「そ、そんな。女の子いたから、少しちょっかい出しただけですよ」 真っ青な顔で言い訳するジャンクダックの潤を、流石にモノクロも気の毒そうに眺めるだけ。「女性がいるのはどこの会社も同じです。 立場の弱い人間を見たら、霧香さんでなくともすぐに『ちょっかい』をだすのでは ? 」「出しませんよ ! 」「でも確証が無いですよね ? 現に今、やってしまった訳ですし。 突然痴漢にあったら、女性が抵抗するのは当たり前です」「話にならねぇ。仕事って言われて来てみたら、こんなんでイチャモンつけられて、たまんねぇよな」「おっさん営業の人でしょ ? 俺たちを起用した人連れてきてよ。 俺達が必要なの ? どうなの ? 」 逆ギレ甚だしいが、確かに南川の一存で『起用する話を取り消す』とは決められないだろう。 しかし……ジャンクダックと一緒に仕事をとなると、先が思いやられる。 一方、先程まで止めに入っていた咲が、もう何も言わず流れに身を任せている。「つまり責任者をだせ、と仰る訳ですね ? 全く……今の若い子もピンキリだよね ? 」「え ? あはは……ま、まぁ……」 突然、南川に同意を求められ、咲も気まずさを隠しきれない。 南川は懐からカードケースを取り出すと、数種類ある中から一番少ない名刺を取り出し、ジャンクダックのリーダー格に渡す。『アイテール株式会社 プロジェクトマネジャー MINAMI』 アイテールの事は知らなくとも、ゲーム業界のMINAMIと言えば、皆が知っている。 だが、スタッフロールだけではなくテレビCMでさえ必ず入っている『MINAMI』というディレクター名。それがが今や総括者になっており、本名が南川だとは誰も思わなかった。 この中で唯一知っていたのは何度も取り引きしている咲と、既存のソシャゲをやっていた彩だけであ
Terakhir Diperbarui : 2025-11-03 Baca selengkapnya