていたのは、隣国の皇帝陛下へ嫁入りする当日。この縁談が破談になればレグルス王国にはもう後がない―― レグルス王国の第二王子であり王国騎士団の一人であるロレインは妹のリリアに変装して、獣人が頂点に君臨する隣国に嫁ぐことになり……!? 果たしてロレインはリリアとして役目を果たすことができるのか――? 「狼の嗅覚をあまり舐めないほうがいいですよ、リリア……いや、ロレイン殿」 ――詰んだっぽいです、俺。 ※後天的オメガバース設定あり ※作中の獣人→ケモ耳
View MoreAfter a long, draining day, I finally made it to the dinner table. Mom and Uncle Carter were already seated, their faces lighting up as I entered.
It was Uncle Carter’s birthday today. They had been waiting for me and for their "son" to join them.
A decadent chocolate cake sat in the center of the dining table. Its rich aroma wafting through the room. My favorite. Everything was picture-perfect. But something felt…off.
“Christina,” Mom said gently, her eyes narrowing with concern. “You went straight to your room after school. Are you feeling alright?”
She reached over and touched my forehead. I forced a smile and nodded.
“Yeah… I’m fine.”
But I wasn’t. And I knew this moment—this very dinner—was the time to say it.
I inhaled deeply. “Mom, I have something to tell you both.”
They looked at me, their expressions instantly alert.
“I’ve been accepted into a management college in Auckland,” I said slowly. “It’s prestigious—one of the top colleges. And I want to go.”
The room fell silent. You could hear the tick of the old wall clock echoing like a drumbeat.
Mom blinked in confusion. “Wait, what?”
She looked at Carter. “Isn’t her current college supposed to be the best in the country?”
Uncle Carter frowned, clearly blindsided.
“It is,” I replied calmly. “But this… this is my dream college. I’ve always wanted to study in Auckland.”
Uncle Carter, ever the doting stepfather, leaned forward. “But, sweetheart, you never even mentioned applying.”
“I didn’t want to say anything until I was sure. But I’ve been planning this for months.”
There was a long pause before Mom whispered, “And your boyfriend? What about him?”
My throat tightened. I couldn’t answer.
“You broke up with him, didn’t you?” she pressed.
I remained silent.
“That bastard,” Carter growled. “I knew something was off about him. Always hiding. Never met us, never showing up to any family dinner.. He was never serious about you. Good that you get rid of that asshole.”
His voice trembled with anger.
“I just want to focus on my future now,” I said quietly.
“If it’s what you really want,” Carter said after a beat, “we’ll start looking into your visa process.”
I hesitated. “I’ve already applied.”
Their eyes widened. Mom looked stunned.
“You’ve been planning this behind our backs?” she asked, her voice breaking slightly.
I looked down. “I didn’t mean it like that. I just… I needed to be sure before telling anyone.”
Mom reached out and rubbed my back. “It’s okay, Chris. I have a good friend in Auckland—she’ll help you settle in.”
She paused, then added carefully, “And you will be able to move on from that boyfriend of yours…”
“Boyfriend? Whose boyfriend?”
A new voice cut through the tension like a blade.
We all turned.
Standing in the doorway was Hunter.
Eyes dark. Unreadable. Dangerous.
Crisp black shirt, tailored slacks, his hair perfectly tousled like he’d just stepped out of a Ralph Lauren campaign. His presence filled the room with quiet dominance—His presence didn’t enter the room, it took over.
Mom flinched. Carter looked uncomfortable.
“Christina’s…” Mom started.
I jumped up, cutting her off instantly. “Brother! You’re so late! We were about to cut the cake without you. The candles are melting!”
Hunter arched an eyebrow but said nothing.
“Yeah, let’s cut the cake,” Carter added quickly, glancing between us.
We all gathered around. The cake was cut. Smiles were exchanged. Laughter echoed. But beneath the surface, everything had changed.
After dinner, everyone retreated to their rooms. I waited a few minutes, then quietly walked to Mom’s.
She opened the door, surprised. “Chris, you’re still up?”
“Yeah. I… I wanted to give you something.”
I handed her a small velvet box. She opened it and gasped—a beautiful set of couple’s rings.
“Chris…” she whispered, eyes glistening. “Thank you.”
She hugged me tightly.
“Mom,” I said softly, “please don’t tell Hunter about Auckland. He can’t know. Not yet.”
Her eyes widened. “Why? If your brother finds out later, he’ll be furious.”
“I’ve made up my mind,” I said firmly.
Mom hesitated. “You know how possessive he is about you. Always has been. And if he finds out you broke up, I’m afraid of what he might do. He’s not exactly… calm.”
I looked at her with a smile that didn’t reach my eyes.
“Exactly.”
She exhaled. “I used to feel guilty for not giving you a sibling. But Hunter… he filled that gap, didn’t he?”
I nodded. “Yeah. He did.”
“Alright, Chris. Goodnight.”
“Goodnight mom.”
I climbed the stairs and pushed open my bedroom door.
My heart stopped.
There he was.
Hunter.
His arms behind his head. Legs crossed. Calm. Like he’d been there for hours. Like he belonged there.
I shut the door behind me.
“You’re here?” I asked, breathlessly.
He smirked. “Where else would I be?”
I sat on the edge of the bed. He reached out and grabbed my waist, hard. Pulled me into him.
I buried my face into his shoulder. His rich, expensive scent wrapped around me like a chain.
Then I whispered, “Hunter… please.” I tried to pull away.
His eyes narrowed. “What’s wrong? Is it the guy your mom mentioned? Is he better looking than me?” His voice turned cold, sharp. “Are you pushing me away… for him?”
“Hunter—”
“Who was I to you, then?” he snapped. “Just some hookup? A convenient fuck buddy all these years?”
I inhaled deeply, unable to answer.
He brushed my hair aside. His lips grazed the side of my neck.
“I’ve told you before,” he whispered, his breath hot against my skin. “You can’t have a boyfriend, Chris. You’re mine. You’ve always been mine. And you’ll never belong to anyone else.”
Goosebumps danced across my skin.
Because the truth was—Hunter was my boyfriend.
He was my addiction.
My downfall.
My boyfriend.
No one knew.
And no one could ever know.
朝からシルヴァンと熱い時間を過ごしたロレインは、ランチの時間に合わせてシェリー夫人たちとのお茶会に参加した。「ごきげんよう、皇后陛下」「一気に寒くなってしまいましたわね」「本当に。こんなに雪が積もるのを見たのは初めてです」暖かい時期は王宮の庭園でお茶をしていた三人だが、今日ばかりは無理がある。王宮内のサロンの一室に集まると、シェリーやエレノアも寒さに縮こまっていた。「獣人の私たちでさえ寒いのですから、皇后陛下は凍えてしまうのでは?」「そんなに細いお体で心配ですわ……」「ええと……俺は一応、男なので……」「性別は関係ございません!」「アストライア帝国の寒期を舐めてはいけませんわ!」「そうではなく、元騎士なのに女性から細いと言われるのは恥ずかしいという意味です!」ロレインは人間なので『小さい』『細い』『薄い』と心配されるのは慣れてきたが、女性から言われるとプライドがへし折られる感覚がするのだ。特にロレインは元騎士というのもあり、男としての体裁が保たれなくなっている気がする。そもそも、アストライア帝国の『皇后』と呼ばれているのでプライドも何もあったものではないかもしれない。それでも、やはりどこか恥ずかしさは拭えないのだ。「あら、あらあら! ロレイン様ったらお可愛らしいわ」「独り占めなさってる皇帝陛下が羨ましいですわね」「も、もう、お二人とも……!」恥ずかしがっているロレインを見て小さく笑っている二人。そんな二人にロレインはむうっと唇を尖らせて抗議してみたが「さらにお可愛らしいですわ!」と言われ、逆効果となった。「そういえば、こちらに向かっている最中に皇帝陛下にお会いしたんですの」「そうだったんですか」「ええ。でも今日は何故だか様子がおかしくて」「悪いものでも食べたのかと思いましたわよね」「今朝は特に具合が悪そうな様子はなかったんですが…
「――うわぁ、一晩ですっかり銀世界だ」獣人だからか体温の高いシルヴァンに抱き締められていたのに、肌に触れる冷たい空気を感じてロレインは起き上がった。何も身に纏っていない上半身に厚めのストールを巻きつけて窓際へ移動すると、そこから一望できる景色は全て真っ白に染まっている。昨夜から降り始めた雪でアストライア帝国が覆われているように見えた。「……そんな格好でいると風邪をひいてしまう」「ん、おはようございます」「おはよう、ロレイン」窓の外を眺めていたロレインを後ろからぎゅっと抱き締めたのは言わずもがなシルヴァンで、ストール越しにも感じる彼の体温にロレインは身を預けた。「こんなに雪が積もるのは初めて見ます」「レグルス王国では?」「降る時期もありましたけど、積もることはほとんどなかったですね。大体が一年中穏やかな気候なので」「そうか……それは素晴らしい。アストライアは暑いか寒いか両極端だからな」「育つ作物も制限されるわけですね」今年の寒い季節に間に合わせるのは無理があるが、今後はこの時期でも色々な作物が育つような施設を作るためにロレインは奔走している。武力だけではなく、レグルス王国で学んだ知識がアストライア帝国で役立っていると実感する毎日だ。「でも、寒い日のほうが好きかもしれません」「なぜ?」「……シルヴァン様にくっつく理由があるから、です」ロレインはくるりと後ろを向き、正面からシルヴァンに抱きつく。ロレインと同じように上半身は何も身につけていないシルヴァンと肌が触れ合い、吸い付く感覚にロレインは「えへへ」と破顔した。「あ、なたという人は……」「お嫌ですか?」「嫌ではないから困るんです」シルヴァンから抱き上げられてキスをされると、唇からもじわじわと甘い熱が広がった。次第に舌が絡み合うと体の火照りを感じ、ロレインは熱い吐息をもらした。「&hell
「そういえば、人の姿に戻った時もしっかり服を着ているんですね」「ああ、そういう魔法をかけた指輪をつけているから……もっとも、不意に狼の姿になることはほとんどないけれど」「……俺の前でだけですか?」「あなたの姿を一目見たいと思う時には、あの姿になっていることが多いかもしれないな」そう言って笑いながらシルヴァンはロレインに口付ける。少し長い彼の髪の毛が肌に当たるとくすぐったくて、狼の時のようなふわふわの感触を思い出した。「最初に狼の姿でお会いしたときは、監視されているのかとも思いました」「狼に部屋を見られているなんて、怖かっただろう?」「そういうことではなく……知的なお顔をされていたので、何か言いたいことがあるのかなとは思っていたんです」「確かに、言いたいことはあった。あなたの秘密を知っているから、これでおあいこだと」「ふふ。全くわからなかったですよ、もう」最初に狼の姿をしたシルヴァンを見た時、真紅の瞳が彼と似ているなとロレインは思ったものだ。ただ両の目の色が違ったことと、完全に獣化できることを知らなかったので、まさかシルヴァンだとは思いもしなかった。「狼の姿で会いに行く時、ロレインが少しでも窓の外を見てくれたらいいなと期待しながら行くんだ。でも時間が時間だし、きっと眠っているだろうなとも思いながら。それなのにいつもいつも、君は俺に気がついてくれるから不思議だな」「なぜか、眠れない時には陛下が外で見守ってくれているんです。それに気がつくのは、きっと惹かれあっているから……と思いたいです」「愛しいロレイン……あまり、可愛いことを言わないでくれ」「ん……」大きくて広い腕にぎゅうっと抱きしめられ、熱い口付けを交わす。ぬるりと肉厚な舌が入り込んできて、唾液をたっぷりと流し込まれた。ロレインの小さい舌はそのまま食べられてしまうのではなと思うほど強く吸われ、その感覚にぶるりと体が震えた。
「ロレイン様、王宮に戻られてから随分とご機嫌ですね」熱いお湯に浸かり、フィオナにヘッドマッサージをされながらロレインはそう言われた。城下町のレストランで夕食をシルヴァンと済ませた後、少年からもらったピンク色のバラを花瓶に生けながら鼻歌を歌っていた。あの花を見ると嬉しい気持ちになるし、シルヴァンと城下町に出かけた今日という一日がすごく楽しかったのも要因の一つである。城下町の人々にとって二人は皇帝と皇后だっただろうが、お互いにとってはただのシルヴァンとロレインでいられる時間が多かったように思う。新しいシルヴァンの一面を知れたり、ロレインとして本当の姿を見せられたことで肩の荷が降りた。皇帝や国民を騙していた最低な人間と思われるのが怖かったが、ロレインの予想とは裏腹に温かく迎えてくれた全ての人に感謝したい気持ちだ。「今夜は皇帝陛下の寝所をお訪ねしますか?」「いや、陛下は少し仕事があるようでな。今日は久しぶりに自分の部屋で休もうと思う」「そうですか、承知いたしました」本当は夜も一緒にいたかったけれど、仕事があると言われたら仕方がない。残念に思いながらも、久しぶりに一人の部屋で就寝することにした。「……甘えたになったもんだな、俺も」広いベッドに寝転がっても眠れる気がしない。普段なら大きな腕に抱きしめられ、全身を彼に包まれて眠りにつくのだ。その体温を感じられないだけで眠れなくなるだなんて、他の人に知られたら笑われるどころでは済まないだろう。このままベッドに寝転がっていても眠りにつくまで時間がかかりそうなので、せっかくならとロレインは本を読むことにした。アストライア帝国の歴史書などが部屋の本棚に並んでいる。その中から市場でも聞いたこの国の冬季についての文献を手に取り、月明かりが差し込む窓辺に椅子を移動させてパラパラとページをめくった。「かなりの雪が降るなら、積雪の重さに耐えられる施設が必要か……ガラスでは心許ないから魔法付与をしないと厳しいだろうな」文献を読み漁って
それから数日後、シルヴァンとロレインは久しぶりに城下町を訪れることになった。「……本当に大丈夫かな」「あなたはどんな服も似合うが、今日の服も素敵だ」「ありがとう。……って、そういうことじゃなくて!」前にシルヴァンと一緒に城下町へ繰り出した時、ロレインは『リリア』として国民の前に姿を現したのだ。すなわち、あの時は女装をしていた。ロレインの瞳の色と同じだと言って、淡いピンク色の宝石がついたネックレスをシルヴァンから買ってもらった時は、シル
朝の準備を済ませた二人は、食事を済ませた後にシルヴァンの執務室へ向かった。しかし今日は普段と全く違う。クラウスの裏切りを知った今、彼と顔を合わせなければならないのだ。「陛下、大丈夫ですか?」ロレインがシルヴァンの手を握ると、彼の手のひらがいつもより熱いことに気づいた。「少し緊張しています。何年も信頼していた人を演技で騙すなんて……」「わたくしも緊張しています。でも、一緒なら乗り越えられます」執務室の扉を開けると、そこには何食わぬ顔でクラウスが待っていた。いつ
二日目の会談も順調に進み、三国間の具体的な協定案がまとまりつつあった。ロレインの提案した共同貿易圏設立案は、アルベルト特使からも高く評価され、ダミアンも表立って反対できない状況に追い込まれていた。「では、本日の会談はここまでとしましょう」夕刻近くになって、アルベルトが締めくくりの言葉を述べた。「明日は最終的な調印式を予定しております。各国、準備をお願いします」その時、会談室の扉が勢いよく開かれた。ヴァルモン魔国の伝令兵が血相を変えて駆け込んできたのだ。「ダミアン外務大臣! 緊急の伝
グラシアル王国の使節団が到着する朝、ロレインは普段より早く目が覚めた。窓の外はまだ薄暗く、明け方の静寂が城内を包んでいる。昨夜シルヴァンと二人で最終的な準備を確認したものの、やはり緊張で眠りが浅かったのだ。「ロレイン様、お目覚めですか?」フィオナの声がドアの向こうから聞こえる。彼女もいつもより早く起きて、今日の重要な一日に備えていたのだろう。「ああ、起きてるよ。入ってくれ」部屋に入ってきたフィオナの表情は、いつもより緊張しているように見えた。今日はグラシアル王国の使節団を迎える公式行事があり、ロレ