Todos los capítulos de 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Capítulo 161 - Capítulo 170

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161話

ふわり、と香るシャンプーの匂い。 やわらかな感触。 すやすやと眠る、心地良い息遣い。 「──っ、こ、心っ、起きてくれ心っ」 俺は、真っ青になればいいのか、真っ赤になればいいのか分からない状態で、声を潜めて心に話しかける。 手洗いに行ったはいいものの、寝ぼけていた心は何故か俺が眠るリビングのソファにやって来た。 そう言えば、眠る前に心がソファで寝るから、と言っていた。 その事を気にしていたのだろう。 無意識にソファに来て、俺の代わりに自分がソファで眠ろうとしたんだろう。 だが、俺がソファを使っている今、心がここに来たら大変な事になる。 無理やり起こすのは可哀想だが、この状態じゃあ流石に不味い。 俺は自分の体の上に倒れ込み、すやすやと寝息を立てる心の肩を掴み、優しく揺さぶった。 「心、頼むから起きてくれ心」 さっきから、心の柔らかい胸元が俺の胸に当たっている。 厚手のバスローブではあるが、俺が着ているバスローブの胸元がはだけてしまっているせいで、心の胸の感触がはっきりと分かってしまって──。 このままじゃあ、不味い事になる。 「んむぅ……!」 「え、心?──うわっ」 揺さぶられるのが不快だったのだろうか。 心は不機嫌そうな声を上げると、俺に乗っかったまま、更に体を押し付けてきて──。 そのまま俺の体に自分の腕を回し、ぎゅうっと抱きついてきた。 「──っ」 その瞬間、俺の頭の中が真っ白になった。 暫く放心していた俺の足の間に入り込んだ心の太ももが、際どい場所に触れた事で、俺の意識が戻った。 不味い、本当に不味い。 このままだと、今心の目が覚めたら確実に幻滅される──。 俺は心を上に乗せたまま、慎重に慎重に体を起こし、ソファの上に上半身を起こした。 心の背中に手を回し、落ちてしまわないようにしっかり抱き寄せ支えたまま、なるべく揺らさないようにソファから足を下ろした。 そのまま心を横抱きにして、俺は寝室に向かう。 今、抱えているのは心じゃない。 でかいぬいぐるみ、テディベアのぬいぐるみだ、と必死に自分に言い聞かせる。 心を抱いたまま、何とか寝室の扉を開けてベッドに心を運んだ。 ころり、とベッドの上で寝返りを打つ心のバスローブがはだけ、柔らかそうな胸元が見えてしまった瞬間、俺の手はかつてないほどのスピードで布団
last updateÚltima actualización : 2025-12-25
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162話

◇ 「──ん?……んうぅ」 眠くて眠くて、私は目の前の温もりに擦り寄った。 びくっと目の前の温かい何かが震えたような気がしたけど、眠気には敵わない。 温かくて、ぽかぽかして、心地いい。 気持ちいい微睡みの中、私は益々温もりに擦り寄り、抱きついた。 ──ドッドッドッ と、何か太鼓のような。 それともバイクのエンジン音のような、そんな音が耳に響いてくる。 何だか分からないけど、うるさいなぁと思いながら私はさらに抱き枕を抱き寄せようとして──。 ちょっと待って!? 抱き枕!? そんなもの、あるはずが無い! そう気付いた私は、バチっと瞼を開けた。 すると、そこには肌蹴た誰かの胸元と。 その「誰か」をしっかりと抱きしめている私の腕が視界に映り、私は悲鳴を上げそうになったけどすんでのところでそれを飲み込む。 私が起きたのが気配で伝わったのだろう。 目の前の胸元の、さらに頭上から、掠れた男性の声が落ちた。 「……知らなかったな、心の寝相がこんなに悪いなんて」 「──ひぃっ!!」 男性の声が誰か、なんて。顔を見なくても分かる。 私は巻き付けていた自分の腕を素早く外し、その場に飛び起きた。 「ごっ、ごめんなさい涼真さん! わ、わたし寝惚けていて……っ!」 「ああ……うん。次からは気をつけた方がいい……」 朝だからだろうか。 掠れた声は、よく分かる。 だけど、眠っていたと思うのに涼真さんからは酷く疲労感を感じて。 どこか気怠げで、とろんと落ちた瞼に、私が抱きついていたせい
last updateÚltima actualización : 2025-12-26
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163話

色々起きた朝。 私と涼真さんは着替えと朝食を済ませ、ホテルを後にしようと、エレベーターに乗り込んだ。 1階のボタンを押し、室内で2人きりになると、妙な沈黙が私たちの間に落ちる。 ──いえ、妙な沈黙、と感じているのは多分私だけなんだろうけど。 涼真さんの様子は、少し眠そうにしているけど、普段通り。 私だけが恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがない気持ちを引きずっているようで、何だか悔しい。 涼真さんの眠るソファに乱入して、私を寝室のベッドまで運ばせてしまったのは私なんだけど……。 とっても迷惑をかけてしまったのは、私なんだけど……。 でも、少しも動揺を見せずにいる涼真さんに、悔しいやら恥ずかしいやら、……少し悲しい、だとか。 そんな気持ちを抱いているのが私だけ、なんて。 ああ、やっぱり少し悲しいな、と思う。 自分自身の事でいっぱいいっぱいになっていた私は、涼真さんが何度も欠伸を噛み殺していた事も。 眠れずに薄っすらと目の下に隈を作っていた事も、気付かなかった。 エレベーターが1階まで降りて、扉が開いた。 「先にどうぞ、心」 「ありがとうございます、涼真さん」 開のボタンを押して、先に降りるよう促してくれる涼真さんにお礼を告げて先にエレベーターから降り立つ。 私の後に続いてエレベーターを降りた涼真さんと一緒に、ホテルのエントランスにやって来た時──。 「嘘、だろう心!? 滝川とホテルに泊まったのか……!?」 ここで聞こえるはずのない声が聞こえ、私は驚きに目を見開いた。 どうして、ここに。 私は唖然としつつ、その言葉を発した男性──清水瞬に
last updateÚltima actualización : 2025-12-26
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164話

ホテルを出た私たちは、車を回してもらいそのまま車に乗り込んだ。 何度も欠伸を噛み殺している涼真さんに、私は申し訳なくなってきてしまう。 信号が赤になり、車が止まった所で私は涼真さんに話しかけた。 「涼真さん、すみません……」 「──? 俺に抱きついていた事? 気にしてないが……いや、やっぱり心はもう少し気にした方がいいな。あんな無防備な格好で異性に抱きついて寝たら、何をされても文句は言えないぞ?」 「えっ、あっ、それはもちろん!申し訳なく思っているのですが、その、ホテルのエントランスで──」 「清水の事か?それなら、心が謝る必要は1つもないじゃないか。たまたま運悪く鉢合わせただけで──」 涼真さんがそこまで話すと、信号が赤から青に変わる。 涼真さんはゆっくりとアクセルを踏み込み「いや、待てよ」と呟いた。 「鉢合わせ……?そんな事が本当に偶然起きるのか……?こんな朝早くに、清水はあそこで1人、何をしに来たんだ……?」 ぶつぶつ、と呟く涼真さんの言葉に、私は確かにそうだ、と考える。 昨夜、あのホテルにいたのは麗奈と黒瀬さんのはず。 それなのに、どうして清水瞬が? そう考えていると、涼真さんが「ああ、駄目だ」と小さく呟いた。 「すまない、心」 「えっ?どうしたんですか、涼真さん」 「近くに大きな公園がある。そこの駐車場は確か広かったはず。家に帰るまではまだ距離があるだろう?」 「え、ええ、そうですね」 確かに、この付近から家まではまだ30分ほどはかかるだろう。 「悪いが、眠気が限界だ……事故を起こしても不味い。……公園の駐車場で仮眠を取ってもいいか?」 涼真さんの声がいつになくふにゃり、と蕩けていて。 本当に眠気が
last updateÚltima actualización : 2025-12-27
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165話

あれから。 後部座席に移動した私と涼真さん。 私は、涼真さんのお願いに言葉を失ってしまって。 でも、眠そうにしている涼真さんに答えないと、と慌てた私は、深く考える事なく、衝動のまま頷いてしまったのだ。 だ、だって涼真さんが寝不足なのは、私が昨夜迷惑をかけてしまったせいだし……! それに、朝ホテルのエントランスで、清水瞬に変に絡まれてしまったのも、元を正せば彼と婚約なんかしていた私のせい、だし……! そんな事をつらつらと考えているうちに、涼真さんに促され、後部座席に移動した私達。 涼真さんは、眠そうなゆったりとした動作で運転席と後部座席の間にあるカーテンを閉めて、運転席側から後部座席が見えないようにすると、座席に座って固まっている私を自分の膝の上に座らせるように持ち上げた。 「──ひゃっ、涼真さん!?」 「こうして……このまま、倒れれば……眠れる……」 眠そうな、ゆったりとした声が涼真さんから聞こえてくる。 ぽやぽやとした涼真さんの声が、とても珍しい。 普段はきりっとして、はっきりと喋る涼真さんの声が蕩けているような。 そんな気の抜けた涼真さんが何だか可愛らしく思えてしまった私は、倒れ込む涼真さんに抱きしめられたまま、一緒に座席に横になった。 後部座席に横になるなんて、狭くないのだろうか、と最初は不安だったけれど。 横になってしまうと意外と寝れるんだ、と驚く。 2人で横になるとギチギチになってしまって、眠れないんじゃあ、と言う私の心配は杞憂に終わった。 その証拠に、涼真さんは私を抱きしめたまま、既に寝息を立てている。 ずっと眠かったのだろう。 涼真さんの体は、ぽかぽかと温かくて。 涼真さんの大きな体にぎゅっと抱きしめられて、すっぽりと体を覆われていると、私まで眠くなってきてしまう。 無意識、なのだろうか。 涼真さんは私の体を離さないよう、眠っているはずなのに抱きしめる腕の力は強くて。 ぎゅうっと抱きしめて、離してくれない涼真さんに、変な勘違いをしてしまいそうになる。 涼真さんは、ただ単に眠いだけ。 眠る、時に何かを抱きしめていると、人は安心するって言うし。 私だって、抱き枕があればそれをぎゅっとして眠るのは、好きだし……。 そんな事を考えつつ、私はちら、と眠る涼真さんの顔を見あげた。 普段は凛々しい眉も、今は
last updateÚltima actualización : 2025-12-27
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166話

「──ひぇっ」 私は、口をついて出そうになった悲鳴を、すんでのところで飲み込む。 慌てて口を噤み、そろり、と涼真さんを窺う。 けど、涼真さんはすうすうと気持ちよさそうに寝ていて、私はほっと安心して胸を撫で下ろした。 でも、私はちっとも安心できるような状況じゃない──。 車に乗るから、と厚手のコートは脱いでしまっていて。 私の服装は薄手の長袖のワンピースだけ。 涼真さんの服装も、スーツを脱いでワイシャツ1枚だけ。 だから、お互いの体温も感じてしまえる距離。 私はさっきまで感じていた眠気なんて既にどっかに行ってしまっていた。 下手に動いたら、涼真さんの睡眠の邪魔になってしまいそうで、私はその場で硬直する事しかできない。 「わ、私は石……石よ……」 そう、自分に言い聞かせる。 涼真さんから香る爽やかだけど、どこか色気の含まれた香水の香りも。 逞しい「異性」を感じさせる体も。 私は、何も感じない。 そう、感じないように気をつけないと──。 と、私は自分に言い聞かせる。 言い聞かせようとしている事が、本当はもう手遅れだ、と昔聞いた事があるような事があるけど……まだ大丈夫だと考える。 今なら、まだ引き返せる。 涼真さんとは、本当に結婚する訳じゃないんだから──。 あれから、どれだけ時間が経っただろう。 体感的には数十分、1時間は経っていないだろうけど、仮眠には十分な時間が経ったと思う。 そろそろ、涼真さんを起こした方がいいかもしれない。 少し寝ただけでも頭はスッキリするし、家に帰ってベッドでしっかり眠って欲しい。
last updateÚltima actualización : 2025-12-28
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167話

「──ぇっ」 今、何が起きたの……? 私の頭は、一瞬で真っ白になった。 流れるような動作で、自然に涼真さんにキス、された……? ほんの少し唇が重ねられただけ。 ほんの少し、合わさっただけ。 だけど、確かに私は今──。 涼真さんにキスをされてしまった、と自覚した瞬間、私の顔に一気に熱が集まる。 心臓までどくどくと鼓動を速めはじめてしまった。 その、心音が密着した状態の涼真さんにも伝わってしまったのだろうか。 「こころ……?」 ぽやっとしたままの涼真さんの声が聞こえ、私は真っ赤になっているであろう顔のまま、ちらりと涼真さんを見上げる。 それまでとろんとしていた涼真さんの瞳が、見る見るうちに見開かれていくのが分かった──。 「心……!?ゆ、夢じゃあっ!」 そう大声で叫んだ涼真さんが、飛び起きる。 「あっ、涼真さん危ない──っ!」 「──っ痛!?」 私が涼真さんに声をかけるも虚しく、飛び起きた涼真さんは、立ち上がろうとして車の天井に強かに頭を打ち付けてしまった。 「すまない、心……俺は……君になんて事を……」 あれから。 しっかりと目が覚めた涼真さんは、寝惚けつつ自分が何をしたかを覚えていて。 運転席と助手席に戻ってきた私たちだったけど、涼真さんはハンドルを掴んだ状態で、顔を伏せ先程から謝罪を口にし続けている。 「だ、大丈夫です涼真さん。私は、平気ですから……っ」 「だが、俺は……寝ぼけて君に……」 「だ、大丈夫です……!その、寝ぼけていると、そう言う事もあります、し……!」 そう、寝ぼけていたのだからしょうがないのだ。 こう寒い日は、人肌恋しくなる、と言うし。だからきっと、涼真さんも人肌の温かさについつい気持ちが緩んでしまったのだろう。人恋しくなったのかもしれない。 そう、自分に言い聞かせる。 「それより、涼真さん!早くお家に帰って一眠りした方がいいです。ね、早く帰りましょう?」 「──そう、だな……。眠って、頭をスッキリさせたら……話したい事もあるし……」 私の言葉に促され、涼真さんがゆっくりとハンドルから顔を上げる。 ちらり、と私を横目で見やった涼真さんはもう一度謝罪を口にした。 「本当に、すまなかった心……。もし、次もさっきみたいな事が万が一あれば……引っぱたくなり、殴るなりして俺を起こしてくれ……
last updateÚltima actualización : 2025-12-28
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168話

それから、私たちは涼真さんの運転のもと、家に帰ってきた。 涼真さんは仮眠のため、一旦自室に戻り。 私はたっぷり寝ていたので眠気は無い。そのため、リビングで陸と凛と遊んで過ごす事にした。 今日は休日。 持田さんと間宮さんは出かけているのだろうか。 家の中はとても静かで、陸と凛が時折きゃん、と鳴くだけしか音が立たない。 それから、2時間程。 私が陸と凛と遊んでいると、リビングのドアが開く音が聞こえた。 「しっかり寝させてもらったよ、ありがとう心」 「涼真さん」 睡眠を取ってすっきりとした顔で涼真さんがリビングにやって来た。 陸と凛が構って欲しそうに涼真さんの足元に駆けて行く。 涼真さんはひょいっと陸を抱き上げると、そのままソファに向かって歩いて行く。 「心、少し昨夜の事で話そう。今時間は平気?」 「大丈夫です。今も陸ちゃんと凛ちゃんと遊んでいただけなので。何か飲み物用意しましょうか。涼真さんは何を飲みます?」 「ああ、すまないありがとう。コーヒーを頼んでもいいか?」 「分かりました、いれますね」 陸は涼真さんに抱き上げられ、機嫌良さげに甘えていて。 涼真さんは優しい目で陸の頭を撫でたり、お腹を撫でたりして構っている。 凛はキッチンに向かう私の後をついてきていて、何かおやつをくれるの?と言うように私の事を期待の籠った目でじっと見つめてくる。 そんな凛に私は苦笑いを浮かべつつ「これからコーヒーをいれるの。凛ちゃんのおやつはないのよ、ごめんね」と話しかけつつ、コーヒーを2つ作った私はそれを持ってリビングに戻った。 涼真さんは自分の座るソファの隣をぽんぽん、と叩く。 隣に座って欲しいって事? そう判断
last updateÚltima actualización : 2025-12-29
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169話

「心は……すぐに柳麗奈にやり返したい、とは思わないか……?もしかしたら、この事実を使わない可能性だってある……」 「はい。大丈夫です。そりゃあ……麗奈に恨みが無いと言えば嘘になりますけど……。それよりも今は、これ以上彼らと関わらずに、穏やかに過ごしたいので……これは、本心ですよ?」 私の答えに、嘘が無い事を察してくれたのだろう。 涼真さんは少し緊張が解けたような顔で微笑み、頷いた。 「──分かった。これは、俺がしっかりと保管、管理するよ」 「はい、お願いします」 「それ、でだが……。今朝、清水がホテルのエントランスに居ただろう?」 「──っ、はい、どうして彼が居たんでしょうか」 しかも、自分勝手な言い分を口にして、涼真さんの胸倉まで掴んだ。 あの場で涼真さんが清水瞬を無力化していなかったら、もしかしたら涼真さんが殴られたりしていたかもしれない。 それを考えると、あの時は湧き上がってこなかった怒りがむくむくと湧き上がってくる。 「涼真さんに、おかしな事を言って……!本当に、あの人は何がしたいのか分かりません……!」 「そう、だな……。俺も彼の気持ちは分からないし、分かりたくも無い。だが、ただの偶然にしては出来すぎていると思わないか?」 涼真さんの言葉に、確かにそうだ、と納得する。 清水瞬は、何故か今朝あの場所に1人で居た。 麗奈は、黒瀬さんと抱き合っていたのだし、約束なんかしている訳が無い。 それなのに、清水瞬があの場に居たのは。 「──もしかしたら、柳麗奈か、黒瀬か……どちらかが昨夜、俺と心の姿を見たのかもしれない」 「えっ」 「昨夜、俺と心レストランを出た所を、もしかしたら見られたのかもしれない。それで、エントランスに姿が現れないのを見て、部屋に泊まったのを確認したんだろう。……それで、清水に連絡したのだとしたら……今朝、清水がホテルに現れた事も説明がつく」 そう話す涼真さんに、私はそれでも信じられなかった。 だって麗奈がわざわざそんな事をするだろうか。 黒瀬さんに隠れて、それをどうやって──? 私の疑問が顔に出ていたのだろう。 涼真さんは私の疑問に簡単に答えた。 「恐らく、俺たちを見たのは柳麗奈じゃなく、黒瀬の方だろう。黒瀬だったら、人を使って調べさせる事など造作もない」 「──っ」 確かに──。 黒瀬
last updateÚltima actualización : 2025-12-29
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170話

「でも、黒瀬さんは清水瞬に連絡をして、彼に何をさせたかったのでしょうか?」 「俺と心の婚約が発表されたしな……俺たちの仲を引っ掻き回して、何かを狙っていた、と考えるのが妥当だろう」 だが、引っ掻き回されてたまるか、と涼真さんは呟く。 涼真さんは陸を抱えたままゆったりと足を組む。 陸は涼真さんに撫でられて上機嫌のまま、そのまま寝る体勢に入った。 私も凛を膝の上に抱っこをして背中を撫でる。 凛は気持ちよさそうに欠伸をしたあと、やっぱり陸と同じように眠る体勢になった。 凛を撫でながら、涼真さんに言われた言葉を考える。 黒瀬さんが私たちの仲を引っ掻き回して、何をしようとしていたのか──。 どうなったら、黒瀬さんが1番得をするのか。 そこで、私は1つの考えに思い至り、ぱっと顔を上げると同時に、口を開いた。 「──もしかして、私の加納家の力を!」 ちょうど、涼真さんも私に顔を向けたタイミングだった。 それと、私が顔を上げて涼真さんを見たタイミングがぴったりと合ってしまう。 必然的に、私と涼真さんの距離が近くなっていて。 涼真さんの顔がすぐ近くにあって、私は突然さっきの事を思い出してしまった。 車の中で仮眠を取っていた涼真さん。 寝惚けていた涼真さんに、私はさっきキスを、されて──。 そこまで思い出した瞬間、私の顔がぼわっと真っ赤に染まるのが自分でも良く分かった。 うろうろ、と視線は忙しくあちらこちらを彷徨い、涼真さんの目を見る事が出来ない──。 わ、私の馬鹿! さっきの事を思い出さないようにしていたのに……! せっかく真面目に涼真さんと話していたのに……! 私の赤面で、涼真さんも先程の事を思い出してしまったのだろう。 一瞬遅れて涼真さんも顔を赤らめ、自分の顔を大きな手のひらで覆った。 「──心」 「すっ、すみませんすみませんっ!そんなつもりじゃっ」 「いや、心が謝る事じゃ……俺が、悪い……」 「り、涼真さんが悪い事なんてないです……っ!」 ああ、もう。 どうして今、このタイミングで思い出してしまったのか──。 私がぱたぱたと頬の熱を冷ますように手のひらで仰いでいると、首の後ろをかいていた涼真さんが身じろいた。 その拍子に、涼真さんの膝に乗っていた陸が目を覚まし、ぴょんと涼真さんの膝から降りてしまって、リビングの
last updateÚltima actualización : 2025-12-30
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