後ろの壁に激突! 頭が割れるか首の骨が折れて天国へ旅立ってるはずだった。 天国への階段で、小夜ちゃんや笹岡君、浜島君と落ち合うはずだった。 でも僕のすぐ前にはマハー・カミラさんの顔があった。 またまたお姫様抱っこされていた。 「残念だったな。少年・悠馬」 マハー・カミラさんの声は、まるで氷のように冷たかった。 「お前は自分の意志で死ぬこともできないのだ。わたしの生贄になるまではな」 小夜ちゃんや笹岡君、浜島君の笑顔を思い浮かべた。 一緒に頑張ろうって誓いあっていたんだ。 涙が噴水のように飛び出し、猿轡をはめられた口で泣いた。 僕の顔って、きっと情けなかったって思う。 僕って、本当にダメな人間なんだ。 春奈ちゃんの言葉を思い出した。「ユウちゃん。ユウちゃんは心が優しくていい子だよ。だけどね。それだけじゃ生きていけないんだよ」 春奈ちゃんの優しい表情が、心でハッキリ見える。「いつもわたしがそばにいてあげたいけど、そうならないときだってあるの。本当はこんな世の中、いけないと思う。ユウちゃんのような子が苦しむなんてこと」 そう言って、僕のこと抱きしめてくれた。「だけどね。わたしだってどうにもできないの」 春奈ちゃんの言う通りなんだ。 小夜ちゃんたちを助けられなかった。 そしていまの僕って、ただ泣くことしかできないんだ。 マハー・カミラさんが中腰になった。 床の上。 白い布包みがひとつ、転がっている。 白い布包みの中身が見えた。 布が開いていた。 エエーッ? だけどこれって? どう考えても……。 考えなくても……。 マハー・カミラさんって、なんだか気まずそうな顔。 僕から没収したスマホ取り出す。 返してくれないだろうな。 スマホいじって、 ニュースなんか見てる‼︎ 心は別の場所らしい。 なんだか困った顔。 「次のニュースです。新しく青森県知事に就任した渋谷きょう子知事は、就任の記者会見で……」 そうか‼︎ マハー・カミラさんだってこんな顔するんだ‼︎ なんだか可愛らしい。 これって幻? マハー・カミラさんったら、僕が見つめていることに気がついたらみたい‼︎ だってプイッて横向いたんだもん。 僕、見たんだ。 どう考えたって白い布包みの中身は……。 マネキン人形の頭部。 髪の毛
Last Updated : 2025-08-04 Read more