私の申し出にヒロさんは、優しく「分かった!」とだけ言って、ベンチから立ち上がり、そっと左手を差し出してくれた。 私は、その手を右手でぎゅっと握って立ち上がり、ヒロさんの隣りに並んで2人でゆっくり歩き始めた。 それは、側から見ると、きっと微妙な顔をしてる男女だっただろう。 笑顔もなく、神妙な面持ちで、喧嘩でもしたのか? それとも、別れ話でもして難しい顔になっているのだろうかというような…… この2人が今からラブホテルへと向かおうとしているなどとは、まさか誰も想像出来ないだろう。何のエロスも感じ取れない雰囲気に違いない。 私は、今から聞くヒロさんの秘密が何かも分からないし、その不安に襲われながら、 更にその後、きっとたぶん、昨日よりは…… 昨日のキスよりは、先へと進むであろうことにも、 どちらにもドキドキしている様が、全てこの微妙な顔……神妙な顔に表れているだろうと思った。 2人で黙ったまま、車まで数メール歩いて、乗り込んだ。 ヒロさんは、私に「大丈夫?」と聞いてくれた。 「うん、大丈夫!」と無表情で答える私を見て、 「ふふ、全然大丈夫そうには、見えないけど?」と、 微笑みながら、また私の右手を握ってくれた。 「ううん、大丈夫だよ。早くラクになりたいだけ」 と言うと…… 「ラクに……って、ふふっ、 ん? それは〜俺の話を聞いて? それとも……」 「あ〜〜話を聞いて……の方よ!」 「ふふ、そっちね」と「グフッ」と吹き出しながら笑っている。 ──意地悪! 本当は、両方だよ…… と思っていた。 「じゃあ行きますか」と車は、走り出した。 ──あ〜〜ドキドキする初ラブホ潜入
Last Updated : 2025-09-27 Read more