マハー・カミラさんが扉のところに立って僕を見下ろす。 「どの蛇も毒を持っている。お前は苦しむが死ぬことはない。縛られたままのたうち回って苦しみ、涙を流して泣き叫んでも生き続ける」 マハー・カミラさんの恐ろしい言葉に、僕の体はガクガクと震えていた。「体が赤黒く変色し、風船のように膨れあがった頃、耐えきれぬ苦痛の中で体が衰弱し死を迎えることになる。毒にまみれたお前の血と肉はわたしにとって最上のディナーとなる。そして変形したお前の頭蓋骨は、伯父上のコレクションのひとつとなるのだの」 「死ぬのは覚悟しています」 僕はマハー・カミラさんににじり寄った。「だけどこんな死に方イヤです」 マハー・カミラさんを見上げる。 「マハー・カミラさんの手で、直接、僕の命を奪ってください」 思いっきり背中を蹴られて転がった。「下郎、推参なり」 マハー・カミラさんの声が響き渡る。「お前のようなちっぽけな人間の命を、わたしが直接奪うというのか? 身の程知らずめ!」 憎々しい口調だった。 僕はもうなにも言えなかった。 だけどマハー・カミラさんに、僕の涙を見てもらいたかった。 僕、顔を上げた。 もうなにも見えなかった。 きっと憎しみの目で僕のことを見ているマハー・カミラさんの顔だって見えなかった。 これが僕にとって一番幸せなんだ。「マハー・カミラさん」 人の気配がある方向へ、自分の心いっぱい言葉を告げた。「僕、マハー・カミラさんのこと」 もう一度足蹴にされて部屋の奥に転がされた。「少年・悠馬!」 マハー・カミラさんの声は凍りついていた。「できるだけ長く苦しんで死ね」 扉が閉められた。
Terakhir Diperbarui : 2025-08-22 Baca selengkapnya