All Chapters of いつもあなたのそばにいたい: Chapter 51 - Chapter 60

68 Chapters

第51話 名古屋のこと

その夜、 ヒロさんからメッセージが送られて来た後に、テレビ電話を繋いだ。 「お疲れ様〜」 『お疲れ〜! ひまり〜驚いたよ』 「うん、私も驚いたけど、嬉しい〜」と言うと 『うん、ひまりが会社に来てくれるなんて、すっごく嬉しいよ』と言うヒロさん。 「うん。どうだった? 初日は」と聞くと、 『うん、東京より人数が少ない分、みんな仲良くて、良い人たちだよ』と言う。 「そうなんだ、良かったね……」と言うと、 『うん』 『ん? ひまり何か言いたそう?』と言う。 また、ヒロさんは、私の表情を読んでいる。 「うん、女性社員さんたちは、どうだった?」と、 やっぱり、聞かずには居られなかった。 『ああ〜そういうことか』と笑っている。 『ひまりが心配するようなことは何もないよ!』と言うが、やはりそれだけでは何も分からない。 憂鬱な顔をしていると、 『全体的に年齢層が高いんだよな』と笑っている。 「え? そうなの?」と言うと、 『うん、もちろん若い子も居るけど、あ、ひまりの同期の子も居たよ、なんて名前だっけ?』 「里中さん?」 『ああ、そうそう、そんな名前だった』 「そっか、私のこと覚えてくれてるかなあ?」と言うと、 『バッチリ覚えてたよ! 部長が教えてくれて、 奥さんと同期だって』 「そうなんだ! 良かった、覚えてくれてたんだ」 入社式の時に少し話して、その日1日は一緒に行動していた。 『うん、会いたいって言ってたよ』と言われ、 「うん、私も会いたい! 入社式以来だもの。会えるの嬉しい」 『だな。あとは…
last updateLast Updated : 2025-11-06
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第52話 仕事として

いよいよプロジェクトが大きく動き出した。 翌日、中村さんに迎えに来ていただいて、お姉様と横浜支社へ向かった。 実際に現場の声を聞けることは、とてもためになった。 私たち本社の社員とは、違う支社特有の苦悩もあるようだし、男性、女性の格差も未だにあって、ジェンダーレス社会に向けての取り組みも見えて来た。 昔ほどではないが、未だに残るセクハラ、パワハラ、それを誰の目に触れるかも分からないようなアンケートなどには、到底書き記せない。 やはり、実際に行ってみないと、文字だけでは分からないことがたくさんあるのだとよく分かった。 行って良かったと思った。 私たちは、一応会社側から選ばれて、会社への要望を出しながら、過ごしやすい会社作りをする為に立ち上げられたのだと思っている。 なので、最初は敬遠されていた方々も、徐々に口を開いてくださるようになって良かったと思った。 私自身もとても勉強になった。 今、自分が学ぶべきタイミングだったのではないかと思った。 「あ〜疲れた!」とお姉様 「はい、そうですね。お疲れ様でした」 「お疲れ様〜珍しく真面目に話を聞いてたからね〜」 「ふふ、はい」 謙遜されているがお姉様は、人の気持ちがよく分かる、ホントに凄い方だと思っている。やはり、ヒロさんと姉弟だなと思う。 お昼は、中村さんも一緒に横浜中華街でランチを堪能した。 そして、中村さんも夕方まで同行していただいたので、お土産を買いに行こう! と又中華街へ行き、私たちは、「お疲れ〜」とビールで乾杯して、小腹が空いたので角煮まんを食べた。美味しかった。 シュウマイを買って帰った。 お姉様は、お義兄様の分も持ち帰りされてた。 「お疲れ様でした。また明日から名古屋よろしくお願いします」と言うと、
last updateLast Updated : 2025-11-07
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第53話 ひまりの出張

早朝から新幹線に乗って、名古屋へ向かった。 そして、会社に到着。 「ひまりちゃんは、一度来たことがあるの?」 「はい、先日ヒロさんと来た時に、会社はお休みでしたが課長さんに案内していただいて」と言うと、 「そっか、じゃあ社員さんたちと会うのは初めてだね」 「はい」と、緊張してきた。 玄関を入り受付で社員証を提示し、許可証をいただいた。 さすが受付の方は、どの会社もお綺麗な方がいらっしゃる。 なぜかお姉様も秘書の品格からか、いつも以上に丁寧にご挨拶されて対抗意識? それとも本社秘書のプライド? と思えるような素敵な笑顔で、より一層お綺麗に見えて私まで圧倒された。 ──さすがNo.1秘書さんだ! 私も自分が持てる最善の努力をして、笑顔で応対した。が、私なんて足元にも及ばない。 それでも、ヒロさんの妻として見られているかもしれないと思うと、ヒロさんに迷惑をかけないように、きちんとしなければと思った。 そして、エレベーターで7階の会議室へと向かおうとした時、お姉様に、 「5階がヒロさんの居る工事部です」と伝えると、 「行こう!」と、お姉様は、ポチッと5階を点灯させた。 「え? 今から行くんですか?」 「うん、まだ時間があるし、最初が肝心!」と…… 「はい!」 そして、ピーンと5階到着を知らせる音が鳴り、 扉が開いた。 エレベーターに乗ろうと思われていた男性社員たちが並ばれていたので、 「失礼致します」とお姉様が降りられたので、 私も続いて「失礼致します」と降りた。 皆さん圧倒されながらも会釈をされていた。 なんだか楽しくなって来た。 ──コレ、何ごっこ?
last updateLast Updated : 2025-11-08
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第54話 聞き取り

午後からも違う部署の女性社員さんにお話を聞くことが出来た。 お姉様の同期の方もいらして、色々なお話を聞いたが、やはりこの名古屋支社では、大きな問題はなく、とても良い環境なのだと分かった。 「にしても、弟さんイケメンね」と言われているお姉様。 「あら、ありがとう。でも、弟は、この奥さんである ひまりちゃんしか愛せない人だからね」と言ってくださった。 「まあ、そうなの〜? 結婚されてるのね」 「うん。新婚ラブラブだから、誰も邪魔は出来ないからね」と、更に念を押してくださって少し恥ずかしかった。 「あら、遅かったか……」と笑っていらっしゃる。 「誰が来ようが、弟は無理よ! ひまりちゃんだけだから! 皆さんにもお伝えしておいてね」と言ってくださった。嬉しかった。 「ありがとうございます」と、後でお礼を言った。 「ホントのことだもの。心配だったんでしょ?」 「はい」と言うと、 「ふふ、そうよね〜だから、早くこっちに来なきゃね〜」と言ってくださる。 「はい! 頑張って仕上げて、早く来られるようにします」と言ったら、ニコニコ笑われた。 そして、最後に工事部の部長さんと課長さんにも、 聞き取りをさせていただくことになった。 先ほど、お姉様が人事部のお義兄様に、確認を取ってくださったら、支障が出てる件、部長と課長にも確認を取って来て欲しいと言われたようだ。 すると、やはり支障が出て来ているのは、事実のようだ。 仕事を円滑に行うという意味では、既に妨げになっているし、何度かミスのせいで部内の人に迷惑をかけているのは明らかだ。 なぜ上に報告しなかったのか? については、 やはり、この雰囲気は長年かけて出来上がったものだし、壊したくなかったという思いもあったと。実際に定年後も嘱託職員としてでも働きたいと言われているのに、今
last updateLast Updated : 2025-11-09
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第55話 歓迎会

ひょんなことから、歓迎会に参加させていただくことになった。 ヒロさんにも伝えると、 「え、そうなの?」と、 「うん」 「ふふ、良かったな」と笑っている。 「ん?」と私が聞くと、 「ひまりのことだから、心配してたんでしょう?」と、「え、どうして分かったの?」と聞くと、 「何でも分かるよ、ひまりのことは……」と言われた。 「ふふ」 廊下で話していると、お姉様がいらして、 「いや〜んお店でもラブラブ、会社でもラブラブ〜」と揶揄われた。 「やめろよ! まったく」とヒロさんが恥ずかしそうに笑っている。 「ハハッ」とイタズラに笑うお姉様。 仲の良い姉弟だ。 そして、定時後、居酒屋で行われた歓迎会に私たちも参加させていただいた。 途中、お義兄様も到着された。 「早かったね」とお姉様。 「うん、早めに出させてもらったから」と。 そして、お義兄様は、部長さんとお話をされていた。 ヒロさんの周りには、例の如くおば様で埋め尽くされていた。 なので、私はお姉様の隣りの席で飲んでいた。 「あ〜あ、やっぱ、あゝなるよね〜」と……ヒロさんを見ながら言うお姉様。 「想定内ですね」と私は、笑っていた。 すると、こちらには、部内の男性陣が集まって来た。 「いや〜田上姉妹は、ホントにお綺麗だ〜」 ──完全に姉妹になっている。 「あら〜名古屋の男性は、お上手ですね」と軽く遇らうお姉様。 「まあまあ、どうぞ1杯とお姉様にも私にもグラスにビールが注がれた」 「「乾杯〜!」」と、何度目の乾杯だと思うぐらいみんなで乾杯
last updateLast Updated : 2025-11-10
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第56話 ヒロさんの部屋

「久しぶり〜」と、ヒロさんの部屋のドアを開ける。 たった5日ぶりなだけなのに、随分久しぶりな感じがする。 いきなりヒロさんに、「ひまり〜」と後ろから抱きしめられる。 しばらく黙って抱きしめられる。 でも、ちゃんと前から抱きしめて欲しくて、後ろに向き直って私から抱きしめる。 「あ〜久しぶり〜」と言うヒロさん。 「ふふ、会うのは、3日ぶりだよ」と言うと 「凄く長〜く感じた」と言って離さない。 「ふふ、そうなんだ」 そして、「よく顔を見せて」と、今度は、両手で顔を押さえてガン見している。 「ふふ、毎日見てるじゃない」と笑うと、 「画面越しだから」と言うと、 黙ったままキスが落ちて来た。 ──あ〜〜これこそが、愛のバロメーター ヒロさん最強のキスだ! 何度も何度も……重なり合う唇…… ──あ〜久しぶりのヒロさんだ〜 そして、又ぎゅっと抱きしめられる。 「会いたかった〜」と言われた。 凄く嬉しかった。 「私も会いたかったよ」と言うと、 「ひまり〜」とまた、強く抱きしめられる。 「グッ、ぐるじ〜い〜」と言うと、 「あ、ごめん。大丈夫か?」と慌てるヒロさん。 「ふふっ、うん、強すぎ〜」と笑う。 「ごめん」 ようやく部屋の中へ 「部屋、綺麗なままだね」と言うと、 「うん、頑張って保ってるよ」と言うので、 「偉いね〜」と、頭をヨシヨシしてあげた。 「ふふっ」と笑いながら嬉しそうだ。 またガシッと私の腰に両手を回される。
last updateLast Updated : 2025-11-11
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第57話 ひまりが帰る日

──日曜日 いつも、帰る時は寂しい。 楽し過ぎた。 やっぱり1日も早くこっちに来て、一緒に暮らしたいと思った。 手を繋いで、ギリギリまで一緒に居る。 2人共、徐々に口数が減る。 「来週は、俺が帰るようにするからな」と言うヒロさん。 「うん」 しばらくは、こんな日が続くのか…… 無情にも、新幹線が入って来た。 「じゃあ、またね」と言うと、 「おお、気をつけて」と。 「うん」 「駅まで中村さんが迎えに来てくれてるからな」 「うん、ありがとう」 前回よりは、少しマシだが、やっぱり別れる時は寂しい。繋いだ手がなかなか離せない。 新幹線のドアが開いた。 「じゃあ、行くね」と言うと、 「うん」と言いながら、ぎゅっと抱きしめられた。 やっぱり、ウルウルしてしまう。 「帰ったら、連絡して。いや、やっぱりすぐに連絡する」と言うヒロさん。 「ふふ、うん」 「じゃあね」 「うん、あとでな」 「うん」 寂しくないように、『あとで』と言ってくれる。 ようやく手を振り、新幹線の中へ 必ずホーム側の窓際の席を取るので、最後まで手を振ることが出来る。 この前とは逆だ。今日はヒロさんが見送ってくれる。窓際まで来て、手のひらを窓ガラスに当てている。私も手を合わせる。 ── これ一度やってみたかったんだよね 丈夫な窓ガラスだから、体温なんて感じないけど、ヒロさんの姿が見えているから、それで良い そして、いよいよ、発車の音が
last updateLast Updated : 2025-11-12
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第58話 プロジェクト

2週間かけて、10支店それぞれに聞き取りに行ったプロジェクト。 ラストは、本社の聞き取りだった。 早く調査の終わった私とお姉様が聞き役をした。 ヒロさんのファンも多く、やりにくかったが、隣りにはお姉様が居てくださったので心強かった。 以前は、アンチだった人も、ようやく私の存在を知ってくださり、聞き取りには協力的だった。 2対1なら、話しやすいのか、普段おとなしい方も色々話してくださったので良かった。 より良い方向に向けば良いなと思っている。 コレをまとめて、会社への要望をして回答をもらい、今度は会社と一緒に資料をまとめて公表する。 そうしたら、ようやく自分達の任務は終わる。 思ったより早く終わりそうだ。 ──あと少しだ ────翌週金曜日 今度は、ヒロさんが帰って来る日だ。 私は、仕事を終えて、そのまま中村さんに車で東京駅まで送ってもらい、ヒロさんを迎えに行った。 早く着いたので、お店を回って時間を潰す。 ヒロさんと一緒に食べる、シュウマイを購入する。 「コレ美味しかったんだよね。東京駅でも買えるんだね〜」と独り言を言いながら…… 「あ、中村さんにも買おう」と購入。 そして、ホームまで行く。 新幹線が入って来て、聞いてた車両を見る。 ヒロさんの姿を見つけるととても嬉しかった。 ニッコリ笑って手を振る。 そして、ヒロさんがドアから降りて来た。 「お帰り」 「ただいま〜」と、ハグをするヒロさん。 いつの間にか、周りは気にならなくなっている。 マンションまで、中村さんに送っていた
last updateLast Updated : 2025-11-13
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第59話 パート制度、異動

────7月になった 私たちのプロジェクトは、承認された。 そして、新しくパート制度が始まることになった。 なので、名古屋の社員さんだった50代の女性3名は、パート制度を使って、1日4時間程度の勤務に移行した。 業務内容は、各部署で相談していただいて、本人たちのご希望もあり、細かい作業は省いて、電話応対もしないということになったようだ。 なので、その分の即戦力が欲しいとのことだ。 私もヒロさんが名古屋に居る間だけの短期希望なので、パート制度を利用したいと言った。 が、『ほぼ2年弱あるし、社員として働いてはどうか?』と言われた。 これから先のことを考えると、いつかは子どもも欲しいし、主婦業もきちんとしたいので、ヒロさんのおかげで収入も安定しているし、やはりパートの方が有り難いと思った。 ならば、『業務内容に従来通りの事務仕事と電話応対も含めても良いか?』と言われたので、それは構わないということで、話がついた。 いよいよ、私も7月10日付けでの名古屋勤務となることが決まった。 ────7月1日 早速、昼休みにヒロさんに、電話で話す。 『やった〜! 嬉しい! 又ひまりとずっと一緒に居られる』と言うヒロさん。 「うん、ホントやっとだよね。お待たせしました」 と言うと、 『ううん、プロジェクトよく頑張ったね、お疲れ様』と言ってくれた。 「ありがとう〜」と嬉しくて泣きそうになった。 『東京のマンションは、中村さんに管理をお願いして、こっちに
last updateLast Updated : 2025-11-14
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第60話 2人で引っ越し

今まで漠然としか子どものことを考えていなかった。 子どもが出来たら、どこで産むかなど具体的なことは、考えたこともなかったが、もし実家に帰ったりするなら、やはり一時的に異動で来ている、名古屋より東京で産む方が良いのかもしれないと思った。 「もし、東京で産むならベビーシッターさんやお手伝いさんを付けても良いし」とヒロさんは言ってくれるが…… さすが田上家と思ったが、私はどちらかと言うと、 子どもの成長は自分の目で見たいから、その時は、仕事を辞めて育児に専念したい! そう話すと、「分かった、良いね。仕事はいつ辞めても良いからね」と言ってくれた。 「うん、ありがとう」 なので、名古屋に居る間は、子どもを作らない。 離れていた分、これからの2年間は、もう少し2人で仲良く暮らしたいと思った。 そして、突然ヒロさんが、 「じゃあ、そろそろフォトウェディングでもする?」と。 「え、フォトウェディング? 結婚式は、東京に戻ってからじゃなかったの?」と聞くと、 「挙式披露宴は、東京で盛大に行なうと思うから、2人で先に撮影しない?」と言う。 「ホント?」 「うん、ひまりの花嫁姿が見たいよ」とヒロさん。 「わあ〜嬉しい! ヒロさん! ありがとう〜2年先なら2歳歳が増えちゃうと思ってたの」 「ハハッ、ひまりはまだまだ若いよ」と言うヒロさん。 「でも、入籍した時は、こんなだったのよって、将来子どもに言いたいじゃない!」 「そっか、ならそうしようか……」 「うん、嬉しい」
last updateLast Updated : 2025-11-15
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