保司は呆れ果てていた。目には嫌悪感がよぎった。自分の誕生日パーティーでこれほど何度も邪魔をされるのは、誰だって気分が良いはずがない。彼は笑顔で路加に言った。「森野さんは用事があるので、先に帰られます。代わりに私がステージに上がって、兄さんと一曲弾いて皆さんの興を盛り上げましょうか」この時になって、路加も保司の不機嫌さに気づいた。口元を緩めて微笑み、冗談めかして言った。「亜夕美さんは本当に幸せ者ね。いつだって誰かが助けてくれるんだから。まあいいわ、ただ残念だと思っただけ。志摩先輩は国際的に有名なピアノの巨匠だし、彼と共演できる機会なんて滅多にないもの。亜夕美さんが志摩先輩と共演したくないなら
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