Home / 恋愛 / おいしい契約恋愛 / Chapter 21 - Chapter 30

All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 21 - Chapter 30

60 Chapters

21.帰る家が無くなりました①

「じゃああたしはこれで失礼します」そう言いながら頭を下げて挨拶をし、そのまま帰ろうとすると。「おい。ちょっと待て」 「はい? まだ何か」「送ってってやるよ」 …………ん??  オクッテッテヤル?? え、それはそのままの意味? なんか違う意味あるっけ……。「送ってってやるとは、どういう意味でしょうか……」「だから。どうせタクシーでオレも帰るし、お前も家まで乗せてってやるよ」「は!? いえ! とんでもない!!」 社長とタクシーとか無理無理!  社長にそんなんしてもらえない。「あ?」「大丈夫です。電車で帰れます」「そういう訳いかねぇよ。オレの都合でお前遅くまで付き合わせたんだし」「いえ。元々あの店にあたしも勉強のために実際行ってた訳ですし」「でも一人だとこんな時間までなんなかったろ。社長としてそういうの嫌なんだよ」「なんですかそれ」なんなんだ、どこに律儀なんだこの人は。「いいから、社長命令だ。ちゃんと送られろ」「フッ。なんですか、その社長命令(笑)」「いいんだよ。タクシーもう呼んであるから。ほら、行くぞ」なんだかなぁ。 この人はぶっきらぼうなように見えて、実は優しかったりするんだろうな、きっと。そして、タクシーに一緒に乗り込み、自宅を運転手さんに伝え、家まで向かってもらう。「すいません。なんか遠回りじゃなかったですか?」「いや。その辺りだったら、オレん家もそう遠くないから、別に遠回りとかじゃないから大丈夫」「ホントですか?」「フッ。なんだよ。お前はそんなん心配しなくていいんだよ」それが嘘なのか本当なのか、優しさなのか真実なのかはわからないけど。 だけど、なんとなく、優しさなのかなって、そう感じた。そしてクールなだけかと思ってた社長は、話せば話すほど、案外そうじゃない人なんだなってことがわかったり。 今まで笑った顔とか見ることも全然なかったのに、今日話してる中だけでも、何気なく笑ってくれるのが、なんか少し嬉しく感じて。 別にそれはたいした意味がある訳じゃないってこともわかってるし、別に何気になく話の流れで、あたしのくだらなさに笑っちゃっただけとか、きっとそんな感じなんだと思うけど。 だけど、なんかそれがこの人も案外普通の人なのかもな、なんて思ったりして。タクシーの中で、ふと社長の顔を見ると、窓の外
last updateLast Updated : 2025-08-18
Read more

22.帰る家が無くなりました②

そう思いながら、隣の社長をこっそり見ようとすると。♪~♪~♪「うわっ!」その瞬間と同時に、自分の携帯の呼び出し音が鳴って、あまりのタイミングに驚いて、つい大声を出して反応してしまう。「えっ! 何!?」そのあたしの声に同じように驚く社長。「あっ、すいません。姉から電話なんで、ちょっと出てもいいですか?」「あぁ。電話? どうぞ」なんなんだよ、お姉ちゃん。 マジ、ビックリした。 あんた見計らってたのかよと思ってたくらいのタイミングだったな。  「もしもし。お姉ちゃん?」『あっ、依那? いきなりで悪いんだけどさ~。あんた今日どっか泊まってくんない?』「はっ? 何? どういうこと? 今、家帰ってる途中なんだけど」『彼氏がさー。急に帰ってきちゃって』「え? 海外出張から帰ってくるのまだ先じゃなかった!?」『だと思ってたんだけどさー。なんか向こうの仕事が思ったより早く片付いたからって急遽帰ってきちゃって』「えっ! 何それ!」『だからさー。とりあえず今日あんたうち帰ってこないでね』「いや、帰ってこないでって言われても困るんだけど!」『困るって言われても、元はあたしと彼氏が住んでるとこに、海外出張で彼氏がいない間、あんた一緒に住まわせてあげてただけでしょうが』「いや、それはそうなんだけど~。でもいきなり今日帰ってこないでとか言われても、そんな急にこんな時間から泊まるとこ探せとか酷くない!?」『しょうがないじゃ~ん。ここ彼氏が契約した部屋だし。元々帰ってくるまでならいいって彼氏も言ってただけだもん』「それでもさ~。なんで彼氏さん、今なの!? もっと早くに連絡とか出来なかった!?」『なんか~あたしビックリさせたかったんだって♡』「だって♡ じゃないよ。何なの、それ。てか、あたし一緒に住んでんの知ってんじゃん!」『あー。なんかそれ忘れてたみたい(笑)』「は!?」『まぁとりあえず今日は彼氏も海外から戻ってきて疲れてるし、彼氏の部屋だし追い出すなんて出来ないから、今日は依那が適当にどっかで泊まってよ』「どっかで泊まってって言われてもさ~」『あっ、あと、うちらすぐにここ引っ越すから、あんた新しい家見つけなね』「はっ!? 引っ越しまで!?  いやいやちょっと待ってよ。そんなん電話で話すこと!?」『だってあんたもこっち戻ってく
last updateLast Updated : 2025-08-18
Read more

23.帰る家が無くなりました③

「えっと……、とりあえず家にそのまま向かってください」「いいの? 家で」「はい。もうすぐ家着いちゃうので、どうせなら着替えの服とか必要な物だけ取りに行きます」「で、どうすんの?」「うーん。とりあえずもう少しホテル探してみますけど、なければネカフェかカラオケとか、そんな感じのとこで今日は泊まります」うっ……学生じゃあるまいし。 でもこんな一方的に追い出されるとか、もうそんなのと同じようなもんでしょ。 てか、社長の前であたしカッコ悪すぎる……。 元々この人の前では最初から印象悪いのに更に生活乱れてる女だと思われてしまう……。「でも。仕事はちゃんと行きますし、しっかり頑張ります!」「そりゃそうしてもらわなきゃ困るけど」「はい」「なら。とりあえずこのまま向かって大丈夫?」「はい。お願いします」お姉ちゃんに荷物だけ取りに行きたいということだけメッセージを送ると、すぐにOKの返信が返ってくる。とりあえず適当に荷物詰めて、引っ越しする分もちょっとずつ持ち出さないとな。 元々こういうことがいつあってもいいように自分の物はあんまり増やさないようにはしてたけど。 でもルイルイグッズが……! 新しく引っ越すとなるとあのグッズを管理出来るスペースを確保出来るくらいの広さが必要だよな。 まぁ近々彼氏帰ってくるとはお姉ちゃんから聞いてたから少しずつ荷造りはしてたけどさ。 でも、結局仕事忙しかったり、なかなか希望の物件見つからなくて、新しく引っ越したい場所まだ見つかってないんだよな~。 てか、ルイルイの現場近々あんのに、マジで今余計なお金使いたくないんだけどー! あたしの生きがいの推し活なくなるとかマジ無理だから! となると、ルイルイの推し貯金も減っちゃうことになるよな~。 それだけは嫌なんですけどー! せっかくお姉ちゃんとこ住んで出来るだけお金使わないようにしてたのに。 正直助かってたんだよな~。 家賃払わなくてよかったのってかなりデカい。 まぁその分食事作ってあげてたけどさ。 その食費をいくらか入れるだけでよかったもんな。 てか、これ自分で部屋借りるとなるといくらよ……。   そうなるとルイルイに回るお金がマジで少なくなる! でもいい感じのとこは全部高くて無理だったしなぁ。 かといって、お手頃物件はなんとなく気が進まない条件
last updateLast Updated : 2025-08-20
Read more

24.帰る家が無くなりました④

社長に促されるまま、勢いで結局荷物を取りに部屋にそのまま向かう。いや、そんな甘えちゃっていいのかな……。 でも正直駅までちょっと遠いし、少しでも街中まで乗せてもらえると助かる。あたしはなんか中途半端な感情のまま、とりあえず部屋へと向かう。そして部屋の前に着くも。えーっと。自分の家だけど、チャイム鳴らすべき? 一応もう彼氏さん帰ってきてる訳だし、鳴らしておくかな。 そしてチャイムを鳴らすと、ドアが開きお姉ちゃんが顔を出す。「悪いね。依那」すると、早々にお姉ちゃんが謝る。「いーえ。まぁ彼氏さんが帰ってきたらすみやかに出ていくという約束で、ここには住まわせてもらってたんで」「とりあえず今は彼氏コンビニに買物行ってるから、ゆっくり荷物詰めてくれたらいいよ」一応荷物取りに行きたいとメッセージだけ入れたからか、気を遣って彼氏さん家空けてくれたのかな。「了解」そう言って自分の荷物がある部屋まで行きキャリーケースを引っ張り出して、必要最低限の物を詰めていく。「また仕事の帰り荷物取りに来ていい?」「あっ。うん、いいよ。てか、依那住むとこ見つかりそう?」「そんなすぐ見つかる訳ないでしょ……」いやいや、見つかってないの知ってんじゃん!まぁお姉ちゃんは昔から彼氏が最優先だったからな。それにあたしもルイルイの推し活したいがために、お姉ちゃんに一緒に住まわせてほしいって無理やりお願いいたみたいな流れもあるから正直ワガママは言えない。 家賃払わなかっただけでも正直ルイルイに随分お金回せたし。 ちょいちょい地方にも推しを追いかけ舞台やライブに遠征に行ってるだけに、こういう時の準備がいやに手慣れてる自分。 この前遠征行って帰ってきたまま片づけずにいろいろ置いたままにしておいてよかった。 成り行きとはいえ社長をあんまり待たせられないし。そしてキャリーケースに荷物パンパンに詰め込み、持てるだけのカバンを持って、また玄関に向かう。「いや、あんたどんだけ持ってくのよ。キャリーだけで良くない? また取りに来れば?」「ルイルイの物もいくつか持ってかないと落ち着かない。あっ、あたしいないからって絶対ルイルイグッズ捨てないでね! 絶対取りに来るから!」「はいはい。じゃあまた来る時連絡して」「わかった。じゃあね」そしてとりあえず社長の待つタクシーへと戻る。
last updateLast Updated : 2025-08-20
Read more

25.帰る家が無くなりました⑤

「ん。降りて」「ここでですか?」「そっ」それからしばらく走り続けた後、タクシーが停まった場所で社長が降りるよう指示をする。 そこは思っていたような街中でもなく見渡したところネカフェもスーパー銭湯もありそうにない場所で。ん? なんでここ?すると、そのまま社長もタクシーから降りてくる。「荷物。一人で持てる?」「あっ、はい。大丈夫です」「ならついてきて」そう言われてよくわからないまま社長の後に荷物を持ってついていく。 すると、大きな建物の前まですぐに辿り着いて、中に入っていく社長。「どした?」思わず足を止めてしまったあたしに声をかける社長。「あの……。ここ……ネカフェじゃないですよね……?」「あぁ」「スーパー銭湯でもないですよね?」「当たり前だろ」「……ならホテルですか?」「いや、オレが住んでるマンション」「……えーっ!?!?」「なんだよ。んな大声出して」「いや、だって、てっきりネカフェとかスーパー銭湯とかまで連れていってもらえるのかと」「んなこと一言も言ってないけど」「いや、まぁそうですけど……」いやいや……、何がどうなって社長のマンションになった!? しかもなんだこの高級タワーマンション。 どんだけデカいんだ。 え、上が高すぎて最上階見えないんですけど……。「ってか、んなとこ突っ立たれても困んだけど」「いや、でも……」「何? 一緒に来ねぇなら好きにすれば? てか、ここら辺は他に泊まれそうな場所ねぇぞ。それでも良ければその荷物引きずって根気よく探せば?」「えっ……」いや、それは困る。 結構もう時間遅いし、こんなよくわからないとこに放り出されて、今からどっか探すとか途方もなさすぎる。「どうすんの?」「い、行きます!」「なら。とっととついて来い」「はい!」なんだこれ。 なんであたし社長の家に向かってんだ!? しかもこんな見たことない初めての高級タワマン。 いや、てか、エントラス広っ!! いやいや、この広さいる!? 無駄にスペース多すぎない!?あまりにも高級感ある広すぎるエントラスにまず度肝を抜かれ、おのぼりさんのように周りをキョロキョロしながら、怪しく社長の後ろをついていく自分。 そこからのエレベーターもやっぱり無駄に高級感あって広くて、こんな場所ですでに緊張してしまう。そこから
last updateLast Updated : 2025-08-20
Read more

26.社長とまさかの同居!?①

「……ん??」え? なんて言いました??「なんとなくあれからお前泊まれそうなとこ探そうかとも思ったんだけど、なんか面倒になって」「メンドウ……??」いやいや、なんかちょいちょい感覚も会話もおかしい。「いや、別にそんなん社長に探してもらわなくっても大丈夫ですよ! 適当にそういうとこありそうな場所で降ろしてもらえれば適当に探そうと思ってたんで」「そんな大荷物持って? ネカフェってそんな広いの?」「いや……狭いですけど……」確かにこんなん中入れたらあたし寝るスペースもないけども。「だろ? 社員がそんなとこ泊まろうとして黙って見過ごせねぇし」「いやいや、見過ごして大丈夫ですって」「え、なら今から戻る?」「いや、それは……」いや、今更こんなとこ連れてこられたあとに、ネカフェはさすがに……。うっ……! なんてあたしは単純なんだ! 目の前に高級なモノぶら下げられて、まんまと飛びついてしまいたくなっている!「でも……。なんで社長のお家に連れてきてもらったんでしょうか……」「言ったじゃん。面倒だって」「いや、その面倒もよくわかんないですけど……」「てか。こういうのよくあるから」「よくある、とは?」「飲み潰れて帰れなかったヤツとか、たまたまこうやって家に帰る手段がなくなったヤツとか、よく泊めてやんだよ」「そうなんですか?」「だから。別にお前が気遣う必要ねぇし。そういうヤツがいつでも泊まれるようにそういう部屋空けてあんだよ」「なんと」金持ちってなんでも出来んだな。 そんな駆け込み寺みたいなことやってたんか、この社長は。 どんだけ人がいいんだよ。「だからしばらく泊まればいいよ。どうせ今部屋空いてるし」「え……。しばらくって……今日だけじゃなくていいんですか?」「別にオレも鬼じゃねぇし、どっか泊まるにしても金かかるだろうから、とりあえず住むとこゆっくり探せば?」「あり……がとうございます」「あっ、お前にとっちゃ悪魔だったっけ(笑)」「いや、だからそれは……!」いやいや、なんでこんな時にそれ思い出すかなー! てか、社長また嫌な顔して笑ってんじゃーん!「ホントすいません……、それは忘れてください……」「ハハッ。冗談だよ。まぁとりあえず今日はもう遅いし、疲れ取ってゆっくりしろ」「あっ、はい」   「じゃあ、部屋案内す
last updateLast Updated : 2025-08-21
Read more

27.社長とまさかの同居!?②

「あっ。あの。キッチンとか冷蔵庫って使ってもいいんでしょうか?」「ん? あぁ。そこは好きに使ってくれていいよ」「出来るだけ住むとこ早く探しますけど、しばらくお世話になる間は、そこ使わせてもらっても大丈夫ですか?」「どうぞ。てか、そこは柾弥がいろいろ使ってるから調理道具とかも案外ちゃんと揃ってると思うけど」「え? そうなんですか?」社長からそう聞いてキッチンへ行って道具を確かめると、確かにかなりの調理道具が揃ってる。「社長は料理しないんですよね?」「あぁ。まったく」「なのに、この揃い方すごいですね」「全部それ柾弥が揃えてったからな。アイツもよくここ泊まって料理作ったりしてんだよ」「へ~、そうなんですね」「オレが仕事集中するとメシ食わないことも続くからだろうな。あまりにもそういう時間が続くと、アイツが体調管理しに強制的にやってきて食わされる(笑)」「うわ、そこまでなんですね(笑) てか、ホント仲いいんですね」「面倒見いいんだよ、アイツ」「それをいうなら社長もですけどね」「オレ? オレはそんなん全然ねぇよ」フフッ。この人自分で気付いてない感じだ。 あたしからしたらめちゃめちゃあなた面倒見いいですから。 逆にそういうとこつけこまれないか心配になるわ。「冷蔵庫も見ていいですか?」「どうぞ」社長の了承を得て冷蔵庫を開けると。「えっ! すごっ! しっかり材料入ってる」冷蔵庫にはいろんな材料がしっかり詰まっていて。 料理作らない人の家の冷蔵庫とは思えないな。「あぁ~。それ最近アイツ来た時だな。適当に冷蔵庫入れとくからまた作りに来るって言ってたわ」「えっ、彼女じゃん。ってかもう嫁じゃん」「ハハッ。確かに、アイツそんなレベルだわ(笑)」確かにそれは面倒見良すぎるかも。 てか社長がそうやって自分に気を遣わない人だから本村さんもきっと心配なんだろうな。 それはなんとなくわかる気がする。「それ。適当に使ってもいいぞ」「えっ、この材料使ってもいいんですか?」「あぁ。別にアイツ使うもんとか決めてる訳じゃなく適当に買ってるみたいだし。たまにアイツも仕事忙しくて来られない時は、結局そのまま使わなくなって捨てちまうこともたまにあるから」「えっ、それはもったいなすぎます」「だからそういう時はオレにそれ使って、せめてなんか簡単なモノで
last updateLast Updated : 2025-08-22
Read more

28.社長と初めての朝①

「あっ、おはようございます」「はよ」翌朝。 起床してリビングに顔出した社長にキッチンから挨拶する。「お前もう起きてたの?」「はい。朝強いんで自然と目覚めるんです」「マジか。健康的だな。オレは断然夜派で朝弱いから羨ましいわ」「そうなんですね。確かにまだ眠そうですね」「うん。眠い」Tシャツとパンツ姿で髪も少しボサッとしたラフな社長が、まだまったりした表情で呟く。いや、とろんとした顔可愛いな。 いつもはビシッとした姿の社長しか知らないから、正反対のこんな姿新鮮。 髪も寝起きでセットしてないからか、ちょっといつもより幼く見える。 というかカッコいい感じから可愛い感じ? ほぉ~朝の社長はこんな感じになるのね。「あの」「ん? 何」「社長は、朝ごはんって食べる派ですか?」「あぁ~。時間なくてコーヒー飲んで終わることは多いけど」「それって食べないって決めてるってことですか?」「いや、そういう訳じゃないけど。たまな柾弥いたら適当に朝飯作ってくれることもあるからそういう時は食ってる」「あっ、そうなんですね」「まぁ仕事ある日は頭使うから腹は昼までに減るしな。だから一人ン時は早めに出て朝どっかで適当に買ってって食うとかそんな感じ」「それじゃあ、朝、食べることは食べるんですね」「まぁ」「じゃあ。今日、あたし朝食作らせてもらっていいですか?」「えっ? 作ってくれんの?」「はい。昨日ホント泊めていただいて助かりましたし、これからしばらくお世話にもなりますし」「いや、それは全然構わないんだけど、別に気遣わなくてもいいぞ」「いえ。あたし元々姉と暮らしてる時から食事いつも作ってるんで朝食も作ってるんです。だからもし迷惑じゃなければ作らせてもらえたらなと」「そりゃもちろん迷惑なんかじゃなく有難いけど」「よかった! 実はもう足りないモノ近くのコンビニで買ってきて冷蔵庫入れさせてもらってたんです(笑)」「えっ? もうそんなん買いに行ったのか?」「はい。いいですよね~。近くにコンビニあるって。うちの家コンビニとかも遠くてこういうこともなかなか出来なくて、まとめて買物しなきゃいけなかったんですよね~」「へ~しっかりそういう買物もしてるんだ」「もちろん。てか、うちのお姉ちゃんがまったくそういうのやらない人なんで。それに勉強のため外食ももちろん
last updateLast Updated : 2025-08-23
Read more

29.社長と初めての朝②

「てか、これからその姉ちゃん彼氏と一緒に二人でやってくんだろ? そんなんで大丈夫なの?」「あぁ~それなら彼氏さんがあたしと同じような人みたいなんで大丈夫かと。まぁお姉ちゃん、なんかそういう人見つけるの上手いというか、そういうのに育てるのが上手いというか、そういう能力あるんですよね」「なんだそれ(笑)」「ホントあたしからしたらなんだそれですよ。だから、あたしも離れられてちょうどよかったです。最近はあたし家政婦的にこき使われてましたから」「そうなんだ。なら、ここにいる時はそんなんしなくていいぞ」「あっ、それは大丈夫です! 逆にそういうのさせてもらえないですか!?」「はっ? どういうこと?」「こんないいとこに少しの間とはいえお世話になる訳ですし、何もないのにそういうのちょっとどうかなぁって思ってて。でも、もし料理とか、それこそ掃除とかそういうのやっても問題なければ、そういうのさせてもらえたら嬉しいなって」「いや、そんな家政婦みたいなこと、ここでもしなくても」「なんか結局あたしそういうのしないと落ち着かないんですよね。ずっと動いてたい人というか、なんかおとなしく出来ない人なんで。お世話になりっばなしっていうのもなんかそれこそ逆に気遣うというか」「そっか……。わかった。なら好きにしてくれたらいいよ」「ホントですか!?」「その方がお前は納得いくんだろ?」「はい!」「フッ。お前さぁ、周りから人生損してるとか言われない?」「えっ? なんでですか?」「自分からそういうのやるとかいって、自分で疲れるだけだろ」「そうですかね……? でも、あたしも無理とかはしないんで。しんどい時はもちろん手抜いたりやらなかったりしますし、それこそ自分の欲望には忠実且つ優先なんで!」ルイルイの推しごとがあれば絶対第一優先! それはお姉ちゃんであろうが誰であろうが絶対譲らん! 推しごとがない時だけそういう感じのことはするけどルイルイで何かあればあたしは案外薄情だったりするのですよ……。 それはまぁあたしも推しへの愛が最優先ってことで。「なんかお前ちょいちょいわけわかんねぇこと言うよな(笑)」「えっ、なんかおかしいですかね。あたしにしたらこれが普通なんだけどな」確かに社長にしたらあたしの本来の生活習慣知ったら理解出来ないだろうな。 もちろんここにいる間も、ルイ
last updateLast Updated : 2025-08-23
Read more

30.社長と初めての朝③

それから出来上がった朝食をテーブルに並べ終わると同時に、社長も用意をし終わりリビングに戻ってくる。「うぉっ! めちゃ豪華じゃん」「そうですか?」「こんなん朝から作れるとかすげーな」「好き嫌いないとはお聞きしてましたけど、とりあえず今日はこんなメニューで。普通に食べやすいモノにしてあるんで、味も失敗とかはないんで安心してお召し上がりください」「フッ。いや、そこまで聞いてたら、そんなんは全然心配とかはしてなかったけど。でも普通にウマそう」「どうぞどうぞ」とりあえず今日はパンにソーセージ・スクランブルエッグ、そしてサラダにコーヒー・ヨーグルト。 普通にカフェでも出てくるようなメニューだし一般的にそこは誰でも好き嫌いなく食べられるメニューだし社長も普通に食べてもらえるはず。 最初っから手のこんだ料理されても逆に社長も気遣っちゃうだろうし。「じゃあ、いただきます」「いただきます」本村さんが元々ここで料理してるってだけあって、調理用具も食器も全部綺麗に揃ってて、すごい料理しやすかった。 てか、うちよりいろいろ揃ってんじゃない? なんか見たことも使ったこともない調味料とかも揃ってたし。 さすが調理師免許持ってる方は違う。「なんか普通のメニューで申し訳ないですけど」「えっ、普通にすげーウマいよ」「まぁこれは失敗ないメニューですしね(笑)」「いや、オレだとこんな卵も絶対上手く作れねぇし」「ハハ。それは普通に簡単ですよ(笑)」「いや、マジでとろとろでウマい。オレこれくらいのとろとろの柔らかさのが好きなんだよね」「あっ、それならよかったです」実はスクランブルエッグちょっと自信あったんだよね。 簡単だけど、少し手がこんでたりもして。 あたしがホテルで出てくるようなとろとろの卵が食べたくて実は一時期家でも研究して自分の好きなスクランブルエッグの作り方見つけたんだよね。 それ社長も気に入ってくれて嬉しい。 しかも、そこ気付いてくれるとか更に嬉しい。「本村さんもたまにこうやって朝食作られたりするんですか?」「そうだな。こんな感じでアイツも作ってくれるかな」「ですよね。なんか見たことない調味料とかもありましたし、いろいろ凝ったのも作られてるんでしょうね~」「確かに、たまにどうやったらそんなん作れんだって料理作ったりしてんな」「やっぱ
last updateLast Updated : 2025-08-24
Read more
PREV
123456
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status