Todos los capítulos de 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Capítulo 151 - Capítulo 160

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151話

ひゅっと息を呑む。 まさか、父の口からこんな言葉が出るとは思わず、私は慌ててソファから立ち上がった。 「や、やめてください……!我が家が動けば、清水家も黙っているはずがありません……!」 「だが、娘を傷付けられて黙っていられる訳がないだろう。あの家にはしっかりと賠償を──」 「そ、そもそも清水瞬は、私が加納家の娘だと話していません……!ただの、一般家庭の出だと思っていると思います」 「──なんだと?」 私の言葉に、父は顔を顰める。 「心の実家の事も知らず、婚約していたのか……」 「はい。当時は、ただ私自身を見てくれていたので……」 「知らせていなくて正解だったかもな。下手に加納家の娘だと知られていれば、手放さなかったかもしれん」 「はい。私も今は私の実家の事を伝えていなくて良かった、と心からそう思っています。……それに、彼とはもう関わりたくありません。賠償に関しても、特に望んでいません」 「お前は、それでいいのか。10代、20代とあの愚か者のせいで時間を無駄にしたんだぞ。それに、子供だって……」 父が悔しそうに、悲しそうに私のお腹に視線を向ける。 妊娠した、と知った時。 確かに初孫になるから、父と母が喜んでくれるかも、と思っていた。 それに、迷惑をかけて、逃げてしまったけど、私が妊娠した、と知ったら父と母も初孫嬉しさに、過去の蟠りを捨てて、元に戻れるかもしれない、と考えていた部分もある。 もしかしたら、亡くした子を。妊娠を純粋に喜ぶんじゃなくて、そんな下心を抱いていた私に天罰が下ったのではないか、と考える事もあった。 自分の過ちを素直に認め、もっと早くに父と母に謝罪していれば。 そうすれば、お腹の子も無事だったのではないか、と言う「たられば」を考えた。 私が親不孝をしたから。 家族を大事にしなかったから。 だから、お腹の子が帰ってしまったのでは……。そう考えて、泣き続けた夜もあった。 でも、時間と共に現実を受け入れ、今はお腹の子の事を前向きに考えるようになった。 お腹の子は、忘れ物をして一旦帰っただけだ、と。 忘れ物を取ってきたら、きっとまた帰ってきてくれる。そう考えられるようになった。 そうやって前向きに考える事ができるようになったのも、全部涼真さんのお陰だ。 いつも優しく接してくれて、困った時には必ず手を差
last updateÚltima actualización : 2025-12-20
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152話

そして、父はしばらく沈黙した後、ふと顔を上げて涼真さんに視線を向けた。 「滝川さんは、こんな娘で本当にいいのか……?」 まさか、こんなタイミングで涼真さんに話を振るとは思わなかった。 私は、慌てて涼真さんに顔を向けた。 だけど、急に父から話を振られても涼真さんは1つも慌てる素振りを見せず、穏やかな表情のまま力強く「はい」と答えてくれた。 そして、涼真さんは私を優しく見つめたあと、そっと繋いだ手に力を込めた。 「むしろ、私から心さんにお付き合いを申し込んだんです。私が、心さんと離れたくなくて。彼女の優しさや、心の強さにとても惹かれたんです」 「──涼、真さん」 「心さんは、昔から真っ直ぐで、強い心を持っています。そんな彼女に私が相応しいかは、分かりません。だけど、彼女に相応しい男になりたい、と思っています」 ──分かって、いる。 これは、婚約の振りだから。 滝川本家の了承は既に得ているし、大々的に発表だってした。 加納家の了承も、既に得ているとは聞いているけど、涼真さんは私の両親に改めて婚約の了承を得ようと、言ってくれているのだ。 涼真さんは優しいから。 私の両親に安心して欲しいから。心配をかけたくない、と思ってそう話してくれているのかもしれない。 だから──。 本気にしちゃ、駄目だ。 私は、婚約の振りをしているだけなんだから。 必死に自分自身に言い聞かせる。 私の父と母は、涼真さんの言葉に本当に嬉しそうに表情を綻ばせた。 「君のような素晴らしい男性と巡り会えて、心は幸せだ」 「滝川さん、心の事……どうかよろしくお願いしますね」 父のあとに、母が涼真さんに向かってそう告げる。 涼真
last updateÚltima actualización : 2025-12-21
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153話

「ようこそお越しくださいました、滝川様。ご案内いたします」 「ああ、頼むよ」 涼真さんが連れて来てくれたのは、都内にある有名なホテルの最上階に入っているイタリアンのお店。 高層階から眺める夜景がとても綺麗。 今日は、加納家に挨拶に行く日だったから、私も涼真さんもきちっとした服装だった。 ドレスコードのあるお店には、大人になってからはあまり入った事が無い。 だからどこかそわそわとしてしまうけど、落ち着いた雰囲気で、柔らかく私に微笑んでくれる涼真さんのお陰で変に緊張せずにいられた。 お店の人に案内してもらった席は、周囲に人があまりいない、夜景を見下ろせる窓際の中央付近の席。 椅子を引いてもらい、私はそっと腰を下ろした。 キラキラ、と人工的な光で輝く眼下の美しい景色と。 視線を上に向けてみれば、真っ暗な空に浮かぶまん丸の月。 キラキラと輝く星も、普段より近く感じて私は景色の美しさに見入っていた。 すると、正面に座っている涼真さんの方から、低くてどこか甘さの感じるような笑い声が聞こえてきた。 「──ふふっ、心。メニュー表」 「あっ、す、すみません涼真さん……。ありがとうございます」 涼真さんがメニューを手渡してくれる。 私は恥ずかしさに顔を赤く染めつつ、メニュー表を開いて、品物を決めた。 すると、涼真さんが私に向かって問う。 「このお店は、ワインが美味しいんだが、心はワイン飲む?」 「えっ、でも涼真さんは車ですし……」 「俺の事は気にしないで大丈夫だ。もし飲みたければ1杯でも頼むか?」 涼真さんの提案は、とても魅力的だ。 でも車を運転する涼真さんは飲めないのに、と葛藤していると涼真さんが1杯だけでもどうだ、と勧めてく
last updateÚltima actualización : 2025-12-21
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154話

化粧室に向かった私は、用を済ませ、手を洗って外に出る。 ふかふかの廊下は、ヒールの音を吸収して足音が立たない。 ワインを1杯だけだけど、アルコールが入っているからと足元に気をつけながら、お店に戻っていると、ふと男女の囁き声のような小さな声が私の耳に届いた。 「……?」 不思議に思い、その場で立ち止まり周囲を見回す。 気のせいだっただろうか──。 そう思い、止まっていた足を再び動かす。 ある部屋の前を通りかかった時──。 「──ぁっ」 女性の、嬌声が耳に届いて、私は一気に頬を染めた。 そうだ。 ここは、ホテルの最上階にあるイタリアンのお店。 お店の他にも、ちょっとした「休憩室」が完備されている場所。 休憩室の利用理由は様々だけど、こういった高級ホテルには、顔を堂々と晒して食事が出来る人ばかりが利用する訳では無い。 芸能人や、政治家界隈、そして私たちのような大きな家の者達──。 理由は様々だけど、ひっそりと密談をするために使用される事もあれば、こうして今回のように男女の密会に使用される事も、ある。 「──っ」 私は、顔を真っ赤にしつつ足早にその部屋の前を通り過ぎようとする。 閉め忘れてしまったのだろう。 男女が利用しているその部屋の扉は、薄っすらと開いてしまっていて、静かなこの廊下に女性の嬌声が漏れ聞こえてしまっている。 聞かなかった事にして、私は早くその場を通り過ぎようとした。 こんな所で密会するくらいだ。 愛人──、もしくは不倫や、芸能人のスキャンダルなどに巻き込まれてしまったら面倒だ。 そう考え、歩いている私の耳に、女性の媚びたような甘い声が再び届いた。 「ゃ……っ、んんっ、黒瀬さ……っ」 「──麗奈、麗奈、声を抑えろ……。下品に喘ぐ女は嫌いだ」 「ごめんなさ……っ、」 「まったく……お前に心ほどの愛らしさがあれば……」 「──っ!?」 私は、思わず声を上げてしまいそうになったけど咄嗟に口元を手で覆い、抑える。 黒瀬、麗奈、そして心と言う名前が出てきて、確信する──。 まさか、この部屋にいるのは以前パーティーで会った黒瀬公紀と、麗奈なの!? 私の名前も出てきた。 それに、麗奈は清水瞬という婚約者がいながら、他の人と何をしているの……!? 私は真っ青になって、その部屋を信じられない思いで見つめる
last updateÚltima actualización : 2025-12-22
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155話

突然響いた、麗奈の嬌声。 その声を聞いた瞬間、涼真さんの目がぎょっと見開かれる。 「や……っ、待って黒瀬さ……っ、激しいぃっ」 「麗奈、お前は激しいのが好きなんだろ?前も言ってたじゃないか」 「──ゃっ、あぁっ」 だけど、次いで聞こえてきた声。 そして、その内容に涼真さんも中で体を重ねている男女が麗奈と黒瀬さんだと悟ったのだろう。 私に視線を向ける。 私は、無言で涼真さんに向かってこくこくと頷く。 中にいるのは、柳麗奈と、黒瀬公紀だ。 私は急いでスマホを取り出すと、文字を打ち込んだ。 そして、画面を涼真さんに見せる。 【どうしますか?清水瞬に知らせますか?】 そう書いた私の文章を見た涼真さんは、一瞬考える素振りを見せたけど、すぐに首を横に振って、懐から何かを取り出した。 「──?」 それは、万年筆のようだった。 だけど涼真さんは万年筆の上部を親指で押す。 すると、緑色のランプが音もなく点灯した。 まさか──。 私が目を見開いていると、涼真さんが私の体をぐっと引き寄せ、私の耳元にこそりと囁く。 「盗聴器。これで、2人の会話内容を録音する」 「──っ」 涼真さんの低くて、掠れた声が直接耳に吹き込まれ、私は何故かぞくり、と背筋を震わせた。 私の腰には、涼真さんのもう片方の腕が回り、しっかりと私を抱き寄せている。 それに、私の顔に触れている涼真さんの胸元。 しっかりと筋肉のついた男らしい体に、私はこんな状況だと言うのにドキドキと胸が早鐘を打ち、慌てて涼真さんの言葉に頷いた。 涼真さんは、私を片腕で抱きしめたままそっと腕を部屋の扉付近に伸ばし、万年筆を床に転がした。 ここで、録音していかないの? そう考えた私の耳元で、涼真さんが説明するように言葉を紡ぐ。 「……あの2人の逢瀬がいつ終わるか分からない以上、このままここに居続けるのは不自然だ。……俺たちはこの場を離れよう」 涼真さんの言葉は、確かに頷ける。 このままここに居たらお店の店員が不思議がってここに来てしまうし、声をかけられるかも。 それよりも、私たちはこの場を離れて、後で万年筆を回収すればいい──。 涼真さんの言葉に、私はこくりと頷いて見せた。 「……一旦、店に戻ろう心」 涼真さんの提案に再び頷く。 すると、涼真さんはしっかり私の腰に腕を回し、
last updateÚltima actualización : 2025-12-22
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156話

このまま、ホテルに泊まる──? 「……ぇ、え?」 「──しっ!心、あまり大きな声を出さないで」 「す、すみません涼真さん」 混乱する私をそのままエスコートし、お店に戻ってきた涼真さんは、しれっと店員を呼んだ。 「すまない、彼女が酔ってしまったから泊まりたい。部屋は空いてるかな?」 「かしこまりました。お部屋に空きはございます」 こちらのお部屋でよろしいですか?と店員が涼真さんに確認している。 涼真さんは「ああ、そこでいい」と頷き、店員からカードキーを受け取った。 「心、大丈夫か?部屋まで行こう」 涼真さんに手を差し出され、私は一先ず少しだけ酔った感じに見えるよう装う。 「す、すみません涼真さん……」 「気にしないでくれ。歩ける?歩けなければ、抱き上げて行こうか?」 「そ、そこまでではないので大丈夫です……っ」 どこか楽しげにそう口にする涼真さん。 私はちらり、と涼真さんに視線を向け、差し出された涼真さんの手を心持ち強く握った。 楽しげに涼真さんの口端が持ち上がるのが視界の隅に見えたが、涼真さんはそのまま私を抱き寄せるとお店を後にした。 先程、麗奈と黒瀬さんが使用していた部屋の前は通らず、そのまま真っ直ぐエレベーターに向かった私たち。 エレベーターに乗り込み、扉が閉まった所で、私はそっと涼真さんから距離を取ろうとした。 室内は私たち2人だけだから、酔った振りもしないで平気だろう、と思ったのだけど、涼真さんは離れようとしている私の動きに気付き、私の腰に回していた腕に力を込めて逆に引き寄せる。 「もうすぐフロアに着くから、このままで大丈夫だろう」 「え、で、でも……」 単純に、涼真さん
last updateÚltima actualización : 2025-12-23
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157話

部屋の扉から中に入ると、ぱっと明かりがつく。 私は目の前に広がる光景に、思わず声を上げてしまった。 「──とっても、素敵……」 「気に入ってくれて良かった」 背後から涼真さんの弾んだ声が聞こえる。 広い室内に、高層階にあるこの部屋の大きな窓からは、素敵な夜景が見下ろせて。 視界いっぱいに広がるビルの明かりが、まるでイルミネーションのように綺麗。 光の洪水って、こう言う事なのか、とどこか冷静な自分が納得している。 涼真さんが取ってくれたこの部屋は、所謂スイートルームなんだろう。 室内はマンションの一室のように広く、生活が出来てしまいそう。 涼真さんはゆったりと室内を歩きながら、冷蔵庫からワインとワイングラスを取り出して私に話しかけた。 「ワインがある。心はまだ飲めそう?」 「──いただきたいです!」 「了解。じゃあ少し飲もうか」 楽しげに笑った涼真さんが頷き、手早くスーツを脱いで腕まくりをするとコルクを抜き、ワイングラスに注いでくれる。 シュワシュワと泡が弾け、キラキラとした琥珀色の液体がゆらゆらと揺れている。 「じゃあ、乾杯」 グラスを掲げた涼真さんがそっと私にグラスを合わせた。 澄んだ音が室内に鳴る。 そっとグラスに口を付ける涼真さんに倣い、私もグラスを小さく傾けてワインを一口嚥下する。 シュワシュワとした炭酸が喉を通り、次いでアルコールの熱が喉を刺激した。 ふう、と一息ついたところで徐に涼真さんが口を開いた。 「さっきの万年筆だが……2時間ほど後に、このホテルの従業員に届けるように頼もうと思ってる」 「2時間……」 その言葉で、先程の麗奈のあられもない声を思い出して頬が熱を持つ。 婚約者が……瞬がいながら、他の男性と肌を重ねる麗奈の意図が全く分からない。 だけど、涼真さんは思い至る事があるようで。 「……心のニュース記事を流した会社を辿って行ったら、黒瀬に辿り着いた、とは話したよな?」 涼真さんの言葉に、私はこくりと頷く。 確かに。 以前涼真さんはそのような事を言っていた。 「もしかしたら、柳麗奈はああやって体を使って黒瀬に取り入ったのかもしれない……」 「麗奈が、ですか……?」 「ああ。……その、黒瀬は女性にだらしない、と言う噂が元々あったんだ。……彼は顔も良いだろう?それに、敏腕経営者だ。
last updateÚltima actualización : 2025-12-23
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158話

「心は、黒瀬には何も感じないのかもしれないが。……もしかしたら柳はその噂を知っていて、女性という武器を使って黒瀬に近付き、黒瀬を利用したのかもしれないな」 「確かに、清水瞬の手助けが無ければ麗奈には誹謗中傷程度の噂を流す事くらいしか出来ませんもんね。ニュースサイト……会社を使うなんて個人の力では無理です」 「ああ。それに、書いた記者を逃がすなんて芸当も……隠す芸当も一般人には無理だ」 「清水家が手を貸していない以上、麗奈に手を貸している人がいると考えるのは当然ですものね」 なるほど、と先日の一連の流れが繋がる。 麗奈が黒瀬さんと繋がりを持ったのは、先日のパーティーだろう。 だけど、黒瀬さんはどうして麗奈の手助けをしたのか。それが分からない。 女性なんて、黒瀬さんの周りには沢山いるのに、わざわざ麗奈の手助けをして、得ようとした物って。 そこで、私ははっとする。 黒瀬さんは、私の背後が加納家だと既に知っているのでは。 私個人を叩き、孤立させて背後にいる加納家と接触を図りたかった……? 加納家は衣料業界のトップを独走している大きな会社だ。 加納家と何かしらの取引をしたかったのかもしれない。 「心?心、大丈夫か?考えすぎてないか……?」 「──っ、す、すみません涼真さん!」 ひらひら、と私の目の前で手を振る涼真さんに、私はハッとして顔を上げる。 考え込んでいて、涼真さんと一緒にいる事を失念していた。 「あまり考えすぎるのも良く無い。……一先ず、さっきの件は今後何かあった時の保険にしよう。清水に伝えるかどうかは……心は、どうしたい?」 涼真さんから真っ直ぐ見つめられて、私はふと考える。 清水瞬に、麗奈が他の人と抱き合っている事を教えたほうがいいのか、否か。 でも、それ
last updateÚltima actualización : 2025-12-24
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159話

私の言葉を聞いた涼真さんは、話を変えるように咳払いを1つしてから口を開いた。 「心、今日は加納家にも行って疲れただろう?俺はあっちの部屋のソファーで休むから、心は寝室を自由に使って寛いで欲しい」 「──えっ」 涼真さんの言葉に、私はぎょっとしてしまう。 確かに、父や母との久しぶりの再会はとても緊張して、疲れていないと言ったら嘘になる。 だけど、それはきっと涼真さんも同じ。 緊張しないって事はないと思う。 それに、いくら広い部屋だとしても。 寝室とは別に部屋があって、大きなソファで横になれるとは言え、ベッドで眠らないと疲れは取れない。 「それだったら、涼真さんこそ寝室で休んでください。私の方が体は小さいのでソファで眠るのは私の方が適していますから」 それに、涼真さんは運転もして疲れているはず。 涼真さんにこそしっかり休んで欲しい。 だけど、私の提案は涼真さんにあっさりと却下されてしまう。 「女性をソファで寝かせるなんて出来る訳がない。俺のためになると思って、心にはちゃんと寝室のベッドで寝て欲しい」 「で、でも──」 私は困惑しつつ、代替案を模索する。 そう言えば、さっきちらっと確認した寝室のベッドは、キングサイズでとても大きかった。 あれくらい広ければ、お互い端と端で眠ればそれ程気にならないんじゃないか、と閃く。 私がいい考えを思いついた、とばかりにぱっと表情を輝かせて顔を上げると、私の言いたい事を察していたのだろう。 涼真さんがじとっとした目を向けてくる。 「まさか、心はベッドの端と端で眠れば問題ない、とか言わないでくれよ……?心は女性で、俺は男だ。男女が同じベッドで眠って、何も起きずに終われる訳がない、って……心なら分かってくれるよな?」 「……それ、は」 「俺だって男だ。……振り、とは言え婚約者の心が同じベッドにいるのに手を出さない自信は無い。……好ましい、と思っている女性を前に理性を保てる男なんてそうそういないと思う」 「──っ」 好ましいと思っている、女性──。 涼真さんからはっきりと言葉にされて、私の顔は見る見るうちに赤く染まっていく。 そんな私の態度に、涼真さんは何とも言えない表情で笑みを浮かべ、息をつく。 そしてちらり、と時計に視線を向けた涼真さんは、私の背をそっと押しつつ口を開いた。 「ほら
last updateÚltima actualización : 2025-12-24
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160話

それからの私たちは、お互いシャワーを浴びて、軽く会話をしてからそれぞれ就寝のために別れた。 私は、広い寝室を使わせてもらい、涼真さんはリビングのソファ。 キングサイズのベッドは、とても大きくて。 私が手足を伸ばしてもまだまだ余裕がある。 涼真さんも、ソファより絶対にこっちで寝た方がいいのに、と思いつつ先程涼真さんから言われた言葉を思い出し、私は顔を真っ赤にした。 手を出さない自信はない、って言われた……。 それって、そう言う事、だろうか。 涼真さんが、私に……? あんなに格好いい人が、私なんかに手を出さなくても……涼真さんの周りには魅力的な女性が沢山いるのに。 そこで、私はふと涼真さんの横に凛と立つ秘書の持田さんの姿を思い出してしまい、胸がずきり、と痛んだ。 お互い信頼し合い、阿吽の呼吸、とでも言うのだろうか。 涼真さんの指示を、持田さんはすぐに把握して行動する。 私みたいに、迷ったりしない。 「──いいなぁ」 あんな風に、私もなりたい。 持田さんみたいに涼真さんに信頼してもらいたい。 お仕事で、涼真さんを支えたいのに──。 そんな事を考えているうちに、眠気がやってきて。 私はうとうととしつつ、眠気に逆らわずに瞼を閉じた。 ◇ ──落ち着かない。 同じ部屋に、心の姿はないけど。 少し離れた所で、心が無防備に眠っていると考えたら──。 「……くそっ」 俺はソファの上で自分の顔を手のひらで覆う。 変に頭が冴えてしまって、眠れそうに無い。 寝酒でも飲むか──。 俺がそう考えた時、寝室の方
last updateÚltima actualización : 2025-12-25
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