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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 41 - Chapter 50

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41.動き始めた二人の関係①

「今日の夜って用事ある?」朝食を食べていると社長がふと尋ねてきた。「いえ、特には」「あ~じゃあ、もしかしたら今日の夜、早速あれお願いするかも」「あれ?」「彼女役」「あ~それですか」「前にプロデュースした店のオーナーがさ、店のメニューを少しリニューアルしたいらしくて、それで店で出す料理とか酒の相談したいからって今日の夜食事に行くことになってさ」「そこで彼女役なんて必要あるんですか?」「一緒に行くオーナーが女性で、前から食事一緒に行こうとは誘われてたんだけど、ずっと断ってたんだよね。でも今回仕事を兼ねて一緒に行ってほしいって言われたから断れなくて」「それって、最初はプライベートで誘ってたってことですか?」「最初はね。ちょいちょいアプローチはされてたから」「えっ、アプローチされてたんですか」「でも基本そういうのはオレ皆断ってるんだよ。プライベートで例え食事だけでも特別な付き合いはしないって伝えてるし」「でも、女性関係で面倒なことになってるっていうのは?」「だから仕事関係だけだって。プライベートでは全部そういうなのは避けてる」「そうなんですか?」「でも結局仕事関係でこうやって何かしら避けること出来ないから同じことにはなるんだけど」「そっかぁ」「まぁ一応仕事の話だけでは終わろうとは思ってるけど、仕事上で多分今日酒少し入ると思うから、もしかしたらと思って」「じゃあ大丈夫かもしれないってことですか?」「まぁオレが酒飲むの控えられれば」「お酒飲んじゃうとそういうことになっちゃうからって、ホントのことは言えないんですか?」「仕事上、正直酒弱いってなると不利になるっていうか、仕事の幅が狭くなるんだよね。オレん中で、出来る可能性を自分で失くすことはしたくなくてさ。相手の希望や要望出来るだけ取り入れて可能性はどこまでも広げていきたいって思う。だから例えアプローチされてる相手でも仕事となったら別。そこで対等に向き合って仕事として付き合える相手なら、どこまでも向き合いたい」「社長って真面目なんだか不器用なんだかわかんないですね」「まぁそれで限界超えて面倒なことになってたら世話ないけどな」「でも結局、社長がそういう人だから、最初に仕事で付き合った人は、そのあともお仕事したいってなるんだろうし、それが女性ならそれ以上に親しくなりたいって思っちゃ
last updateLast Updated : 2025-08-31
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42.動き始めた二人の関係②

「心して彼女役務めさせていただきます」そして、その気持ちを忘れないように、しっかり声に出して自分に言い聞かせる。「何、どした、いきなり」「いや。大事な仕事先の方なら失礼にならないようにしないとなと思って」「あぁ~。うん。そこがな、難しいとこなんだけど。この前お願いした相手は別にあれ以上仕事に影響なかったからあれでよかったんだけどさ。今回はこれからもまだ仕事で付き合っていく人だから、そこはまぁあんま揉めないように上手くやってほしいっていうのはある」「ですよね。なんか簡単そうに思えてちょっと責任重大ですよね」「まぁ普通の状況の彼女役とかじゃないからな。結局オレは仕事にも関わってることのが多いから。だから面倒な関係にはなりたくない」「だからそうなる前に回避したいってことですもんね」「まぁそれだけ責任重い分納得いく形の報酬はちゃんと出すから」「どれだけご期待に沿えるかはわからないですが出来る限り頑張ります!」「いや、仕事じゃないからそこまで堅苦しくなくて大丈夫だから(笑)  てか、適当になんとなく合わせてくれりゃそれでいいよ。別にお前にそこまで無理させたい訳じゃねぇし」「はい……。ありがとうございます」「じゃあ、もし来てもらうことあったら連絡するから、一応出られるようにはしといて」「わかりました」「でもこっちもどうなるかはわかんないし絶対じゃないから、もし自分の用事とか出来たらそっち優先してくれても全然構わない」「はい」「じゃあ、オレそろそろ行くわ」そう言って社長は会社へと向かった。    そっか。最初は社長と契約恋愛なんて提案された時は何事かと思ったけど、そうやって考えたら社長としては別に深い意味はないのかも。 ってことは、あたしも深く考えなくていいのかな。 仕事としてちゃんと演じてやり遂げられたらそれでいい訳だし。 とりあえず今は社長にガッカリされたくはない……。 あたしに任せてよかったって思ってもらいたいし、社長の力になりたい。うん、本来の仕事もこのプライベートでの契約も、あたしは社長に雇われて期待されてるってことだし。 どちらも仕事ならちゃんと仕事として頑張って期待に応えたい。 お金もらうんだし、その金額に見合う仕事をちゃんとしないと。でも正直この契約は、あたしとしてはお金とかどっちでもいいんだよな……。 て
last updateLast Updated : 2025-08-31
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43.動き始めた二人の関係③

そしてその日の夜。 あたしはまだ家にいる。 時間的には23時。うーんと、この前これくらいの時間には社長もう帰ってきてたよね? でもあれは打合せでご飯食べずに帰ってきたってだけで、今回とはまた違うけど。 そもそも社長が会食した時のスケジュールがわからない。 食事だけじゃなくお酒も入るって言ってたからその食事するお店でお酒を飲むのか二軒目に移動してお酒だけを飲むのかそういうこともわからない。っていうか絶対じゃないって言ってたしな。 もしかしたら今回は大丈夫で普通に仕事の話だけして帰ってくるパターンかもしれないし。 そしたらあたしの出番はないってことなんだよな。 でももしそういう状況になればいつでも出動出来るように待機はしておかなければいけない。 そう考えると、これって、なかなかの中途半端な状況だな。 でも自分で判断して"もういっか"ってなった時お風呂とかに入ってしまった時にタイミング悪く呼び出しかかったら……。 それこそ後悔でしかない! いきなりだと仕方ないけど、一応今回は事前にそうかもしれないと聞いてるから、とりあえず待機だけはしておきたいな。なんか落ち着かないし、ルイルイの動画でも観ておくか。 と、携帯を手にして動画を観ようとするも……。いや、集中出来ない! 社長のが気になって全然頭に入ってこないわ。ルイルイ観る時は全力でルイルイに気持ち注ぎたいしな。 そんな中途半端な気持ちでルイルイに向き合うのもルイルイに失礼! うん、ちょっと今はルイルイを観るのもやめておこう……。と、思ったら、ちょうどいいタイミングで社長から携帯にメッセージが届く。『まだ起きてる?』「はい! 起きてます!」『今から出てこれる?』「出られます!」『じゃあ、今から送る店に来て』そう送られたメッセージのあとに、社長が今いる店の情報が届く。「了解です! 今から出動します!」あたしは社長に返事を返すと、急いでタクシーをアプリで呼んで、社長がいる店へ向かった。 タクシーで向かう間も、合間を見ながら社長が送ってくるメッセージが届く。『やっぱ回避するの無理だった』『酒ちょっと回り始めたからヤバくなる前に頼む』やっぱ無理だったか。 いや、社長的に仕事絡んじゃうと、やっぱそうなっちゃうでしょ。『会話からなんとなくそういう雰囲気になっていきそ
last updateLast Updated : 2025-09-01
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44.動き始めた二人の関係④

そして社長に指定されたお店に着いて中に入ると。ここバーなのね。 あたし案外こういうとこ来たことないんだよね。 お酒は飲めるけど、こんなオシャレなムードあるとこなんか来る機会ないし。   ってかあたしの場合ルイルイの動画観る時とかライブや舞台のあとに推し友とその楽しさ共有する時に飲むとかそういう飲み方ばっかだし。 しかもそれが一番美味しく感じる! なのでこういう場所って案外未知の世界だったりする。で、社長はどこかな……と。お店に入って辺りを見渡すと、カウンターには楽しく雑談しながら飲んでる女性同士や一人クールに飲んでる男性に、そして少し寄り添って飲んでるカップル……。って、いや、それかー! おー……、このカップルよく見たら社長じゃん……。 あまりに女性が男性にぴったりくっついてるから普通にそういうカップルかと思ってた。女性はすっかり社長にもたれかかって社長しか見えてない様子だけど。 社長はかろうじて、まだそういう雰囲気までにはなってないらしく、よく見たら自分からはそれを受け入れてるような感じには見えない。だけど、そんな雰囲気でどうしたもんかと、しばらく眺めていたら。 社長がようやくこちらに気付く。あっ、社長気付いたよね!?思わず気付いてもらおうと、離れた場所からヒラヒラと手を振って合図をする。 すると社長は身動きが取れないのか顔をクイッとして目でこっちに来るように合図をする。 お……お~マジですか。 こんな状況であたし突入するんですか……。 いや、絶対隣の女性しっかりその気じゃん。 絶対こんな状況であたしなんかが出現したら絶対恨まれるって~!思わず尻込みして逃げ出したくなるけど、社長はしっかりあたしから目を放さず、多分口パクで”早く来い”と言っている。 いや、こんな緊張するもんとは……。 この前はなんか流れでいけたけど改まってこういうことするってなるとまた違うもんだな。 よし。ちょっと1回深呼吸しよう。 ふぅ~。……よしっ! 自分なりの気合を入れて、いざ社長のところまで出陣!そして社長の元まで行き。「慧さん。お待たせ」演技を開始。 すると背後にあたしがいることを知らなかった女性がその声に驚いて振り向く。「あぁ。依那」そしてあたしのその言葉を聞いて、一瞬で表情が代わり、優しい表情であたしの名前を呼
last updateLast Updated : 2025-09-02
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45.動き始めた二人の関係⑤

「あの……社長……もうお店出たのでもういいんじゃ……」「ん? 続けて相手が出てくるかもしんないだろ。タクシー乗るまではしっかり演技しとけ」「あっ。そっか……」「てか、名前もちゃんと呼べ。最後まで気抜くな」「あっ……。ごめんね? 慧さん」なんかちょっと面白くなってきて、そのまままた可愛い彼女役を続けると。「フッ。なんだよ、そのキャラ(笑)」思わず吹き出す社長。「もう~なんで笑うんですかー!」「いや、だってそんなんで来るとは思わないから(笑)」「それはし……慧さんがあんな感じで来るから~!」「ん? オレが何?」「ずるっ!」「何が? オレは愛する彼女が迎えに来てくれたから嬉しくて速攻抱き締めに行っただけ」いや、そう来る!? おぉ……思ってたよりやっぱこの人全然女慣れしてるな……。 ホントに面倒なだけで、決して慣れてない訳ではなかった……。 その点あたしは、ただドラマや漫画の受け売り……。 これ社長にもバレてんのかな……。「てか、いいんじゃねぇの?」「え?」「合格」そう言って今度は優しい笑顔で抱き寄せたまま、微笑む社長。いや、それは、やっぱズルいですって……。 そういう笑顔のが弱い……。 あたしを認めてくれたその言葉と笑顔に思わずキュンとなる。さっきの彼氏としての甘い言葉にも、経験なさすぎてビックリしてドキドキして大変だったけど。 でも、社長らしいそのままの姿で返してくれる方がまた違う場所がキュンとする。それからタイミング良く、しばらくしてタクシーを捕まえることが出来て、家まで二人で乗り込む。そのまま抱き寄せられたまま乗り込んだからなのか、思ったより社長と近い距離で座ることになって、またドキドキしてしまう。 さすがにタクシーの中ではもう演技する必要はないから抱き寄せる手は離れたけど。 でも、今度はそのまま肩の辺りが社長の身体に触れたままで。 そのうえ、置いている手も微妙に社長と触れている。少し動けばどちらも自然に重なるくらいの距離。 だけど、そこから緊張して一ミリも動かせない。 微妙に触れていることで逆に気になって神経が全集中して何も考えられない。「案外やるじゃん」「え!?」すると社長が口を開いて反応する。「あそこまでやるとは思ってなかったわ」「あ~、すいません。ちょっとやりすぎましたかね……
last updateLast Updated : 2025-09-03
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46.動き始めた二人の関係⑥

すると社長はそんなあたしをなぜかそのまま隣で見つめたままで。「え……なんですか……?」「じゃあさ……」そう言いいながら。「こういうのはどう……?」さっきから触れそうで触れない距離だったのに、そんな社長の手がなぜかあたしの手の上に重なっている。「え……?」「こういう時。彼女なら、どうする?」暗闇のこのタクシーという密室の空間で、手を重ねられて甘く怪しく問いかけられる。こんな状況……正解なんて、わかるはずがない……。 これって社長があたしがちゃんと彼女という役目をこれからも果たせるのかを試しているってこと……? なら、あたしとして答えちゃダメだってことだよね……? これから社長を満足させる彼女として……。 もし、さっき社長が言ってた彼女として応えるなら……。「もし、彼女なら……」社長の目を見ながら、そう呟いて。「うん。オレが好きで仕方ない彼女なら……このあと、どうする?」「彼女なら……」重なってるその手を見つめながら呟いて。 その重ねられた手を少し崩し、そのまま指を絡めて繋ぎ直す。 そして、その手をギュッと握りしめながら。「彼と……ずっと離れたくないんで……。こうします……」そう小さく呟いて、社長と視線を合わす。正解なんてわからないけど。 社長が望んでる彼女とかも全然わかんないけど。でも……。 今もしあたしが目の前のこの彼氏をこの設定のように好きで仕方なかったとしたら……。 きっと、ずっと離れたくなくて、ずっと触れていたくて…………、こうしていたいと思うから……。「うん。合格」そう言って、また社長が優しく笑いかけてくれる。よかった……。 合格くれた……。なんか……やっぱり……、社長がこうやってあたしだけに向けてくれる優しい笑顔……好きだな……。そして、社長はそのまま繋いだ手をギュッと同じように握ったままで。 結局タクシーを降りるまで、ずっと繋いだままだった。いつもの自分ならそんなの恥ずかしくてそんなままでいられなかったし、適当なことを言って振りほどいてたかもしれないけど。 でも、この時間はなんかそういう恥ずかしさもなくて。 それはこのタクシーの暗さや誰にも見られない近い空間だから、そんなことも感じなかったのかもしれないけど。 でも、なんかこの瞬間は、ホントに社長とそんな関係の二人になったよう
last updateLast Updated : 2025-09-03
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47.社長と二人だけの約束①

そんな風に思っていたはずなのに。翌朝。 明るい光を浴びて冷静になると昨夜の手繋ぎ事件が急に小っ恥ずかしくなってきた。いや、やっぱあれは夜の魔力だな……。 あたしと社長との間で例え演技でも手繋ぐとかどうなのよ。 しかも、自分から恋人繋ぎとか……! いや、恥ずすぎる!あたしあんなの平気で出来る人だったんだ。 てか、あんな感情になったのも初めてだったしな。 あれは自分でも演技だったのか自分の気持ちだったのかもわかんないし……。 まぁあたしがこんな悩んでても社長は気にせずケロッとしてるだろうけど。とりあえず今日は仕事休みでよかった。 まぁ会社に行ってもそう社長と顔合わせることはないけど今日はとりあえず前住んでた家に残りの荷物取りに行く予定してるし、とっとと家を出てしまおう。でも家出ることは社長に伝えとかなきゃだよな。 てか社長朝弱いって言ってたからまだ起きてないかも。と、思いながらリビングを覗いてみると。「あれ? 社長起きてたんですね」いないと思って覗いたリビングに社長がいて思わず声をかける。「あぁ。はよ」「おはようございます」「なんかあんま眠れなくて」「そうなんですね? あっ、休日なんで社長自由にしてもらった方がいいと思って朝食とかはまだ用意してないんですけど」「うん。それでいいよ。休日はお前も好きにしてくれたらいい」「あっ、あたしこの後ちょっと外出しますね」「わかった」社長にそう伝えてまた部屋に戻る。ふぅ~あたし普通に喋れてたよね? てか、社長は至って普通だったがな。 まぁそりゃそうか。 社長ごときがあんなことで動揺なんてするはずないよね。そう思いながら、部屋からキャリーを引っ張りだしてリビングへと運ぶ。「え、お前何やってんの!?  この家出てくの!?」それを見た社長が驚いてあたしに声をかける。「へ!?」あっ、キャリー持ってきたからか。「違います違います! 今から前の家に戻って、残ってる荷物また持ってこようと思って」「あぁ~なんだ……そういうことか。焦った」焦った……? なぜ……? あっ、契約したとこだからか。「契約中なのにまさかそんな契約放棄して出て行ったりしないですから」「あぁ……うん」そこはちゃんと伝えとかないと。 社長的には家政婦的に頼ってくれてるとこもあるだろうし自分的にもま
last updateLast Updated : 2025-09-05
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48.社長と二人だけの約束②

「すいません。ありがとうございます」「朝メシは? もう食った?」「あっ、いえ。まだです。家に行くまでに適当にどこかで簡単に食べて行こうかなって思ってたんで」「なら、モーニングでいい店知ってるから、そこ寄ってこう」「あっ、はい」「そこモーニングに力入れてるカフェだからさ。いろんな店勉強したいんなら、そこも参考になると思うよ」「うわっ楽しみです」「じゃあ速攻準備してくるわ」「あっ、そんな急がなくても大丈夫ですよ!」あたしがそう伝えるも、すでに背にしていて、準備に向かう社長。うわー、まさか社長まで一緒に来てくれるなんて思ってなかった。 しかも大きい車まで出してくれるなんて有難すぎる。やっぱ社長、優しいなぁ。 結局こうやって気にかけて助けてくれるもんな。 正直この距離をキャリーをゴロゴロして移動するのはちょっとしんどいなーと思ってたし。 しかも一人で黙々と運ぶ予定だったからその時間を社長と一緒にいられる時間に変わるだなんて。 ある意味ちょっとしたドライブデートじゃん…………。うわっ、なんかテンション上がる……! っていやいや社長はただ車出してくれるだけなんだし間違ってもそんな勘違いした態度取らないようにしなきゃ。でも、社長とそんな時間を過ごせると思っただけで、なんてことない休日からキラキラワクワクした休日に変わっていく。「ん。お待たせ」そう言ってしばらくしたら社長が準備を終えてリビングに戻ってくる。おわっ、これ社長の休日スタイルですか。 いや、ラフだけどやっぱり元が良すぎてなんでも決まるな。 てか、髪型も今日はそのラフな感じなんだ……。……いいっ!なるほど。社長こんな感じの格好もするんだ。 新鮮。「ん? どした?」思わずじっと見て社長のファッションチェックを密かに脳内で繰り広げてると社長が声をかけてくる。「あっ、いえ。社長もそんなラフな格好するんだなと思って」「あ~。結構こういう格好することも多いよ? 休日は楽な格好のがいいし、特に今日は荷物運ぶとかなら、こういうのが楽だろ」「あっ、そうなんですね。確かに、それのが動きやすそうです」「てか、お前も同じような格好してんじゃん」「いや、あたしはまぁこういう格好も楽で好きなんで」うん。だからちょっと反応しちゃったんですよ。 ちょっと似たような格好になったんで
last updateLast Updated : 2025-09-05
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49.社長と二人だけの約束③

「なら。とりあえず行くか」「あっ、はい!」そしてマンションの下の駐車場まで移動し社長の車の前に到着する。「ん。助手席乗って」「はい。失礼します」おぉーいくらかはわかんないけど、きっと高級車。 シートもフカフカだ。 こんなん乗ったことないや。「なんか緊張します」「え? なんで緊張」「こういう豪華なの乗ったことないので」「こんなんでそんな緊張しなくていいから(笑)  てか、オレにはお前のがいちいち新鮮だわ」「えっ、そうですか?」「いちいち反応すんのな(笑)」「いや、だってうちお姉ちゃんもあたしも免許もペーパーなんで、車とかももちろんお互い持ってませんし。こういうの乗る機会なかったんですよね~」「家族では?」「あ~。家族でもこういうのはなかったですね。うち母親がもう亡くなってるんですけど、それきっかけで父は必要以上に仕事人間で厳しい人になっちゃって。だから休みの日とかも皆で出かけるとかっていうのがなくて。母が生きてたらそういうのももしかしたらあったのかなとは思うんですけど」「わり……。なんか余計なこと聞いたな」「いえいえ! 全然大丈夫です! ていうか、うちらがそういう口うるさい父親と一緒にいたくなくて、家出たっていうのもあるんですよ。といってもお姉ちゃんが早々に出たからそれに便乗して、あたしが転がり込んだだけなんですけど(笑)」「そこまで嫌だったんだ?」「はい。結局家にあたし一人になっちゃうからいろいろ見えちゃって気になるんでしょうね。いちいち口うるさく言ってくるからもう耐えられなくて」ルイルイの推し活にまで言い出した時に、もうブチッと来たよね。 ルイルイのことバカにされてつまんないモノに金使ってとかホントにいろいろ言いたいこと言われてもう無理だった。 ルイルイは、あたしにとってホントに心の支えで。 母親が亡くなってからいろいろと精神的にも辛かった時、ルイルイに出会った。 あたしよりも年齢もまだ若い男の子がその世界で頑張ってキラキラ輝いてて。 その可愛さに癒されて、その笑顔に救われた。 あたしも日々頑張ろうって思えるようになった。 琉偉があたしの生きる希望になった。それからハマって落ちて沼るまではまぁ早かった。 そっからはあたしの生きていくすべてになった。 琉偉がトキメキも幸せも楽しさもすべてくれた。 それ
last updateLast Updated : 2025-09-08
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50.社長と二人だけの約束④

「ん。着いたぞ」そして社長おススメのモーニングのお店に到着。 その中に入ると。「神城です」予約をしていたらしく社長が名前を名乗ると、奥の方から店の人らしき人が出てく来る。「神代社長。今日はいきなりどうされたんですか?」「あぁ。プライベートで一度来たくてさ」「そうなんですね。ありがとうございます」「予約いきなりで大丈夫だった?」「そういう時の為に特等席は空けてあるんで大丈夫です」「いや、そういう場所じゃなくて普通でいいのに」「いえ、またその場所の感想やアドバイス神代社長にいただけたら参考になるのでぜひ」「あぁ。なるほど。そういうことね」「それに今日は彼女さんと一緒なら、やっぱりその場所空けておいてよかったです。カップルの方におススメの場所なので。ぜひ彼女さんのご意見もお聞きしたいです」「うん。彼女もこういうの興味あるから、ぜひ一緒に感想伝えさせてもらうよ」「はい。ありがとうございます」え。 彼女というワードに、社長何も動揺も抵抗もしなかったですけど。そこは流してもいいとこですか……? 彼女って、あの英語でいう三人称のやつですか? 彼、彼女とか男性、女性を指すあの言い方ですか?いや、でもカップルって言ったよな。 なら、そっちの彼女なのか……?てか、ここも社長の顔見知りのお店みたいだし、そんな場所にあたし彼女って認識されてて大丈夫なのか? 彼女役ってこういう時も必要なのかな……。そして通された場所はテラス席。 日の光が差し込んで緑が多くて素敵な空間。「天気がいいからちょうどいいな。このテラス席」「はい。めちゃいいです!」「ここフレンチトーストが絶品でさ」「えっ、それ食べたいです!」「じゃあそれだとこのセット。飲み物は好きなの選んで」「はい!」そして社長にそのおススメのフレンチトーストを注文してもらう。「もしかしてこのお店も社長がプロデュースしたお店ですか?」「そう。実はここオレがプロデュースして、フレンチトーストがここの名物になって、人気出るようになったんだよ」「そうなんですか!?」「最初はさ、普通のモーニングやってたんだけど、それだとそこまで話題にならなくて。全体的にも、これといった名物もなくて、どっちかっていったら何をメインにしたいかがブレてるような店だったんだよね」「へ~」「だからなんと
last updateLast Updated : 2025-09-10
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