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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 271 - Chapter 280

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271.注目と噂⑪

「うん、そんな感じで君は君のままでいればいいよ」本村さんは、あたしに聞いてきたその問いかけの答えをくれるわけでもなく、何を見てそう言ったのかもわからないけど、なぜだがまたあたしのままでいればいいと、そう伝えてくれる。「えっ、教えてくれないんですか?」「だってその理由は慧しかわかんないもん」いやいやいや、そこまで言っといて!本村さんってこういうとこあるんだよなー!「とにかくオレが言えることは、何があっても慧のそばにいてやってほしいってことかな」「それはもちろんそうしたいです……」「うん。今の君のままであいつをこれからも支えてやって」「今のあたしでいいんですか……?  しかも、あたしが慧さんを支えるなんてこと出来るかわからないですけど……」ただあたしが一緒にいたくているだけで、支えるなんてそんな大それたこと出来るとも思ってないけど、でも、慧さんが少しでも安心して心を預けられるような存在でいたいとは思う。「あ~。それね。きっといつかわかる時がくると思うよ?」「わかる時って?」本村さんは意味ありげにそんなことを言う。「君が慧を支えるようになる時」「えっ、そんな時来ますかね?」あたしが慧さんを頼ったり支えてもらったりするならわかるけど、慧さんをあたしが支える……?その言葉に、あたしはまだしっくり来ないし、想像も出来ないけど。だけど、本村さんは余裕ある顔で満足そうにあたしに笑いかける。「だから君はもっと強くなりなね」「もっと、強く、ですか?」「そう。何があっても慧と一緒にいるために強くなること。それが今オレが君に伝えたいことかな」「慧さんといるために? それってどういう意味ですか?」多分本村さんは、慧さんの何かを思って、あたしに伝えているような気がする。「あぁ、そしてあともう一つ。とにかくあいつを信じてやること。」そしてまたもう一つ本村さんが付け加える。実際何か起きてしまった時に、あたしはその時どう対応するのかとか、どんな感情になってしまうのかとかはわからないけど、多分本村さんはその時を予測して、そう伝えてるのかもしれない。だけど、それはどちらも、あたしが慧さんを好きな以上絶対必要なことで。多分何かあった時、それをちゃんと確かなモノにしておけば、乗り越えられるような、あたしもそんな気がするから。「わかりました。慧さんを
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272.社長の新たな一面①

それから数日経ったある日。家でいつものように慧さんの帰宅を待っていると、玄関の方で音がしたので、リビングで待つ。あれ? 音鳴ったよね?慧さんはいつも帰宅するとすぐ、自分の部屋に行く前に、リビングにいるあたしに、毎回 ”ただいま” を言いに、すぐに顔を出してくれる。だけど、なぜか今日はすぐに慧さんがリビングに来ない。不思議に思って、思わず玄関の方まで行って確認しに行くと……。えっ!?  慧さん!?「慧さん! どうしたんですか!?」玄関で倒れこんでる慧さんの姿を見て、あたしは驚いてすぐに声をかける。えっ、どうしよう!  慧さんに何があったの!?今まで見たことないその姿と今の状況に、あたしは訳がわからなくなって、少しパニックになりそうになる。すると。「う~ん……」と、倒れこんだ慧さんからうなり声がうっすら聞こえてくる。「慧さん!? 大丈夫ですか!?」あたしは慧さんをゆすりながら顔を覗き込んで声をかける。「あぁ……。依那……」と、あたしに気付いて、あたしの名前を呼ぶ慧さん。「よかった……。家か……」今いる場所に気付き、なぜかホッとしてる様子の慧さん。「どうしました!?」「あ、あぁ……。いや、ごめん。ちょっと、飲み過ぎただけ……」えっ……?  飲み、過ぎた……?はぁ~~なんだー!  飲み過ぎただけかー!よかったー!そして、慧さんは、ようやくその場で自分でむくっと身体を起こし、とりあえずその場で座り込み、まだボーッとしている。飲み過ぎただけと聞いて、病気とか何か心配するようなことじゃないとわかって、とりあえず安心する。慧さん最近お酒ずっと控えてたし、ここまで飲み過ぎるのって久々な気がする。でもお仕事ではお酒飲むの避けられないって言ってたしな。たまにはここまでになることもあるか。だけど、そのまま座り込んでる慧さんが心配で、あたしはリビングに戻り冷蔵庫から冷たい水を取り出し、慧さんの元へと持ってくる。「慧さん。お水です」慧さんのそばにしゃがみ込み声をかけ、ペットボトルの水を差し出す。「あ、あぁ……。ありがと……」その水を受け取って、慧さんはその場で水を口にする。「大丈夫ですか……?」「ん。ごめん……。水飲んだらちょっと落ち着いた……」「よかった」安心して慧さんの顔を見ると、なぜかじっとあたしを見つめている
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273.社長の新たな一面②

どうしたんだろう慧さん。こんなこと初めてだな。お仕事でなんかあったのかな?それともお酒の席で?あたし聞いてもいいやつなのかな?それとも聞かない方がいいかな?抱き締められながら、いつもと違う慧さんに少し心配する。「慧さん……?」そう思いながらも、やっぱり心配で慧さんに声をかける。すると。身体を離した慧さんは。「依那。顔見せて……」「えっ!?」そう言いながら目の前であたしを見下ろしながら、今度はあたしの頬を両手で挟み、じっと見つめる。あたしは恥ずかしさも感じつつ、少しいつもと違う慧さんが気になってその言葉のまま身を任せる。素直にそういう表現をしてくれるのに嬉しい反面、お酒を飲んだからこそのこの行動のような気がして気にかかる。「どうしたんですか……?」だから思わず尋ねてしまいたくなる。いつもなら帰ってすぐ、慧さんからこんなスキンシップなんてすることなかったから。そしてあたしがそう声をかけた言葉に、フッと柔らかく笑ってあたしを見つめる。酔っているせいか、少しとろんとした目で見つめる慧さんのその表情は、また初めて見る顔で。そんな慧さんに見つめられて、またあたしの胸はキュンとする。だけど、どういう感情で、帰ってきてすぐに慧さんがこんな風になったんだろう。いつもと違う慧さんには、きっと何か理由がある。「ん。落ち着いた」そう言って笑いかけて、慧さんはあたしから離れ、フラフラとリビングへ歩いていく。そしてそのままドカッとリビングのソファーに座った慧さんの隣に、あたしもちょこんと一緒に座る。何か話しかけようか少し迷っていると。コツン。隣に座っている慧さんがあたしの肩に頭を乗せる。えっ!?  慧さんあたしの肩にもたれかかってる!?よっぽど疲れてるのか、酔って気分が悪いのか。だけど、こんな状況でも、慧さんが少しでもあたしに心を預けてくれている気がして、少し嬉しくなる。「やっぱ。お前の隣は落ち着くな……」そしてもたれかかったまま、静かに慧さんがそんな言葉を呟く。「あたしでよければ、いつだって隣にいます」「うん。オレの隣は依那がいい」そんなストレートな言葉をなんの抵抗もなしに、あたしに伝えてくれる。それは、今酔っているから、今だけしか言ってもらえないのかもしれないけど。でも、酔っていても、慧さんの中に、きっと少なか
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274.社長の新たな一面③

「ハハ……」えっ?すると、慧さんはなぜかそんなあたしを見て笑う。「依那……。お前、いつからそんな強くなったんだ……?」すると、今度は穏やかに優しく微笑みながらそう聞き返す慧さん。「ただ。あたしは慧さんが好きなだけです」そして、あたしも一番伝えたいその言葉を伝えながら微笑み返す。「ん……」そしてまた微笑み返してくれたその笑顔に、その一言だけでも、ちゃんとあたしのその言葉と気持ちを受け止めてくれているのだとわかる。「でも……」「えっ……?」「あたしがもし前より強くなったのだとしたら。それはやっぱり慧さんのおかげです」「オレ……?」「はい。慧さんを好きになれたから強くなれてるのかも」「そっか……」「きっと慧さんを好きになればなるほど、あたしは強くなれると思います」少し前までは、自信失くしたりもしてたけど、今は不思議とそんな気持ちよりも強くなりたいって気持ちのが大きくて。自信失くしてる自分でいるより、強くいられる自分として、慧さんのそばにいたい。頼りなく不安にさせるような存在じゃなく、安心して笑顔になってもらえるような、そんな存在でありたい。だから、あたしはもっと強くなりたい。慧さんの隣にいて、恥ずかしくないような自分でいられるように。堂々と慧さんの隣で笑顔でいられる自分でいられるように。「だから。いつか。慧さんがあたしに頼ってくれるくらい頼もしくなれるように頑張ります」「それは心強いな」「はい。何かあったら、あたしが慧さんを守ってあげられるように、もっと強くなりますね」そして今は、慧さんにこうやって伝えられるほどまでには、あたしは強くなってると思うから。だから、これから何があっても乗り越えられるように。もっともっと強くなれるように。慧さんに今その気持ちを伝えておこう。あたしの今の強い気持ちを。これからもずっと慧さんとずっと一緒にいられるように。すると、そんなあたしを見ながらまた少し微笑んで、腕を伸ばしてそっと慧さんが隣から抱き寄せる。そのあと、あたしの頭にそっと優しく触れ、慧さんの肩に今度はあたしがもたれかかるように慧さんが促してくれる。そして、慧さんもそっとあたしの方に頭を傾け、更に近づいて寄り添ってくれる。「依那。ありがとう」そして静かにそのままそう呟く慧さん。「フフ。なんですか? ありがとうっ
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275.社長の新たな一面④

「何があっても慧さんだけを信じます。だから、慧さんも、あたしを信じてください。あたしも慧さんに真実しか伝えません。あたしは何があっても慧さんについていきます」「うん。わかった」時には、もしかしたらついてもいい嘘だったり、つかなきゃいけない嘘なんかもあるかもしれない。だけど、なんとなくあたしと慧さんの間には、そういうことは必要ない気がして。それよりも、お互い想ってる気持ちを言葉にして、出来るだけ伝えていくことが一番大切な気がする。自分を出来るだけ一つでも多く慧さんに知ってほしい。そして一つでも多く慧さんのことをあたしも知りたい。それなら、出来るだけ本当の自分を伝えたい。今想ってる瞬間のこの気持ちも全部が全部伝えられるわけでもないし、自分が慧さんに対しての想いを、きっとあたしは1000個あったらそのうちほんの数個しか伝えられていないと思うから。それならその好きだという想いを、一つでも多く慧さんに伝えたい。どれだけあたしが慧さんを好きで、慧さんが大切かをもっともっと知ってほしい。そして、慧さんも感じてる想いを、きっと全部言葉にする人ではないから。そのうちのほんの数個だけでも、あたしに伝えてくれるのなら、それを全部受け取りたいって思う。例えそれが言葉じゃなくても、空気でも、雰囲気でも、態度でも。どんな伝え方でもいいから、慧さんの伝えてくれることは一つ残さず全部受け取りたい。だから、まずは、あたしが慧さんを想う気持ちを、そして慧さんがあたしを想ってくれる気持ちを、言葉を信じよう。あたしと慧さんなら、きっとその気持ちがあれば、何かあってもきっと乗り越えられるはずだから。「あ~。明日から行きたくねぇなぁ……」すると、慧さんがボソッと呟く。「明日、何かあるんですか?」「あぁ~。また出張」「あっ、そうなんですね」「ちょっと次は長いんだよね」「どれくらいですか?」「う~ん。二週間……長ければもっとになるかも」「えっ! そんなにですか!?」前の出張の長さどころじゃなくて、あたしは思わず驚いて聞き返してしまう。「韓国とシンガポールそれぞれまとめて行く予定でさ」「二つもですか!?」「あぁ。スケジュール的にここでまとめて行くことになったから」そんなまとめて行かなきゃいけないほどの忙しさなんだ。「韓国だけならすぐ行っても帰って来れた
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276.社長の新たな一面⑤

「じゃあ、あたしもその間プロジェクト頑張ります」「あぁ。そうだな。依那もプロジェクトだからこそ出来ることややりたいこと、どんどんやっていって」「はい」「でも無理だけはしないようにな」「フフッ。それは慧さんがですよ?」「あぁ。そっか。オレもだな。だから帰ってきたらまた依那の作った料理食べれるの楽しみにしてる」「はい。和食がいいですかね?」「うん。日本食恋しくなってそうだし」「はい。疲れが取れるような料理用意して待ってますね」「ん。よろしく」何気ないその先の約束を当たり前のように出来るのが嬉しい。この家に、自分のところに、帰ってきてくれるのだと実感出来るようで胸が満たされる。「でもいいな韓国」「依那、韓国好きなの?」「はい! 音楽も食べ物も好きです!」「へ~そうなんだ?」「出張ってことはお仕事だからもちろん韓国料理食べるのとかメインですよね?」「そう。今度韓国料理の店プロデュースしてほしいって言われてるのと、韓国に支店出したいっていう店とどちらのオファーも来ててさ」「へ~すごい。そこ出来たら絶対食べに行きたい!」「そっか。依那そういうのも好きなんだ」「はい!」「よかった。また依那の知らないこと一つ知れて」「あっ、そうですね。確かに」ホントだ。韓国料理好きとかそういう話になることはなかったかも。桜子とは好きでよく食べに行くけど。「なら。その新しい店はまだまだ先だから、それまでにウマい韓国料理屋連れてってやる」「えっ! ホントですか!?」「あぁ。結構オレも韓国料理好きでプライベートでも行くこと多いからさ」「え、慧さんもなんですね!  同じように好きなの嬉しい!」そっか。慧さんも好きなんだ。あ~そういうこと知れるのだけでも嬉しい。なら韓国料理も食べに行けるんだ。「そうだな。オレらまだまだ全然知らないことあるもんな」「ですね」「店巡りも落ち着いたらまた連れてってやるから待ってて」「あっ、ありがとうございます」忙しいのに、ちゃんと覚えててくれたんだ。その気持ちだけで嬉しい。そうだ。慧さんとその約束もあるんだ。こうやっていくつも約束が増えていけば増えてくほど、この先の楽しみが増して、日々頑張る力になる。ホントにそれを一つずつ叶えていけたらいいな。「さっきはさ。依那としばらく離れたくなくて、出張行く
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277.社長の新たな一面⑥

「依那にはさ。オレが感じるモノ、共有したいんだよね」「共有?」「そう。ウマいもんとか綺麗な場所とかさ。依那なら同じように笑顔で喜んでくれんだろなぁって想像出来るから」「え、そんな風に思ってくれてるんですか?」「もちろん。だからいろんなとこ連れて行ってやりたいって思う。依那が感動するとことか笑顔になるとことか。オレが知ってるそういうのいっぱい教えてやりたい」あ~、慧さんはそんなとこまで考えてくれてるんだ。あたしがそんな風に思うのは当然なんだけど。っていうか、あたしがそんな風に思っちゃうのは逆にあつかましいというかおこがましいというか。それくらいに思ってたから。「慧さんの見る景色とか美味しいって感じることとか、あたしも一緒に知れるなら知りたいです」きっと慧さんの今まで見てきた景色や世界は、あたしの想像出来ないくらいで。それをあたしが知りたいと思ったところで、絶対知ること出来ないけど。だけど、これからはそれをあたしにも、と考えてくれているのが何より嬉しくて。あたしも慧さんのその世界に入ってもいいんだと伝えてくれるようで。雲の上の存在のような慧さんだから、そんなのきっとありえないはずなのに、今では、そんな風に慧さんに思ってもらえるほどの存在になれてるんだと実感する。「うん。これからはいろいろ同じモノ共有していこう。依那にまだまだ知らない世界オレがたくさん教えてやるから」「はい」ホントに慧さんという人は、あたしが思っていることを何倍も超えて喜びをくれる。ここまでしか思っちゃいけない・望んじゃいけないということを、いとも簡単に飛び越えてきてくれる。当たり前じゃないことを慧さんが当たり前に変えてくれる。もしかしたらそういうことかもしれない。あたしがあたしでいていい理由。自信を持てる理由。全部きっと慧さんがいてくれることでそれを実感出来る。慧さんがそれを伝えてくれる。それなら、あたしは慧さんに一緒にいて何を伝えることが出来ているのだろう。慧さんに当たり前の幸せだとか、想像を飛び越えてくるほどの喜びだとか、そういうことを、あたしは慧さんに感じてもらえているのだろうか。自分自身では、それがわからないけど、でも、同じように共有したいと思うように、あたしも同じだけそんな幸せや喜びを返せてたらいいな。そしてまだ知らない慧さんの悲しさや
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278.乗り越える勇気①

慧さんが出張に行ってる間にも、プロジェクトは社員だけで着々と進んでいく。そんな中、プロジェクト内で取り扱う料理のメニューをチームみんなで決めることになった。その中でも外に営業や交渉に行ってる人たちは、積極的に参加出来ないことが多いので、企画やデスク作業など、社内でプロジェクトを進めてるメンバーがメインで進めることになって。そうなると必然的に、女子社員が多くなって、その時間はちょっとした女子会的になっている。そしてその中心になっているのが、この料理のメニューを監修することになった今世間でちょっとした有名になっている料理研究家でもある美山 華帆さん。そんな美山さんは名前に負けず劣らず、見た目もとても華やかで女性らしい可愛さを感じられるような雰囲気で。定期的に上げてる動画なんかもあって『特選・華帆の彼氏ご飯』というシリーズは、彼氏に作ってあげたい女性や作ってもらいたい男性に大人気だ。世間ではその料理の上手さと美貌で、彼女や結婚したいランキングなどに入ったりしていて、女性だけでなく男性にも大人気の話題の存在。その上、調理師免許に美容食の資格もいくつか持っているそうで、外見も中身も完璧に揃っている影響か、すでにこのプロジェクトに関わることを発表して更に話題になっていたりする。でもまぁ、あたしは元々そういう話題に疎いのもあるし、料理は自分でまぁそれなりに出来るから、特に参考にすることもなく、客観的に有名人を見てる感覚だけど。現にこのプロジェクトで琉偉が関わってることで、すでにそういう免疫はついてるし、そういう有名人にミーハーになってキャーキャーする意味でいえば、あたし的には琉偉なわけで。だけど、さすがに琉偉はガチすぎて、仕事では普段のファン感覚で接することは出来ないけど。だけど琉偉が推しな自分としては、そういう気持ちはよくわかる。プロジェクト自体も、デザイナーとして藤代さんだったり、この美山さんだったり、他にもそれぞれのジャンルで有名な人がたくさん関わってる。料理監修に関しては、当然この美山さん以外でももっと有名で星を取ったお店のシェフなんかもいたりして、改めて慧さんの人望が厚いことがわかる。そして、このプロジェクトに参加することで、こうやって普段知ることの出来ない慧さんの社長としてのいろいろなことを知ることが出来て、それが
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279.乗り越える勇気②

そして今は試作段階の料理をいくつか作っているところ。 その中で料理が得意な人は、作る方にも協力していて、あたしも今それに参加している。「うわぁ~。料理作るの手慣れてるんですね~。料理お得意なんですか?」すると、作ってる最中でその美山さんがあたしの手元を見て声をかけてくる。「あっ、普段から作ってるので、ただ手慣れてるだけです」「そうなんですね~。もしかしてご自身でも彼氏ごはん得意だったりします?」「あっ、いえ。美山さんほど、そんな凝って素敵な料理作るわけじゃないですけど。一応それなりに作れはするので、彼は美味しいとは喜んでくれてはいます」「フフ。いいですね。喜んでくれる料理を作れてるなら十分彼氏ご飯です♪ 彼氏のことを想って作るご飯は、愛情がたくさん込められてますもんね」「あっ、はい」美山さんの女子力の高いこの話し方とか作る料理とか、ホントまさに男子ウケバッチリって感じだな。美山さんの作る料理は、とにかく可愛くてそういう愛情が感じられる料理だもんな。まぁ今回のプロジェクトのメニューは、さすがにそれメインばっかりじゃなく、女性や幅広い年齢層に向けての料理だから、また少し違うコンセプトや雰囲気にはなるのだけど。でも完全に女子ウケがいい美容に特化してるメニューをどんどんアイデア出していけるのはさすが。専門の勉強をして資格持ってるだけあるよな。あたしはただ一般的な知識だけで作ってるとこもあるから、そうやって思えば慧さんや仕事のために、そういうのも少し勉強するのもいいかもしれない。やっぱ違う世界の人と仕事すると刺激にもなるし勉強にもなるな。「美山さんが彼氏ご飯のシリーズの中で最近特集して組んでるやつ。今までとまた違った感じですけど、今回はどういう感じの彼氏を想定してるんですか?」すると、一緒に料理をしてるチームのメンバーが、美山さんが上げてる動画について質問をする。「あぁ~今回は、フフ。食通の彼の設定です♪」美山さんが設定といってるのは、その彼氏ご飯の中で、毎回一つの特集を組む時、どんな彼氏かを想定して作っているらしく。それがたまにリアル話なんかも織り交ぜて動画にしているから、その時のリアル彼氏や想いを寄せてる人へ向けての話もどんどん飛び出したりする。基本そういうのは演出なのかはわからないけど、案外ぶっちゃけて包み隠さず話すタイプの人
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280.乗り越える勇気③

「ちなみにその相手はもう彼氏だったりするんですか?」美山さんはそういう話題もなんでも答えてくれるタイプらしく、チームメンバーは、ここぞとばかりに突っ込んで聞く。そんなに突っ込んで聞いて大丈夫なのかなと思いながらも、密かにあたしも興味津々で料理を作る手を動かしながら、聞き耳を立てる。「え~。実は、今回はまだ片想いなんです~」「えっ、そうなんですか!?」「もしかしてその相手に向けての料理ですか?」美山さんの言葉が意外だったのか、チームメンバーが次々と質問していく。「はい。食通の人なんで、実際いろんな料理作って食べてもらってるんです♪ どれも美味しいって言ってくれるから、あたしもついはりきっていろんなの作りたくなっちゃって♪」わかります、わかります。あたしも慧さんに対してそうですもん。慧さんも、なんでもあたしの作った料理美味しいって食べてくれるもんな。なんてことない家庭料理が多いのに、最初に作った時も喜んでくれて嬉しかったな。「じゃあ今回の特集に上げてるやつは全部作ってあげたんですか?」「はい♪ 忙しい人なので時間出来たら、常に作って食べてもらってて。仕事柄料理にも詳しい人なんで、作り甲斐あるんです♪ 家庭料理とかは食べ飽きてるらしいんで、あたしが得意とする凝った料理作ってあげてて。これはどうとかいろいろアドバイスや感想くれたりするんで勉強にもなるし今後の参考にもなるので、ホント理想の人なんです♪」へ~。確かに同じように料理詳しい人なら美山さんにとったら理想だろうな。でも家庭料理食べ飽きてるとか、あたしなら絶対その時点で不満持たれそうだ……。よかった。慧さんはそういうの喜んでくれる人で。「そんな常に作ってあげてるのに、まだ彼氏じゃないんですか!?」「フフ。焦りは禁物です♪ じっくり胃袋掴んで虜にしようと今頑張ってるとこです♪」おぉ~。なんかすごいな。ホントまさに話聞いてるとハンターだわ。そりゃラブハンターと言われるわな。「だけど彼いろんなお店にも食べに連れて行ってくれたり、二人きりの時はそれなりにいい感じの雰囲気になるんで、きっと脈ありだと思います♪」うわ~その自信羨ましい。今でこそ慧さんはあたしのこと好きになってくれたから、そういう確信はちゃんと持ててはいるけど、同じように片想いの状態で、そこまではさすがにあたしは自信は
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