「おかしいと思わない ? 」 二人きりになった車内で蓮が切り出す。「何が ? 」「福原って奴だよ。そもそもシナリオライターが同行するなんて聞いた事ある ? 」「まぁ、まず無いね。余程特殊な職業をモチーフにするなら分かるけど。スタジオだって家にあるのにわざわざここに誘導された意味とは……って事だろ ? 」「ああ」 ハランは流れて行く街並みを観ながら考える。「防犯上、心配なのは霧ちゃんとキラか。 スパイや敵対バンド絡みだと、彩と霧ちゃんかな」 福原一人でどうこうと危険はないと思われるが、一応と念を置く。 南川の部下だ。大丈夫だろうが。「千歳と京介にも、それとなく気をつけるように言いたいとこれではあるけど……」「うん。まず京介は喧嘩っ早いからなぁ。千歳は「じゃあずっと皆で一緒に居ようよ ! 」とか言いそう」 千歳は家電量販店に就職してから、人が変わったように所帯染みてしまった。 かつては血糊衣装の一番似合うヴィジュアル男性と言われたが、今ではハチマキとメガホンが一番似合う通販系男子である。蓮とハランは嘆いている。「案外「嘘発見器持っていくよ。動画撮ろうよ」とか的外れな事も考えられる」「「これだから動画配信者は……」」 蓮は話が途切れ、信号待ちの間ふと出発時の事を思い出す。「ロイさんって結婚してたんだな。綺麗なお袋さんじゃん」「別に俺の親じゃないしさ。ホントマジで他人だから」「お袋さんも天使 ? 」「そう。智天使の部下の補助ってくらい下位の天使」 名前も無いほど下位の天使は存在する。皆が輝ける者では無いのだ。「韓国にいた時は同居してたんだろ ? 」「あ〜。少しの期間だけ。 一応、医療免許持ってんだよ俺」「はぁ ? 知らなかったんですけど ? 公表しろよ ! バンドでそれってかなり好感度ポイント
Last Updated : 2025-11-23 Read more