パーキングエリアのベンチでロイと合流する。「霧香さんにダメージが言ってしまうなんて……本来我々の問題なのに……」 ロイは申し訳なさそうに頭を抱えた。 ロイの診察は独特だった。いや、相手がヴァンパイアだったから躊躇いなく魔法を使ったのだろう。霧香の頭、首、肩、腕をポンポンと触れていき常人には視えない魔法陣を浮かばせた後、診察は終了した。「内臓とか、脳に以上は無いね。外耳も中耳も炎症が無い。 やっぱり心因性難聴だね」 暖かい缶のポタージュを持たされたまま、霧香はボンヤリと駐車場のトラックの群れを眺めている。「炎症が無い場合、治療は…… ? 」「内服薬は同じだけど、安定剤も出そうか……でも、噂が落ち着いてくれるのが一番なんだけどね」「そうですね」 蓮はまだネットを見ていなかった。 時刻は0時を越える。 着信。 京介からだった。「あ、すみません」「どうぞ」「京介 ? 」『なぁってば !! ネット見た !? 』 何やら興奮した様子で喋り出す京介に思わず、顔を顰めて受話音量を下げる。「何 ? 」『だーかーらー、樹里から連絡来て言われたの ! X見たかって聞いてんの ! っつーかチャンネル登録者回復してるぜ ? 』「はぁ !? いや……だってさっきまで……」『とにかく見てみ ! 』 一方的に切られる。 蓮が通話中、そのそばでロイが霧香に筆談で尋ねる。『家に居た方が楽かい ? 』 質問の意図が見えず、霧香は顔を上げてロイを見る。『自分が一番居たい場所にいるのが一番だから。入院も出来るけどどうしようか ? 』「あー……」 それを読んで霧香は考える。 自分の居たい場所とは…… ? 蓮はモノクロのチャンネルを開くと、既に十万人まで回復していた。訳が分からない。 Xを開いたところでようやく把握し
Last Updated : 2025-12-13 Read more