涼真さんは、陸と凛が向かったサークルに顔を向けたまま「あー……」と小さく声を漏らしつつ、私に声をかける。 「その……、今後も黒瀬が柳麗奈と手を組んで何かをしかけてくる可能性がある。……早めに、婚約披露パーティーを開催しようと思っているんだが、心は大丈夫か?」 涼真さんの言葉に、私はこくこくと頷く。 パーティーまで開いて、大々的に私と涼真さんが婚約した事を世間に知らせれば、黒瀬さんも、麗奈ももう下手に手を出せなくなると思う。 それに──。 「婚約披露パーティーを開催する時は、私の父と母も呼んでいいですか?」 加納家が、パーティーに参加すれば。 そうすれば、自ずと私が誰なのか。それを周囲に周知出来る。 加納家の権力の大きさを利用しているような、何とも複雑な気持ちになるけど、私の実家が加納家である事には変わりない。 それに、清水瞬に私の実家の事が知られてしまうけど、それももう仕方がない事。 ずっと隠し続けるより、こうしてパーティーを開く時に周囲にバラしてしまえば手間も省ける。 私の提案に、涼真さんも賛同して頷いてくれた。 「ああ、俺もそれがいいと思う。先日ご両親に挨拶に行った時に両家の食事会の話をしたが……それを進めよう」 「分かりました。父と母に、都合の良い日を聞いておきますね」 「ああ、頼む。俺も両親とおじい様に予定を聞いておく。それで、日にちを擦り合わせて食事をしよう」 パーティーまでにやらなくてはならない事が、沢山ある。 私と涼真さんは、それからも今後の事を話し合い、気づけば夜になってしまっていた。 リビングの窓の外は、すっかり日が落ちていて。 薄暗くなっている。 「涼真さん、持田さんと間宮さんって今日は帰りが遅いんですか?」 食事はどうするのだろう。 疑問をそのまま涼真さんに伝えると、涼真さんはあっさりと答えた。 「あの2人は今日は帰ってこないはずだ」 「えっ、そう、なんですか?」 「ああ。だから今日の夜は俺と心だけだから、簡単な物で済ますか?出前でも取る?」 「どうしましょうか……ご飯の準備はお手伝いさんがしていてくれたみたいです。さっき冷蔵庫の中を見た時、作り置きのおかずが入っていました」 「──本当か?わざわざ作ってくれたのか……それなら、今日の夜飯はそれにしよう」 「じゃあ、私はご飯を炊きますね。
Última actualización : 2025-12-31 Leer más