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第5話

Author: 白団子
晴夏は、黒川家の部下によって病院の外へと連れ出された。

怠けることがないようにと、修司の祖母は二人の使用人を晴夏につけた。W寺まで一歩一歩ひざまずきながら向かわせるためだった。

「ひざまずくときは、心を込めて祈りなさい」そう言い放った修司の祖母は続けた。「月乃とそのお腹の子のために、無事を祈って。仏様に加護を願うのよ」

晴夏は笑みを浮かべ、修司の祖母の見守るなか、静かにひざまずいた。

「仏様、どうかお願いします。私がこの先、二度と修司と関わることがありませんように。永遠に、死ぬまで会いませんように」

晴夏は一度ひざまずくたびに、心の中でそう祈り続けた。

すべてを差し出しても構わない。仏様の加護を得て、修司から永遠に解放されるのなら──

W寺までは車で丸一日かかる距離だった。それでも晴夏は、障がいのある左足を引きずりながら、血まみれになっても、ひたすらひざまずき続けた。

膝はとうに裂け、白いワンピースの裾は血で赤く染まり、足元には血の跡が点々と残っていく。

終盤には痛みさえ感じなくなり、意識は朦朧としながらも、彼女はただひたすら前に進んだ。

もう少し、あと少しで着く──

心を込めれば、仏様はきっと願いを叶えてくれる。その一心で、晴夏は最後まで倒れずに耐え抜いた。

そして、巨大な仏像が視界に入ったその瞬間──晴夏は安堵の笑みを浮かべた。

汗と血にまみれた体で、最後にもう一度ひざまずき、祈る暇もなく、そのまま意識を失った。

……

次に目を覚ましたとき、晴夏は病院のベッドにいる。

ベッドのそばには、修司が座っている。彼は晴夏の手を握り、不安げな表情を浮かべている。

「晴夏……やっと目を覚ましたね」

彼は優しく声をかけた。

「願いが通じたよ。月乃と赤ちゃん、無事だった。

お前にはつらい思いをさせたけど、あの場には藤原家の人間もいた。あの時、お前を守ったら彼らの怒りをさらに買ってしまった。だから、仕方なかったんだ。

晴夏は賢いから、きっとわかってくれるよね?」

晴夏は、穏やかに微笑んで言った。

「……うん、わかってる」

もちろん、よくわかっている。あのとき、修司の目に浮かんでいた冷たい光。

彼は「守れなかった」のではなく、「守るつもりがなかった」。今さらの言い訳など、ただの後付けだ。

だが、修司は彼女の言葉の裏にある棘に気づくことなく、彼女の額に軽く口づけた。

「晴夏は本当にいい子だね。

今回は許すけど、もうこんな無茶はしないでくれよ?お前は知ってるだろ、俺の心にはお前しかいない。月乃なんて、ただの一時しのぎの薬みたいなものだよ。お前の立場を脅かすような存在じゃない──」

そのとき、病室の扉がノックもなく開いた。

「黒川さん、藤原さんがご機嫌斜めで食事を取りません。至急、ご対応を」

看護師の報告に、修司はすぐに立ち上がった。

「手術直後に何も食べないなんて……大変だ」

そう言うや否や、彼は晴夏の容体も医師への確認もせず、病室を後にした。

その後も数日間、修司は月乃のもとにつきっきりだった。晴夏の部屋には、たまに顔を出す程度。

そんな様子を見ている看護師たちは、陰でささやき合った。

「藤原さんが黒川さんの婚約者なんだって?」

「じゃあ、あの足を引きずってる女の人は何者?」

「さあ……でも黒川さん、本当に藤原さんには優しいよね。毎日自分でご飯を作ってるんだって」

「つわりで吐かれても全然気にしないんだって。理想の彼氏すぎる……」

「今夜は、気晴らしのために花火を数千発も用意してるって聞いたよ」

看護師たちの無邪気な噂話を聞きながら、晴夏の胸は氷のように冷えていった。

思い出す。まだ付き合いたてのころ、彼はどんなに忙しくても、風邪をひいただけでベッドのそばを離れなかった。

薬もご飯も、全部彼が自分の手でしてくれて──使用人には一切任せなかった。

今の自分の病室には誰もいない。冷えた病院食を一人で口に運ぶ。

夜空に咲き誇る花火は、自分のためではない。

彼の心は、もうとっくに、別の誰かに向いていた。

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