(一体、あの電話は何だったの?) 飛鳥は今も謎が解けないまま、叔父の遠山哲太の自宅に向かっている。 悠馬の自宅を訪れた翌日の日曜日のことである。 実は土曜の午後、飛鳥が悠馬の自宅を訪ねたのは偶然なんかじゃなかった。悠馬が母の芽衣や荒川先生に、将来のことでジワジワ追いつめられていた頃、 突然、飛鳥のスマホが鳴ったのである。それは今まで見たこともない番号だった。(どうしよう、出ない方がいいのだろうか?) 恐る恐るスマホを手にすると、突然、悠馬の母の芽衣と荒川先生の会話がハッキリ聞こえてきた。どう考えても(考えなくても)、荒川先生と悠馬の結婚についての話し合いだった。荒川先生は悠馬より年上だったが、今は年の差婚なんか珍しくもない。(悠ちゃんみたいないい子なら、誰だって結婚したいに決まってる) 飛鳥はあわてて悠馬の自宅に駆けつけたのである。 今、振り返ってみると、あの電話って誰が何のためにかけてきたのだろう。飛鳥に、わざわざ芽衣と荒川先生の会話を聞かせて、何をしたかったのだろう。家にいたのは、ほかには悠馬ひとりだけ。だが電話番号はぜんぜん知らない番号だった。 あの後、悠馬からは、<今日はわざわざ来てくれてありがとう。また来てください>とlineが届いていたが、飛鳥に電話がかけられたこと自体、知らない様子だった。 考えれば考えるほど、自然と時間は過ぎる。すぐに見覚えのある白塗りの建物が見えてきた。叔父の遠山哲太の自宅で、『NGO法人 子どもたちと地球環境ネットワーク』の事務所も兼ねていた。 庭にネットワークの事務所のプレハブがあり、自宅一階の大通り側は会議室、応接室となっている。一階奥と二階が居住スペースだった。自宅玄関は裏側にあった。 来客用に車四台分の駐車スペースがあり、叔父と事務員の白石さんは裏側のスペースに車を駐車していた。 飛鳥は叔父が事務局長を務める『NGO法人 子どもたちと地球環境ネットワーク』のお手伝いに来たのである。そのため大通りへ回り、プレハブの事務所に入るつもりだった。一階裏側、玄関近くまで来たときだった。 明るくかん高い歌声が聞こえてきた。夢見るような大きな思いと願いが歌声からあふれていた。 飛鳥はこれほど情熱的な歌声を聞いたことがなかった。♬スーパー・ラバットは あなたのフ
Last Updated : 2025-08-26 Read more