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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 51 - Chapter 60

60 Chapters

51.社長と二人だけの約束⑤

「ならさ……。オレが一緒にその店探してやるよ」「え……?」すると、社長はそのあたしの言い訳には何も触れず、それどころか思ってもいない言葉を告げる。「一緒に……って?」「その想い出の店。オレもどんな店か見てみたい」「……それは、社長にも見てほしいですけど……。でも一緒にっていうのは……?」「きっと逢沢一人で探すのは限界あるだろうし。それならまぁオレ車も出せるし、もっと範囲広げられるだろ?」「いや、それはそうですけど……」「プロデュースしてる側のオレからしたら、単純に逢沢がそうやってずっと忘れられないような幸せに感じて想い出になってる店っていうのが、どういう店か知りたい」あっ、そっか……。社長は単純にプロデュースしてる立場から、そうやって人の心を動かすお店がどういうものかを知りたいんだ……。別にそれ以外に深い意味はない……ってことだよね……。「だから、時間が空いた時や休日にでも、その店探しに行こう」「え……。社長忙しいのにそんな無駄な時間……!」「無駄じゃないよ」「え?」「オレも時間空いた時は、いろんな店研究しに行ってるから」「え、そうなんですか?」「うん。だから、逢沢が勉強しにそうやって店回ってるって聞いた時、他人事に思えなくてさ」「そうなんですね……」「だから、オレが研究しに行く時も特別にお前も連れて行ってやる」「え!?」「オレだけで行くのもお前が一緒でも変わんねぇし。それならお前もうちの会社が関わった店だけじゃなく、夢の為の勉強になんだろ?」「はい……。それはそれで大変有難いですけど……」「じゃあそうしよう」「社長……ありがとうございます」「あと、ちゃんとオレがプロデュースしてる店にもオレがこれから1つずつ連れてってやるから」「えっ!? 社長が、連れてって……くれるんですか?」「そう。直接オレが連れて行って、その店の経緯とかコンセプトとか全部教えてやる」「え……どうして、そこまで……」「……素直に嬉しかったから」「嬉しい……?」「そう。逢沢が、この会社に入って夢叶えたいって言ってくれたことが」「そんな……それはただのあたしの思いなだけで……」「それが、嬉しかった。オレの会社でその夢を叶えようとしてくれてることが。その夢を叶える為に、プロデュースした店いくつも勉強してくれてることが」「それが社長
last updateLast Updated : 2025-09-13
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52.社長と二人だけの約束⑥

「おっ。フレンチトースト来たぞ」すると、注文していたフレンチトーストが到着。「うわ~美味しそう~!」見た瞬間にその美味しそうなビジュアルにテンションが上がる。「食べていいですか!?」「どうぞ」「いただきます!」あたしは早速そのフレンチトーストを口に運ぶ。「ん~! 美味しい~! フワとろ~!」「だろ? ここまでとろけさすのが結構苦労したんだよ」「そうなんですね! それでいて、表面はカリッとしていて、この両方のバランスが最高です~!」「ハハッ。よかった。気に入ってもらえて」「はい! めちゃめちゃ好みですぅ~!」あたしは、美味しすぎてつい夢中で食べ進める。「フッ」すると、そんなあたしを見てフッと笑う社長。「んっ? どうしたんですか?」「いや。そんなウマそうに夢中で食べてるから(笑)」「あっ……すいません! ホント美味しくて。夢中で周り見えてませんでした」「いや、全然いいよ(笑) そうやって美味しそうに食べてくれるの見ると、オレも店プロデュースした甲斐あるっていうか」「すいません。普通にお客さんとして楽しんじゃって」「いや、客だからそれでいいよ(笑) オレはついプロデュースしてる側で見てしまうから。でもお前は純粋になんでも楽しんで食うから新鮮だわ」「つい美味しいモノ目にすると夢中になっちゃって……」「そういうヤツのがこれからいろんな店連れてきがいがある」「こんなんで大丈夫ですか?」「そんなんで大丈夫。お前は素直に楽しんで勉強してけばいい」「はい」「その代わり、素直に意見も伝えてほしい」「意見?」「そう。一応勉強として連れて行くから、それぞれの店の感想を客としてどう感じるかを教えてほしい。そこからどう修正していくとか良くしていくとかは、お前にもちゃんと教えてやる」「ホントですか!? そんなとこまで教えてもらえるんですか!?」「お前に家のことやってもらう分のお礼って訳じゃないけど」「いや、それに関してはお金もらいますし」「それとはまた別」「じゃあ、お金はいらないです」「そんな訳にいかないだろ。それはそれ、これはこれ」「いや、でもそれだとあたしばっかり嬉しいだけですし」「お前だけじゃないから」「え?」「言ったろ。オレも嬉しいって」「あ……」「だから。これも、オレとお前だけの秘密な」「社長とあたし
last updateLast Updated : 2025-09-14
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53.社長とお姉ちゃんの初対面①

それからカフェを出て、本来の目的のあたしの家へと向かっていると。「そろそろお前ん家近いけど車どうする? 荷物すぐ積み込めるなら家の前に止めるし。まだ少し時間かかるなら先にお前降ろして適当に駐車場停めに行くけど」社長が家に近づいてきたタイミングで尋ねる。「あっ、まだちゃんと荷造り出来てなくて。今日家に帰ってから、ゆっくり厳選して詰めようかなと思ってたんで……」「あぁ、そっか。最初は一人で行くつもりだったのに、オレがいきなり一緒に行くって言ったからだよな」「いえいえ全然! 車出してもらってホント助かりましたし」それにそのおかげで約束も出来た訳だし……。ついでにあたしの好きという気持ちも……気付いてしまった訳で……。「じゃあ、家の前でとりあえず降ろすわ」「はい! ありがとうございます! 社長は適当にドライブでもしててください!」「いや、ここら辺ドライブっつってもな(笑)」「確かにここら辺そんなドライブするとことかないか」「じゃあ荷物運べるくらいになったら連絡して。オレも適当に様子見ながらそっち手伝いに行くわ」「すいません。ありがとうございます。でも急がずごゆっくりで」「何? オレが行ったらなんか見られちゃマズいもんでもある訳?」「へ!? いやいやいや!!」えー、確かに家にはルイルイグッズがいっぱいあって、とりあえずそれをまず最優先で詰め込みたい。そんな姿を、社長には出来れば見られたくない……。なんだろう。今までは全然ルイルイがすべてのあたしだったのに。社長への気持ちが変化してから、なんとなくちょっと今までと違うというか……。だからといってルイルイの気持ちが減少したとか、そういうことでもないんだけど。実際これからルイルイ関連の推しごとあれば、もちろん全力で駆けつけるんだけど。だけど、身近な人にこういう気持ちを抱いたのは初めてで、まだ自分の気持ちの持って行き方がよくわからない。「まぁオレがいたら実際ゆっくり荷造り出来ないだろうし、最初からお前はその予定だったんだから、オレ気にせずゆっくりやって」「はい。ありがとうございます」「ん。よし。着いた」そして気付けば前住んでた部屋の前に到着。「じゃあ、またあとでな」「はい!」そして車を降ろしてもらって部屋へと向かう。さっきお姉ちゃんに連絡したら今出かけてるらしいから、今の
last updateLast Updated : 2025-09-15
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54.社長とお姉ちゃんの初対面②

そして、荷物を玄関まで運んでいると。「依那~」「あっ、お姉ちゃん」外出していたお姉ちゃんが帰ってきた。「ごめんね~。手伝えなくて」「あー大丈夫。段ボール余ってるの使わせてもらったおかげで、大体のモノ入れられた。ごめん。荷物今から運ぶから玄関開けたままでいい?」「いいけど、依那の荷物全部入れられたの?」「必要な分は全部入れた」「えっ、琉偉くんのモノもあんた全部持ってくの? いらないモノあるなら、あたし捨てるモノあるから一緒に処分しとくけど」「は!? 琉偉のモノで処分するモノなんてある訳ないじゃん!」「いや、だってあんたかなり琉偉くんのモノあったよ?」「全部宝物だから」「いや、ていうかあんた新しい家そんな広いの? そんなに持って行って置くとこないでしょ」「いやまぁ……うん……それは……」さすがに、今社長のバカほど広いマンションに住まわせてもらってます、とは言えず……。正直あの部屋ルイルイグッズ全部置けるほどの広さなんだよな……。「そんなにまだあの子のこと好きなんだ?」「好き!」お姉ちゃんは現実派なので、反対する訳じゃないけど、そういう誰かを推すとかは興味ないらしい。なので、あたしのこの沼的な推し方は、正直そこまで感覚がわからないので、大体いつもこんな感じの反応。まぁあたしが琉偉に支えてもらってるのは知ってるから、お父さんみたいに辞めろとまでは言わないし見守ってはくれてるけど。「てか、依那。これも琉偉くんのじゃない?」「あっ、ホントだ! それ忘れてた!」「大切なモノならちゃんと持って行きな~」「ありがと~お姉ちゃん!」「ところで依那。あんた今どこ住んでんの?」「え……?」いや、だからそれは言えないんだってば……。「一人なんでしょ? ちゃんとしたとこ住んでんの? あんた実家から出てきてからいきなりうち住んでたじゃん。だから彼氏が戻ってきたとはいえ、いきなり追い出すようなことになって、ちゃんとしたとこ見つかったか心配してるんだよ」「そっちがいきなり追い出したくせに~」「だからちょっと責任感じてんだよ~。もしちゃんとしてないとこなら、うちらも探してあげるからさ」いや、ちゃんとしてないどころか、ものすごい贅沢生活させてもらってるんです!しかも相手はまさかのあの社長なんです~!でも、それ、なんて説明するよ。社長と
last updateLast Updated : 2025-09-15
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55.社長とお姉ちゃんの初対面③

「しかも、この段ボールあんたどうやって運ぶの? 引っ越しの人取りに来るの?」「えーっと、それは~あの~」適当に誤魔化しながら段ボールを運びながら玄関へ移動すると。人の気配が……。って、社長だ!「あっ、もう着いてたんですね!」「あぁ。うん。なんか二人で話してたみたいだから、ちょっと待ってたんだけど」いつの間にか玄関に社長が到着していて。ん? ちょっと待ってた?ってことはルイルイのことでお姉ちゃんと話してたの、もしかして聞かれた!?いや、そこまでは聞こえないか。てか、聞かれても意味わかんないだろうし、別に社長にとっちゃ興味もないだろうけど。住んでるとこ問い詰められてたとこも、社長聞いちゃってたかな!?そこ聞かれてたらなんとなく気まずいな……。「え!? ちょ、誰! このイケメン!!」すると、社長と話してた様子に気付いてお姉ちゃんも玄関へ。だけど社長を見た瞬間、あまりの社長のイケメンっぷりに、思わず素直に反応してしまっている。いや、姉よ。社長見て最初の言葉がそれですか……。さすが妹と同じくイケメン好きな姉ではある……。まぁ確かにこんなイケメンがここにいること自体、姉としてはビックリだよな。ルイルイ言いまくってうるさかった妹が、現実でこんなイケメンと一緒にいるのを不思議がるのは仕方ない。うん。にしても、でもこの鉢合わせ、しかもこのタイミングでどう説明したらいいもんか……。ここはもういっそ社長と説明するか?いや、でも今までまったく社長の話をしなかったのに、ここにいること自体が謎だよな。あたしも未だに謎だしな。あー、なんて説明しにくい関係なんだー!「え、もしかしてまさかの彼氏じゃ……ないよね? 依那がまさかこんなイケメン相手にされる訳ないし……」いや、言い方。確かにお姉ちゃんはこういうの平気で言う人で慣れてはいるけどさ。「……はじめまして。妹さんと今お付き合いさせてもらってる神城 慧と申します」……え!!??今、社長なんて言った!!??「えっっ!!?? マジで!? ホントに依那の彼氏だったの!?」「今、依那さんは私のマンションで一緒に住んでいます」「え!? そうなんですか!?」いや、そりゃこんな人とあたしがいきなり住んでるとかビックリするよ。彼氏いるなんて一言も言ったことないし。っていうか今までそんなん
last updateLast Updated : 2025-09-16
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56.社長とお姉ちゃんの初対面④

「お姉ちゃん、それはもういいじゃん。そんなのいきなり困っちゃうから」あたしはとりあえず今のピンチを逃れることに必死で。「大丈夫。依那。ちゃんと答えるから」すると、社長がそっとあたしに声をかける。「え……?」「素直で純粋で、仕事にも勉強熱心ですし、何より明るくて一緒にいて自分が楽しいんで。オレが一緒に住もうって誘いました」社長……。また自分が想像もしていなかった言葉が飛び出す。そんなあたしの中身に対して言ってくれるなんて思わなくて。もし何かを言うとしたら、家事をしてくれるだとか、そういう感じのことだと思ってたから。社長は、そんな風にあたしのことを思ってくれてるってこと……?別に好きとか言われた訳じゃないし、この追い詰められた状況で、どうにか好きっぽく納得出来る理由を探しだしただけかもしれないけど。だけど、例えその時の言葉だけだったとしても、そんな風に少しでも社長に思ってもらえてるのが、すごく嬉しい。ちゃんとあたし自身を見てもらえてるみたいで、胸がギュッとなる。「そう……なんですね。あなたは、ちゃんと依那を見てくれてるんですね」「はい」そしてまさかのお姉ちゃんの言葉。「この子、今まで家族の為にすごい頑張ってくれてて。あたしが家事とかあんまり出来ないんで、そういうの当たり前に自然にやっちゃう子で。だけど、この子いろいろなんにでも全力の子だから、もしあなたのところでも、そういう感じだったら、たまに息抜きさせてあげてください。自由に楽しむ時間あげてください」そう言って、社長に頭を下げるお姉ちゃん。え……ビックリなんだけど……。お姉ちゃんがそんなこと言うなんて思ってもなかったし、しかもあたしの為に頭下げてお願いするなんて……。「わかりました。ちゃんと彼女の意見や自由は尊重します。オレも彼女にはいつも楽しんでいてほしいので」そして社長までそんな……。半分は嘘が混じってるのに、どっちもこんなちゃんとしたやり取り、なんかちょっと胸にくるものがある……。にしても、社長、契約だけの嘘の関係なのに、こんな真面目に対応してくれるなんて、ホントなんていい人なんだろう……。あたしのお姉ちゃんにそこまでしなくていいのに……。なんかホントに、そんな風に大切にしてもらえてるような……そんな錯覚、起こしちゃいそうになるよ……。「妹のこと。よろしく
last updateLast Updated : 2025-09-18
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57.社長とお姉ちゃんの初対面⑤

「っていうか依那。もうこんな素敵な人がいるんならちゃんと言ってくれたらいいのに~」するとお姉ちゃんが今度は当然あたしに声をかけてくる。「あぁ~、うん。いつか言おうとは思ってたんだけど~。ハハ」そして明らかにちょっと不自然に答えるあたし。「いや、依那はもう琉偉くん一筋だと思ってたからさ~。まさかこんな大人でイケメンの彼氏と一緒にもう住んでるとか、ちょっと今でもビックリしてるんだけど」ええ、あたしも未だに自分でもビックリしてます。今でもまだ非現実的です。あっ、実際彼氏じゃないし。ちょっと今感覚バグってた。「ルイ……?」すると、その名前になぜか反応する社長。「あぁ~琉偉くんは~」「あ~ぁぁぁ!!!! お姉ちゃん! それは今は言わなくていいかな~ハハハハ!」いや、今琉偉のこと話そうとしたよね!?別に隠してる訳でもないし自分の自慢の推しなのだけど、なんか今はなぜか社長に知られたくないような……。なんか無意識にあたし今隠したくなってる……。なんだ、このちょっと浮気してるのを隠したい感……。ルイルイも社長も、両方ある意味あたしには崇める存在の位置づけのはずなのに。あーなにあたしは勝手にそんな厚かましい感情を……!うん。なんか正直社長とどんどん距離が近づいてきてしまってることで、あたし自身どちらに対しても感情がちょっとよくわからなくなってきてる……。「えーっと、あの、車ってもう荷物積めたりしますか?」そしてこの話題を変えたくて、あたしは社長に確認する。「あぁ……うん」「もう全部荷物まとめられたんで、これ運んじゃっていいですか?」「あっ、じゃあ重いのオレ持つから。そっちの軽そうなの持ってきて」「はい!」それから前に停めてもらってた車に準備してた荷物を全部積みこむ。そして全部運んだあと、また社長の車でまた社長宅へと戻る。「社長。わざわざありがとうございました」「いや。全然。にしても思ったより結構荷物あったからやっぱ車出してよかった」「はい。ホント助かりました」「あれ自分で全部運ぼうと思ってたの?」「はい。まぁ何回かに分ければいけるかなぁと」「いや、どんだけ往復すんだよ」「でもさっきお姉ちゃんに聞いたら、あと一週間後にはもうあの部屋出ていくみたいなんで、実際あたしが往復するのは確実に不可能でした」「マジか。ならやっぱ
last updateLast Updated : 2025-09-18
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58.社長とお姉ちゃんの初対面⑥

「多分姉的にはこんなイケメンな彼氏があたしにいる訳ないって思い込んでるからだと思います」「じゃあ……あの……ルイってヤツは……? どういう感じだったの?」「えっ? ルイ?」ん? えっと。ルイとは、あのルイルイ?あっ、もしかしてお姉ちゃんがあの時名前出したから!?「前付き合ってた男?」「え!? まさか!?」「なんかずっと一筋だとか言ってたし」「いや……まぁ一筋といえば一筋ですが……」ずっと推しはルイルイだけだったしな。ファンになってから、ずっとルイルイ一筋だったのは確か。「そういうやついたんだ?」「えっ?」「だよな。確かにそういう可能性もあるよな。なら……契約、無理に続けなくていいぞ」「えっ? どういう意味ですか?」「やっぱお前には負担だったんじゃない?」「だから何がですか?」「いくら金のためとはいえ、契約で嘘の恋愛してくれなんて提案。ホントはオレが社長だから断れなかっただけだったんなら……」「いやいや! ちょっと待ってください。さっきから意味がわかんないんですが」「だから。好きなヤツがいるんなら無理に続けなくていいぞって話」「えっ? 好きなヤツって? あたしそんなこと別に言ってな……」え……もしかしてお姉ちゃんのあの言葉で、あたしにそういう相手がいるって勘違いしてる!?いや、確かにルイルイ一筋なのは確かだし、ルイルイがいたから現実に彼氏作ろうとかまったく思わなかったけども。実際琉偉以上に魅力的な人いなかったし。だからといって、それはあたしが全身全霊で追いかけてる推しです、とはさすがに言いづらい……。てか、そういう世界、社長はきっと無縁だろうし。絶対そういうの理解出来ない気がする……。それに、もっと社長を知らない時だったら……、そう最初に言葉を交わしたあの時なら、逆にどれだけルイルイが天使で可愛くて最高の推しかをプレゼンしたいくらいだったと思うけど、なぜか今はそういう感情になれなくて。それよりも今は社長といる時間の方を大切にしたいというか……。だからといってルイルイをないがしろにするとか気持ちが冷めたとか、まったくそういうのでもないけれど。社長と一緒にこれから暮らしていく以上、どこかのタイミングできっとルイルイの推し活してることは伝えなきゃいけない時がくるとは思う。だけど。社長に誤解されたままで、この関
last updateLast Updated : 2025-09-18
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59.社長とお姉ちゃんの初対面⑦

「オレはお前に恋人のフリしてもらうことで助かるけど、お前はそうじゃないかもだもんな。ついお前が困ってるかと思って、咄嗟に同じようにオレもそんな彼氏みたいなフリしちまったけど、もしなんか都合悪かったら適当にまた言い訳しとけよ」だから……なんで勝手にそう話進めてっちゃうかな……。「もし住むところも適当に見つけたら、いつでも契約解消してくれたらいいから」なんで、そう勝手に、あたしの気持ちを無視して……。「違いますから……」「……え?」「全然都合悪くなんかないですから! 好きな人もいませんし、住むところも追い出さたれら困るんです!」あたしはつい声を荒げて、社長につっかかるような言い方をしてしまう。だって、この人はこんな時まで、あたしを思いやって、あたしの気持ちを優先しようとする。自分のことは気になんてかけなくてもいいと言わんばかりに。それが、社長は簡単にこのあたしとの契約も関係も解消しても平気なんだと言われているようで……。それがすごく悲しくて……。せっかく少しずつ社長との距離が近づいてきたような気がしたのに……。こんな簡単にこの契約もなかったことになるなんて嫌だ……。「だから、社長は一切そういうことは気にしないでください! あたしがこの関係を続けたくて続けてるんです! あたし、社長からこの家出てけって言われるまでは絶対出ていかないですから!」だから、ついムキになって、そんなことを社長に口走っていた。すると、いきなりあたしがキレたように返したからか、少し唖然としていて……。あっ……、やっちゃった……。つい興奮して言いたいこと言っちゃった……。だけど、なんか黙ってられなかった。時に社長の優しさは、あたしを傷つける。あたしを思ってしてくれることが、逆に悲しくなる。なんであたしもこんなにムキになってるのかわかんないけど。なんで適当に受け流せないのかわかんないけど。 だからといって、こんな自分勝手に感情社長にぶつけて言い訳じゃないよね。 社長は優しさで言ってくれたのに……。あーもうあたしのバカー!つい感情的になるの絶対直さなきゃ、社長に迷惑かかっちゃう!「すいません! つい感情的になっちゃいました! 社長に向かってあたしごときが偉そうに! だけど、ホントにそういうのじゃなくて、社長に気遣ってもらう必要とかホントまったくないん
last updateLast Updated : 2025-09-18
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60.社長とお姉ちゃんの初対面⑧

すると。「逢沢。顔上げろ」静かにあたしに声をかける社長。「……はい」どうしよう。社長怒ってたら。あたしみたいなヤツにこんな勝手なこと言われて絶対ムカついたよね。だけど、契約……解消したくないよ……。そのまま俯いたまま、ちょっと泣きそうな寸前になっていたら……。「フッ。お前、なんて顔してんだよ?」すると、社長はあたしを見てなぜか優しく笑う。「……えっ?」「わかったから。もうそんな顔すんな」「わかったって……」「オレが余計な気回しすぎただけだったみたいだな。悪かった」「いえ! 社長は全然悪くないです! あたしが勝手に……! 勝手に……ちょっと悲しくなっちゃっただけです……」「うん。別にお前をそんな風にさせたかった訳じゃないから」「わかってます。全部社長の優しさで言ってくれたことも全部。だけど。社長がご迷惑じゃなければ、まだあたしは契約続けたいです……」「迷惑なことあるはずないだろ。オレ的には助かってるんだし。だけど、まぁお前的に特に問題がないなら、もちろんオレ的にはまだこのまま続けてほしいと思ってる」「はい! 喜んで!」「フッ。喜んでって(笑)  居酒屋かよ(笑)」「あっ、つい」「っていうか。そうやって言いたいこと言ってくれても全然構わないから」「え?」「オレにムカついてることとかあったら、今みたいに声荒げて怒りぶつけてくれていいぞ」「はっ!? そんなの出来る訳ないじゃないですか!」「いや、なんかお前にそういうなの言われても別に大丈夫だっていうかさ」「まぁそりゃあたしごときに社長が何言われたところで、何も動じないとは思いますけど」「あぁ、いや、そうじゃなくて」「ん?」「なんかさ。お前の言葉って、なんか逆に素直に響くっていうかさ」「えっ!? どういう意味ですか!?」「いや、オレもなんかよくはわかんないんだけど。でも、なんかお前に言われる言葉ってさ。オレにとったら、なんか嫌な気分にならないというか、それより、そういう考えがあるんだなとか、そんな風に思ってるんだなって、他のヤツとは違う感覚になるんだよね」「なんですか……それ……」あたしはそう言葉を返したけれど、だけど、社長のその言葉がすごく嬉しく感じたのは確かで。どういう意味でそういう言葉を言ってくれたのかはわからないけど、でも、社長があたしのことをそんな
last updateLast Updated : 2025-09-19
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