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All Chapters of 黒と白の重音: Chapter 81 - Chapter 90

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4.金鬱色 - 3

「おかしいと思わない ? 」 二人きりになった車内で蓮が切り出す。「何が ? 」「福原って奴だよ。そもそもシナリオライターが同行するなんて聞いた事ある ? 」「まぁ、まず無いね。余程特殊な職業をモチーフにするなら分かるけど。スタジオだって家にあるのにわざわざここに誘導された意味とは……って事だろ ? 」「ああ」 ハランは流れて行く街並みを観ながら考える。「防犯上、心配なのは霧ちゃんとキラか。 スパイや敵対バンド絡みだと、彩と霧ちゃんかな」 福原一人でどうこうと危険はないと思われるが、一応と念を置く。 南川の部下だ。大丈夫だろうが。「千歳と京介にも、それとなく気をつけるように言いたいとこれではあるけど……」「うん。まず京介は喧嘩っ早いからなぁ。千歳は「じゃあずっと皆で一緒に居ようよ ! 」とか言いそう」 千歳は家電量販店に就職してから、人が変わったように所帯染みてしまった。 かつては血糊衣装の一番似合うヴィジュアル男性と言われたが、今ではハチマキとメガホンが一番似合う通販系男子である。蓮とハランは嘆いている。「案外「嘘発見器持っていくよ。動画撮ろうよ」とか的外れな事も考えられる」「「これだから動画配信者は……」」 蓮は話が途切れ、信号待ちの間ふと出発時の事を思い出す。「ロイさんって結婚してたんだな。綺麗なお袋さんじゃん」「別に俺の親じゃないしさ。ホントマジで他人だから」「お袋さんも天使 ? 」「そう。智天使の部下の補助ってくらい下位の天使」 名前も無いほど下位の天使は存在する。皆が輝ける者では無いのだ。「韓国にいた時は同居してたんだろ ? 」「あ〜。少しの期間だけ。 一応、医療免許持ってんだよ俺」「はぁ ? 知らなかったんですけど ? 公表しろよ ! バンドでそれってかなり好感度ポイント
last updateLast Updated : 2025-11-23
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5.カナリア - 1

 その頃、千歳と京介は待ち合わせ場所で南川から連絡を受けていた。「え !? 撮影ですか ? 」 モノクロームスカイには今回の合宿で配信用の撮影をする為、予《あらかじ》め機材を車内に設置したからという事だ。勿論生配信では無いが、隠しカメラやマイクは既にセッティング済で、千歳と京介には仕掛け人として怪しまれないためのフォローをして欲しいということだった。完全なドッキリでは無いが、普段の姿を撮りたいという事だ。「これ俺達も、もう撮られてます ? 」『撮ってるよ ! えっとね。交差点にキャリーケース持ってる背の低い女性がいるの見えるかな ? 』 千歳達に気付くと、ボブヘアーの赤眼鏡の女性がカメラ片手にペコリと頭を下げる。「あ、あぁ。いました」『彼女が本当のシナリオライターのYUKARIさん』「……え ? じゃあ、今モノクロのワゴン運転してるのは…… ? 」『エキストラしてくれる芸人さんだよ。いやぁ〜最近は芸人さんも、綺麗な顔した男性しかいなくてね〜。探すのに苦労したよ』「えぇ…… ? 」『じゃ、よろしく』「いや、あの ! ドッキリの内容って、俺らは仕掛けを知ってないといけないんじゃ ? 」『あはは、そんときゃ一緒に驚いてよ。彼らを帰らせないようにだけしてくれない ? 』「超面白そう ! 俺、全力でやりますよ ! 」 京介はノリ気である。「分かりました。あの、映るんなら俺、ちょっとだけメイクしたいんですけど……」 千歳の申し出に京介がブーイングの雄叫び ! 「ばっかじゃねーの !? 撮られてんの気付かれんだろーが」「メイクしないで撮影とかやだよ俺〜 !! 俺が一番顔面偏差値低いんだからァ !! 」 千歳は自分ではそういうが、年相応に優しげな印象のある男性という風貌である。だが、Angel blessでハランの華やかさや蓮のクールビューテ
last updateLast Updated : 2025-11-24
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6.カナリア - 2

「……千歳さん、普段からメイクしてるんですか ? 」 顔を合わせて第一声、ゲソ組が不信がる。「あのね。えーと、南川さんから連絡が来て、着いたらすぐ記念撮影して欲しいんだって ! 」「はぁ……。記念撮影ですかぁ。  サイ、私はどうすればいいの ? 」 衣装やメイクの話である。  だが千歳の挙動がおかしい事に彩はすぐに疑問を持った。  服は面白Tシャツにチノパン。  顔だけすげ替えたように不釣合いなメイク。そもそも、あの福原という男がどうにもおかしいと思ったのだ。それは格好だ。  あの厳しい南川が「我社のシナリオライターです」と同行させるのにアロハシャツのオッサンを送り出すだろうか ? スーツとまではいかずとも、添乗員という立ち位置程度の格好はしてくるのでは ? と考えたのだ。「行ってすぐに撮影 ? 一旦荷物置いてからとかではなく? じゃあ、全員メイクが必要な人は車内で済ますんですか ? 」「そ、そうらしいよ。蓮の時は俺が運転するよ」 何も着いてから車内でメイクをしてもいいと思われるが、突拍子も無い要望過ぎて誰も思いつかない。そんなものかと受け入れてしまう。「……そうですか。  えーと、じゃあ衣装はいらない。そのままでいい。口紅の色だけハッキリした色に変えよう」「分かった」「んー ? どうして色を濃くするの ? 」 聞いていた希星がじっと霧香のピンク色の唇を見つめる。「写真だと淡い色はぼんやりしちゃうから。キリだけ撮るなら別だけど、多人数で風景を入れて撮ると綺麗に見えないから」「へぇ〜」「化粧品とか興味ある ? 」「うん ! 僕もしてみたい ! 」「じゃあ塗ってみる ? 」 ここで二人の会話が交わらずに進行する。「え !? いいの !? 」「じゃあ、このツバキ色の口紅をお願い」「 ??? これを塗ればいいの ? 肌とかに何か塗ってからじゃなくて ? 」 そう言いながら、希星は
last updateLast Updated : 2025-11-25
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7.カナリア - 3

「老いた俺には羨ましいよ〜」 千歳が朽ちかけた木のテーブルに頬杖をついて、走っていった二人を眺める。「いや、京介さん……ぜってぇ学生時代からモテてたでしょ ? 」「いや、だからそこがピークだよ。蓮とハラン加入後は俺空気だしさー」「ぎゃははは、確かにそう ! 」「千歳さんも京介さんも、大人になって落ち着いただけなのでは ? 凄くお兄さんぽいですし」「ありがとう霧香さん」「俺、落ち着いてるように見える〜 ? 」「アイテールでわたしを助けてくださったじゃないですか」「ありゃ売られた喧嘩買っただけ。霧ちゃん、マジで素直だねー」 盛り上がる霧香、恵也、京介、千歳の背後に福原。  撮影を認知している蓮の車内組は、内心ドキドキとしている。  蓮とハランが少し離れたところに福原を寄せ話す。(こういう……演出的なものまで公開はちょっと……)(ひゃひゃ……カットは出来ますから……)(なら……いいですけど……)(こんな客を惑わす相談の中身、見せられないよ。光の速さで性別バレするじゃんね)(散々ピアノでステージ上がってたし、隠せるわけは無いだろ。あくまでパフォーマンスだろ)(んな事言ったら、俺らアーティストじゃなくてパフォーマーじゃん……)(わたしもあの希星君がどんな感じになるのか興味がありますし、うひゃ、協力しますよ。勿論、くくっ、公言もしません)(良い奴じゃん福原ぁ)(福原何歳 ? ) この後、福原はAngel bless組に相当絡まれる事となる。(そのキモイ笑いって、キャラ ? )(はい、ヒヒヒ。わたし、古民家居酒屋で怪談師の弟子をしておりまして)(あ、じゃあテレビで観る漫才師とかああいうのでは無く ? )(ええ。YouTubeなんかで心霊体験なんかを募集したり、古民家の方で限定ライブに出演させていただいたり。  今回はこのキャラと、機材が使えることが募集の前提だったので
last updateLast Updated : 2025-11-26
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8.菜の花色 - 1

「えぇ !? ドッキリ !? それで無許可撮影 ? 」「普段の彼らが面白いって好評らしいじゃん」 とある事情でアイテールを訪れていた咲は、南川の仕掛けた撮影について、否定的に首を振った。「はぁ〜。駄目。駄目よ南川君 ! そうじゃないのよ ! 分かってないわ〜。 彼らは言ってしまった方がエンジンがかかるわよ ? 」「えぇ ? そう ? ヤラセみたいにならない ? 」「なんない、なんない。保証するわ」 現在、霧香達は専門の運搬車両が到着し、楽器の荷降ろしの最中である。その間にゆかりは南川にコンタクトを取っていた。 理由は同じ。 撮影をしている事を本人達に言ってしまった方がいいのではと、ゆかりも思ったのだ。 原因はやはり希星のキャラ付け問題で、もし放送していたら事故になっていた。 完全に行きの車内映像はボツになってしまった為、仕切り直すとしたら到着したここからしかないのだ。『霧香さんは心霊写真ドッキリも無言でした。 わたし、幽霊を見てあんなに冷ややかに受け流す子を初めてみました。興味深いですね。あのタイプはホラーゲームだとどんな要素で怖がるのか知りたいところでもあります』 ゆかりの通信に、咲は南川を説得する。「ほらね ? 放送出来ないもの撮ってても仕方ないでしょ ? 」『わたしも藤白さんに同意します。今の所、不審な行動もない方々です』 南川は「ごめんごめん」と苦笑いする。「次のドッキリなんだっけ ? 」『怪談芸人 福原による、客室案内です』「……じゃあ、上手いタイミングでゆかりさん、ネタバレお願いします」「大丈夫よ南川君。彼ら本当に撮れ高作ってくれるから」『本当に生放送じゃなくて良かったと思います』「分かった任せるよ」 通話を切り、南川と咲がようやく椅子に座り対面する。「手間がかかる子達だけど価値はあるから」「藤白さんがそこまで言うならそうなのかな ?&
last updateLast Updated : 2025-11-27
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9.菜の花色 - 2

 そこで置き去りにされていた福原がカメラを取り出す。「じゃあ、俺はカメラやりますね ? 」「そうですね。南川の方にも話通ってますんで。ただ、生配信に関してはもう一度話してみないと……」 そこで彩が、またもゆかりに提案。「福原さんは怪談師を目指して、YouTuberもしてらっしゃるんですよね ? 」「ええ。師匠は作家も漫談もしてる方でして……」「折角なんで、生配信中に高座を用意して怪談ライブとかどうです ? 」「え ? うひょ、わたしの為にそこまでしてもらえるんで ? 」「なるほど、ただカメラだけでは申し訳ないですし、元々動画内に出演するために来ましたもんね。怪談ライブ、やりましょう !  福原さんは大丈夫ですか ? 師匠に許可とか」「大丈夫です ! 有難く話させて頂きます ! 」 この話の纏まりに、千歳と京介も興味津々。「プロの怪談聞いたことある ? 」「無ぇ。超楽しみ ! 」「俺、大丈夫かな。結構、夜とか思い出すんだよなぁ」 ゆかりはリュックを下ろすと機材を組み立てる。「深浦さん、演出に向いてるとか言われませんか ? 」「すみません。出しゃばりすぎました」「いえ、感心しました。 編集の手間もないし、人員も最小限。福原さんが機材を使えるし、コスト削減で怪談イベントもある。かなりベストだと思います」 彩は徐々に拡がってきた蕁麻疹を隠すようにアームカバーをそっと装着。「では、各自用意が出来たら撮影の大まかなスケジュールのミーティング始めましょう。 着替えなど配信中写って困るものは片付けさせますんで」「パンツとか ? 」「言わんでいいだろソレ。セクハラになるぞ」「別に霧ちゃんのって言ってないじゃん」 京介の茶々は千歳以外、どスルーで進行する。「あとは……配信する
last updateLast Updated : 2025-11-28
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10.菜の花色 - 3

 職務質問でジャンクダックのメンバーが警察署にいる、次は潤だというその時の情報を樹里から連絡を受けた咲は、すぐに行動したのである。  そしてアイテールで纏めきった !   思いがけないモノクロとゆかりの撮影トラブルをアイテールの公式チャンネルでの生放送という所まで。  ゆかりが悩んだ事と彩の提案、上手く話を回したのは咲だった。勿論、咲が南川と旧知の仲だったこともある。 咲の目的はあと一つ残っていた。 次にテレビ局へ向かう。  目当てはシンガーソングライターの早河 夢子。元歌い手。「こんにちわ咲さん ! 」「こんにちは ! いい衣装ね !   マネージャーさんも、忙しいのにすみません」「いえ、今日はリハですし」「何かあったんですか ? 」「実は、夢ちゃんの次のリレーってジャンクダックだったわよね ? 」 リレーとは。  これから三日後、地上波で生放送される歌の祭典。  ある程度は制作側が声をかけてタイムスケジュールが組まれる歌番組だが、この局の番組には特徴がある。 それは『一人のアーティストが歌い終えたら、次のアーティストにバトンタッチする。そのバトンタッチする相手はリアル友人である事』である。  視聴者は思いがけない繋がりに関心を持ち、中にはバトンを繋いだアーティスト同士が婚約した事例もあることから人気となった番組である。「彼ら、今日警察署に」(えぇ !? もしかしてアレ ? )(知ってたの ? )(あちゃー。いつかはと思ってたけどね)(ねー ! 有名だもん。他の人にも売ったりとか誘ったり)「はぁ〜……。バトンタッチする前に捕まったのは夢ちゃんにとって運が良かったわね」「わたしも何度か共演しただけですからね。でもバトンがなぁ。他のアーティスト友達は埋まってるし」「それなんだけど、バトン渡す相手、わたしから紹介したいんだけど」 早河 夢子は顔色一つ変えずに咲の要望に耳を傾ける。
last updateLast Updated : 2025-11-29
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11.クチナシ色 - 1

 午後二時。  全員で大広間に集合する。「では、当面のスケジュールを発表します」 ゆかりがタブレットを見ながら進行する。「生放送は本日十九時から開始。場所は宴会場 檜の間から。トーク後、それぞれ既存の曲を一曲演奏していただきます」 淡々と説明するゆかりを全員が見上げているが、心ここに在らずと言う感じである。移動の疲れと、急激に決まったスケジュールに頭がついて行っていない。後は、ここまで漕ぎ着けた咲には悪いが、全員観光気分である。「バーベキューはもう夕方やっちゃって、アルコールは飲まないで下さいね。トークでは既存のリズムゲーム、プリンセス · レガートをプレイしていただきます。  ラストは男性陣で隣の桜の間にて、枕投げ。  怪談開始が十一時からです」 枕投げの後にそんなテンションを駄々下げる意味とは…… ? 「広報部から応援が入りまして、明日はわたしと交代で司会と舞台のセッティングを務めます。  朝はテレビ局のスタッフさんが来ます。歌は中継で、ここから繋ぎます。早河 夢子さんの出るタイミングよりかなり前にスタンバイお願いします。  ……えと……大丈夫ですか ? 」 一人で話している割に、なんとも返事も相槌も溜め息も出ない全員を、ゆかりはタブレットを下に下ろしながらゆっくり見下ろす。「なんかよくわかんない」「いつも通りやればいいべ」「テレビのこの司会 ? 誰 ? 知らないね。最近テレビ観ないからなぁ」 緊張感がないモノクロにゆかりは不安しかない。「と、とりあえず、今日の十八時には檜の間に楽器があるようにスタンバイお願いします ! 」「ふえーい」「なんか忘れちゃうからどっかに貼っといてくれる ? 」「ロビーと大広間に貼りますんで」 各自ノロノロと活動開始。 そのまま寝転びスマホいじる奴。  座布団を折り、枕にして仮眠とる奴。  携帯ゲーム機でゲームする奴。「皆さん……練習とか……」
last updateLast Updated : 2025-11-30
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12.クチナシ色 - 2

 ゆかりは真っ先に霧香と蓮、ハランの様子を思い出す。「……さっきの様子だと、本当にヤラセじゃないんですね。X では霧香さんとハランさんのツーショットとか、蓮さんの保護猫施設の写真が出回ってて。ああいった物も反響があるみたいですね。 南川からはパフォーマンスでやってるんだとは聞いていますが……まさか男性は本気だったとは。興味深いです。 もし、霧香さんが誰かを選んでしまったら、このバンドはどう終結するのですか ? 」 この質問に彩は曖昧に答えるしか無かった。「まだまだ先の事だと思いますよ。それに、彼氏が出来ても最初はメンバーにも隠すでしょうし」「統計的にはそうですね。それもプライベートが公開されるのが前提になってるなら、最初のうちは特に隠れて交際するかもしれませんね」 第三者から見ればそうなのかもしれない。 だが、ハランならどうだろうか ?  質問してきたのがゆかりだから、彩はここまで答えたのかもしれない。 交際を隠す行為をするのは、相手はハラン以外である。 ハランなら、すぐに言う。 絶対にマウントを取りに来る。「キラ君は、綺麗ですけどお兄さんのハランさんとは対象的ですね」「ああ。彼は……色々事情が。ハランに聞いてみてください」 希星がここに来た経緯。そこは希星ではなく、敢えてハランに意志を託す。まだ世間の判別がつかない希星より、一般常識のあるハランに任せる。 家庭のことでもあるし、虐待をしていたとはあれ実母に追い打ちをかけることもない。「さ。撮影しましょう。 ゆかりさんも電源入れて」「えぇ !? ここから撮るんですか !?  ちょっ !! カメラ向けないで下さいよ ! 」 向けられたカメラから隠れるようにゆかりは手で顔を覆う。赤面したゆかりの新鮮な反応に、彩は儲けたとばかりに会話を進める。「せっかくですから」「いやいや、わたしシナリオです
last updateLast Updated : 2025-12-01
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13.クチナシ色 - 3

 三階。霧香の部屋の前に着くと、恵也が廊下に突っ立っていた。「ケイ、どうかした ? 」「サイ。丁度いい所に。 え ? 撮ってんの ? ま、いいけどよ。 これ。キリの部屋なんだけど、鍵が壊れてんだよ」 部屋のドアレバーを開け、ガクガクになったシリンダーを見せる。「ここの旅館、元々本当に古いので鍵は掛からないかもしれません。鍵自体が紛失してるんです。内側から掛けてもらうしかないんですが、これじゃ駄目ですね」「他の部屋に移動できます ? 」「可能ですが、ここより清潔では無いですよ ? 宿泊は想定していないので」「どうする ? 」「部屋が離れすぎると、俺も護衛しにくいぜー」「護衛…… ? 恵也さんは霧香さんの護衛担当なんですか ? 」 ギクッ !  彩が恵也を睨む。 Angel blessはモノクロに人外が居る事は知っているが、ヴァンパイアの契約者制度に関しては誰も説明する気は無い。もちろん、安易にゆかりの前でも話せない話題である。「いや、俺……えーと……高校の部活、格闘技系だったんすよ。だから……まぁ世の中物騒ですし ? 」「えー !? しっかりされてるんですね。少しびっくりしました。 霧香さん、あんなパフォーマンスさせられてるし、もっとぞんざいな扱いを受けてるんじゃないかと心配してました」「キリにそっぽ向かれちゃ終わりですからね。全力で守りますよ」 するとゆかりは何か考えるように顎に手を添えて難しい顔をする。「パフォーマンス的には蓮さんとハランさんが有力的ですけど、こういうのを見るとゲソ組の縁の下の力持ち感が凄い。 恵也さんと霧香さんのカップリング推奨のポストを見て「この二人は解釈違いだろ」って思ってましたけど、これはこれで……」「ゆかりさん、無理に俺たちをカップルにして見なくてもいいです&
last updateLast Updated : 2025-12-02
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