涼真さんの手が、そっと私の手を包み、指が絡められる。 所謂「恋人繋ぎ」で手を繋がれて、私は自分の頬が赤く染まって行くのを感じた。 きゅ、と力を込められ、自然と私と涼真さんの距離が近くなる。 涼真さんの腕が私の腕に触れ、私は自分の鼓動が速まるのを感じた。 ちら、と涼真さんを盗み見る。 涼真さんは普段と変わらず、落ち着いた表情のまま。 顔色も、何も変わっていない。 そんな涼真さんを見て、私はそっと自嘲するように笑う。 意識してしまっているのは、私だけ。 涼真さんは微塵も動揺していないし、婚約者の振りを完璧にしているだけ。 こんな風に、胸を騒がせているのは私だけなんだ。 そう、思うとつきりと胸が痛むような気がして。 だけど私はそんな痛みには気付かないふりをして、涼真さんと一緒にお店を出た。 「すみません、涼真さん。ごちそうさまです」 「どういたしまして。部下でもある君に出させる訳にはいかないだろ?それに、大事な婚約者に出させる事だってしたくないからな」 悪戯っぽく笑みを浮かべる涼真さんに、ついつい私はくすくすと声を漏らして笑ってしまう。 どこか、緊張している私を気にしてくれているのだろう。 緊張を解そうとしてくれている涼真さん。 そんな涼真さんの優しさがとても嬉しい。 手を繋ぎながら、駐車場に向かって歩く私たち。 お店の駐車場が見えてきて、涼真さんの車が見えた──。 その時。 清水瞬が、私たちの車の近くで待っているのが見えて、私はぎくりと体を強ばらせた。 「──心?」 涼真さんにも繋いだ手から、私の体が震えた事が伝わったのだろう。 不思議そうに私を見て、そして私の視線を辿った涼真さんも清水瞬の姿を見て、僅かに眉を顰めた。 自分の車に背を預けていた清水瞬が、私たちがやってきた事に気付き、車から背を離す。 そして、私の姿を見た清水瞬は嬉しそうに顔を輝かせたけれど、その視線は私たちの繋がれた手に向かい、不愉快そうに眉を寄せた。 「何故手を繋いでいる」 不機嫌さを隠しもせずに、清水瞬が低い声で話しかけてくる。 涼真さんは、彼を冷たく一瞥したあと、至極当然のように答えた。 「付き合っている男女が手を繋ぐなんて、普通の事だろう。君も、心と付き合っていた時は手を繋ぐくらいはしていたんだろ?それと同じだ」 「……っ、お前
Última actualización : 2025-12-14 Leer más