自分は殺人犯ではないのに、どうして立ち去らなければならないの?「美鈴」凌の声が重くなり、息遣いが鬱々としてきた。「子供の方が大切だ」子供?彼の頭の中には子供しかない。それとも、子供を盾に自分を完全に操れると思っているのかしら。凌は怒りを抑え、諭すように言った。「梅代お祖母様には安らかに旅立って欲しいし、安輝もお前を必要としている」「安輝」という一言で、美鈴は折れた。美鈴の心にあった怒りは、安輝という文字によって跡形もなく消え去った。梅代おばあちゃんはいなくなった。でも自分にはまだ安輝がいる。安輝は凌しか救えない。美鈴はうつむいたまま、無感覚に凌に肩を抱かれるがままにして、立ち去ろうとした。彼女が足を動かした瞬間、眼鏡をかけた男が人々をかき分けて近づいてきた。制服を着た二人の職員を連れている。正邦は怪訝そうに尋ねた。「どちら様ですか?」男は梅代の遺影に頭を下げると、事務的に言った。「秦梅代さんから生前いただいたご依頼で、こちらにてある動画をこれから皆さんにお見せします」男はタブレットを取り出し、梅代の遺影の横に置いた。動画の中の梅代はベッドの端に座り、慈愛に満ちた笑顔を浮かべていたが、それでも体調の悪さがうかがえた。美鈴の胸は締め付けられ、声を上げて泣いた。動画は全部で5分ある。最初の3分間、梅代はただ一つのことについて語っていた。それは、正邦と蘭が次女の夕星を冷遇したことが原因で、夕星は幼い頃からさまざまな心の傷を負い、嘲笑され、いじめられ、さらには一度は危うく命を失いかけた。その都度、梅代は正邦に電話しても、「秦社長はご多忙で」の一言で片付けられた。蘭に電話しても、「時間がない」と返されるばかりだった。20年以上、この夫妻は一度も夕星に会いに帰ってこなかった。この夫妻は常に忙しく、夕星にほんの少しの愛情さえ分け与える余裕がなかった。残りの2分間で、梅代は美鈴が身代わりになった真相を語った。美鈴は自ら進んで他人の身分を名乗ったのではなく、夕星が亡くなる直前に自分の身分を美鈴に託したのだ。彼女は美鈴に梅代の老後の世話と看取りを願っていた。それに、秦家は夕星を冷遇していたが、毎月生活費は渡していた。夕星は美鈴がこれらのお金を活用して生きていくことを願った。動画の最
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