「いや、ありえない!」龍一はそれでも信じようとしなかった。「清良が俺から離れるわけがない。無理やり録音させたに違いない!探しに行く。清良に会わせろ!」彼は必死に暴れ始め、まるで凶暴な獣のようだった。警備員たちは押さえきれず、怪我をさせるのを恐れて、やむなく手を放した。龍一は狂ったように外へ飛び出そうとしたが、玄関にたどり着いたところで、追いついてきた警備員に再び行く手を阻まれた。彼は目に血をにじませ、自分を囲む者たちに拳を叩きつけた。しかし、すぐにまた取り押さえられてしまった。「もうやめなさい」恵子は彼の様子を見て、目に痛ましげな色を浮かべた。「清良は自分から去ったのよ。無理強いしていないわ。龍一、私たちが反対する理由は、松永家が破産したからだけじゃない。両家が結婚してはならないという家訓があるからよ。浅井家の人間として、何十年も浅井家の資源や利益を受けてきたのだから、浅井家の人間としての務めを果たさなければならないの!今はもう子供がいる。これからは美佐子と仲良く暮らして、浅井家を継ぎなさい。もう、どうでもいい人間のことなど考える必要はない」龍一は荒い息をつきながら、血走った目で母親を睨みつけた。「できることなら、浅井家になんて生まれたくなかった!」パシン――恵子は目を赤くし、龍一の顔を平手で打ち据えた。「たかが女一人のために、そんなことを言うなんて!」氷のような声はかすかに震えていた。「若様に鎮静剤を。少し頭を冷やさせなさい」冷たい注射針が首筋に突き刺さり、龍一は一瞬にして意識を失った。……龍一が目を覚ましたのは、子供の笑い声の中だった。夕日が紗のカーテンを通して美佐子の顔を照らしている。彼女はガラガラを手に、根気よく赤ん坊をあやしていた。彼が目を覚ましたのに気づくと、赤ん坊の小さな手を振ってベッドのそばに寄ってきた。「愛美ちゃん、パパが起きたわよ。さあ、パパにご挨拶しましょうね~」過去数ヶ月、このような温かい光景は何度も彼の心を打ち、同情心を抱かせた。しかし今、龍一の心には麻痺したような冷たさしか残っていなかった。冷たく美佐子を押しやり、ドアを開けようとしたが、外から鍵がかけられていた。美佐子は、次第に荒々しくなる彼の手を握った。「龍一、落ち着
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