エリアスと宗一郎は、礼央が焦って国境を離れることを見越していたからこそ、これほど露骨に材料を狙って行動したのだ。礼央は深く息を吸い、真衣に返信した。「今、一段落したところで、こちらも順調だ。移動中は一人で行動せず、くれぐれも気をつけて。こまめに連絡してくれ」返信した後、礼央は結局我慢できなくなり、真衣に電話をかけた。呼出音が二回鳴った後、真衣は電話に出たが、背後で微かに砲撃音が聞こえた。「礼央?」彼女は声を潜めた。「どうかした?」「あ……」礼央は喉を動かし、口をついて出かかった言葉を呑み込んだ。言えなかった。一度口に出せば、真衣は動揺し、却って危険に陥りやすくなるかもしれない。礼央は押し寄せる焦りを抑えて言った。「特に用はないんだ。ただ少し声が聞きたくなって。移動ルートは安全なのか?警備体制は信頼できるのか?安浩の容体は?」「大丈夫。増援も到着したし、警備も全行程同行してくれているわ」真衣は優しく伝えた。「また夜更かししているの?無理しないで。こっちは心配要らないから。私たちは再婚を控えてる。あなたも無事でいて」「再婚」という言葉を聞いて、礼央の胸が締め付けられるように痛んだ。「そっちに行きたい」彼は率直に言った。「心配なんだ、俺がそっちに行く」真衣はすぐに拒否した。「ダメよ。ここに来てはダメ」「どうしても行きたい」「礼央」真衣は声を潜めて言った。「あなたが来たところでどうなるというの?状況は混乱してるの。あなたが入国した時にマークされたら、却って足手まといになるわ」「エリアスと宗一郎はまだ国境にいる。あなたが離れたら防衛線はどうなるの?千咲はどうするの?」彼らがもう国境にはおらず、彼女の赴任先に向かっていることを、どう伝えればいいだろう。まるで、二人の前に大きな壁があり、互いの恐怖や緊張を極限まで高めているように思えた。危険に気づいているのに、口に出せない。真衣は何も知らず、ただ彼を安心させようとしている。「防衛線なんてどうでもいい」礼央は続けた。「俺が気にかけてるのはお前だけだ」「私は大丈夫よ」真衣は続けた。「毎日、無事を伝えているでしょう。一人で行動したり、危険な場所には近づかない。任務を終えたらすぐに帰るから」「あなたはそこにいて。自分の身を守り、千咲を気
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