「こんにちは、葛城晴人さんですか?こちら、朝倉紗夜さんからの宅配便です!」 玄関先の配達員が荷物を手に、晴人の情報をしっかり確認した。 晴人の眉が思わず二度ぴくりと動き、自分の耳を疑った。 「今、誰って言った?……朝倉紗夜?」 配達員はもう一度送り状を見て、はっきりと答える。 「はい、朝倉紗夜さんからです。こちらにサインお願いします」 晴人はぼんやりとしたままペンを受け取り、自分の名前を書いて荷物を受け取る。顔には深い困惑が浮かんでいた。 亡くなる前の紗夜が、自分に送ってきた荷物だった。 でも、一体何を送ってきたのだろう? 部屋に戻るなり、晴人は我慢できずに荷物を開けた。 中には一本のUSBメモリが入っていた。 眉をひそめ、USBをパソコンに差し込む。 それは、紗夜の叔父が調べ上げた夏穂の死の真相だった。 あの日―― 夏穂がビルから落ちた午後、ダンス教室にいたのは紗夜と夏穂だけじゃなかった。 もう一人、不意の訪問者がいた。 それが夕凪だった。 夕凪はダンス教室の監視カメラを避け、裏口から忍び込んでいた。 だが、その日の別の出口のカメラには、夕凪の車がしっかり映っていた。 しかも、行きと帰りで夕凪が着ている服が違っていた。 極めつけは――夏穂が転落した後、慌ててダンス教室から出ていく夕凪を目撃した人がいたこと。 当時、井芹家は一億円を使って目撃者の口を封じていたため、夏穂の死は未解決のままだった。 その後も、夕凪は繰り返し晴人に「姉さんを殺したのは紗夜だ」と吹き込んだ。 姉にそっくりな顔だったから、晴人は全く疑わず、言葉を信じきっていた。 だが今、目の前に積み上げられた証拠を見て、晴人の唇は真っ白になった。 こめかみが勝手にピクピクと震え、耳の奥では「ドクドク」と血管が暴れているような音が鳴り響く。 拳を強く握りしめ、胸の奥から怒りが爆発しそうになる。 何年もの間、自分はまるで猿回しの猿のように、夕凪に操られていた。 あんなに無邪気そうな顔の裏に、こんな邪悪な本性があったとは――! 晴人は絶対に夕凪を許さない。 紗夜が味わった苦しみを、そっくりそのまま、いやそれ以上に味あわせてやると心に誓った。 三日間があっという間に過ぎ、大きなビルのドアが開か
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