Home / 恋愛 / 黒と白の重音 / Chapter 71 - Chapter 80

All Chapters of 黒と白の重音: Chapter 71 - Chapter 80

114 Chapters

23.白蝶草 - 2

 そう、与えられなかった。 歌唱力。「…………〜〜〜〜〜っ」「えと、以上です」 彩は食い縛った歯が思うように開かない。「「…………」」 実々夏が改めて椅子に座る。「コホン。 あの !! 仕事は絶対断りたくないんです !! でも音痴なのはどうしようもなくて ! 」 実々夏も自覚はしているようだ。半泣きで彩にすがりつく。「えぇ…… ? いや………。マネージャーさんとかは ? 」「知りません。嘘つきました」 彩の顔が引き攣る。 歌はダメ。 けれど音楽ゲームの制作で声がかかっている。 売れっ子のミミにゃんだ。アイテールも少しは期限を考えてくれるかもしれないが……これを矯正するには時間が足りないだろう。「ミミさん、もし音楽をやらずにアイテールの仕事を受けてキリに勝つと言うならば……それはもうアレしか無いですよ」「アレ……とは ? 」「その前に薬飲んでいい ? 」「あ、はい。急にどうしたんだろうと思ってました。蕁麻疹」 ポケットから処方薬を取り出しマイボトルで飲み干す。十分前から彩の全身はミミズ腫れのような斑点が出ている。「たまになるんです。お気になさらず」 彩 ! 強くなった !!「フゥ……。 まずアイテールのゲームは2.5次元で構成しようとしていますよね。既にアーティストは決まってますが、まだ決まってない部分が」「参加バンド以外にですか ? 」「主人公ですよ。 ゲームの内容は『街角でミュージシャンと出会って、音楽番組にスカウトするというストーリー』でしたよね ?  主人公に立候補するというのはどうでしょう。主役ですし、一番プレイヤーの目に触れて、更に歌を歌わないポジションです」「なるほど……主役…… !  一応マネージャーに相談して見ます。 でもダメだったら
last updateLast Updated : 2025-11-13
Read more

24.白蝶草 - 3

「潤さん。今日お会い出来るとは。 アイテールの一件、俺の監督不行届大変申し訳ございませんでした」「はぁぁあ !? てめぇ ! 本気で言ってんのか !? 」「本気です。ダウンロード、売上一位のジャンク ダックの音楽が欠けるという点では、アイテールの企画、もしかしたらコケるかもしれませんし」「知らねぇよ。こっちはもう出禁になってんだから」「ですが………才能は別だと思いませんか ? 」 意味深な彩の言葉に潤も一度矛先を納め椅子に座る。「てめぇ。心にもねぇ事よく言うな」「さすがにMANAMIをどうこうするのはもう無理でしょう。 ですが、プレイヤーは必ずゲーム内で『ジャンク ダック』を求めてくる日が来る。確実です」「な、なんか気味悪ぃ……。どういうことだよ」「ジャンク ダックさんは曲も飛び抜けて売れてる上に、トークが鋭く頭の回転が早く会話の切り返しが上手いですよね」「お前、俺をアイテールから出禁にさせといてマジでよく言えるな」「出禁にさせたのはMINAMIですよ。 ですがまだ可能性が。 ミミさんの楽曲提供です。これを潤さんがやればいい」「無理だろ ! 」「いいえ。出禁になったのはあくまで、ジャンクダックでしょう ?  ……俺が言うのも癪ですが、ジャンクダックはかなり高レベルですが、ぶっちゃけ作詞も作曲も潤さんです。  ソロ活動すればいいんですよ。 そしてミミさんの曲を担当すれば、まだアイテールの介入に可能性があるかもしれません。 提供相手が恋人なら問題もないでしょうし」「それで南川が許可出すと思うか ? 」 こればかりは賭けだが、キリを潰しに掛かられるより余程、目先のタスクで行動を縛れるはずだ。「俺の方から、MINAMIとうちの仲介人に話をしてみます。上手くいく保証はありませんが、潤さんの才能は勿体ない。それはアイテールだって分かってるはずですよね」「じゃあ
last updateLast Updated : 2025-11-14
Read more

25.白蝶草 - 4

準備中、これからようやく演奏を開始すると言うところで、メッセージを見た咲から連絡が入る。 霧香には今、話したばかりの今日の出来事。 霧香は実々夏の素顔に、驚いたりショックを受けたりはしなかった。寧ろ、とてつもない怒りの感情に、それが伝わる彩も驚く程だった。 『リーダー、良くないわ。関わるべきじゃない』 彩の話を聞くと、咲は悩みこんでしまった。 『南川君は言ったらきかないわよ。それに、job whiteでもそれに関して大々的に話してしまったし、「やっぱり採用します」とはいかないわよ』 「ミミにゃんの主人公の方はどうでしょう ? 」 『それはゲーム会社が決めることでしょ ? 』 「……」 『でも……霧香さんを嵌めようとしてたのね。どうりであの時、スっと来たわけだわ』 あの時、とは兎子アパレルの時の実々夏のの来訪である。 『アイテールは諦めて貰うしかないわね。 でも、潤君とミミにゃんの組み合わせは使えるかもしれない。 別の企画を募集してる場所を探して、上手く誘導出来ればいいかな。それとなく各所で噂は流して見るけど……。 リーダー、いい ? どんな相手でも、それがネットでも隠れて密会しての話でも、絶対に余計な事をしては駄目。今日の出来事だって会話を録音されてたかもしれないし、何が起こるか分からないのがネットの恐ろしさよ ? 』 「分かってます。相手に対して失礼な事は言ってないつもりですけど……。 潤の提案はどうでしょうね ? 」 『霧香さんを会わせるのはちょっと反対かな。霧香さんにし
last updateLast Updated : 2025-11-15
Read more

26.卯の花色 - 1

 咲はすぐに南川に連絡を入れたが、ようやく話せたのはこの時間になってからだった。「という事なの。そういう話がアイテールの方に行くかもしれないんだけれど……。ごめんなさいわたしも、まさかミミにゃんが霧香さんにそこまで敵意が向くとは思わなくて……。あくまでモノクロのリーダーはミミにゃんへのアドバイスとして提案しただけであって…… 」『ええ、理解しました。そうですか……。まぁ。彼ら若者も必死でしょうからね。 でも深浦君の考えは鋭いですね。主人公は確かにまだ決まってないんですよ』「えぇ !? 主人公も実在の人物を使うんですか ? 」『あまり深いネタバレは出来ないですけどね。今回参加してもらってるアーティストさんは、性別や音楽ジャンル関係ないんです。リズムゲームファン層全般対象で制作しますので……プレイヤーが主人公にする人間を選べた方がいいかなと案はありました』「……という事は男女選べるってこと ? 」『ええ。性別や年代とか。それが何人になるか、どんなタイプになるかは未定ですけどね。藤白さん、転職してきたキャリアウーマンって感じで立候補します ? 』「やめてよ……」『ははは。 しかし、ミミにゃんではストーリー上、若すぎますかね。テレビ局の新人って設定なので。中学生では流石にアルバイトでも通用しないし、可愛すぎる。もっと、平凡でいいんですけど。まぁ、善処しますとしか言えないですね。 だから歌の方にと思ったんですけど……歌が歌えないとは……。それも、こうして又聞きとなると……参っちゃうなぁ。もし無理にリリースしても、本人が叩かれてしまうでしょ ? 』「そう……ですよね。どのくらいのレベルかは分からないですけど……」『お付き合いされてる方に関しては、そこ
last updateLast Updated : 2025-11-16
Read more

27.卯の花色 - 2

 彩と霧香は、中学校が近いとある住宅地に辿り着いた。周囲は団地やアパートも多い地区だ。 時刻は深夜0時を過ぎた。 シャッターと二重窓という完全防音の一軒家の二階。 月明かりも入らない八畳洋間に置かれたアップライトピアノ。 そのピアノには同じ場所にいつも指紋が付いている。母親からの責苦を受ける時、いつもその場所に手を付き、痛みに耐えるからだ。 希星は楽譜から霧香に貰ったメモを取り出し見つめた。 貰ったはいいが、彼は通信機器類の類は一切持たされていなかった。パソコンや机すらない環境で、床に鞄と教科書が纏めて置いてあるだけ。トイレは二階にあるが、階段には鍵の付いた扉。食事はその小口からやり取りされる。 ほぼ監禁されていると言っても過言では無い。 父親は無く、無職の母だけが借金に手を染め希星と住んでいる。家は父親が離婚の際置いていったもの。その父親も最早、再婚した後、海外に飛び行方知れずである。祖父母も他界。誰も母を止めるものはいなかった。 二時間半にも続いた折檻に、身体が悲鳴を上げる。 ピアノの椅子にソッと座るが、激しく鞭打たれたせいで、背中から臀部までベルトの痕がくっきりと残っている。「痛っ……」 メモを再び楽譜に挟み、名残惜しくそれを見つめる。 連絡のしようがない。絶望的だった。 だが、来月には学校へ通学する予定がある。通学の前には、母親の暴力は鳴りを潜める。 放課後なら、公衆電話で連絡が取れるかもしれない。 けれど何を話していいかは分からないまま。 今まではピアノさえ弾ければ……ステージの上に立てればそれでいいと思っていた。 けれど、母親に内緒で寄り道をした事があった。楽譜を買いに黒ノ森楽器店の中に入ったが、あまり種類が豊富ではなく帰ろうと店を出たところで、突然聴こえて来た霧香のベース音と美しい姿。 あの店の試奏室は完璧な防音では無い。それが幸か不幸か。希星は霧香のベース音が忘れられなくなってしまった。 野次馬に紛れて演奏を聴く。 四弦の
last updateLast Updated : 2025-11-17
Read more

28.卯の花色 - 3

「やば……」 逃げる間もなく、部屋の扉が音を立てて開かれる。「やっぱり !! あんた、ファンのふりした児相の連中でしょ !!? 帰って !! 痛い目見るわよ ! 」 この母親に魅了は効かない。 霧香は希星の手を取ると、鍵の開いた二階の階段を一気に駆け下りる。  母親も必死の形相でおいかけてくる。「キラ、逃げて。外に仲間がいる ! 」「駄目 ! キリが怪我するよ ! 一緒に逃げて ! 」「いいから早く」 揉み合いしているうち、彩が玄関を開けて入ってきた。「早く、こっち !! 」「キラ、行って ! 」 だがキラは全く違うものを見ていた。  台所にかけこんで行った母親が奇声を上げて駆け寄ってきた。  その手には天ぷら油。「キリ !! 」「離れて !! 」 反射的に霧香が希星を彩の方へ突き飛ばす。 ジュアアァァッ !!  やられた !   避けたら希星にかかってしまう。絶対に死守する覚悟があった。「あああああぁぁっっ !! 」 しかし、そうそう耐えられる痛みでは無い。服が皮膚とくっついて行くのが分かる。「出てけぇ !! 」「キリ !! 母さんやめて !! やめて!!」「サイ !! キラをお願い !! 連れてって !! 」 この騒ぎに近所の人間も寄ってくる。今度はフライパンを振り回し始めた母親を、隣人の男性が制圧する。  彩が救急車を呼んだが、魔法を使っても水属性の霧香にとって、火傷はどうしようも無い。傷は再生力が遅いし、魔法でも痕は消えない。 母親は地面に押し付けられたまま、無抵抗にうずくまる霧香を見て薄笑いを浮かべていた。 □□□□□□□□□□□□□□ 霧香がベッドで目を覚ましたのは二日後だった。  火傷は左肩から右腰にかけて斜めにだが。ほぼ背中半分だ。 思わずガバっと起き上がる
last updateLast Updated : 2025-11-18
Read more

29.卯の花色 - 4

 ロイは霧香を覗き込む。「寿命五年と引き換えに、その望み一つ叶えてやろう」「待った ! 」 蓮が険しい顔でハランに問う。「これが天使の契約の仕方か ? 悪魔契約と同じじゃないか」「霧ちゃんに信仰心があれば別だけど……そうじゃない場合は、等価交換だよ。 でも天使だからね。後出しで不幸な条件を持ち出したりはしないよ」「無論だ。心配なら誓紙でも作ってお前さんに持たせようか ? 」「……霧香。お前が傷痕に拘らないならこんな契約意味が無いだろ ? 」「いやぁ、悪いようにはせんよ。これを機に日本に移住して新しい医院を建てるのもいい。俺も制約の多い天界には戻りたくないんでね。 人間はいい。娯楽や文明、自ら生み出していく知恵。素晴らしい」 ロイは取り分けどちらでも構わなそうだが、再出発に向けて若返りはしたいようだった。何より悪人と言う様には見えなかった。「まぁ、よく考えなさい。今すぐなんて事は言わんよ。 じゃあ、滞在先のホテルに戻るから、後は頼むぞ」「はい……」 ハランに見送られ、ロイは出て行った。「サイ、ごめんね。でもちゃんと衣装は着るから」 自分がしてしまったこと。 それに対して忘れてはいけないという戒めの為に、傷は残したかった。「お前がいいなら別にいい。俺たちの責任だから」「うん。これがキラじゃなくて良かった……」「あの時、お前が突き飛ばしたから爪先だけで済んだよ」「児童保護…施設 ? は、どうすれば引き取れるの ? 」 この一言には彩含めて全員ギクッとする。霧香が希星を欲しがっているのを分かっているからだ。 蓮がベッドに座る。「霧香。人助けは別にいい。でも今回は静観するべきだ。 まずは母親から法的に親権が離れるかも分からない。第一、引き取り側も職業、家柄、
last updateLast Updated : 2025-11-19
Read more

黄の章 1.金鬱色 - 1

 八月一日。 日付が変わったばかりの夜更け。 一匹の黒猫と武器を持った男が霧香の寝室を目指す。「く、暗くて目が慣れねぇ」『気配を消せ。闇と同化するんだ』「ってか、本当に大丈夫かよっ」『お前は目にも気配にも攻撃心が出過ぎる。どこを狙ってるか見抜けるし、いつ襲いかかって来るかタイミングも分かりやすい』 スポンジ棒を持った恵也は口を尖らせる。 二階に上がり左廊下に歩くとすぐに見える霧香の部屋。 ソッとドアノブに手をかけ、回し……覗き込む。『よし ! 行け ! 』(待て待て待て待て待て待て待て待て待て !! ) 今日の早朝、アイテールの用意したお化け屋敷保養所に出発する。用意された旅行カバンの山の先、ベッドに腰を掛ける者の姿があった。(誰かいる ! )((はぁ !? )) カーテンの隙間から少しの月明かり。 写し出された横顔は蓮だった。 無防備に寝息を立てる霧香を見つめたまま、何をするでもなく。(戻っ、戻ろ ! )((にゃ……ふぐ〜 ! 一発でもいいから当てに行くんだ ! ))(だめだめだめ !! ) 蓮は血成飲料に似たボトルに口をつけると、寝ている霧香にそっと流し込む様に口付ける。(戻って戻って ! )(ぬぅにゃぁ〜………一撃でも練習〜)(なんでお前猫になるとIQ半分になるんだよ ! ) □□□ 霧香は悪夢をみていた。 それは今から遠くない過去の事。 神の雷で羽を焼かれたリヴァイエルは一人、地獄の熱砂の荒野を歩く。 純白のローブは引き裂かれ、それを何とか結び、着続ける。 熱風は空を飛ぶ悪魔の羽根も皮膚も溶かし、ただの骸達の灰と砂を巻き上げる。 骸の鳥達は地獄に堕ちた者を最初に喰らう連中だ。 ここに残
last updateLast Updated : 2025-11-20
Read more

2.金鬱色 - 2

 蓮が霧香を寝かし付け、小瓶をキッチンに片付けに来ると、リビングで恵也が珈琲を飲んでいた。「ここにいたのか。さっきは気をつかわせたな」 つまり恵也が来ていたのは気付いていたという事だ。それに対して、恵也の方がドキドキとしてしまう。「あ、いや。シャドウとさ。キリの方が強いって話にって。ほんで寝首を搔けるかって……スポンジ棒だよ ? スポンジ ! 」「ふふ、分かってるよ。余った珈琲貰うぜ」 いつもより力無く笑う蓮に、恵也も黙っていられない。「おう。ご、ご自由に」 珈琲カップに付く蓮の唇を見て、すぐ目を逸らす。 何か理由があるにしても、口移しで何かを飲ませるなんて、と。少なくとも、恵也にとって友人にするような行為には括れない部類にカテゴライズされる。 しかし、知らない世界から来た二人だ。自分の知らない風習もあるかもしれない。 ぐるぐると頭を回る理性と本能、好奇心。「あ、あのさ」 沈黙に耐え切れず、恵也が負ける。「ん ? 」「いや、ずっと聞こうと思ってたんだけどさ。 違うよ ? 違うよ ? 俺、キリの護衛だからさ !  その……キリとはどこまでの関係なのかなって。 違うよ !! あくまでキリを守る、そのぉ、ボーダーとか ? そういうの知りたいし ? 」「あんなの見られちゃ、当然の質問だよな」 蓮はふと真顔になると、溜息をついて天井を見上げる。「ん〜。関係か。 普通さ。知り合い、友達、親友、恋人って段階があるじゃん ?  でも俺は多分、知り合いレベルだよ」 恵也が何かツッコミたそうにするが、落ち着いて蓮の次の言葉を待つ。「もしさ。俺が恋人になったら……処刑されるのを覚悟の上で恋愛することになるかな。だって俺の家系に水の魔法という優秀な武器が入ることになるからな。地獄で今、霧香を自分のモノにするって言うのは『欲しいなら、俺を
last updateLast Updated : 2025-11-21
Read more

3.金鬱色 - 3

「責任を持って御預かりいたします」 午前六時。 李病院の駐車場で希星を拾う。 彩がロイに頭を下げる側、完全に他人事感を出すハランと浮かれた希星。その目の前に不安そうなロイ。「ちゃんと帰って来るんだよ」「はーい。 あ ! レンレン、僕のシンセサイザーお願い ! 」「身体に気をつけて」 ハランが呟く。「今生の別れかよ……。ただの旅行だよ」 ロイは名残惜しそうに希星を眺める。 その横には中年ではあるが、俗に言う美魔女級の女性がハンカチを片手に立っている。ロイの妻である。「ちゃんとご飯食べるのよぉ。あなた、心配だわ ! 」「食事はちゃんと出るし、こーゆーのも勉強だからさ……」 似た者夫婦なようである。 ハランが引きつった顔で、恥ずかしそうに両親を突っぱねる。「あ ! キリ ! おはよう ! 」「おはよ ! 楽しみだね ! 」「うん ! 」「さ、寂しくなる……女性と、こんな親しく……」「大丈夫だよ、お母さん。キリはお姉ちゃんみたいなもんだもん ! 」 その様子を見た蓮が恵也に話す。「へぇ ? もうお父さんお母さん呼びなんだ。凄い人懐こいって言うか……割と早く馴染んだな」「人懐こいのはあるかもだけど、本人も気ぃ使ってんじゃね ? 」 希星は恵也を見つけると手を振って寄ってきた。「あー ! ケイ、こないだのゲーセンで新しいキャラのぬいぐるみが出たんだって ! 取って ?  」「おう、任せろ ! 」 そして意外にも、恵也に懐いている。ドライなハランより余程面倒見はいいが、恵也である。ただただ希星によっこいしょされ、上手く兄貴面をさせ、甘えさせられている。「ちょっとケイ ! ゲームセンターとか、連れてくのやめて
last updateLast Updated : 2025-11-22
Read more
PREV
1
...
678910
...
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status