「清花、大ニュース!うちの無口な弟、なんと私に隠れてこっそり恋愛してたのよ!」その言葉を聞いた瞬間、神原清花(かんばら きよか)は思わずスマホを握る手を止めた。なぜなら親友の口にした恋愛相手こそ彼女であり、しかも彼女は親友の弟とすでに4年間も密かに恋をしていたからだ。最初は親友との関係もあって言い出せなかったし、付き合い始めた頃は東山優吾(ひがしやま ゆうご)がまだ高校を卒業したばかりだったから、ずっと隠していた。まさか彼が大学を出たばかりで関係を公にするなんて思ってもみなかった。そう考えた清花は、無意識に微笑んで口にした。「彼、知佳に話したの?」「そんなわけないでしょ」東山知佳(ひがしやま ちか)は興奮した声で続けた。「優吾の彼女さん、どうやら今日ちょうど帰国したみたい。彼はクラブで歓迎パーティーを開いてるの……」清花は遮った。「それ、間違いじゃない?」「間違いないって。優吾って、普段は誰に対しても冷たいでしょ。なのに、今夜はその子のためにお酒を引き受けたり、プレゼント渡したり、ずっとその子から目を離さなかったのよ。あの眼差し、優しすぎて鳥肌立ったわ……」知佳はまだ喋り続けていたが、清花の耳にはもう何も入ってこなかった。清花は聞き間違えたんじゃないかとさえ思った。我に返った彼女は、震える声を押し殺し、平静を装って尋ねた。「二人、どれくらい付き合ってたの?」「それは知らないけど、聞いた話だと、ずいぶん前から優吾がその子を追ってたみたいよ。それがね、結構一途なの。高校の頃からその子を追いかけてて、本来ならトップ校に行ける成績だったのに、彼女のために志望を変えたんだって。でもね、結果どうなったと思う?その子にはもう好きな人がいて、憧れの男を追って留学しちゃったの。優吾、それでだいぶ落ち込んでたわ。後で、その子が海外でトラブルにあったと聞くと、すぐに飛んで行ったの。この数年、往復の航空券だけで束になるくらいよ……これも母さんから聞いた話なんだけど、ずっと私はその子がどんな人なのか気になってたの。だってあの高嶺の花と呼ばれる優吾が、何年も忘れられないなんて!で、今日ついに本人を見たの。さて、どんな発見があったと思う?」数秒の沈黙の後、清花は喉からやっと搾り出すように「知らない」と
Read more