白石晴夏(しらいし はるか)の婚約者は、よく彼女に宝石を贈っていた。誰もが羨むほど、高価で美しいものばかりだった。後になって彼女は知る。婚約者は浮気のたびに、償いのように宝石を贈っていたのだということを。最初の浮気の時、婚約者・黒川修司(くろかわ しゅうじ)は言った。「晴夏……俺、皮膚接触依存症なんだ、時に人の肌を触れないと落ち着かない病気で、あの時も発作が起きて……どうしても止められなかったんだ」晴夏は一晩中泣き続け、別れを切り出した。だが修司は、自ら命を絶つ勢いで彼女を引き止めた。「俺は浮気するようなクズじゃない!病気なんだよ!俺は死ねばお前が満足か!?……なら死ぬよ!」そして、本当に喉元に刃を当てた。晴夏は泣き崩れ、結局許してしまった。二度目の浮気は、修司とその幼なじみ・藤原月乃(ふじわら つきの)がベッドに並んでいるところを目撃した時だった。「違うんだ、晴夏!月乃は女として見てない。今回はたまたま発作が起きて……彼女を使っただけなんだ」月乃も続けて言った。「誤解しないで、晴夏さん。私たちは親友だから。男女の仲なんて絶対ないよ」それでも、晴夏は耐えきれず、また別れを告げた。その結果、修司は自分の体に爆薬を巻きつけ、晴夏の首を掴んで叫んだ。「晴夏、俺はな……お前から離されるくらいなら、死んだ方がマシだ。俺のそばにいてくれ、死ぬ時も一緒だ。一緒に死のう!死んだら俺も皮膚接触依存症に苦しまないし、お前だけのものになれる!」彼は起爆スイッチに手をかけた。涙で目が見えなくなるほど泣きながら、晴夏はまたしても修司を許すしかなかった。それからは、月乃が修司の「専属の治療薬」となり、どこへ行くにも一緒だった。「晴夏、あの子とは幼なじみだ。もし恋愛感情があるなら、とっくに付き合ってるさ。月乃がいるのはお前を守るため。汚れた場所にはお前を連れて行きたくないんだ。俺が愛してるのは、お前だけ」そう言いながら、修司は次々と宝石を贈り続けた。ジュエリーボックスはもういっぱいになり、しまう場所もない。そんなある日、月乃の妊娠が発覚した。涙が止まらない中、晴夏は七年間一度も連絡を取らなかった番号に電話をかけた。「桐野時生(きりの ときお)……私たちの許嫁、今でも覚えてる?」「覚えてるさ!やっと俺を思い
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