四半期の財務報告書が絶望的な数字を叩き出しそうで、こうなれば和也からきついお叱りを受けるのは確実だ。やはり、事前に報告を入れておくのが賢明だろう。和也は即答した。「岡田家がその程度の端金で傾くとでも?損失は俺の個人資産で補填する。悠人には好きにやらせろ。お前は彼の判断に従えばいい」和也は妻を溺愛しているが、弟の悠人をも溺愛していた。弟の機嫌を損ねる者がいれば、容赦無く叩き潰す。それが和也の流儀だ。一息ついてから、和也は菊江にも電話をかけた。その頃、菊江は買い物の真っ最中で、高級ブランドのベビー服に目をつけたところだった。これを可愛いひ孫に贈ろうと算段している。けたたましい着信音が鳴り、菊江はちらりと画面を一瞥して通話ボタンを押した。開口一番、ぞんざいに応える。「まだ死んどらんよ。心配ご無用」どうせ和也が羽弥市に帰ってこいと催促するのだろう。そう警戒し、菊江は一方的に通話を切った。和也は「……」と無言でスマホを見つめた。参ったな。祖母にまで嫌われたか……菊江は美穂と拓真へのプレゼント選びをすませ、ようやく帰路につこうとした。彼女は傍らに控えるボディーガードの金城に問いかける。「お前、ここ数日ずっと悠人の傍にいるんだろう?あの子は何をしてるんだい?誰と会ったりしているのかね?」金城は淡々と、しかし正直に報告した。「悠人様は多忙なご様子で、頻繁にお会いになっているのは、奥村という警察官くらいです」「奥村……?警察官だと?」菊江は訝しげに眉をひそめる。「あの二人に、何でそんな接点があるの?」金城「ええ。彼が、悠人様に裁判への協力を依頼している模様です。案件の大半はDVや児童虐待に関するものだとか。悠人様の法律事務所では、最近になって法律扶助の業務も開始されたとのことです」菊江は違和感を覚えた。「悠人は昔、そういう面倒な案件には手を出さなかったはずだよ。それが今じゃ法律扶助まで?その奥村とかいう警官は、悠人の考えを変えちまうほどのタマかね……ただ者じゃないわ」考えれば考えるほど、胸騒ぎがした。悠人が、変な道に迷い込んでなきゃいいけどね。菊江は胸の前でそっと手を合わせた。南無阿弥陀仏…………今日は美羽の誕生日。智美と祥衣は、仕事帰りにささやかなお祝いをすることにしていた。オフィスビルを出た途端、
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