豪華で美しい宴会場の中、天使のような少女が叔父に手を引かれ、一歩ずつ堂々とした大きな男のもとへ歩いていく。 「はい、誓います」 烈は片膝をつき、数億円もする指輪を、慎重に紗夜の指にはめた。 立ち上がると、彼女の細い腰をそっと抱き、顔を寄せて唇に軽くキスを落とす。 その瞬間、紗夜の心臓は一瞬止まりかけたような気がした。 ぼんやりと烈の切れ長の瞳を見つめながら、胸の中は複雑な思いで満ちていた。 これが、自分がずっと夢見てきた結婚式なんだろうか? かつては、自分の人生は晴人とだけ結ばれるものだと思っていた。 けれど今、結婚相手は別の人。でもこの瞬間、確かに幸せだと感じていた。 同じころ、薄暗い地下倉庫。 晴人と夕凪は閉じ込められていた。あちこちに腐った臭いの紙箱が積まれている。 床をゴキブリが這いまわり、太陽の光も届かず、湿気で空気が重い。 「晴人、そんなに落ち込まないで。あの女は浮気者なんだよ!もう氷川とくっついてるに決まってる。前に寝たときから絶対連絡取り続けてるに違いないんだから。どうしてあんな女にこだわるの?私だって同じ顔、同じ体を持ってるのに」 夕凪は晴人の前に跪き、できる限り悪意を込めて紗夜への憎しみをぶつけた。 暗い光の中、晴人はぼんやりとした表情で、夕凪の声すらまともに耳に入らない。 何度も頭の中を巡るのは、紗夜の顔だけ。 「紗夜!どうして、どうして俺のもとを離れなきゃいけない?お前はもう俺を愛していないのか?」 晴人は突然、夕凪の腕を強く掴み、顔を歪めて叫んだ。 夕凪は痛みで顔を歪め、必死で逃れようとした。 けれど、晴人の狂気はそれ以上だった。 「紗夜、俺は本当にお前を愛してる。全部分かったんだ。俺が悪かった。変わるから、許してほしい。本当に、お前がいないと生きていけないんだ」 叫びながら、突然夕凪に覆いかぶさり、激しくキスをした。 首筋から下へ、唇を這わせる。 彼の手は夢中で夕凪の服を引き裂いた。 静かな地下室に、布が裂ける音が鋭く響きわたる。 夕凪は抵抗しようとしたが、男の冷たい唇が自分の肌に触れたとたん、自然に体が反応してしまう。 やがて、自分からも彼に応えはじめた。 上では幸せな結婚式の音楽が流れ、下では腐臭とともに男女の荒々しい息遣いが響
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