All Chapters of 魔女リリスと罪人の契約書: Chapter 81 - Chapter 90

94 Chapters

学園祭の余韻、新たな絆

学園祭の翌日。学校は通常通りの授業だったが、雰囲気はいつもと違っていた。「アリアちゃんたち、すごかったね」他のクラスの子供たちが声をかけてくる。「虹、本当にきれいだった」「私も、あんなふうになりたい」アリアは少し照れくさそうに笑った。「ありがとう」教室に入ると、黒板に大きな文字が書かれていた。『おめでとう! 最優秀賞』「え?」五人が驚く。「昨日、審査員の投票で決まったの」ミカエラ先生が微笑む。「あなたたちの『虹の約束』が、最優秀賞に選ばれました」「やったー!」ミアが跳び上がる。「僕たち、やったんだ」ユウキが信じられない様子だ。「すごい……」リナとケイも目を輝かせている。「みんなで、がんばった、けっか」アリアが嬉しそうに言う。朝のホームルームで、エリカ校長が表彰式を行った。「アリア・ヴァルスト、ユウキ・カミジョウ、リナ・シルヴィア、ミア・フレイムハート、ケイ・グリーンウッド」五人の名前が呼ばれる。「前に出てください」五人が教室の前に並ぶ。「あなたたちの発表は、真の統合教育の理想を体現していました」エリカ校長が賞状を手渡す。「魔法を使える者と使えない者が、互いの力を認め合い、協力する。それが、この学校の目指す姿です」拍手が響く。「これからも、その精神を忘れずに」「はい!」五人が元気よく答えた。昼休み、五人は屋上で賞状を眺めていた。「本当に、もらっちゃったね」リナが賞状を撫でる。「夢みたい」「夢じゃないよ」ユウキが笑う。「僕たちが、本当に頑張った結果だ」「でも、これからどうする?」ミアが尋ねる。「また、何か一緒にやる?」「やりたい!」ケイが即答する。「あの達成感、もう一度味わいたい」「アリアも、やりたい」アリアが頷く。「みんなと、いっしょに、なにかをつくるの、たのしい」「じゃあ、決まりだね」ユウキが手帳を取り出す。「次のプロジェクトを考えよう」五人は早速、アイデアを出し合い始めた。放課後、アリアはセラ先生の個別授業を受けた。「学園祭、素晴らしかったわ」セラが微笑む。「私も見に行ったのよ」「ほんとう?」「ええ。あなたの虹、とても美しかった」セラが優しく言う。「でも、それ以上に美しかったのは、あなたたち五人の絆ね」「きずな?」「そう。信頼し合い、助
last updateLast Updated : 2025-10-14
Read more

冬の訪れ、新しい挑戦

学園祭から一ヶ月が経ち、季節は冬へと移り変わっていた。朝、窓の外を見ると、初雪が降っていた。「ゆき!」アリアが興奮して窓に駆け寄る。「初雪ね」リリスが微笑む。「今日は寒いから、暖かくしていきなさい」学校に着くと、校庭は一面の銀世界だった。「すごい!」子供たちが雪に大喜びしている。「アリアちゃん、見て!」ユウキが雪だるまを作り始めていた。「かわいい」「手伝って」五人で協力して、大きな雪だるまを作った。「これ、まほうで、かざったら?」アリアが提案する。「いいね!」リナが風で雪の結晶を舞わせ、ミアが小さな炎で目を作る。ケイが木の枝で腕を付け、アリアが光で飾り付けた。「完成!」美しい雪だるまが、校庭に輝いていた。「すごい! 魔法の雪だるまだ」他の子供たちが集まってくる。「私たちも作りたい」「教えて!」アリアたち五人は、みんなに作り方を教えた。魔法を使える子も、使えない子も、一緒に雪だるまを作る。校庭は、あっという間に雪だるまでいっぱいになった。授業中、エリカ校長が特別な発表をした。「みなさん、冬休みが近づいていますね」「はーい」子供たちが答える。「冬休み前に、特別なイベントがあります」エリカ校長が笑顔で言う。「クリスマス会です」「クリスマス会?」「そうです。各クラスで出し物をして、みんなで楽しみましょう」教室がざわめいた。「また、なにかやろう」ミアが目を輝かせる。
last updateLast Updated : 2025-10-15
Read more

劇の練習、それぞれの役割

クリスマス会まで、残り十日。五人の練習は、毎日放課後に行われていた。「もう一度、最初から通そう」ユウキが台本を開く。彼は今回、演出と脚本を担当していた。「はい」みんなが位置につく。劇のタイトルは『凍った心のクリスマス』。心を閉ざした王様が、四人の子供たちとの出会いで変わっていく物語だ。「シーン1、王様の城」ユウキが合図を出すと、ケイが玉座に座った。厳しい表情で、冷たく周りを見渡す。「この国に、笑顔はいらぬ」ケイの低い声が響く。「笑うことは、弱さの証。泣くことは、愚かさの証」最初は照れていたケイも、今では堂々と演じられるようになった。「すごい……」リナが感心する。「ケイくん、本当に王様みたい」「次、僕たち登場」ミアが舞台に駆け出る。「おうさま! わたしたちは、とおいくにから、やってきました」元気いっぱいの演技。ミアらしい、明るい声。「なんだ、貴様らは」ケイが冷たく言う。「わたしたちは、しあわせのたびびと」リナが続ける。優雅な動きで、風のように軽やかに。「この国に、しあわせを、とどけにきました」アリアが優しく言う。その声には、自然と温かさが込められている。「しあわせ? くだらぬ」ケイが立ち上がる。「この国には、秩序と規律があればよい。感情など、不要だ」練習は順調に進んでいたが、ある場面で問題が起きた。「シーン3、子供たちが王様に語りかける場面」ユウキが指示を出す。この場面では、四人がそれぞれ「幸せとは何か」を語る重要なシーンだった。「まず、ミアちゃん」「はい」ミアが一歩前に出る。「おうさま、しあわせって、あたたかい、きもちです」「どういうことだ?」ケイが尋ねる。「えっと……」ミアが詰まってしまった。台本では「暖かい気持ちとは、人を思いやること」と続くのだが、うまく言葉が出てこない。「ごめん、もう一回」ミアが謝る。「大丈夫。もう一度やろう」ユウキが優しく言う。しかし、何度やっても、ミアはその台詞でつまずいてしまった。「くそう……なんで言えないんだろう」ミアが悔しそうに拳を握る。「台詞が、難しいの?」アリアが尋ねる。「そうじゃなくて……」ミアが正直に打ち明けた。「意味が、よく分からないの」「意味?」「『人を思いやる』って、どういうことなのか」ミアが困った顔をす
last updateLast Updated : 2025-10-16
Read more

ラストシーンの完成、心を開く王様

クリスマス会まで、あと五日。今日は、劇のラストシーンを完成させる大切な日だった。「準備はいい?」ユウキが全員に確認する。「OK」みんなが頷く。ラストシーンは、劇の中で最も重要な場面。冷たかった王様の心が溶け、国中に幸せが広がる瞬間を表現する。「まず、演技の部分から通そう」ユウキが指示を出す。ケイが玉座に座り、四人が王様を囲んでいる。「おうさま……」アリアが優しく語りかける。「あなたは、どうして、こころを、とざしたのですか?」ケイが演じる王様は、長い沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。「昔……私にも、大切な人がいた」この台詞は、ユウキが書き加えた新しいものだった。「妻と、娘だ」王様の声が、少し震える。「しかし、病で二人とも失った」「……」四人が静かに聞いている。「それから、私は笑うことをやめた」ケイの演技に、本当に悲しみが込められていた。「笑えば、思い出してしまうから。大切な人たちを」「でも……」リナが優しく言う。「わすれちゃ、だめです」「そうです」ミアが続ける。「おもいでは、たからもの」「かなしくても、うれしくても」ケイが言う。「大切な、おもいで」「おうさまが、わすれたら」アリアが王様の手を取る。「そのひとたちも、かなしむ」その言葉に、王様の表情が変わった。固く閉ざされていた心の扉が、少しずつ開いていく。「お前たちは……正しい」ケイが涙声になる。「私は、逃げて
last updateLast Updated : 2025-10-17
Read more

クリスマス会当日、開演前の緊張

クリスマス会当日。朝から学校はクリスマスの飾り付けで華やかだった。「すごい……」アリアが目を輝かせる。廊下には緑と赤のリボン、教室にはクリスマスツリー。至る所に雪の結晶の飾りが吊るされている。「今日が本番だね」ユウキが緊張した面持ちで言う。「うん……」五人は、お互いの顔を見合わせた。みんな、緊張している。「だいじょうぶ」アリアが言う。「れんしゅう、たくさんしたもん」「そうだね」リナが頷く。「私たち、できる」午前中の授業は、落ち着かなかった。「アリアちゃん、大丈夫?」隣の席の女の子が心配そうに尋ねる。「うん……ちょっと、きんちょうしてる」「頑張ってね。楽しみにしてるから」「ありがとう」教室中の子供たちが、五人の劇を楽しみにしていた。昼休み、五人は舞台裏に集まった。「最終確認をしよう」ユウキがチェックリストを取り出す。「衣装、OK」みんなが劇用の衣装を着ている。ケイは王様のローブ、他の四人は旅人の服。「小道具、OK」必要なものは全て揃っている。「魔法の準備、OK」リナ、ミア、ケイ、アリアが頷く。「機械の準備、OK」ユウキが最終チェックを終える。「よし、準備万端だ」しかし、緊張は解けなかった。「ねえ……」ミアが不安そうに言う。「もし、失敗したら……」「しっぱいしても、だいじょうぶ」アリアが励ます。「みんなで、たすけあえば」「そうだよ」ケイも続ける。「僕たちは、チームだもん」その時、舞台裏のドアがノックされた。「失礼します」入ってきたのは、リリスとカイン、そして他の保護者たちだった。「ママ、パパ!」アリアが駆け寄る。「激励に来たわ」リリスが娘を抱きしめる。「緊張してる?」「うん……すごく」「大丈夫よ」リリスが優しく言う。「あなたなら、きっとできる」「そうだ」カインが娘の頭を撫でる。「俺たちは、いつもお前を応援してる」ウィリアムとマリアンも、ユウキを励ましていた。「息子よ、自信を持て」「パパ……」「お前は、素晴らしい脚本を書いた」ウィリアムが息子の肩を叩く。「それを、自信を持って演じろ」「はい!」他の保護者たちも、それぞれの子供を励ます。この時間が、子供たちに勇気を与えた。保護者たちが去った後、五人は円陣を組んだ。「最後に、もう一度確認
last updateLast Updated : 2025-10-18
Read more

感動のフィナーレ、心に響く物語

劇は順調に進んでいた。四人の旅人が、冷たい王様の城にやってくる場面。「おうさま!」ミアが元気よく声をかける。「わたしたちは、とおいくにから、やってきました」ケイが王様として、冷たく応える。「なんの用だ」「しあわせを、とどけにきました」リナが優雅に言う。「しあわせ?」王様が嘲笑うように言う。「そんなもの、この国には必要ない」観客は、王様の冷たさに息を呑んでいた。ケイの演技は見事だった。本当に心を閉ざした王様に見える。しかし、四人の旅人は諦めない。「おうさま、しあわせって、あたたかい気持ちです」ミアが一歩前に出る。「わたしが、『おいしい』って言うと、おばあちゃんが笑うの」「その笑顔を見ると、わたしも嬉しくなる」ミアの言葉に、客席のおばあちゃんが涙を拭いた。「それが、わたしの『あたたかい気持ち』なんです」次は、リナの番。「しあわせって、いっしょに何かをすることです」リナが優しく語る。「お母さんと、お菓子を作る時」「失敗しても、笑い合える」「それが、わたしの幸せです」客席のマリアンも、涙ぐんでいた。ケイが語る番になった。「しあわせって、そだてることです」ケイが静かに言う。「小さな命を、大切に育てる」「毎日、水をやって、話しかけて」「そして、綺麗な花が咲く。それが嬉しいんです」最後は、アリアの番。「しあわせって、みんなの笑顔です」アリアが王様に近づく。「だれかが笑うと、自分も笑顔になる」「それが、わたしの幸せです」
last updateLast Updated : 2025-10-19
Read more

冬休みの始まり、家族の時間

クリスマス会の翌日、学校は冬休みに入った。「ながい、おやすみだね」アリアが嬉しそうに言う。「そうね。二週間もあるのよ」リリスが微笑む。「何をして過ごそうか」朝食を食べながら、家族三人で冬休みの計画を立てた。「アリアは、なにがしたい?」カインが尋ねる。「えーっと……」アリアが考える。「ゆきあそび」「それから?」「ケーキをつくる」「他には?」「ママとパパと、いっぱい、いっしょにいたい」その言葉に、両親は微笑んだ。「それが一番ね」リリスが娘の頭を撫でる。「家族で、ゆっくり過ごしましょう」午後、三人は近くの公園に出かけた。公園は雪で真っ白になっていて、子供たちが楽しそうに遊んでいる。「ゆきだるま、つくろう」アリアが雪を丸め始める。「よし、手伝うぞ」カインも一緒に雪を丸める。リリスは二人の様子を写真に収めていた。「いい笑顔ね」大きな雪だるまが完成すると、アリアが小さな光で飾り付けた。「きれい」光る雪だるまを見て、周りの子供たちが集まってきた。「すごーい」「どうやって光らせてるの?」「まほうだよ」アリアが笑顔で答える。「アリアは、まほうがつかえるの」子供たちは目を輝かせた。「すごい! 魔女なんだ」「僕も魔法使いたい」「でも、まほうがなくても、だいじょうぶ」アリアが言う。「みんな、それぞれ、とくべつだから」その言葉に、カインとリリスは誇らしげに微笑んだ。アリアは、本当に成長している。夕方、家に帰ると、予想外の来客があった。「こんにちは」玄関に立っていたのは、ユウキとその両親だった。「ユウキくん!」アリアが嬉しそうに駆け寄る。「突然すみません」ウィリアムが頭を下げる。「これ、クリスマス会のお礼にと思いまして」マリアンが手作りのケーキを差し出した。「まあ、こんなに素敵な」リリスが受け取る。「ありがとうございます」「いえ、むしろこちらがお礼を言いたくて」ウィリアムが真剣に言う。「息子が、アリアちゃんたちと出会えて、本当に良かった」「ユウキは、以前は少し内向的でした」マリアンが説明する。「でも、アリアちゃんたちと一緒にいるうちに、すごく明るくなったんです」「そうだったんですか」リリスが驚く。「ええ。今では、毎日学校が楽しみだと言っています」「それは、こちらこ
last updateLast Updated : 2025-10-20
Read more

新年の訪れ、五歳最後の冬

大晦日の夜。ヴァルスト家では、三人で静かに過ごしていた。「もうすぐ、あたらしいとしだね」アリアが窓の外を見つめる。街は、新年を迎える準備で賑わっている。「そうね。もうすぐ新しい年」リリスが微笑む。「アリアは、新年の抱負ある?」「ほうふ?」「目標のことよ。今年、何をしたいか」アリアは少し考えてから答えた。「もっと、じょうずに、まほうをつかえるようになりたい」「それから?」「ともだちと、もっと、なかよくなりたい」「それと……」アリアが真剣な顔になる。「もっと、たくさんのひとを、しあわせにしたい」その言葉に、両親は胸が熱くなった。五歳の少女が、こんなにも大きな夢を持っている。「素晴らしい目標ね」リリスが娘を抱きしめる。「きっと、叶うわ」「ああ」カインも頷く。「お前なら、できる」夜中の十二時。新年を告げる鐘の音が、遠くから聞こえてきた。「あけまして、おめでとう」「おめでとうございます」三人で抱き合う。「今年も、よろしくね」「うん」アリアが嬉しそうに微笑んだ。新年の朝。アリアは、初日の出を見るために早起きした。「ママ、パパ、おきて」「んん……もう朝?」カインが眠そうに起きる。「まだ暗いわよ」リリスも目をこすっている。「でも、ひのでを、みたい」アリアの熱意に負けて、三人は外に出た。近くの小高い丘に登る。まだ暗い空が、少しずつ明る
last updateLast Updated : 2025-10-21
Read more

六歳の誕生日、新たな力の目覚め

冬休みが明けて、一月も半ばを過ぎた頃。アリアの六歳の誕生日が近づいていた。「もうすぐ、六歳だね」リリスが朝食の席で言う。「うん」アリアが嬉しそうに頷く。「ろくさいになったら、どうなるの?」「少し大人になるわね」リリスが微笑む。「でも、アリアはアリアのまま」「そっか」学校でも、友達がアリアの誕生日を楽しみにしていた。「アリアちゃん、誕生日パーティーする?」リナが尋ねる。「うん。おうちで、ちいさいパーティー」「僕たちも呼んでくれる?」ユウキが期待を込めて聞く。「もちろん」アリアが笑顔で答える。「みんなに、きてほしい」誕生日の前日。アリアは何となく、体の中に変化を感じていた。魔力が、いつもより強く脈打っている。「ママ……」「どうしたの?」「なんだか、へん」アリアが自分の手を見つめる。「からだの、なかが、あつい」リリスは、すぐに理解した。「セラ先生を呼びましょう」リリスが急いで連絡を取る。三十分後、セラが到着した。「見せてください」セラがアリアの手を取り、魔力を調べる。「……なるほど」「どうですか?」リリスが心配そうに尋ねる。「心配いりません」セラが微笑む。「これは、魔力の成長期です」「成長期?」「ええ。魔女は、特定の年齢で魔力が急激に成長することがあります」セラが説明する。「アリアちゃんの場合、六歳がその時期のようです」「それって、だいじょうぶなの?」アリアが不安そうに聞く。「大丈夫よ」セラが優しく言う。「ただ、数日間は魔力が不安定になるかもしれません」「どうすれば?」「安静にして、無理に魔法を使わないこと」セラが助言する。「そうすれば、自然と落ち着きます」その日の夜、アリアは早めにベッドに入った。体の中の熱は、まだ収まらない。「こわくない、こわくない」アリアが自分に言い聞かせる。ペンダントを握ると、少し落ち着いた。「ママとパパの、あい」そう呟くと、不思議と安心した。しかし、夜中に異変が起きた。アリアの体から、突然強い光が溢れ出したのだ。「きゃっ!」アリアが驚いて目を覚ます。部屋全体が、眩い光に包まれている。「とまって、とまって」アリアが必死に制御しようとするが、光は止まらない。「アリア!」リリスとカインが部屋に飛び込んできた。「大丈
last updateLast Updated : 2025-10-22
Read more

力の制御、新たな挑戦

六歳になって一週間。アリアは、新しい力に戸惑っていた。「また……」朝、顔を洗おうとすると、水が光り始める。アリアの魔力が、意図せず発動してしまうのだ。「ごめんなさい」リリスが駆けつける。「大丈夫よ。まだ慣れてないだけ」「でも、こまる」アリアが困った顔をする。「なにも、してないのに、まほうが、でちゃう」「それは、魔力が強くなった証拠よ」リリスが説明する。「今まで以上に、繊細な制御が必要なの」学校でも、同じ問題が起きていた。「アリアちゃん、また光ってる」リナが指摘する。「え?」アリアが自分を見ると、体が微かに光っている。「とまって」必死に魔力を抑えようとするが、すぐには止まらない。「だいじょうぶ?」ユウキが心配そうに尋ねる。「だいじょうぶ……じゃない」アリアが弱々しく答える。「どうしたらいいか、わからない」その様子を見ていたミカエラ先生が、近づいてきた。「アリアちゃん、少し保健室で休みましょうか」「すみません……」保健室で横になりながら、アリアは考えていた。このままじゃ、みんなに迷惑をかけてしまう。どうすれば、この力を制御できるのだろう。放課後、セラ先生の特別授業が行われた。「アリア、調子はどう?」「よくない……」アリアが正直に答える。「まほうが、とまらない」「そうね。でも、それは当然のことよ」セラが優しく言う。「あなたの魔力は、急激に成長した。体がまだ慣れていないの」
last updateLast Updated : 2025-10-23
Read more
PREV
1
...
5678910
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status