飛鳥は今も忘れてなんかいない。 クラス委員を決めるときに悠馬が助けてくれたこと……。 悠馬が雑用係をイヤな顔ひとつ見せずにやっている姿を見るのが心苦しかった。 昼ご飯に校内のショッピングストアでパンを買う生徒も多い。生徒が一度に押しかけても困るので、どのクラスも毎日交代で当番が注文を取りお金を集める。そして二時間目の休憩時間に、ショッピングストアに注文書と代金を提出する。 四時間目の終了後、当番が注文したパンを受け取りに行く。 どのクラスだって当番制なのに、特進クラスでは毎日、悠馬がパン当番。お金を忘れたとか言い出す生徒のため、随分立て替えをして、返して貰っていない分も随分あるはずだ。(特進クラスの編入試験。一位は私で、三位が朝井くんだった。それが許せない人間がいるんだ) 飛鳥はそう信じている。村雨や神宮寺が、飛鳥や悠馬のコンディションを崩そうとしたって、絶対負けるもんか。飛鳥は、心の奥底でそっとファイトの炎を燃やしていた。 そしてもし出来ることなら、飛鳥が悠馬のことを助けてあげたい。そんな思いで、いつも悠馬を見守っている。「ねえ、遠山さん」 ウサギ小屋の水を換ええていた悠馬が急に話しかけてくる。「どうかした、悠くん?」
Last Updated : 2025-08-06 Read more