澄依の頬がほんのり赤く染まった。このところ蒼空に何度も褒められていたけれど、そのたびにやっぱり嬉しくなって、照れてしまう。蒼空はリビングで文香と澄依と話していたが、その時、電話が鳴った。瑛司からだった。蒼空は画面を二度ほど見つめ、立ち上がってベランダへ向かい、そこで電話を取った。「何か用ですか」淡々とした口調だった。冬の夜気の中、瑛司の低い声はわずかな温もりと柔らかさを帯びていた。「明日、時間あるか?一度会って話したい」「何の?」必要な用事でもない限り、蒼空は瑛司と会いたくなかった。「溝口の件だ」蒼空は一瞬動きを止めた。そういえば以前、瑛司は瑠々の診断書について調べてやると言っていた。あの時は特に気にも留めず、瑛司が何か結果を持ってくるとも思っていなかった。まさか、彼が彩佳のところまで調べ上げていたとは。蒼空はなおも慎重に問いかけた。「何を調べたの?」「蒼空」瑛司は彼女の名を呼んだ。「もし今回、真相が明るみに出たら、松木グループにかなり深刻な影響が出るかもしれない。だから......埋め合わせってわけじゃないけど、一度会ってくれないか。下心があるのは分かってる。でも、この機会を口実に君に会いたいんだ。厚かましいとは思うけど、許してほしい」彼はあまりにも長い間、蒼空に会えていなかった。一度でいいから会いたかった。どうしても、会いたかった。蒼空は黙り込んだ。松木グループに深刻な影響――その言葉で、一瞬にして思考が繋がる。蒼空は問い返した。「つまり今回は、動いたのは久米川家じゃなくて、松木家なの?」瑛司はただ短く「ああ」と答え、それから再び尋ねた。「会ってくれるか?」蒼空はスマホを握り直し、夜空を見上げた。そして、自分が小さく頷く声を聞いた。「分かった。会いましょう。時間と場所はあなたが決めていいから」電話を切った後、蒼空はスマホを見下ろし、そこでようやく遥樹から数分前にメッセージが来ていたことに気づいた。【瑠々の両親、お前のところに行った?】蒼空はそのまま彼に電話をかけた。すぐに繋がる。彼女は今日の出来事を簡潔に説明した。遥樹の声がわずかに張り詰める。「こっちも報告は来てる。この数日はもっと注意して見張らせるから
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