ひゅっと息を呑む。 まさか、父の口からこんな言葉が出るとは思わず、私は慌ててソファから立ち上がった。 「や、やめてください……!我が家が動けば、清水家も黙っているはずがありません……!」 「だが、娘を傷付けられて黙っていられる訳がないだろう。あの家にはしっかりと賠償を──」 「そ、そもそも清水瞬は、私が加納家の娘だと話していません……!ただの、一般家庭の出だと思っていると思います」 「──なんだと?」 私の言葉に、父は顔を顰める。 「心の実家の事も知らず、婚約していたのか……」 「はい。当時は、ただ私自身を見てくれていたので……」 「知らせていなくて正解だったかもな。下手に加納家の娘だと知られていれば、手放さなかったかもしれん」 「はい。私も今は私の実家の事を伝えていなくて良かった、と心からそう思っています。……それに、彼とはもう関わりたくありません。賠償に関しても、特に望んでいません」 「お前は、それでいいのか。10代、20代とあの愚か者のせいで時間を無駄にしたんだぞ。それに、子供だって……」 父が悔しそうに、悲しそうに私のお腹に視線を向ける。 妊娠した、と知った時。 確かに初孫になるから、父と母が喜んでくれるかも、と思っていた。 それに、迷惑をかけて、逃げてしまったけど、私が妊娠した、と知ったら父と母も初孫嬉しさに、過去の蟠りを捨てて、元に戻れるかもしれない、と考えていた部分もある。 もしかしたら、亡くした子を。妊娠を純粋に喜ぶんじゃなくて、そんな下心を抱いていた私に天罰が下ったのではないか、と考える事もあった。 自分の過ちを素直に認め、もっと早くに父と母に謝罪していれば。 そうすれば、お腹の子も無事だったのではないか、と言う「たられば」を考えた。 私が親不孝をしたから。 家族を大事にしなかったから。 だから、お腹の子が帰ってしまったのでは……。そう考えて、泣き続けた夜もあった。 でも、時間と共に現実を受け入れ、今はお腹の子の事を前向きに考えるようになった。 お腹の子は、忘れ物をして一旦帰っただけだ、と。 忘れ物を取ってきたら、きっとまた帰ってきてくれる。そう考えられるようになった。 そうやって前向きに考える事ができるようになったのも、全部涼真さんのお陰だ。 いつも優しく接してくれて、困った時には必ず手を差
Última actualización : 2025-12-20 Leer más