บททั้งหมดของ カノ女と僕の幽霊塔~殺戮の神、大黒天の一族、マハー・カミラに監禁された少年の運命は?: บทที่ 31 - บทที่ 40

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~第七部④~ スカイツリーの霊視

 東京スカイツリーといえば、東京の新名所として知られていますね。 展望デッキから百メートル上。 地上より四百五十メートルの高さにあるパノラマ展望台「天望回廊」は日本中で有名ですよね。 ゆるやかなスローブを渡りながら、スカイツリーの周囲三百六十度を見下ろすことができます。 東京の街並みから東京湾。 遠くは富士山も眺めることができます。 翌日の昼頃のこと。 この天望回廊に、獅子内記者はじめ特別対策会議に参加したメンバーが集合していました。 総勢五十名あまり。 彼らから離れ、あごにヒゲを生やした紳士が展望台からスカイツリーの周囲の光景を見下ろしていました。会議前に獅子内記者に声をかけた人物です。 胸のところで腕を組み、全く動きません。息もしていないように見えました。 地上四百五十メートルの展望台から見える東京の街並みは、そこが車と人で溢れたゴミゴミした場所であることを忘れるくらい美しいのです。だがこの紳士は、少しも展望台からの景観に興味はないように思えました。「ただね。獅子内君」 野田代表がこっそり遠慮がちに尋ねたのです。「確かに君の言う通り、常識は覆されるものだがね」 そう言って、紳士に目を向けます。「どうしても信じられないんだがね。あの人が……」 野田代表が声を落とします。「聖徳太子だとはね」 聖徳太子と呼ばれた紳士が、フーッと大きくため息をつきました「獅子内君。こちらへ」 獅子内記者が駆け寄ると、ニッコリ笑って二枚の紙を渡しました。「野田氏、大島氏のおふたりに贈り物だ。わたしの自己紹介代わりだ」 聖徳太子の差し出した紙にはなにかメモが書かれていました。 受け取ったふたりは呆然と立ち尽くしました。「ど、どうしてこのことを?」「絶対に知られることはないと?」 野田、大島両氏は声を振り絞りました。「一を聞いて十を知る。わたしの仕事だ。なんならそのメモに書いた君たちふたりの秘密を、獅子内君に伝えようか?」 聖徳太子の言葉に野田代表は、「わ、わわわわわわ、わたしはぜんぜん疑ってませんでした」 大島代表も真っ青な表情で、「わたしもです」 聖徳太子は、もうふたりには注意を払いませんでした。 石田総理大臣をはじめ、集まったメンバーに向き直りました。「霊視の結果を申し上げます。間違いありません。マハー
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~第八部 コンサートはどうなる①~ マハー・カミラさんの怒り

 金曜日の夜。 僕はひとりでハーモニカの練習をしていた。 コンサートは明日。 マハー・カミラさんって、だれかに呼び出されたみたい。 練習の途中であわてて部屋を出ていった。 そして三十分くらいで戻ってきた。 行くときと違って、こわい顔をしてた。 じっと僕のことを見ている。「お帰りなさい」 いきなり手にしびれ!マハー・カミラさんに、赤の杖でひっぱたかれてた。 ハーモニカが床に転がる。イヤな音。「やかましい」 マハー・カミラさんの大声。 手の甲を杖の先で打たれた。血がにじむ。「お前のために、二千年の努力の成果を台無しにするところだった。伯父上の言葉で目が覚めた」 杖の先で背中を思いっきり打たれた。 そのまま僕、床に転げ落ちてた。「こざかしい小僧め」 ショートブーツの靴底で手を踏みつけられる。 「生贄の小僧。お前は明日死ぬ。すぐには死なせぬ。お前を拷問にかけることで、お前の血肉は芳香に包まれ美味なものとなる」 マハー・カミラさんの目には冷たく憎悪に満ちた殺気が漂っていた。「それをお前の頭蓋骨と共に伯父上に提供すれば、いままでの過ちは帳消しとなる。わたしはマハー一族の摂政となる」 マハー・カミラさんの興奮した口調。「手を踏むのはやめてください。ハーモニカが吹けなくなります」 僕が大声で叫んだのに、マハー・カミラさんったら冷たい声で返してきた。「コンサートも勉強会も中止だ。この塔で死を待つがよい」 ちゃんと約束したのに……。 マハー・カミラさんだって新しいハーモニカをプレゼントしてくれたはずなのに……。「神は人間との約束に拘束などされぬ。生贄の分際で身の程をわきまえぬ小僧」 腕に激痛! 赤の杖で思いっきり打たれた。 目から涙の噴水! 体がブルブル震えていた「わたしの目標はマハー・カーラ様の摂政となることだ。お前のようなつまらぬ生贄の小僧を助けることではない」 赤の杖で体中打たれた。激痛のノンストップ。「伯父上!ご覧ください。極限まで痛めつけ、極上の血肉を提供します」 マハー・カーラさんの叫びが合間に聞こえた。 このまま僕、死ぬんだろうか! それはできない。コンサートは絶対にしなければ……。 勉強会だってしなければ……。 少しでも入院している子どもたちの力になるんだ。 病気に苦しんでいても、
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~第八部②~ マハー・カミラさんからの伝言

 目が覚めたらベッドの中。 あたたかい布団。 僕は縛られてなかった。 ベッドの脇のテーブルのにたくさんのご馳走。「少年・悠馬。起きたか」 僕を呼ぶ声。 テーブルの向こうにマハー・カミラさんが女子高生の姿で立っていた。 なんだかボンヤリとしか見えない。 殴られたショックだろうか? でも赤い天井も壁も、それに床もハッキリ見える。 テーブルの上のご馳走。アイスクリームのカップまで見える。 マハー・カミラさんの白い脚。やっぱりボンヤリしている。「マハー・カミラより少年・悠馬に連絡する。いま、お前が見ているのは、わたしが連絡用に残した画像だ」 えっ?そんな。「わたしはもうここにはいない。わたしがお前の代わりに病院に行き、コンサートをする。勉強会もわたしが行う」 えっ?そんな!「少年・悠馬。神は約束を破ってもよいとは思わぬ」 マハー・カミラさんの優しい声。「さっきは申し訳なかった」 マハー・カミラさんが軽く頭を下げる。マハー・カミラさんが頭を下げる姿を見るのは初めてだった。「だが伯父上から厳しく指導されてな。『生贄として捕えた人間を自由気ままにさせているとは何事か』とな。お前をコンサートに行かせれば、マハー一族のだれかが報告する。わたしを探っている者がいるからな」 マハー・カミラさんがもう一度頭を下げる。「すまん。お前を病院に行かせるわけにはいかないんだ」 マハー・カミラさん、困った表情。「伯父のマハー・カーラは言った。『生贄の少年を今日まで活かしていたこと。さらに神罰を下した人間を救ったことは絶対に許せぬ』 わたしは伯父上が怖い。『だがマハーの経典にもある。生贄を数日活かしておき激しい拷問にかければ、血肉は極上の美味となり神術の効用を高める。そのために、あえて少年・悠馬を活かしておいた。そういうふうに解釈しようではないか』 それが伯父上の言葉だ。悪く思うな。わたしは伯父、マハー・カーラの摂政となりたい。そのために二千年の歳月を生きてきた」 マハー・カミラさんがキッパリと言いきった。「我らマハーの神々は愚かな人間の血肉を奪い、もし契約が実現した場合には、莫大な貢物を受けて栄耀栄華酒池肉林をわがものにしてきた。だが神の序列によって甘受できる贅沢も差別される。摂政になれば、伯父の次にあらん限りの栄耀栄華酒池肉林を味わえ
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~第八部③~ コンサートは始まったけれど

 マハー・カミラさんが住む赤の塔。 ベッドの置かれた広い部屋。 ベッドの脇のサイドテーブルに向かって座る僕。 僕の目の前。 コンサートが行われる玉山病院のホールが広がってる。 マハー・カミラさんの神術のおかげで、立体テレビのようにコンサートの様子を間近で見ることができるんだ。 ホールいっぱいに、患者さんや家族、病院の関係者。 患者さんも色々な人がいる。 車椅子の人。移動ベッドに横たわったままの人。 腕に点滴の管が何本もある人。 そして長期入院している幼児や少年少女たち。 みんながコンサートを待っててくれているんだ。「お父さん。コンサートですよ」 六十代くらいの女性が、移動ベッドに横たわったままの同年齢の男性に声をかけている。 そうだ!安井さん夫婦だ。安井さんって前より元気なくなったみたい。「なつかしい歌を聞いて、きっと元気になりますよ」「気休めはやめよう。もう起き上ることなんてない。このままベッドの上で永遠に暮らすんだ」「お父さん」「ハハハ……。ハーモニカ聞きながらあの世行きかもな」「お父さん。上杉君に恥かしくないんですか?」「すまん。だけどな……」 安井さんの力ない言葉。 僕は胸が痛かった。どんなにハーモニカを吹いても、僕には病気を治すことなんかできないんだ。「俺はもう帰るよ」 五十代後半の車椅子の男の人。 あれは松井さん。「辛くなるだけだ。上杉君には悪いと思っている」 車椅子を押す看護師さんがなだめる。「松井さん。そんなこと言わないで」「ハーモニカ聞いてなんかいいことあるんか? 教えてくれよ。俺はないと思う」 僕は、あの人たちの力になれたらって思ってた。 けれども本当に辛い人の気持ちって、やっぱり僕になんか分からないんだ。 姉さんの気持ちが分かってあげられなかったのと同じだ。 僕ってムダなことしてるんだろうか? マハー・カミラさんが言ったことが正しかったのだろうか? あっ! 小夜ちゃんがいる。お母さんに付き添われている。 ニコニコ笑っている。 浜島君と笹岡君だ。点滴しながら英検のテキスト開いてる。 僕、目頭が熱くなってきた。 マハー・カミラさんって、うまくやれるだろうか? 本当に心配になってきた。「さあ!コンサートの始まりです」 客席より一段高いステージの上。
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~第八部④~ 波乱すぎるコンサート JKでいこう!

 マハー・カミラさんがどう考えたってあぶない宣言をした頃! ホールの入口付近にデスクが置かれていた。 デスクに向かって十人以上の女性。入院用のパジャマを着た女性患者や看護師をはじめ病院職員の姿もあった。「男女で一緒に男女共同参画社会を進める会」と机に大きな貼り紙。<入院中の患者のみなさん、ハンディのあるみなさんほど、社会的弱者に冷たい社会を痛感しているはずです。 わたしたちは、会社でも学校でも家庭でも、そして政治、経済、社会の分野すべてで男女平等の社会の実現をめざしています! 男女平等が実現することで差別がなくなり、みなさんにとっても暮らしやすい社会になります。 みなさんもわたしたちの会に参加しませんか?①わたしたちは、どんな分野でも、どんな場合でも男女の差別にぜったい反対します!②風俗業は人間をおとしめる行為です。「性」を売り物にする社会の中で、未成年の少年少女が危険な状態に置かれています。ぜったいに反対します!③夫婦間のDVは犯罪です。家庭で行われる犯罪が、子どもたちに与える影響を考えてください。 絶対に反対します> 会の人たちが、スローガンを紹介したチラシを、コンサートに来た人たちに配っていた。 入院患者の人まで、この会に参加している。僕と同じ高校生くらいの少女もいる。 この様子を見て、なんだか僕、目頭が熱くなってきた。 「男女で一緒に男女共同参画社会を進める会フェスティバル 講演と歌、映画! 近日中にこのホールでみんなで楽しみましょう!」と書かれたポスター。 できれば僕だって協力したい。だけど今夜の僕にはどうすることも出来ない。「お前ら!喜ばせてやるぞ!」 マハー・カーラさんの叫び! 「男女で一緒に男女共同参画社会を進める会」のメンバーの人たちが、ステージに目を向ける。赤いブレザーに超ミニスカート。赤いハイソックスのマハー・カミラさんが不敵に笑う! 天井高く跳び上がった! スカートがパーッとめくれる! 赤のパンティ! 大理石のように輝く白い太腿!美しい曲線の脚。 白い脚を包み込む赤のハイソックスが映える!「オオオオオオオオオー」 客席の男の人たちの感動の声。「やめて! なにしてるの?」 小夜ちゃんの泣き声。 マハー・カミラさんったら、超ミニスカートを落下傘のように広げてゆっくり着地! 跳躍、
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~第八部⑤~ マハー・カミラさんの笑顔って

 ホールの現在……。 たぶんいい雰囲気なんかじゃない。 観客の男性大喜び! けれども『男女で一緒に男女共同参画社会を進める会』のメンバーの人たちって、すごく怒っている。 マハー・カミラさんの歌を聴いたショックで失神! 点滴して息をゼーゼーさせながらマハー・カミラさんに抗議してる。「こ、こんな歌やめてください。みんな怒ってます」 マハー・カミラさんったらうるさそう。 「下郎! うるさい! だれも怒っていない。みんな喜んでるだろう。この拍手と歓声を聞け。お前たち頭がおかしくて幻覚が見えたり聞こえたりするのか? 早く一緒に喜ばんか!」 マハー・カーラさんが赤い杖を振る。 そうしたら抗議してたメンバーの人たち・・・ 様子がなんだかおかしくなってきた。「ケケケケケ!ヒーヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!な、なんで笑いが止まらない」「イーヒヒヒヒヒヒヒ!助けて。怒ってるのに。エヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!」 「見つめちゃイヤーン。アアアアアアアアーン!な、なんでこんな言葉が? ホーホホホホホホホホ!」「みんなあげちゃう! フリープライス、お願い。わたしを受けとめて」「イヤーーッ!なんでこんな言葉! お願い。やめさせて」「ハハハハハハハ、ハゲチャビンさんもメタボさんも大歓迎よ! お願い、だれかわたしの体を受けとめて。キャーッ、なんでこんな言葉をわたし……」 メンバーの人たちほとんど全員が、医師や看護師さんによって病室へ運ばれていった。「分かっただろう。わたしの歌とダンスでみんな大喜びだ!あの女たち、喜びすぎてとうとう入院だ」 マハー・カミラさんって胸張ってる。 ちょ、ちょっと……。これって、フェアじゃないです。やめてください。「お願い。やめましょう」 紺のワンピースを着た四十代くらいの女性が歩み寄った。 やさしい顔立ちだけど、どこか芯の強さを感じさせる。 『男女で一緒に男女共同参画社会を進める会』の事務局長の吉川さんだ。 以前にコンサートで名刺を頂いたことがある。 マハー・カミラさんの前に立つ。 やさしく話しかける。「あなただって分かってるはず。こんなことしたって楽しくなんかないってこと。どうか、わたしたちと一緒に来て。あなたも、そしてみんながね。心から本当に楽しいことをやりましょう。あなたが……」 吉川さんの声が震える。「こんな歌を
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~第八部⑥~ いよいよ演奏会の始まり

 マハー・カミラさんが赤い杖を振り下ろす。 僕って赤の塔の一室にいたはずだけれど……。 一瞬の後、 僕は病院のステージ中央に立っていた。手にはハーモニカや楽譜など演奏に必要なもの一式揃っている。 隣には赤いブレザーの女子高生姿のマハー・カミラさん。 目の前には小夜ちゃん、浜島君、笹岡君。そして春奈ちゃん。「ユウちゃん!」 春奈ちゃんが信じられないといった顔。 確かにそうだよね。「どうやってここへ来たの? 教えて」 小夜ちゃんが首を左右に振る。「悠馬兄ちゃん。悠馬兄ちゃん。本当にここに来てるの?」   客席のほかの人たちだって驚いた顔。 顔寄せ合ってヒソヒソ話。 目をこすってる人までいる。 僕のこと、しっかり指さしてくる人までいる。「上杉君。これって一体……」 吉川さんが遠慮がちに僕に声かけてくる。 病院の先生たちが首をひねる。「我々は……」「夢を見ているのか?」 お互いの頬を引っ張りあう。 顔を歪めて叫ぶ。「ゆ、夢じゃない!」 いけない。このままじゃパニックになってしまう。「夢なんかじゃありません。手品です!」 僕はとっさにそう叫んでいた。 でも声がかすれちゃった。「手品?」「なんだ。そうだったのか?」「ワシも最初からそう思っていたよ」「ワッハッハッ」「まあ、ありふれた手品だ。わたしはちっとも驚かなかったよ」 なんとか信じてもらえたみたい。「悠馬兄ちゃんが来た」 小夜ちゃんが手を叩く。 春奈ちゃんが手を伸ばしてくる。 僕の腕、つかもうってした。 次の瞬間! マハー・カミラさん、かすかに杖を動かす。 僕の体がまた瞬間移動。 後ろに下がってた! 春奈ちゃんったら勢い余って前に倒れる。 あっ、いけない! 倒れた拍子にスカートがフワッ! 雪のように真っ白なパンティ! きれいな脚。きれいな脚にピッタリの黒のハイソックス! ぜんぶ明らかになっちゃった!「わたしの悠馬に近づく悪党め!」 マハー・カミラさんがおごそかに宣言! えっ? いま、マハー・カミラさんってなにを言ったの?「見苦しいぞ」  マハー・カミラさんったら、わざわざ僕と腕組んでる。 春奈ちゃんの怒りの表情!  顔をしかめて立ち上がる。「ちょっと。ヤンキー女、なにやってるの?」 マハー・カミラさんってすました
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-08-18
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~第八部⑦~ 夢の絆

 僕、客席に向き直った。 小夜ちゃん、浜島君、笹岡君、小中学生の児童たち。 ステージの上。スカートをひるがえして走るマハー・カミラさんの姿。 「みなさん。今日はありがとうございました」 この後、とっても言いにくいことを言わなければならない。 マハー・カミラさんが僕の肩に手を乗せる。そのまま、僕の肩の上で逆立ち。「なに、やってんの!」 春奈ちゃんの大声。「今日で僕のハーモニカのコンサート、終わりです」 スタンドマイクの前。耳にハンディのある小夜ちゃんにも聞こえるように、出来るだけ大声でハッキリと言葉にする。 小夜ちゃんが立ち上がる。 聞こえたんだ。「どうして!悠馬兄ちゃん!」 春奈ちゃんが僕の腕をつかむ。「ユウちゃん!」 マハー・カミラさんが僕から引き離す。「下郎! 推参なり」「なにするの? あなたが関係してるんでしょ」「静粛にせんか!消防署を呼ぶぞ」 ふたりがにらみあってる。「悠馬君。どうして?」「英語の勉強は?」「もう応援してくれないの?」  僕はマハー・カミラさんの方に目を向けた。 僕としっかり目が合った。 春奈ちゃんが僕のこと見つめてる。 涙を浮かべている。「大丈夫。この人たちが助けてくれるから」 今夜、僕、マハー・カミラさんの生贄になる。けれどもマハー・カミラさんならきっとこの子たちを助けてくれるって信じてる。 春奈ちゃんだってきっと……。「僕、最後にどうしても話したいことがあります」 小夜ちゃん、浜島君、笹岡君、ほかの児童たち。 吉川さんや大人たちも僕のこと見ていてくれる。「病院に入院しているみなさん。本当に大変だって思います」 ひとりひとりの顏をしっかりと見た。「僕の姉は一生治らないハンディがあって、最後には自殺しました。だからほんの少しですが、ずっと入院することの大変さ、苦しさが分かっているつもりです」 納棺する前、最後に見た姉の顔がハッキリと心に浮かんできた。 僕ってなんの役にも立たなかった。「僕、なにも助けることができません。ハーモニカを吹いたって、みんなの病気を治すことなんてできません」 姉の姿が見えなくなった。 あとは、もうなにも言えなかった。 でもほんの一瞬、姉の顔がもう一度だけ浮かんだ。 ニコニコ笑いかけてくれていた。 そしてマハー・カミラさんが僕の肩に
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~第九部 最期の刻限が迫る~ 運命は決まった!

 ここは赤の塔。 いつのまにか僕がいた部屋に戻っていた テーブルに向かって座っている僕。 テーブルの上にはハーモニカがポツンと置かれている。 『夢の絆』の演奏が終わったときだった。 僕の体は赤の塔に戻っていた。 目の前に、たったいまハーモニカを演奏していたホールの光景。 マハー・カミラさんが送ってくる現場中継! マハー・カミラさんは、僕がもうホールを去ったと説明していた。 がっかりした様子の小夜ちゃんや浜島君、笹岡君ら小中学生。 英語の学習会はマハー・カミラさんが行うって宣言していた。 春奈ちゃんがマハー・カミラさんに大声で叫んでる。「ユウちゃんはどこ? あなたが隠したんでしょう」 次の瞬間、ホールの映像が僕の前から消えた。 広い部屋に僕ひとりだけ。 ひとりでハーモニカを吹く。 これで最期なんだ。 もうすぐマハー・カミラさんの生贄になるんだから。 そして何十回目かの『夢の絆』の演奏のとき、マハー・カミラさんが目の前に現れた。 ホールのときと同じ赤のブレザー姿。 冷たい顔。口元を九十度に曲げて笑う。 さっきと様子が一変。 やっぱりマハー・カミラさは、自分で言ってたように、「殺戮と残虐の女神」なんだ。「少年・悠馬」 杖の先の蛇の頭の部分で僕の顎の下をつつく。「満足したか」  思いっきり顎の下、叩かれた。「死ぬ前にハーモニカを吹いた。お前の無礼な幼馴染の春奈にも会えた。わたしの悪口を思いっきり言うことができた。本当に嬉しいだろうな」 頬をひっぱたかれた。 涙が出る。 何度も叩かれた。 最後に髪の毛を引っ張られた。「少年・悠馬」 マハー・カミラさんが僕の顔をのぞきこむ。 残酷な笑い。「教えてやろう。わたしは神だ。二千年生きている。お前に説教をされることを好まない」 胸を思いっきり杖で叩かれた。 息が詰まる。 思わず胸を手で押さえる。 だけどすぐに手首を強く握られた。「縛ってやる。二度とほどく必要がないから極限までギリギリにな。それからお前を生贄にする」 マハー・カミラさんの声は楽しそうだった。「待ってください!」「やれやれ、命乞いか。ムダなことだぞ」  そうじゃなかった。 僕は自分の心いっぱい、マハー・カミラさんに向けた。「マハー・カミラさんのためにハーモニカを吹かせてください」
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~第九部②~ 刑場への道

 十分くらい経った頃。 僕は後ろ手に縛られ、両腕ごと身体もグルグル巻きにされた。「残念だったな。運命が変わらずな」 マハー・カミラさんに頭をこづかれた。「今日まで一緒だったから多少の親近感は持っている。だがわたしは、マハー・カーラの側近になることが大切だからな。お前のようなちっぽけな少年が、どういう運命をたどろうと興味はないんだ」 赤い杖で体中を打たれた。 涙があふれて止まらない。 身体も痛かったけれど、もっと悲しかったこと。 マハー・カミラさんなら、いつか僕の言うこと、分かってくれるって思っていた。 どうしてだか分からない。 たくさんの人の生命を奪った。 残酷なことばかりしていた女神かもしれない。 それでも僕って、やっぱりマハー・カミラさんが本当はやさしい女神だって信じたいと思うようになっていた。「お前を毒獣毒虫間に連れていく」  縄尻をとられた。 マハー・カミラさんに引っ張られるように塔の暗い廊下を歩いた。 ところどころ、火に包まれた球体が飛んでいた。廊下の天井近くるフワフワと左右に揺れながら飛んでいる。 時々、僕らの目の高さまで下りてくる。 野球のボールくらいの大きさだった。 それが廊下の照明だった。 ホラーなんかに出てくる火の玉と全く同じだった。 目の前で火の玉が止った。 赤く黄色い炎に包まれた悲しげな女性の顔が見えた。 女性が泣きながら口を開く。「熱い。熱い!」 かすかに声が聞こえる。「わたしは四十二年前に捕えられ、生贄にされ、このような姿にされました。ひと目だけでも子どもに会いたい」 マハー・カミラさんが僕を押しのける。 赤い杖を振り下ろした。 火の玉が床に落ちた。 「ギャーーーーーーーーーーッ」 蚊の鳴くように小さく、だけど大きな哀しさの叫びが長く続いだ。 炎が消えた。 床を転がる野球のボールくらいの丸い球体。 それは血だらけになった女性の顔面。「下郎、推参なり」 杖がもう一度振り下ろされる。「たかおーーーーーーーー! お母さんは~」 一瞬、名前を呼ぶ声が聞こえる! 血が飛び散った。 床に赤いミンチのような肉の塊が残った。 幻かもしれない。 かすかに声が聞こえた。「助けてください」 そのあと、なにも聞えなくなった。「この女は四十二年前
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