俺の様子に、ただ事じゃないと悟ったホテルのフロントは、慌てて別室に案内してくれた。 「エントランスの様子は、こちらでも確認出来ます!お連れ様は、フロント奥にあるソファでお待ちでしたか?」 「──ああ、そうだ!」 「こちらへ!数分前ですね、ただ今映像を出します……!」 フロントの人間がパソコンを操作し、エントランス映像を出してくれる。 俺は、画面にぐっと近付き、心の姿を探した。 暫しして、俺と心がエントランスにやって来るのが分かる。 心がソファに座り、俺が離れる。 俺がフロントで手続きをしていた時間は、ほんの数分だ──。 そんなたった数分の間に、一体誰が──。 そう考え、画面を食い入るように見ていた俺の目に、心に近付く人影が映った。 「──あの、女!」 俺の目に映ったのは、思いもよらなかった人物だ。 柳 麗奈──。 かつて、心が愛した男を奪い、心を傷付けた女が再び心に近付き、何かを耳打ちしている。 嫌がる心を、柳は無理やり腕を掴んで立たせると、ぐいぐいと引っ張って行ってしまった。 あっという間に画面外に出てしまった心。 それから数秒後、フロントでの手続きを終えて俺が画面に現れたのが見えた。 そこまで確認した俺は、画面から顔を逸らしホテルのフロントに問う。 「このホテルの近くに、人通りの少ない場所はあるか!?」 「そ、それでしたら──……!」 まだ、大して時間が経っていない。 柳麗奈が1人なら、同じ女性同士。心を無理やり遠くまで連れて行く事など不可能だ。 柳が1人で行動したと過程して、俺は近場に人気の少ない場所があるかどうかをホテルのフロントに尋ねた。 ◇ 「離して……!手を離して麗奈!!」 「うるさい、うるさいうるさいうるさいっ!!」 私は、麗奈に無理やり引っ張られ、ホテルの裏手にある裏路地に連れて来られていた。 ぐいぐい、と私の手を引っ張る麗奈の手とは逆の手に、光を反射して不気味にぎらり、と光る刃物が握られている。 私が涼真さんを待っている時。 突然麗奈が私の前に現れた。 そして、驚く私の耳元で「刺されたくなければ一緒に来て」と告げたのだ。 私が呆気に取られていると、焦れた麗奈は私の腕を物凄い力で掴み、無理やり立たせて引っ張って行った。 麗奈の体に、どこからそんな強い力が出てくるのか分からなかった
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