「あたしは……嫌です」「えっ?」「契約は……嫌です。社長と、ちゃんと恋愛したいです」「逢沢……」だから、あたしは、最初から可能性を狭めるのは嫌だ。「契約じゃなく、お試しでもいいです。とにかく、一度二人で始めてみませんか?」「え?」「あたしは、社長に本気で好きになってもらいたいです。っていうか、絶対好きにさせます!」「ハハ。なんでそんな男前なんだよ、お前」「だって、社長がどういう好きかわからないなら、あたしが頑張るしかないじゃないですか」「まぁ確かに。お前そういうの得意だもんな? 推し?だっけ。そういうの普段から慣れてるだろうし」社長は、推しじゃないんだけどな。もうちゃんと好きな人なんだけどな。「なら。いいですか? あたし頑張っちゃって。絶対、社長に本気で好きになってもらいたいんで」「……わかった。じゃあ、とりあえず始めてみるか」「ホントですか!?」「あぁ。オレもお前と、本気で恋愛してみたくなった」「社長……!」「ならオレもそういう感じでいくから」「そういう感じって!?」「今までは、まだなんとなく社員で預かってるカタチだし、恋愛じゃないって思い込んで割り切ってたけど、ちゃんと恋愛として始めんなら、お前との接し方もそれなりのもんに変わってくるだろ」「それなりのもん……とは……?」「は? それ言わす? んなの、男と女の関係に説明なんていらねぇだろ」「えっ!? そういうことですか!?」「それならそれで遠慮しねぇからな」「へっ!?」「何? 覚悟ねぇならやめる?」「いや、やめないです! 大丈夫です!」「フハッ。冗談だよ。んな、顔こわばらせなくても大丈夫だから」「えっ、冗談……ですか?」「ってことに今はしとくわ(笑)」「えっ、どっち……!?」「まぁ、徐々にオレに慣れてけよ(笑)」「はい。了解です……」えっ、じゃあ、これは社長とおつき合いを始めるってことでいいんだよ……ね?「あの……。一応確認させてもらっていいですか?」「何?」「これは、これから社長とおつき合いを始めさせていただける、ということでよろしいでしょうか……?」「え? 何、仕事の確認?(笑)」「いや、まぁあたしにはそれくらい重要な確認事項でありまして……」「ん~。じゃあ、それは一度持ち帰って考えさせてもらっていいかな?」「はい!?」「ハ
Last Updated : 2025-11-03 Read more