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All Chapters of 黒と白の重音: Chapter 91 - Chapter 100

114 Chapters

14.クチナシ色 - 4

 これにはミミにゃんもカチンと来る。結局はモノクロを主体に考えて自分を利用しようとしているのだと。 だがそうではなかった。「潤くん達ジャンクダックが、アイテールで霧香さんに絡んだ話。あれはMINAMIもジャンクダックとは名指ししなくとも、噂を否定しなかったから肯定してしまったようなものだわ。 もうジャンクダック自体がしばらく人気落ちすると思う。 ミミちゃんがジャンクダックと心中するなら構わないけど。 悪いこと言わないから、交際がバレても今から数ヶ月前のタイミングで別れていた事にしなさいな」「潤は潔白です」「ところが世間はそう見ないんだなー。 ミミちゃん。霧香さんとの和解には意味があるのよ」「意味 ? 」「彼女はTGCに招待されてた。勿論、モデル枠じゃないけどね」「まさか !! 皆半年以上前からオーディション受けるんですよ !? 招待されるなんて……」「彼女は最早強力なインフルエンサーになりうる。 でも、断ったのよ。リーダーの子がね。 深浦君とはどんな話をしたの ? わたしにはそこまで詳しくは教えてくれないのよ……。 ミミちゃんと約束があるからとしか言わなくて」 彩は確かに、モデルの領域を荒らす気は無いとミミにゃんには告げたが、そもそも二人は立場が違う。「歌手やタレントが出るのと、モデルが出る枠は違いますよ。霧香さんが出ない事で、わたしにはなんの影響も無いです」 そうは言うが、ミミにゃんがオーディションで落ちていたら、こんな余裕は無かっただろう。何よりミミにゃんはそれを危惧していたから、彩に会って食ってかかる事態になったのだ。「立場上はね。彼女はアーティストだし。 そうではなく、わたしの推薦で他にも出演しないかなって思ったのよ。ミミちゃん、ステージに上がるの一着だけでしょ ? 」「推薦……」「もっと上がりたくない ? 」「それは上がりたいですよ。わたしは
last updateLast Updated : 2025-12-03
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15.枯野 - 1

「冷た〜い ! 」 希星がザブザブと川に入る。 その手を霧香は絶対離さなかった。「苔がフサフサで気持ちいいかも」「岩は滑るからマリンシューズ脱がない方がいいよ」 水の恐ろしさを一番知っている生き物と言っても過言では無いだろう。希星も素直に従い、シューズを履き直す。「うん ! そういえば、キリは川は大丈夫なの ? 」「ん ? 泳げるかってこと ? 」「だってリヴァイアサンって海の怪獣でしょ ? 」「ぷっ ! 」 厳密には神獣であるし、そもそも霧香がリヴァイアサンに変身する訳では無い。天使だったリヴァイエルの肉体から精神を抜き、リヴァイアサンの躰にいれるのだ。「あはは ! わたしエラ呼吸とかしないから人と変わんないよ ! 」「人魚とかとは違うの ? あれはエラ呼吸 ? 」「エラは無いよ。彼女らも海の悪魔だから、そもそも魚の構造と違うと思うよ」「ふぅーん」 足首が見えるほどの浅瀬だが、霧香の手を振りほどくことも無く、希星は自分が霧香を支えるようにしてエスコートする。「この辺、平らだね。寝ると気持ちいい〜よ」「冷た〜い ! 」 霧香は穏やかに希星を見つめる。楽しそうに笑う希星は霧香にとって守るべき存在であり、自分にとっても必要な存在になってきた事を感じた。そのいつでも前向きな姿は、霧香の悩みの種である毎朝の悪夢を振り払う様な、強烈な明るい光だった。「ねぇ、キリ」「ん ? 」「その背中……ごめんなさい」 霧香の背の火傷痕を見て、希星が表情を激変させた。だが霧香も覚悟はしていた希星の反応だった。「この怪我ね、わたし全然後悔してないんだ」「どうして ? 」「キラが今、楽しそうだからだよ。助ける事が出来なかったら……多分……」「うん。今は自由。 でもね、色んな人に助けて貰って&
last updateLast Updated : 2025-12-04
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16.枯野 - 2

「こんにちは ! モノクロームスカイです !  今日午後7時から、ゲーム会社のアイテール公式生放送に出ます ! 」「音ゲーで有名な会社だよね ? 」 恵也は流石だ、切り替えが早い。すぐにトークに絡んできた。「そうそう。 実はアイテールのX公式アカウントでは既に広告の画像が上がってるんですが、リアルに存在するアーティストさん達の曲を使ったリズムゲームが秋にリリースされます。そして、わたしたちも出ま〜す ! 」「物語調になってるんでしょ ? 今回の生放送、今カメラ持って貰ってるけどシナリオライターの田中 ゆかりさんとトークだしね」「楽しみ ! 」「あとはうちの新メンバー、キラです」 パチパチ ! 「こんにちは。キーボード担当キラです ! ピアノも弾くよ ! よろしく ! 」「紹介動画はYoutubeに投稿したから、是非観てください。リンクは下に貼っておきます。 では ! 十九時からアイテール公式チャンネル生放送でお待ちしてます ! 」「バイバーイ」 カメラを構えていたゆかりがokサインを出す。「慣れてますね。噛まないですか ? 」 カメラを受け取った彩が顔を顰める。「俺はたまに噛みます。なるべく喋りたくない……ケイとキリに任せてます。歌とか演奏ならどこでも出来るんですけど……喋るのはいつもドキドキで……」「そ、そうなんですか ? どちらも変わらない気がしますが……」「変わりますよ……」「それ、僕も分かるかも ! 今、緊張したぁ〜。ステージでピアノ弾くのはあんなに気持ちいいのに」「へぇ……そんなもんですか。慣れでしょうかね」「多分、一種のトランス状態に近いですよ。緊張してない訳じゃないんですけど、凄く快感でまさに絶頂というか昇天というか&helli
last updateLast Updated : 2025-12-05
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17.枯野 - 3

 霧香は羽織ったラッシュガードと水着を脱ぎ、スマホで彩の投稿した希星のメンバー紹介動画を確認する。「あは ! キラ、まだ日焼けしてないな〜」 下着に手をかけた所で動画が途切れ、着信音が鳴る。 LINE通話。 相手はミミにゃんだった。「…………」 霧香は一度、手に取りアイコンを数秒眺めると何となく察する。 突然決まった公式生配信。 そして、最後に彩が会った時、ミミにゃんに主人公枠を勧めた事。 TGCを彩と二人だけで相談して断り、メンバーに伝えていないこと。「……はい」『あ、あの。実々夏です』「久しぶり。珍しいね」『……実はヴィーヴォの出演が決まって……。あ、多分これまだ正式発表前だと思うんですけど……モノクロの希星さんと二人で主人公に……』「えっ !? キラと !? 」 ゆかりがメンバーに伝え忘れしたのではなく、配信中に公表の予定だった。「あ〜聞いてないや。本人もまだ知らないかも」『えっ !? そ、そうですか……』「でもちょうどいいや。今日生配信するんだけどミミにゃんも来たら ? 」『あ、それでわたし明日の配信からお邪魔しようかと思ってたんですけど……』「今夜は仕事なの ? 」『いえ……。あの、キリさん……怒って無いんですか ? 』「ん ? 超怒ってたよ ? バレた ? 」『うぅ……』「ふふ。でも、もうどうでもよくなっちゃった。 ……モデルって大変だね。あはは、わたしには務まんないなって思って、そういう仕事の話は断ってるんだ。
last updateLast Updated : 2025-12-06
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18.枯野 - 4

 時刻は十七時半。 檜の間に集まった全員が食べ過ぎた腹を抱えながら、楽器のスタンバイをしている。チューニングを終えたところで、各自スマホの着信音の確認やトーク用のマイクを付けていた。 アイテール広報からは、木村と言う一人の男性が派遣されてきた。主にゲームの紹介などをメインに喋るようだ。「さっきのXの動画見ました。YouTubeの方も、昼も楽しそうでしたね。何より、動画上げるの早くてびっくりしましたよ」 この時点で、彩は今日の到着からバーベキューまでの動画をモノクロのチャンネルにアップロードしていた。 話しかけられたハランが木村に返す。「全員配信とか慣れてるんで、撮ってるって分かってれば一貫して余計な一言も出さないんで。カットだけですね。持ってきたパソコン、エンコード長くてリーダーはうんざりしてましたね……」 普段の生活感のある会話や、新メンバーの希星の存在はかなり好評で、特に霧香と蓮、ハランの絡みに興味のない層のファンには、人懐こい希星の様子とそれを全力で甘やかすメンバーの姿に笑いを見出し始めた。 ヘビーユーザー側は、霧香の水着姿に関して、以前は存在しなかった背の火傷痕がどうしたのか議論された。「あの……キリさんとサイさんは…… ? 」 ゆかりがカメラを回したまま、キョロキョロと見渡すが姿が見えない。「あの二人なら多分……御堂の方にいるかもっすね。でも、邪魔しない方がいいっすよ」 恵也に言われたが、何をしているのか興味深く思ったゆかりは三脚を固定し、この場は木村に任せてソッと縁側へ出る。 日本庭園を抜けると廃寺が見えてくる。明日はこの道もライトアップされ、二曲目は廃寺の御堂で歌うことになる。 決して防音と言う訳では無い為、ゆかりも途中で足が止まる。 音色。 聞こえるのは二台のバイオリンの音。 ハイドンのディヴェルティメント変ロ長調。弦楽五重奏に起こした楽譜の演奏。 一台が精密にメロディパ
last updateLast Updated : 2025-12-07
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19.杏の花 - 1

「こんばんは。モノクロームスカイのリーダーSAIです。今夜はアイテール公式チャンネルの生放送から配信させて頂いてます。 その前に、今回騒動となっている新メンバー加入時のトラブルについて、わたしたちモノクロームスカイから炎上の謝罪を申し上げます。 一つ、皆さんに知って頂きたいことは、新メンバーの彼は、法律や福祉の決まりを守ってここに立っているという事です。 わたしたちの意図とは異なる形で配信内容に誤解を生じさせる事が無いよう、今後はより慎重に活動をしていきたいと思います」 まず最初に彩が前置きする形で頭を下げた。 そして比較的、いつもと様子が変わらない雰囲気で希星が口を開く。「こんばんは。新メンバーのキラです。 今回の炎上に僕本人が、とてもびっくりしてます。僕は今、幸せなんです。 それに僕を産んだお母さんも幸せになる事が必要だと思います。ただ、一緒にいたらそれが不可能な状態だったので離れました。 それまで、沢山の人が家に来ました。警察とか福祉、近所のおじさんもいました。ここのメンバーだけが関わった人じゃないんです。 炎上の事を知って、本当にびっくりしてます。今僕を幸せにしてくれている人にも、これから幸せにならなきゃいけない人にも障害になっています」 謝罪と言うよりは自分の一方的な気持ちではあるが、これでも精一杯伝えた方だろう。 再び彩が取り次ぐ。「多くの方の批判や意見の声に真摯に向き合って、今後も全力で活動に取り組んで参ります」 そこで木村が入ってくる。「えー……ありがとうございました。 僕らアイテール側としましては、公平で誠実なコンテンツ提供を心掛けると共に、より建設的なサービスを目指して参ります !  と、言うことでね。 さぁ、VEVOリリース記念 ! 制作と出演アーティストのコラボ配信第一弾 !  今回のゲストはモノクロームスカイとAngel blessです」 ようやく千歳、京介含め雛壇に収まる。「いや〜、なんか騒がれ
last updateLast Updated : 2025-12-08
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20.杏の花 - 2

「さて、ゆかりさん。今回はVEVOはどんな世界観なんでしょう ? 」「えと、主人公が街中でアーティストと出会って、そこから歌番組に出演するように画策するシナリオなんですが、実は今回の放送で発表したい事が。 プレイヤーさんが主人公を操作してアーティストを探したり交渉したりするんですけど、プレイヤーさんが主人公を最初に選べる様にするんです。 その主人公がモノクロームスカイのキラさんに決定してます」「マジで !? 」 恵也に続き……「え ? え ? 僕 ? 僕が ? 」 戸惑う希星に全員爆笑。「本人がびっくりしてる ! 」「聞いてなかったんかい ! 」「でも主人公って超いいじゃん ! 」 木村は続ける。「そしてもう一人の主人公はこの方です」 差し伸べる手の先、カメラの死角からミミにゃんが登場した。「こんばんは〜ミミにゃんです ! 」「ミミにゃん、どうぞこっちに」 椅子が足され、希星の隣に通される。どうにか配信まで間に合ったようだ。少し息切れしている。「この中学二年コンビの二人が選べるんですよ。 京介さんだったらどっちでプレイします ? 」「うええ ? ん〜。可愛いミミにゃんかな〜。目の保養 ! 可愛い子見たいもんね」「俺もミミにゃん」 恵也が笑い否定する。「俺は頑なにキラだね」「頑なに ? 」「だってもし男に分からん選択肢みたいなの出てきたら、分かんないもん。女の子の気持ちなんてわかんねぇもん〜 ! 」「分かんないって何回言うんだ  ! 」「あははは ! 生々しい〜 ! まぁでも出会ったアーティストをステージで成功させることが出来るかは、プレイヤーさんのリズムゲームの腕にかかってますからね」 この辺りで彩が霧香の異変に気付く。 全くトークに入ってこない。 炎上のせいで頭がいっぱ
last updateLast Updated : 2025-12-09
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21.杏の花 - 3

「あ……あ……」 ゆかりが混乱している霧香の手を取る。「大丈夫ですよ ! 安心して診てもらって来てください ! 霧香さん ! 本当に先の事を考えて今治さないと」「う……歌えます。わだし、うだえます ! 」「霧香さん……でも……」「ごのゲームの後、う、歌って移動ですよね。 歌まで……やでぃます」「慣れていれば分かりますが、突然聴力を無くしてぶっつけ本番なんて無茶ですよ ! 」 大きく首を横に振り霧香を制止させるゆかりに気付き、ゲームにまだ絡んでいない蓮が寄ってきた。「どうした ? 」「キリが耳ダメんなった。本人は歌まではいるって言ってるけど、歌えるものなのか ? 」 蓮が霧香を見下ろす。 霧香は駄々をこねる一歩前の表情で、唇を噛み視線を逸らす。「多分、振動を読むんだと思う。空気中の水分に魔法……ま、方法で……」 ゆかりがいることを忘れて口を滑らせ、魔法というワードを出すくらいには蓮も動揺を隠せない。「……そういう原理だから、可能ではあるんだけど。 ……いや、待て」 そういい、蓮はハランを連れてきた。 ここでようやく全員がトラブルに気付くが、とにかく場を繋ぐ事に回る。「わ、わぁ〜面白そうだけど、難しそうです〜。わたしリズム感無いんですよぉ〜」音声は入れながらも、ミミにゃんは心配そうに振り返り霧香を伺う。「ハラン、霧香が突発性難聴っぽいんだけど……」「あらら。無理しちゃったかな。両耳 ? 」「本人、歌までやるって言ってるけど、どうなの ? 」「え ?  いや、やめた方がいいよ。突発
last updateLast Updated : 2025-12-10
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22.杏の花 - 4

『ミナミくーん。これ明日の俺の番組、駄目でしょ〜』 音楽番組の老齢のプロデューサー 青葉と咲、南川が頭を抱えて生配信を観ながらリモートで顔を合わせていた。『藤白さんだっけ ? 個人的には俺もこの子たち間違ってないと思うよ。 だから、まぁ。治療が終わってから出してあげるからさ。今は炎上と治療に専念した方がいいかもねぇ』 咲は随分、青葉に気に入られたようである。「音楽番組は仕方ないですが……突発性難聴の治療期間……。それによってはリリース日にモノクロの歌がゲームに間に合うかは分かりませんね……」 咲も無念の表情。 ここで奥歯を噛み鳴らしたところで、本当に悔しいのはモノクロのメンバーである。『まぁ珍しい病気じゃないし、問題は本人の精神的なものだけどねぇ。 ミナミくーん。これ、やっぱりコメント流して配信した方が良かったんでないの ? 』 青葉が他の端末でXを見ながら笑みを浮かべる。 そう。 配信中のモノクロ、Angel bless、スタッフ共々皆、気付いていなかった。 炎上の後、ネット上では更に凄まじい言い合いと化した。アンチと擁護の二者の中に割って入ったのは、ファンでもなんでもない多種多様な者たちの声だった。 それはかつて虐待を受けた者たちの悲鳴。 または通報したのに助けてあげられなかったと、自責の念にかられる者。 助かった者も病んだ者も、自身の言葉を綴り告白し、音声配信する者も現れた。 全てがモノクロアンチに『待った』をかける体勢に変わったのだ。『中学二年だぞ。ここまで言わせてアンチは恥ずかしくないのか』『わたしも隣のおばさんが助けてくれなかったら死んでたと思う』『何回か児相も警察も来てるのに役に立たなかったんでしょ ? なら良かったじゃん』『虐待されてて、助けなんて求められない。そんな気力もないし、失敗したら怖くて仕方なかった』『あの背中の痣、母親がKIRIに油かけたんだっ
last updateLast Updated : 2025-12-11
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23.杏の花 - 5

 その頃、シャドウは一人残された屋敷でのんびり過ごしていた。 何日間も一人きりで過ごすのは初めてだった。 今日はその初日。 ちょっぴりテンションの上がったシャドウはいつもより多い重量のステーキをギコギコと貪り、猫型に戻ると恵也に置いていって貰った特上にゅ〜るを舐めながらテレビを観ていた。 希星が自宅で作ったと言って持ってきた、添加物無しの猫用ミルクアイスを舐め出したところでインターフォンが鳴る。 これにシャドウは驚き、猛スピードで壁際に寄る。 人型に戻り、カーテンの隙間から外を伺うが、そこから玄関は見えなかった。 そもそも、招待していない客が来ることは有り得ない屋敷である。 許可されているのは血成飲料の配達人くらいだが、それらも来るのは昼だし事前連絡がある。 敵か。 シャドウは上着を脱ぎ、肩の関節と筋肉を解しながら、ソッと明かりを点けずに玄関ホールに立つ。 だが、インターフォン越しに液晶に映った一人の男の姿に、たじろぎながらもすぐにドアを開けた。「す、すぐに対応出来ず申し訳ございませんでした ! 」 深々と頭を下げるシャドウに、男は眉一つ動かさずにエントランスに入る。「構わん。それがお前の役目だ。万全を期せ。 霧香はいないのか ? 」 黒く長い髪に長身、そして整っていてもどこか冷酷そうなその面持ちは、ふと誰かに似ていると誰もが思うだろう。 蓮の実兄。 黒百合の王族  ヴァンパイア領土統括者  ディー · 二グラム。 だが蓮とは違い、潔癖そうな仕草となんの感情も無さそうな鋭い瞳が印象的だ。似てはいるが、血縁関係とは思えない程に。「いつ帰る ? 」「予定通りですと、五日後です」「それまで待たせてもらう。客室はあるか ? 」 あるにはあるが、既に皆のシェアハウス状態になっているため、空いているのは一番ショボイ景色も見えない部屋である。「空き部屋は非常に使い勝手が悪いかもしれませんが&
last updateLast Updated : 2025-12-12
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