修司は激怒し、我を忘れて駆け寄り、いままさにキスを交わしている時生と晴夏を力ずくで引き離した。「てめえ、誰だ!?」修司は時生の胸ぐらを掴み、怒りに震えながら怒鳴りつけた。「俺の女に手ぇ出すなんて、死にてえのか!?」その言葉と同時に、彼は拳を振り上げ、時生の整った顔をめがけて殴りかかった。しかし、時生も黙ってやられる男ではなかった。修司のように名家の御曹司として育ったのではなく、時生のすべては自分自身の手で築き上げたものだった。泥水をすすりながらの下積み時代を経験し、金のために傭兵をしていたこともある。命をかけた修羅場を何度もくぐってきた男にとって、修司のパンチなど脅威にもならない。その一撃を軽々とかわした時生は、逆に左フックを修司の顔面に叩き込んだ。「そのセリフ、俺が言うべきじゃねえのか?」時生は低く唸るような声で言い放った。「てめえこそ誰だよ。俺の結婚式で暴れるとか、正気か?」一発で顔に青アザが浮かんだ修司だったが、それでも後退しようとはしなかった。彼は険しい表情で二人の間に立ち塞がったまま、静かに言った。「俺は晴夏の婚約者だ。俺たちは結婚する予定だったんだ!」その言葉とともに、時生を見下すような目で一瞥し、鼻で笑った。「お前、晴夏が雇ったエキストラだろ?俺に嫌がらせするために、わざとこんな茶番劇をやってるんだろ?いくら金をもらったか知らないが、俺が十倍出す。今すぐ消えろ!」彼は今でも信じて疑っていなかった。晴夏が自分を捨てるわけがない。これは単なる嫌がらせ、晴夏とその友人たちが仕組んだ嘘の結婚式だと。「晴夏、お前が怒ってるのは分かる。でもだからって、他の男にキスさせるなんて……」修司は苛立ちを隠せない様子で叫んだ。「本当にキスしてたよな?俺の目の前で他の男と……俺の気持ち、少しは考えたことあるのか!?」その言葉を聞いた晴夏は、あまりの滑稽さに思わず笑いそうになった。彼女は冷たい目で修司を見つめ、ゆっくりと、はっきりと問い返した。「黒川修司、あなたこそ、自分の言ってることがどれだけバカげてるか分かってる? 私の気持ちを考えろって言うけど、あなたが何度も月乃と浮気してたとき、私の気持ちなんて考えたことあった?」修司の顔は一瞬で青ざめた。「それは……違うんだ」彼は必死に弁解しよ
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