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黄の章 1.金鬱色 - 1

last update Last Updated: 2025-11-20 11:00:00

 八月一日。

 日付が変わったばかりの夜更け。

 一匹の黒猫と武器を持った男が霧香の寝室を目指す。

「く、暗くて目が慣れねぇ」

『気配を消せ。闇と同化するんだ』

「ってか、本当に大丈夫かよっ」

『お前は目にも気配にも攻撃心が出過ぎる。どこを狙ってるか見抜けるし、いつ襲いかかって来るかタイミングも分かりやすい』

 スポンジ棒を持った恵也は口を尖らせる。

 二階に上がり左廊下に歩くとすぐに見える霧香の部屋。

 ソッとドアノブに手をかけ、回し……覗き込む。

『よし ! 行け ! 』

(待て待て待て待て待て待て待て待て待て !! )

 今日の早朝、アイテールの用意したお化け屋敷保養所に出発する。用意された旅行カバンの山の先、ベッドに腰を掛ける者の姿があった。

(誰かいる ! )

((はぁ !? ))

 カーテンの隙間から少しの月明かり。

 写し出された横顔は蓮だった。

 無防備に寝息を立てる霧香を見つめたまま、何をするでもなく。

(戻っ、戻ろ ! )

((にゃ……ふぐ〜 ! 一発でもいいから当てに行くんだ ! ))

(だめだめだめ !! )

 蓮は血成飲料に似たボトルに口をつけると、寝ている霧香にそっと流し込む様に口付ける。

(戻って戻って ! )

(ぬぅにゃぁ〜………一撃でも練習〜)

(なんでお前猫になるとIQ半分になるんだよ ! )

 □□□

 霧香は悪夢をみていた。

 それは今から遠くない過去の事。

 神の雷で羽を焼かれたリヴァイエルは一人、地獄の熱砂の荒野を歩く。

 純白のローブは引き裂かれ、それを何とか結び、着続ける。

 熱風は空を飛ぶ悪魔の羽根も皮膚も溶かし、ただの骸達の灰と砂を巻き上げる。

 骸の鳥達は地獄に堕ちた者を最初に喰らう連中だ。

 ここに残

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