もともと蒼空は、この期間に小春と玉樹を巻き込み、一緒に起業するつもりでいた。目指すのは、ショート動画プラットフォームに近いソフトを作ること。彼女は生まれ変わって戻ってきた人間だ。だから知っている。未来ではショート動画アプリが世界中を席巻し、ある一社は莫大な利益を手にし、一気にインターネット業界の巨頭になったことを。今は2017年4月3日。あのショート動画アプリが世に出るまで、まだ一年近い猶予がある。彼女には先に動き出すチャンスがある。今世は早くから準備する。自分のために。そして、生まれてこない娘のために。もちろん、これは他人のアイデアを先に奪うようなものだとわかっている。だから心の中で小さく「ごめんなさい」と言うしかない。今も、そしてこれから数年間も、インターネットは最前線だ。無限のチャンスと挑戦がある。もし成功できれば、階級を飛び越えることも夢ではない。だから、彼女は生まれ変わったその瞬間から、目標を決めていた。――インターネット業界に身を投じる、と。そして大学入試の志望にも、コンピューター関係を選ぶつもりだった。彼女が大道に「学校に行かない」と言った理由は、もちろん「祖母の世話」なんて嘘だ。彼女の祖母は幼い頃に亡くなっているし、小春の祖母は小春自身が世話している。最悪の場合は介護士を雇えばいいだけで、彼女が直接看る必要なんてない。本当の理由は、この時間を使って起業するため。起業では一分一秒が貴重だ。リリースが遅れれば遅れるほど、先を越される可能性が高まる。たとえわずかな可能性でも、蒼空はそのリスクすら許したくなかった。だから、受験前のこの期間で、勉強しながら起業を進め、少しでも早くショート動画プラットフォームを世に出すつもりだった。小春の話を聞き、蒼空の胸は一気に熱を帯びた。――早坂玉樹。彼は本物の実力者だ。前世で小春が彼を仲間に選んだことが、その証明だ。小春の会社が作り出した多くのソフトやゲームには、ほとんど玉樹が関わっている。核となる部分のプログラムは、彼が率いるチームが作り上げたものだった。総じて、彼の力は侮れない。蒼空は気づかれないように微笑む。「そうなんだ。報酬、串揚げだけでいいの?」小春は肩をすくめる。「さあ
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