兎子アパレル公司 本社ビル付近。 三人は咲とカフェで待ち合わせをした。「あ〜いい天気。海行きてぇなぁ」 恵也は客が少ないのをいいことにダラリともたれて、空を見上げ、だらしなく口を開けている。「ほんと。オープンカフェって初めて来たけど気持ちいいね」「へぇ。初めてかぁ。女の子ってこーゆー店好きなのかと思ってたわ」「まぁた女の子で括られた ! ケイそれ良くないよ」「ゴメンて。って言うかよぉ………………サイ大丈夫 ? 」 二人が彩をチラ見する。 汗ダク。 白いシャツの背中が既に変色。 気温は20度前後だ。 暑いわけでもないだろう。「咲さんって、樹里さんの知り合いなんだろ ? だったらおばさんなんじゃないの ? 」「サイの女性の認識範囲、九十代でも女性だよ。アウト 」「マジかよ ! 」「…………」「おーい。……ダメだこりゃ。喋りもしねぇ」 二人の間に不安が押し寄せる。 これは彩はいないものとして考えないといけないかもしれないと。なんなら喋らないなら、いない方が余程自然とまでありうる。 その時、カッカッと鳴るヒールの音が近付いて来た。「お待たせ〜 ! モノクロームスカイのゲソ組ね ? かぁわいい ! 」「あ、はい。初めまして水野 霧香です、ベースとチェロ担当です ! 」「知ってるよ〜KIRIちゃん」 スレンダーで二十代後半程の女性だ。 全身白いスーツにアイボリーのパンプス。 ローポニーを三つ編みに纏めた髪が清潔感のある印象だ。「ここデザート美味しいよねぇ。昼過ぎで店の中は混んできたわー。お姉さんもなにか飲み物頼んでからと思ってさ〜」 そう言い、サイの横の空いた椅子に向かうが、軽快な音を
Terakhir Diperbarui : 2025-10-18 Baca selengkapnya