加納家──。 それは、滝川家と並ぶ、古くから続く大きな家だ。 清水瞬の家も古くから続く、由緒ある財閥の家だが、加納家はそれよりも歴史が長い。 加納家は、衣料業界では1番の力を持ち、政界にも顔が利く。 そんな大きな家が、私の実家。 けど。 厳しくも、温かい両親と絶縁状態に陥ってしまったのは、偏に私が愚かだったから。 今よりもまだ私が幼かった頃。 清水瞬に惚れ込んでしまっていた私は、彼の家の窮地を救うために、自分が考え、編み出した生地の技法も、生み出したその生地でデザインした服の権利も、売ってしまったのだ。 ただただ、清水瞬を助けたい一心で全ての権利を手放した昔の私の行動は、愚かとしか言いようがない。 その生地は、天然素材を使用した保温にも、冷感にも大いに優れた物だった。 その生地を使用して、私がデザインした服は、瞬く間に話題になり、すぐに国内に流通して国内一のシェアを獲得した。 だけど、私は全ての権利を手放していて。 それを知った私の両親が激怒したのだ。 私が編み出した技法も、その生地を使ってデザインした服も、全ての権利は清水瞬の会社に渡ってしまったから──。 窮地に陥ったいた清水家の会社が、それで持ち直したのだから莫大な利益を得たのは想像にかたくない。 その時の私は、清水瞬に入れ込んでいたから、両親に反発して、大喧嘩。 私は飛び出すように加納家を出てしまった。 だから、私は国内の大企業の子供が通う学校には進学できなかった。 家を出た私は、最低限の仕送りで普通の公立校に通うしかなかったから──。 けど、滝川さんは中学生の時に。私がまだ加納家にいる時に助けてくれて、顔見知りになっていた。 時折、加納家に仕事の件で父と話す滝川家当主に連れられて、滝川さんも加納家に来ていたのを覚えているから。 何度か顔を見た事があったから、お互いに顔だけは知っていたのだ。 だから、滝川さんは私の家の事を知っていた。 絶縁状態である事も知っていたから、私の家の事を勝手に滝川家、本家の会長に話してしまった事が後ろめたいのだろう。 だけど、今。この状況では話す他なかっただろう。 「滝川さん、謝らないでください。私が加納家の娘だって事は、遅かれ早かれ知られていたでしょうし……それに、先日のパ
Zuletzt aktualisiert : 2025-12-02 Mehr lesen