戦争中の事でした。私は相変わらず王宮で薬を作る毎日です。今、戦地はどうなっているでしょうか。やはり多くの血が流れ、命が失われている事と思います。想像するしかない事ではありますが。戦争は嫌なものです。誰だって嫌なものだとは思いますが。「はぁ……はぁ……はぁ!」 そんな時の事でした。私の部屋にヴィンセントさんが飛び込んできます。普段の冷静沈着さは見られません。随分と焦っている様子でした。一体、どうしたというのでしょうか。「どうしたのですか? ヴィンセントさん?」 私は作業の手を止め、尋ねるのです。「ア、アイリス様。大変です」「大変といわれましても、何がどう、具体的に大変なのですか?」「それがなんとアイリス様」「なんと?」「我が王国ルンデブルグ及び隣国アーガス、それと帝国ビスマルクによる戦争が中断されました!」 私はヴィンセントさんからの報告を聞いてとても驚きました。「それは本当ですか? ヴィンセントさん」「は、はい! 本当です。アイリス様」「で、でもなぜですか? なぜ急に戦争が中断されたのですか?」 理由がわかりませんでした。なぜ急に戦争が中断されるのか。あんなにも帝国は戦争に勝利し、ルンデブルグを我が物としたかったはずではないですか。 特にあの王女リノアのエル王子やレオ王子に対する執着は異常でした。その執着の次元はまるで子供が玩具を欲しがって駄々をこねるほどの低俗さでしたが。 どうやら父上である帝王は娘であるリノア王女のいう事に絶対服従のようでした。よく言えば子煩悩だったのでしょう。それだけではないはずです。帝王自身がルンデブルグを植民地化する事で帝国の利権を拡大するという思惑があったはずです。 それがなぜ、今になって急に戦争を中断する事になるのか。私はヴィンセントさんの報告に耳を疑うのでした。「それがアイリス様。なんでも戦争中に例の伝染病が流行ったようです」「伝染病ですか…&h
Huling Na-update : 2026-02-18 Magbasa pa