博之は重い胃の持病を抱えていた。若い頃、接待で無茶な飲み方をしたせいで、胃に穴が開いたことさえある。これ以上飲み続ければ、胃を切除しなければならないほどの状態だった。文月は酒にめっぽう弱く、いわゆる「戦闘力ゼロ」なタイプだった。どう対処すればいいか分からず、焦りを募らせていた。すると、大友社長がグラスを掲げた。「一杯、付き合ってください」そのグラスは、文月に向けられていた。文月は反射的に自分のグラスを持ち上げた。接待である以上、避けては通れない。付き合いで酒を飲むのは、社会人なら仕方のないことだと、自分に言い聞かせながら。しかし、博之が突然横から彼女のグラスを奪い取った。その声は相変わらず淡々としていた。「この酒は僕がいただきます。帰りの運転は彼女に任せてありますので」「北澤社長も堅いことを言いますね。こういう美人は、少し酔わせた方が面白いでしょう」大友社長の視線は、ねっとりと文月に絡みついていた。文月は立ち上がった。「化粧室に行ってまいります」彼女は逃げるように席を立った。化粧室に入り、個室から出ようとした時だった。大友社長のアシスタントが、突然文月の前に立ちはだかった。その顔には、明らかな嘲りと嫉妬が浮かんでいる。「北澤社長に取り入るなんて、いい度胸ね!北澤社長に酒を代わりに飲ませるなんて!」松本美紀(まつもと みき)は嫉妬に狂っていた。なぜ自分は大友社長のようなスケベ親父の相手をしなければならないのに、文月はその必要がないのか。北澤博之のような若きエリートに、惹かれない女などいないだろう。彼女だってパトロンを乗り換えたい。文月があのスケベ親父の相手をすればいいのだ!「何をおっしゃっているのか、わかりません」文月は淡々と言った。「北澤社長が私に気があるとでも?」「自惚れないでよ。あのような方が、あんたごときを相手にするわけないでしょう!」美紀は冷笑を残し、先に立ち去った。文月が戻ると、自分の席がすでに美紀に占領されていることに気づいた。空いているのは、大友社長の隣の席だけだ。彼女はそこに座ろうとしたが、大友社長の視線は隠そうともしない欲望に満ちていた。文月は全身が凍りつくような寒気を感じた。恐る恐る座った次の瞬間、太ももに手が這い上がってきた。バーで商談をするよう
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