のちに素羽がどのような災難に巻き込まれたのかを知った楓華は、亘に対してこれ以上ないほど不機嫌な態度を取った。亘からすれば、まったくもって理不尽な話だった。完全なとばっちりではないか。これのどこに自分の責任があるというのだ。毎日真面目に会社へ通い、夜になればせっせとベッドで励んでいるだけで、何ひとつ悪いことなどしていない。それなのに、なぜまたしても連座の憂き目に遭わなければならないのか。「類は友を呼ぶって言葉くらい知ってるでしょう。ああいう連中と友達でいられる男が、まともな人間のはずないじゃない」本当に脳みそまで腐りきった連中だ。あの男たちは物事を尻で考えているのだろうか。頭を使うたびに脳内の汚物までかき混ぜているに違いない。そうでもなければ、あれほど悪臭を放つような暴挙に出られるはずがなかった。どいつもこいつも、一人残らず野垂れ死ねばいい。亘は言った。「その理屈でいくならさ、同じ布団で寝ていて全然違う人間が育つわけないってことになるぞ。俺がまともじゃないなら、毎日俺と一緒に寝てるお前だって同類ってことになる」楓華は氷のように冷たい眼差しで彼をじっと見据えた。その視線に射抜かれた亘は、慌てて言葉を取り繕うように、もっともらしい顔で続けた。「いや、何が言いたいかというとだな。俺たち二人はドブ川に紛れ込んだ清流の魚みたいなもので、泥より出でて泥に染まらぬ高潔な存在だってことさ。他人の醜さのせいで、自分たちの価値まで下げる必要はない。お前のその考え方は正しくないし、かなり危険だ。改めたほうがいい」要するに、今後は二度と自分のような無関係な人間を巻き込まないでほしい、ということだった。楓華は鼻で笑った。彼の戯言など、聞くだけ時間の無駄だった。亘はふざけた表情を引っ込めると、一転して真剣な顔つきで釘を刺した。「素羽に伝えておいてくれ。しばらくは何事にも細心の注意を払うようにってな。利津はあの家で相当溺愛されている。あれだけの重傷を負わされたんだ。谷川家の人間が何事もなかったように引き下がるはずがない」もし素羽に立派な家柄があり、後ろ盾になってくれる存在がいたなら、今回の件は正当防衛として処理されていただろう。だが、素羽の立場は一般人と変わらない。いや、むしろ普通の人よりも過酷な境遇にある
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