遥side「今のビジネスや将来のビジョンってどういうこと……? 本当に仕事の話なら、彼女じゃなくて住吉商事の社長である奏多と協議する方がビジネスとして合理的じゃないの?」社長室へ戻ってきた俊にすぐさま問い詰めると、 俊は小さく溜め息をついてからゆっくりと首を横に振る。その瞳は、どこか遠くの霧の向こうを見つめているようで、いつもの温かな兄の眼差しではなかった。「いや、話をすべきなのは彼女だ。彼女に聞きたいこと、彼女にしか分からないことがたくさんあるんだ」 「……ねえ、最近麗華と頻繁に会っているようだけれど、どんな話をしているの?彼女が今までしてきたことを知っているのになんで、麗華となんか関わっているの?」「明らかにしなければならないことがある。そのためには、彼女の証言が必要なんだ……」 「明らかにしたいことって……? もしかしてそのために私と住吉の結婚についても影で調べていたの?」俊の肩が一瞬だけ硬直した。その反応だけですべてを確信した。「なんでそれを……」 「ごめんなさい。……この前、花蓮とかくれんぼをしていた時に、住吉に関する報告書を偶然見つけてしまったの。私と奏多の結婚について、細かく調べ上げられた記録があったわ。俊は、あの報告書の内容を信じたから麗華に話を聞こうとしているの?」今まで聞くのが怖くて黙っていたことを尋ねると、俊はしばらくの間、じっと目を伏せていた。そして、絞り出すように静かに口を開いた。「前に新製品を案内するためにハリーと四人でパーティーに出席したのを覚えているかな?その時に、彼女から遥と住吉社長の結婚について聞かされたんだ。それで、話に信憑性があるか確かめるために調べたまでだよ」俊の言葉が鋭い刃のように私の胸に突き刺さる。『信憑性を確かめるため』と言っているが、それは事実かもしれないと思ったからではないのだろうか……。ショックで足元の床が抜け落ちるような感覚に陥り言葉を失った私に、」隣にいた直人がすぐに一歩前へ出た。「俊さん、……まさかあの星野って女のことを信じるんですか?彼女は、遥にありえもしない罪まで偽造して離婚させようとしたんですよ。最近だってSNSに酷い投稿をして、彼女の人格を俊さんなら分かっているんじゃないですか?」「……彼女が妊娠していた時に、遥が流産させようとしたという話か? それについては、彼女から直
最後更新 : 2026-05-23 閱讀更多