白木夏希(しらき なつき)は先天性の不妊症だった。それでも水島伸光(みずしま のぶあき)は「たとえ一生子どもを持たないとしても、必ず君を妻にする」と言って結婚した。結婚五周年の記念日、しかしその日に彼の不倫が話題となり、Twitterのトレンドを騒がせた。彼は自宅の前で三日三晩も跪き、「敵に薬を盛られただけだ」と涙ながらに誓った。夏希は彼を許してしまった。ところが十か月後、彼が連れ帰ったのは双子の赤ん坊と一人の女……「夏希、久しぶりだね。まさか卒業してからこんな形で会うなんて」大学時代の友人、大嶋歩美(おおしま あゆみ)は柔らかく微笑み、そして伸光の目の前で臆することなく服をはだけ、赤ん坊に母乳を飲ませた。周囲のメイドたちでさえ顔を赤らめて、その場を離れていった。夏希は歩美を見つめた。彼女は学生の頃と同じように華やかで、授乳中の胸は豊かに張っている。腕に抱かれた赤ん坊の肌は透きとおるように白く、瞳はあまりにも伸光に似ていた。歩美が伸光に寄り添う姿は、まるで睦まじい夫婦そのもの、夏希の胸を深く抉った。彼女は顔色を失い、震える体で立ち尽くした。異変に気づいた伸光は慌てて使用人に命じ、歩美と子どもをゲストルームに連れて行かせた。夏希の目は怒りで赤く染まり、歯を食いしばって叫んだ。「子どもができなくてもいい、私だけを愛してるって言ったじゃない!あの夜も一度きりで、薬を盛られただけだって、あれは嘘だったの?」「もちろん君だけを愛している」伸光は甘えるように囁いた。「でも夏希、仕方なかったんだ。この前も見ただろう、父は孫の顔を見られないと怒って倒れてしまった。家の財産を巡って親族が争う中、父は『孫を見せろ、それで初めてお前を跡取りにする』と遺言した。だから今は子どもを受け入れてほしい。俺が水島家の地位を固めたら、すべて君の思うままにする」夏希は絶望の色を浮かべた。「一度の裏切りだけでも十分酷いのに、よりによって歩美?彼女は私の大学時代の友人なのよ」伸光は言った。「今さらそんなことを言っても仕方ない。歩美は水島家のために双子を産んでくれたんだ。君は苦しまなくていい、彼女が代わりに背負ってくれるんだから、それでいいだろう」そのとき歩美の声が響いた。「あなた、胸が張って痛いの。手伝ってくれない?」「分かった」伸光
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