All Chapters of 嘘つきの義妹に婚約者を寝取られ、婚約破棄されましたが、何故か隣国の王子に求婚されています。私の作った薬が必要と言われても: Chapter 1 - Chapter 10

38 Chapters

嘘つきの義妹に婚約者を寝取られた上に実家を追い出されてしまいます

「アイリス! 貴様との婚約を破棄する!」 それは突然の事でした。 呼び出された私相手に婚約者-ーロズワールが無情にもそう告げてきます。「ど、どうしてですか!? なぜいきなりそんな事を!?」「義妹(いもうと)のディアンナから聞いているよ。君は屋敷の地下室で怪しげな毒薬を作っているそうだね」「そ、それは違います! 私はそんな毒薬など作ってはいません!」 私の名はアイリス・ギルバルト。男爵家に生まれた令嬢である。薬の研究をしていた母が亡くなってからというもの継母と義妹に無駄だ、無益だと馬鹿にされつつも、ずっとその後を引き継いできた。「しかも、それを義妹のディアンナの飲ませようとしたそうだね。僕は心底、君という人間を軽蔑したよ」「ち、違います! 私が義妹のディアンナに毒薬など飲ませていません」「ロズワール様……お姉様の言っていることは大嘘ですわ」 煌びやかなドレスを来た美しい少女が来る。だが、私はその美しさの裏には傲慢さや欺瞞で満ち満ちている事を知っていた。 義理の妹ーーディアンナである。ディアンナは母が死んだ後、父が連れてきた継母の娘である。「わたくし、大変怖かったんですの。姉の挙動不審に気づいた私は、咄嗟に飼っている犬に食事を食べさせたんですの。そしたらその犬は泡を吹いて死んでしまいましたわ」「そんな……」 よくもまあ、そんな嘘八百を並べられる。私はあきれ果ててしまった。「う、嘘よ! そんなの!」「あらっ。嘘じゃありませんわ。ねぇ、お母様」 そのうちに継母も出てきた。継母はディアンナの母らしく、美しく若い見た目をしていたが、実際の所は見た目だけで、性格のねじ曲がった継母であった。「ええ。そうよ。ねぇ、あなた」「う、うむ」 父も出てくる。父は継母の言いなりであった。完全に継母の尻にひかれていた。「ねぇ。あなた、私の娘であるディアンナが嘘をついているはずがないでしょう。嘘をついているのはアイリスの方。アイリスは地下で毒薬を飲ませようとしたの。そしてディアンナのあまりの美しさに嫉妬したのよ。そうに決まっているわ」「そ、そうだな……お前の言うとおりだ。ディアンナが嘘を言っているわけがない。嘘を言っているのはアイリスの方だ」 実の父は告げる。「そ、そんな……」 私は絶句した。まさか実の父にそんな事を告げられるなんて、夢にも思って
last updateLast Updated : 2025-07-29
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突如隣国に薬師として招かれてしまいます

これからどうしよう。婚約者を嘘つきな義妹(いもうと)に奪われた、その上に実家を追い出された私は当てもなくギルバルト家の付近を彷徨っていました。 なにせ私にはお金がありませんでした。そしてギルバルト家以外に頼れるツテは何もありません。私にあったのはせいぜい長年の研究で培った薬の知識くらいでした。 そんな事をしているうちに、私の目の前に一台の馬車が通りがかります。「止まれ!」 声がしました。馬車が私の前で止まります。 い、一体何なんでしょう。 中から降りてきたのは執事服を着た男でした。 かっこいい。私は思わずそう呟いてしまう程でした。高い身長。細身の身体。そして整った顔立ち。品性のある立ち振る舞い。    私の理想を体現したような、完璧な執事でした。執事は私の前で突如、一礼する。「そこのお嬢様。ここら辺にギルバルト家があると聞きます。どこにあるかご存知ですか?」 執事は丁寧な口調でそう聞いてくる。「は、はい。ギルバルト家はこちらを行ったところにあります。でも、なぜギルバルト家に。よろしければ理由を教えてくれませんか?」「はい。風の噂でギルバルト家に薬に精通した女性アイリス様がいらっしゃると伺いました」「あ。はい。アイリスは私です。どのようなご用件でしょうか?」「なんと! あなたがアイリス様ですか!? 大変失礼しました。私の名はヴィンセント。隣国ルンデブルグで執事をしている者です。突然ではありますが、あなた様を我が宮廷に薬師としてお招きしたいのです」「ま、まあ? それはなぜですの?」 私はあまりに突然の事に驚いてしまいました。「我が王国の王子、エルドリッヒ様が流行病に侵されてしまいました。ありとらゆる薬師を招いても中々状態が改善せず、このままでは座して死を待つばかりでしょう」「そ、そんな事が……」「そこであなた様の力を風の噂でお伺いしたのです。長年薬の研究をされてきたと伺っております。あなた様のお力であれば、我が国の王子。エルドリッヒ王子の病を治せるやもしれません」「で、ですが……私に治せるかどうかも」「私達としても藁にもすがる気持ちであります。もしあなた様で手が終えずとも誰もあなたを恨みません。どうか、来て貰う事だけでもできないでしょうか?」 そう、執事ーーヴィンセントは私に傅いた。迷うまでもなかった。どうせ行く当てもない
last updateLast Updated : 2025-07-29
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隣国の王子の病を治療し、唐突に求婚されてしまいます

「ここが我が王国の城です」 ヴィンセントはそう案内する。「お、大きなお城ですね」 私はその城を見あげた。「王子は自室にいます。どうかこちらにお越しください」「は、はい!」 私は隣国の執事ーーヴィンセントに引き連れられ、王子の自室へと向かった。 ◇「ごほっ! ごほっ! げほっ!」 王子の部屋に入った時の事だった。咳き込むような声が聞こえてきた。「お、王子! し、しっかりしてください! 王子!」 メイドの慌ただしい声が聞こえる。 ベッドに寝込んでいたのは一人の青年だった。金髪をした色白の青年。整った顔に青い。本来は絶世の美青年であるはずだが、病の影響からか、血色が悪い。 本来の彼の魅力を何割も損ねているかのようだった。見れば彼の口元には血が見えた。恐らくさっきのはただ咳き込んでいたのではない。吐血したのだ。 わざわざ隣国にいる私を呼びつけている程だ。重症で間違いは無い。「はぁ……はぁ……はぁ……ヴィンセント。そこの彼女は?」「エルドリッヒ王子。こちらは隣国からいらしてくれた薬師。アイリス・ギルバルト嬢であります」「そうか……新しい薬師か」 王子は寂しげな顔をする。きっと今まで幾人もの薬師がここに連れられてきたのであろう。そしてその度に彼は「今度こそ病気が治るかもしれない」そう思ってきた。そしてその願いは叶わず、失望していった。 その結果彼はもう、希望を持つ元気すら失われてきたのである。「王子! 彼女ならきっと、あなた様の命を救ってくれるはずです!」 ヴィンセントは言ってきた。「え? そんな?」 治せる自信は元よりない。ヴィンセントの言葉は正直重荷だった。「さあ、アイリス様。どうか王子を診てやってください」「は、はい」 だが、診てみるより他にない。私は王子を診察する。 この症状は……間違いない。私は王子の病因を特定する。その病魔は私が母から受け継ぎ、今まで研究してきた数多のうちのひとつであった。「この病は治す事ができます」「ほ、本当ですか!? それは本当に!?」 執事ヴィンセントは面を喰らっていた。「ええ。しかし必要なものがあります。まず薬材です。薬の材料がなければ薬を作る事はできません。ヴィンセント様、どうか私の言った薬材を集めてきてください」「ありがとうございアイリス様。すぐさま薬材を集めさせて頂きます
last updateLast Updated : 2025-07-29
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ホワイトな宮廷に薬師として迎え入れました

「いやぁ! 誠にありがとうございます! アイリス様」「息子が救われましたわ」 宮廷で私は国王と王妃にそう出迎えられる。国王も王妃もまだ若く、そして美形であった。やはりエル王子の父君と母君であると言える。 二人は私に感謝をし始めていた。「い、いえ。私は薬師として当然の事をしたまでです」「とんでもありません。あなた様のおかげで我が息子ーーエルの命が救われたのです」「母である私からもお礼を言わせて頂きます。息子を失う以上の悲しみが親にあるものでありましょうか。アイリス様。あなた様はその悲しみから私達を救ってくださったのです」「い、いえ。そんな、滅相もありません。国王陛下、王妃様」「ヴィンセント、例のものを」「はっ!」 国王に言われ、執事ヴィンセントから何かを渡される。ずっしりとした小包だ。「な、なんでしょうかこれは?」    重くてずっしりとした小包。何となく想像がついた。「あ、あの……開けてみてもよろしいでしょうか?」「勿論だ。是非、開けてみてくれたまえ」 私は小包を開いた。その中にはびっしりと金貨が詰まっていたのである。「ま、まあ!」 私は驚きのあまり声をあげてしまった。「申し訳ない……些かアイリス様の労には見合わなかった。ヴィンセント、もう一袋用意してくれないか?」「わかりました。国王陛下」「そ、そうじゃありません! こ、こんな大金受け取れません! わ、私はただ王子の命を助けたかっただけで、こんなつもりじゃ」「いえ、いいんです。受け取って頂かなければこちらとしても気が休まりません。なにせあなた様は私達の大切な息子を救ってくださったのですから」「アイリス様、国王陛下と王妃様からのお気持ちです。こちら納めてください」「わ、わかりました」 考えた末に私は報酬を受け取る事にしました。ですが大量の金貨は持ち帰るにもあまりに重すぎます。一旦は王宮の方で預かって貰う事としました。    両親から一心の愛を受けているエル王子が私は羨ましくもあり、微笑ましくもありました。幼い頃に母を失い、そして継母と義妹に虐げられていた私からすれば。  その上に最近は婚約者であるロズワールを寝取られた末に実家まで追い出されてしまいました。今の私は身寄りもなく、行く当てもありません。「それで薬師アイリス様、今後はどうされるのですか?
last updateLast Updated : 2025-07-29
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社交パーティーで王子様とダンスをしてしまいます

「アイリス様……大変お美しいです」「ま、まあ……これが私」 真っ赤な赤いドレスを着て、メイドに丹念に化粧を施された私は、自分でも別人のように思えました。 流石に社交パーティーという事で普段の恰好ではいられません。当然のようにまともなドレスを持っていない私は王宮の方でドレスを貸し与えられる事となりました。「それではアイリス様。向かいましょうか。パーティー会場では主賓のあなた様を皆が待っていますよ」「え、ええ。ヴィンセント、向かいましょうか」「はい」 私とヴィンセントはパーティー会場へ向かいます。  ◇パーティー会場は私が見てきたこれまでの光景とは別世界でした。煌びやかなドレスを着た貴族の娘達。それからタキシードを着た男達。煌びやかなシャンデリア。そしてテーブルには豪勢な料理が無数に並んでいます。さらには音楽隊の達者な演奏も聞こえてきます。流れるような音の調べが会場の雰囲気を俄に盛り上げていくのです。「まあ、あれがエル王子の命をお救いになった薬師のアイリス様だわっ!」「あれがアイリス様……!!!」 パーティー会場にいるのは殆どが王族か貴族です。そんな身分の高い方々の注目を浴びた私は大変気恥ずかしくなってしまいます。 そして、件の人物が姿を現します。「エル王子だわ!」「エル王子! 本日も素敵ですわ!」「かっこいい……エル王子」 エルは煌びやかな白いタキシードを着ていました。絶世の美青年である彼は否応なく周囲の視線を集めます。 しかしエルは迷う事なく、私のところまでやってきました。「アイリス様……」「さ、様付けはやめてください。エル王子」「……すまないね。だったらアイリスと呼ばせて貰うよ」 エルは微笑んだ。その微笑みは凄まじく魅力的で私はその場で卒倒してしまいそうになる。「僕の命を救ってくれてありがとう、アイリス」「だから言っていますでしょう。エル王子。私は薬師として当然の事をしたまでです」「それでも同じ事だよ。君の行いで僕は救われた。それに何の見返りも期待する事なく善行を行えるのは中々に出来る事ではない。それは偏にアイリス、君の心が綺麗だからだよ」「え!?」 思わず私の心がときめいてしまうような事をエルは言ってくる。 社交パーティーが始まる。音楽隊の音楽が違う曲になる。これはダンス用の歌だ。「アイリス……どう
last updateLast Updated : 2025-07-29
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【義妹SIDE】流行病は簡単には治らない病でした

「残念ながらお母様の病には私には手に負えないものです」 医者の男にディアンナはそう告げてきます。「う、嘘よ! なんでそんなことがあるんですか! 母も私も悪いことは何ひとつしてないんですよ!」 ディアンナはそう主張する。アイリスにしてきた数々の所業は知らんぷりだ。「残念ですが私にはどうしようもありません。ほかの医者や薬師を当たっても同じことを言うと思いますよ」「う、嘘! そ、そんな! そんなことって! うううっ!」 ディアンナは母に泣き崩れた。すべてが順調だと思っていたのに、なぜこんなことになったのか。ディアンナは頭を抱えるより他にない。「ごほっ! ごほっ! げほっ! ディアンナ!」「お母様! なぜ私達がこんな目に合わなければなのですか! なぜ!」 母は咳込み、明らかに具合が悪そうです。このままだと長くないかもしれません。「残念ですが、私には手にも終えそうもありません。このたびは失礼します」 医者の男は去っていく。 婚約者のロズワール及び父がやってくる。「お父様! ロズワール様! お母様が大変なの!」「そのようだな……その病に対する情報を集めよう」「僕も陰ながら調べてみるよ」「私も……」 と、その時だった。「うっ!」 バタリ、ディアンナは倒れた。「だ、大丈夫か!? ディアンナ!」 ロズワールがディアンナを起こす。「大丈夫ですわ。ロズワール様」(おかしいわね……私こんなことで転ぶはずないのに) その時であった。ディアンナは肺のあたりに違和感を覚えた。「けほっ! ごほっ! げほっ!」 そして母と同じような咳をし始めたのである。「ま、まさか!」 何かの間違いだと思っていた。だが、母と同じ病魔は娘のディアンナにも襲いかかってきたのである。
last updateLast Updated : 2025-07-29
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エル王子に後ろから抱き締められてしまいました

「アイリス様、誠にありがとうございます!」「あなた様のおかげで我が王城内での伝染病者は全員治療されました」 国王と王妃がそう私を称えてきます。「アイリス様、あなた様のおかげで我が王城は救われました。よろしければ、国内に配布してもよろしいでしょうか?」「はい。構いません。ですが、なかなか薬の調合が間に合っていません」 あれから私は殆どの時間を費やし、調薬をしています。ですがなかなか間に合いません。国内に行き渡るのはだいぶ先になりそうです。「わかっております。あなた様のペースでいいのです。どうか薬を作っていってください」「ええ。アイリス様。あなた様に倒れられては元も子もありませんから」 国王と王妃はそう言っています。私は人々の救うため、薬を作り続ける毎日です。これではいくらお金があっても使っている暇もありません。 とはいえ私は本々物欲がなく、お金に関心がないのです。「今のままの給金では申し訳ない。もっと上乗せいたしましょうか」「ええ。あなたそうしてあげて」「いえいいです。私はそれほどお金に関心がありませんから。孤児院にでも寄付してあげてください。それに私は私の作った薬で誰かの命が救われることがたまらなく嬉しいのです」「何と素晴らしいお方だ!」「本当ね……ここまでの聖人あまりいないわ」 私は普通のことをいったつもりなのに、なぜだかえらく褒められてしまいました。「それでは私は調薬に戻りますので」 ◇「ふう……」 私は与えられただだ広い、そして豪勢な部屋で調薬をしておりました。 その時でした。「疲れているようだね。アイリス」 部屋にエル王子が訪れてきました。エル王子は私に優しく微笑みかけてきました。「エル王子!」「何か僕にできることはないかい?」 エル王子は私に優しく語りかけてきます。「できることって?」「なんでもいいんだ。言ってみなよ」「あっ」 エル王子は私を背後から抱き締めてきました。 ドキドキドキ。 私の心臓の音が高鳴り始めます。「温かいね……アイリスの体は」 それはエル王子のせいです。エル王子のせいで私の体が熱くなっているのです。「何かして欲しいことはあるかい? アイリス」「特にしてほしいことはないですが……できれば」 私は顔を真っ赤にして告げます。「このままこうしていてください」「このまま
last updateLast Updated : 2025-07-29
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私の作った薬は高値で取引されているようです

「国王陛下、なんでしょうか?」 私は国王陛下に呼び出されてしまいます。「実はアイリス様の作った薬、国内にも行き渡らない状態なのに、世界中から購入者が殺到していて、今価格が大変高騰しているんだ」「へ、へー。そうなんですか」「命あっての物種というからね。今世界中の富豪が命おしさにアイリス様の薬を購入しようとしているらしい。だからその薬ひとつで家一軒の値段がついているそうだよ」「ま、まあ! そんなに!」「勿論、我々としても規制はしているが、どうしても人の手に渡った後のことは管理しきれない。闇市のようなところに流れ、売りさばかれているらしい。命よりお金を優先する人たちは確実に存在しているからね」「わ、私はどうすれば……やはり私の作っている量が少ないからですよね?」「そういうわけではないよ。これ以上働かなくていい。アイリス様はよくやっている」「ただ我々もそういうことが起きているとあなたに説明したかったのよ。気を負わないで。あなたは今まで通りのペースで仕事をしていればいいのよ」 国王と王妃はそう説明してくれました。私の作った薬が高値で取引されているというのも変な気分です。 ◇ 私はその日お休みを頂き、街に出ようとしました。久々の外出です。その時です。エル王子に呼び止められてしまいます。「どこに行こうとしているんだい?」「それは街にいこうと」「何を言っているんだ? 君は? 一人で行こうとしているのかい?」「え、ええ……何かいけませんか?」「君は自分の価値をわかっていないようだね。貴重な薬を作れる君は当然重宝される。誘拐くらいされるかもしれない」「ま、まあ! そうなんですか!」 薬を作ること以外頭にない私には考えつきもしないことでした。「だから僕も行くよ。何かあったとしても君は僕が守る」 却ってよかったのかもしれません。こうしてエル王子と二人きりで街へ出向くことになったのです。 ◇「アイリス様だ!」「薬師のアイリス様だ!」「それにエル王子も!」 私たちを見て、国民たちが声をあげます。「もしかして私って有名なんですか?」「王国を救う救世主、聖女だって有名になっているよ」「ええっ!? 本当ですか。私が!?」 私は驚きました。「お姉ちゃん!」    その時、私の目の前に子供が現れました。男の子です。「どうしたの? 僕?」
last updateLast Updated : 2025-07-29
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【義妹SIDE】薬を必要とした義妹一家はアイリスを呼び戻そうとします

「うっ……うう。眩暈がしますわ。頭痛が」 ディアンナは病魔に苦しんでいた。「こ、こんなはずではないですわ。なぜ私が! 私が何をしたというのですかっ! こほっ!」 散々アイリスを虐げ、無実の罪を着せた。その上婚約者まで寝取り、さらには追い出しておいて。それでよくもここまで言えたものだという感じだった。  だがディアンナは本気で自分を悪いと思わない、そういう性格をしていたのである。  だからなぜ善良な自分にこうまでの不運が。ディアンナはそう思っていた。「マリア、ディアンナ。聞いておくれ」 父は言う。マリアとは母の名前である。「お前達がかかっている伝染病は世界各国の医者や薬師が苦闘している原因不明の難病らしい」「な、難病……」「ど、どういう事ですの!! 私達もう治らないんですの!! そんな、このまま死を待つしかないんですの!」「ひとつだけ方法があるらしいんだ」「ひ、ひとつだけ!! なんですのそれは教えてください!! 私なんでもしますわ! まだ死にたくないんですの!」「それがなんでもその治療薬の調薬に成功した薬師が一人だけいるらしい」「だ、誰なんですの!! その薬師を連れてきてくださいまし!!」 ベッドで悶えるアイリスは叫ぶ。「実はだな……」 父は悲痛な顔で告げる。「な、なんですの。お父様、もったいぶって、早くおっしゃってくださいまし!」「その薬師は実は私達が追い出したアイリスなんだ!!」「な、なんですってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 病気で体力が奪われているにも関わらず、ディアンナは叫んだ。余程ショックだったに違いない。「ぜぇ……はぁ……ぜぇ。肺が苦しいのについ大声で叫んでしまいましたわ。な、なぜあの根暗……いえ、間違いました。お義姉さまの名前が」「アイリスは薬師だった母の意志を継ぎ、薬の研究に没頭した。何でも母が亡くなった原因も、原因不明の病気のせいだったらしい。それからあいつは幼い頃から躍起になって、薬の研究をしていた。それでつい最近、その研究に成功したんだ」 父は涙した。やはり血の通った子供は違うらしい。 「あいつはそれだけ大きな仕事をしていたんだ。そんな尊い研究をしているとは知らなかった。それなのに私があの子が毒を作っていたなどという戯言に騙され、ううっ!」「なんですのっ! お父様
last updateLast Updated : 2025-07-29
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執事ヴィンセントの偽の婚約者に!?

私が宮廷で薬師として働くにあたって、専属執事としてヴィンセントさんが付いてくれる事になりました。ヴィンセントさんは背が高くてかっこいい理想の執事さんです。料理から洗濯、お掃除までなんでもできます。まさしく完璧な執事さんです。それでも仕事上の事で、本人曰くプライベートはだらしないと教えてくれました。完璧な人なんていません。そういうところがあった方が親しみを持てます。「はぁ~~……」 そんなヴィンセントさんが手紙を手に取り、溜息を吐いていた。「どうしたんですか? ヴィンセントさん」「アイリス様……」「何か悩み事でもあるんですか?」「いえ。これは私個人のプライベートな問題です。アイリス様に無駄な時間を取らせるわけには」「そんな事言わないでください。ヴィンセントさんには普段お世話になっているんです。私に協力できる事なら何でも言ってください」「実は――」 ヴィンセントは身の上話を語り始めた。元々ヴィンセントもまたそれなりの名家の出自らしく、年齢的にも見合い話を持ち掛けられてるらしいのです。「ええ!! お見合いですか!!」「はい。何度断っても見合いをしろとうるさいのです。私はこの王宮で執事として働きたいにも関わらず、いい加減身を固めろと」「それは大変ですね」「それで両親がこの王国まで来るそうなんです」「ええ!? それは本当ですか!?」「そうなんです。見合い相手を連れてきて。それでもう私には結婚して執事の仕事をやめるようにと、うるさくて聞かないのです。どうにか諦めさせたいものですが……」 そんな時の事です。私の頭の中に名案が浮かんできたのです。「そうです! だったら私とヴィンセントさんが婚約者だって事で両親に説明するんです! そして諦めて貰いましょう!」「アイリス様……で、ですがいいのですか。アイリス様には……」「あっ……」 最後まで言わずともわかりました。ヴィンセントさんはエル王子の事を気にしていたのです。「だ、大丈夫だと思います。ただの振りですから。振り。それでご両親はいつ来るんですか?」「もう今日すぐにでも来るらしいです。見合い相手を連れて」「ええ!! もうそんなすぐに来るんですか!!」「はい。そうなります。ですがいいのですか? アイリス様。お仕事が」「国王様にも王妃様にも働きすぎだから休むように言われています。私もヴィ
last updateLast Updated : 2025-07-29
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