Todos los capítulos de 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Capítulo 241 - Capítulo 250

303 Capítulos

241話

俺の様子に、ただ事じゃないと悟ったホテルのフロントは、慌てて別室に案内してくれた。 「エントランスの様子は、こちらでも確認出来ます!お連れ様は、フロント奥にあるソファでお待ちでしたか?」 「──ああ、そうだ!」 「こちらへ!数分前ですね、ただ今映像を出します……!」 フロントの人間がパソコンを操作し、エントランス映像を出してくれる。 俺は、画面にぐっと近付き、心の姿を探した。 暫しして、俺と心がエントランスにやって来るのが分かる。 心がソファに座り、俺が離れる。 俺がフロントで手続きをしていた時間は、ほんの数分だ──。 そんなたった数分の間に、一体誰が──。 そう考え、画面を食い入るように見ていた俺の目に、心に近付く人影が映った。 「──あの、女!」 俺の目に映ったのは、思いもよらなかった人物だ。 柳 麗奈──。 かつて、心が愛した男を奪い、心を傷付けた女が再び心に近付き、何かを耳打ちしている。 嫌がる心を、柳は無理やり腕を掴んで立たせると、ぐいぐいと引っ張って行ってしまった。 あっという間に画面外に出てしまった心。 それから数秒後、フロントでの手続きを終えて俺が画面に現れたのが見えた。 そこまで確認した俺は、画面から顔を逸らしホテルのフロントに問う。 「このホテルの近くに、人通りの少ない場所はあるか!?」 「そ、それでしたら──……!」 まだ、大して時間が経っていない。 柳麗奈が1人なら、同じ女性同士。心を無理やり遠くまで連れて行く事など不可能だ。 柳が1人で行動したと過程して、俺は近場に人気の少ない場所があるかどうかをホテルのフロントに尋ねた。 ◇ 「離して……!手を離して麗奈!!」 「うるさい、うるさいうるさいうるさいっ!!」 私は、麗奈に無理やり引っ張られ、ホテルの裏手にある裏路地に連れて来られていた。 ぐいぐい、と私の手を引っ張る麗奈の手とは逆の手に、光を反射して不気味にぎらり、と光る刃物が握られている。 私が涼真さんを待っている時。 突然麗奈が私の前に現れた。 そして、驚く私の耳元で「刺されたくなければ一緒に来て」と告げたのだ。 私が呆気に取られていると、焦れた麗奈は私の腕を物凄い力で掴み、無理やり立たせて引っ張って行った。 麗奈の体に、どこからそんな強い力が出てくるのか分からなかった
Leer más

242話

刺される──! 私は、襲い来る痛みに備えて、ぎゅっと強く目を瞑った。 だけど──。 「──……?」 いつまで経っても刺されたような感覚も。 痛みも襲って来ない。 私が恐る恐る目を開けると、そこには──。 刃物を持った麗奈の手を掴んでいる、涼真さんの姿があった。 「──涼真さん!?」 「心、無事か!?」 涼真さんは、麗奈から視線を逸らす事なくそう言葉を発する。 私は、涼真さんに慌てて答えた。 「わ、私は大丈夫です……!だけど、どうして涼真さんがここに……!」 あの場からいなくなった私を探してくれたのは分かる。 だけど、追いかけてくるのが早すぎて。 どうやって私を探し出してくれたのだろうか。 そんな私の疑問に、涼真さんは麗奈の手首を掴みながら、刃物を持つ手を反対の手で強く叩き、刃物を地面に叩き落とした。 「心が柳に連れ去られた所を見た。ホテルのフロントで、人気の少ない路地はどこか確認したんだ。この場所しか付近には無いと聞いてすぐにこの場所に来た」 「そ、そうだったんですね……」 「それで──柳 麗奈。これはどう言うつもりだ?もう、言い逃れは出来ないぞ」 涼真さんは低く、冷たい声で麗奈を見下ろしてそう告げる。 涼真さんにしっかり手を握られた麗奈は、ガクガクと震え、顔色は真っ青になっていた。 「刃物を持ち出して、心を脅したんだ。これは立派な殺人未遂……現行犯逮捕されるぞ」 怒りが滲んだ涼真さんの声。 「現行犯逮捕」と言う単語に、麗奈は真っ青なまま、慌てて顔を上げた。 「まっ、待って……!違う!私は心を殺そうとしてなんか、ない!ただちょっと脅してやろうと思っただけで──」 「ちょっと脅す?もし、心が抵抗したら?暴れたら?刃物が刺さっていた可能性だってあったんだぞ!そんな言い訳が通用すると思っているのか!?馬鹿にするのも大概にしろ!」 涼真さんの怒声がその場に響く。 怒りに満ちた涼真さんの声にびくり、と体を震わせた麗奈は、力を失いその場にへたり込んでしまった。 そんな麗奈を冷たく見下ろしていた涼真さんの背後──。 人気の無いはずのこの場所に、人の足音が聞こえてくる。 バタバタ、と慌てて駆け寄ってくるような足音に、私は涼真さんを見上げた。 「涼真さん、もしかして警察を呼んだんですか?」 「──ひっ」 私の警察
Leer más

243話

バタバタ、という足音と一緒に真っ青になった間宮さんが姿を表す。 彼は、私たちの様子と、地面にへたり込む麗奈。 そして、麗奈から離れた場所に落ちている刃物を見て、大体の事を悟ったのだろう。 間宮さんは懐からハンカチを取り出すと、刃物をハンカチ越しに広い、袋に入れてしまった。 そして、私たちに歩いて来る。 「社長、加納さんも怪我はないですか?」 「ああ、俺は平気だ。心も大丈夫か?」 涼真さんに顔を向けられ、心配そうにそう尋ねられる。 私も、涼真さんが駆け付けてくれたお陰で怪我は無い。 こくり、と頷いて答える。 「はい。私も大丈夫です」 「なら、良かった……。間宮、車は?」 「ホテルの駐車場から出してあります。路地の入口に」 「分かった。心を一先ず車に送ってくる。その間、柳を見張っていてくれ。怪しい動きをしたら気絶させて構わない」 「かしこまりました、社長」 涼真さんと間宮さんの会話に、麗奈がびくりと体を震わせる。 「心、一旦車に。心を車に乗せたら、俺は柳の所に戻るから……少し時間がかかるかもしれない。運転手を手配するから、先に家に戻っていてくれ」 「涼真さんは、一緒に帰れないんですか……?」 一緒に帰れなくなるなんて──。 そんな事になるなんて思わず、私は心細さを感じてしまう。 咄嗟に涼真さんのスーツの裾を掴んでしまった私に、涼真さんは困ったように眉を下げると私の額に軽く口付けた。 「用が済んだらすぐに家に戻る。家に帰ったら、心の傍を離れないよ」 「──約束、ですよ?」 「ああ、もちろんだ」 しっかりと頷いてくれる涼真さんに、私も頷き返す。 私が納得した、と分かって涼真さんはほっとしたように表情を緩めると、車に向かって歩き出した。 ◇ 路地裏の入口に、間宮さんが言っていた通り、涼真さんの車が停まっていた。 大通りから少し入った場所のため、あまり目立たない所にある。 車のドアを開けた涼真さんは、私を後部座席に乗せると涼真さんも一緒に乗り込んでくれた。 そして、涼真さんは自分の懐からスマホを取り出すと、電話をかける。 「──運転手を1人。ああ、場所は今から送る。頼む」 それだけを言って電話を切った涼真さんは、私に顔を向けてそっと頬に手を添えた。 「心……。柳は、どうして心をこんな目に?」 「……麗奈は、
Leer más

244話

それから暫くして。 涼真さんが手配してくれた運転手がやって来て。 涼真さんは車から降りてそこで別れた。 運転手は私を自宅まで送ってくれた後、駐車場に車を停めて私が家に入るのを見届けてから帰って行った。 「──ただいま」 私が声を上げて家の中に入る。 すると、私を出迎えてくれたのはお手伝いさんだった。 「加納さん、お帰りなさい……!」 「ただいま戻りました」 柔らかい笑みを浮かべるお手伝いさんに、何だか安心して。 ほっとして、私も笑い返す。 どうやら家の中にはお手伝いさんしかいないようで、私はリビングに入った所で彼女に聞いた。 「そう言えば持田さんは不在なんですね?」 「ええ、彼女は新居の内見に行かれました。もしかして、持田さんに何かご用でも……?持田さんは、いつでも連絡してくれて大丈夫だと仰っていましたので、戻ってきていただきますか?」 「そっ、そんな!大丈夫です!ただ、持田さんの姿が無かったので聞いただけですから!」 持田さんを呼び戻そうとしたのだろうか。 お手伝いさんがスマホを取り出すのを見て、私は慌てて止める。 今日は、休日だ。 持田さんにも自分の生活がある。 それに、新居──引っ越し先の確認をしている彼女に、これ以上迷惑をかけたくない。 多分、間宮さんと一緒に出かけたはずだ。 だけど、麗奈の事で呼び出されてしまった。 これ以上、持田さんと間宮さんの邪魔はしたくなかった。 「その……私も午前中でお暇するので……加納さんはお1人になってしまいますが、大丈夫ですか?」 「ええ、大丈夫ですよ。お気になさらないで下さい」 私がにこり、と笑うとお手伝いさんはほっと安心したように表情を和らげる。 本来であれば、土日祝日はお手伝いさんもお休みなのだけど、今日は別で。 私たちがパーティーを開催したから。その翌日は疲れが残っていて、家事が出来ないだろうと例外でお手伝いさんを頼んでいたのだ。 「それに、陸ちゃんと凛ちゃんがいますから、大丈夫です」 さっきから構って欲しそうにしている陸と凛に視線を向けながらそう言うと、お手伝いさんは今度こそ安心して仕事に戻った。 ◇ お手伝いさんが帰って、どれくらい時間が経っただろう。 私は陸ちゃんと凛ちゃんと遊んでいたけど、2人も眠くなってしまったのか、お昼寝に入ってしまった。
Leer más

245話

「──ころ、こころ。こんな所で寝たら風邪をひくだろう?起きてくれ」 「ん、んん〜?」 「酒の空き缶が多いな……まさかアルコールを飲んで眠くなったのか……?」 優しく体が揺さぶられる感覚と。 優しい涼真さんの声が聞こえる。 だけど、私は眠くて眠くて。 瞼を開ける事が出来ない。 「仕方ないか……。心、俺の部屋に運ぶぞ?」 そんな声が聞こえたと思った瞬間、私の体がふわりと浮かぶような感覚。 そして、涼真さんの香水の香りが一段と強くなった。 私は、その心地いい香りに鼻を寄せ、擦り寄る。 一瞬、私を抱いてくれている体が硬直したような気がしたけど、私は気にする事なくそのまま温かいぬくもりに身を寄せていた。 「全く、勘弁してくれ……。そんな可愛い事をされたら、我慢出来なくなるだろう……」 呆れたような、だけどどこか嬉しそうな涼真さんの声が聞こえて。 私は、涼真さんの声に安心して再び意識を手放した。 ◇ 優しい腕に抱きしめられているような、感覚。 まるで離さないとでも言うような抱擁に、私は安心感を覚えていた。 こんな風に抱きしめてくれるのは、涼真さんしかいない──。 そう思った私の意識が、ふっと浮上する。 「──へ?」 ぱちり、と目を覚ました私は、自分の目の前で目を閉じて眠っている涼真さんの顔の近さに驚いた。 思わず声が出てしまいそうになったけど、何とか声を出すのを耐えると、そろそろと周囲を見回す。 時刻は、まだ夕方前だろうか──。 でも、私が家に帰ってきてから、数時間が経っているのが分かる。 (そっか……私、麗奈の事を思い出して怖くなって……お酒を飲んで寝ちゃおうとしたんだった……) それで、恐らくリビングでそのまま眠ってしまったのだろう。 そんな私を、帰宅した涼真さんが見つけて、部屋に運んでくれたのだろう。 (た、確か涼真さんが起こしてくれようとしてたような……) 体を揺らされて、起こしてくれようとしてた事を薄っすらと覚えている。 だけど、その時の私は眠気に逆らえなかった。 そのまま寝続ける私を、涼真さんは部屋に運んでくれたのだろう。 (それで……涼真さんも一緒に眠っちゃったんだ……) 私は、目の前で眠る涼真さんをじいっと見つめる。 涼真さんも、昨夜のパーティーで疲れていたのだろう。 準備も大変だったし、
Leer más

246話

(凄い……涼真さんの睫毛長い……それに、肌もすべすべ……ずるい……) 私なんて、お肌の手入れを頑張っているのに。 涼真さんは肌荒れ1つ見当たらないし、とてもしっとりしているし、お肌もすべすべだ。 (ここって、涼真さんの寝室……よね?特別なお肌のお手入れなんてしていないように感じるのに……) 周囲を見回してみても、男性用の基礎化粧水が1つぽつんとあるだけで。 (ええっ、乳液も、マスクもせずに化粧水だけでこの肌の綺麗さなの……!?ず、ずるいわ……!) いいなぁ、と思いながら私が涼真さんの頬に触れた後、手を離そうとした時。 涼真さんの口元付近にあった私の指を、不意に涼真さんがぱくりと口に咥えた。 「──っ!?」 「ふ、ふふ……っ」 私が驚いてぎょっとしていると、涼真さんの低くて色っぽい笑い声が聞こえてきて。 それに、私の背中に回っていた涼真さんの腕が、微かに震えているような気がする。 「りょ、涼真さん……!?いつから起きていたんですか!?」 私は慌てて涼真さんの口から自分の指を引き抜こうとしたけれど、涼真さんは軽く私の指の先に歯を立てて噛んだ。 軽く噛まれた衝撃に、私がびくりと肩を震わせると、涼真さんはやっと私の指を口から解放してくれる。 「心の熱烈な視線に、目が覚めたんだよ」 「ね、熱烈って……!」 私は急いで涼真さんの口元から自分の手を引き戻そうとしたけど、がしりと涼真さんの手に手首を掴まれてしまう。 「りょ、涼真さん──?」 手を掴まれてしまった私は、ドキマギとしつつ涼真さんを見つめる。 涼真さんは私をじっと見つめたままくつりと喉奥で笑うと、私の指先に唇を寄せて可愛らしいリップ音を立てながらキスをした。 「──〜ッ!?」 私は、涼真さんの行動にぶわっと頬を真っ赤にすると慌てて手を引き抜いた。 「りょ、涼真さんっ!?いきなり何を……ッ!?」 私が真っ赤になって手を引き抜く姿を、涼真さんは目を細めてくつくつと笑っている。 そして、私の背に回っていた涼真さんの腕に力がこもり、引き寄せられた。 「いや──、心が無事で本当に良かったな、と再確認してた」 「──っ!」 「もう、あんな風にぞっとするのは嫌だな。……心が怪我をさせられるんじゃないかって、心臓が痛かった」 「涼真さん……」 涼真さんはそう言うと、ぎゅうっ
Leer más

247話

涼真さんの低くて心地良い声が、とても落ち着く。 涼真さんは私の無事を喜んでくれていたけど、私は段々眠気を覚えてきて。 うつらうつらとしつつ、眠らないように必死に目を開いていたけど。 私が眠くてたまらないのだろうと気付いた涼真さんが、柔らかく目を細めた。 「眠いだろう、心。少し寝てしまえば良い」 「──ん、でも……」 「大丈夫。まだ皆が戻ってくるまで時間がある。皆が戻って来たら起こすよ」 「いいんですか、涼真さん」 「ああ。少し休みな」 涼真さんの優しくて温かい声がじんわりと胸に染みる。 それに、優しく抱き寄せられて、守るように涼真さんの腕にぎゅっと抱かれる。 凄く安心感を感じて、私は寝てはいけない、と思いつつその眠気には逆らえなかった。 「お休み、心──」 涼真さんの唇がふわり、と私の額に触れた気がしたけど、私はもう目を開ける事も出来なかった。 ◇ ──コンコン、と扉がノックされる音が聞こえる。 「誰だ?」 すぐ近くから涼真さんの声が聞こえて、ぎしり、とベッドの軋む音が聞こえた。 そしてすぐに隣から人の気配がなくなって──。 次いで、扉が開く音がした。 「心はまだ疲れて眠っている。あの件なら下で聞こう」 そう話す涼真さんの声が聞こえて、2つの足音が階段を降りていった。 「──ん、んん……?」 ふ、と意識が浮上して私は目を覚ました。 すると、私の目の前には目を閉じている涼真さんの顔があって。 私が声を出して身動ぎしたのが伝わったのだろう。 涼真さんがぱちり、と目を覚ました。 「心、起きたか?」 「涼真さん……。すみません、私どれくらい眠ってしまっていましたか?」 ゆっくりと体を起こすと、それに伴い涼真さんも起き上がった。 窓の外に視線を向けると、外は薄っすらと暗くなり始めていて。 確か、ホテルを出たのが朝の9時頃だった。 それから麗奈に路地に連れて行かれて……涼真さんが助けてくれて。 運転手の人を手配してくれて家に帰ってきたのがお昼前だった。 それから、リビングで寝てしまった私を涼真さんが部屋に連れて来てくれたから──。 それを考えると、かなりの時間を眠って過ごしてしまったのだと分かる。 「す、すみません涼真さん……!こんなに寝ちゃうとは思わなくって……!起こして下さって良かったのに……!」
Leer más

248話

私の考えが筒抜けなのだろう。 涼真さんは最初きょとんと目を瞬かせていたけど、すぐに意地悪な笑みを浮かべた。 「何を思い出してる、心?」 「な、何もっ!さ、さあ涼真さん。下に降りましょう?持田さんも、間宮さんも戻って来ているんですよね?」 私の言葉に、揶揄うような笑みを浮かべていた涼真さんだったけど、すぐに真剣な表情に変わる。 そして頷いて答えた。 「──ああ。柳麗奈の事を心に話しておかないとな」 起きれるか?と手を差し出してくれる涼真さん。 私が彼の手に自分の手を重ねると、ぎゅっと握って抱き上げてくれた。 「りょ、涼真さん!?自分で歩けます、大丈夫なので下ろしてください!」 「心はあんな危険な目に遭ったんだ。足だって震えていただろう?階段を降りる時だけ。階段を降りたら下に下ろすよ」 階段を落ちてしまったら、と思うと心配なんだ。 そう、困ったように眉を下げて笑う涼真さん。そんな風に言われてしまっては、断る事も出来ない。 「ありがとうございます、涼真さん……」 「大切な婚約者だからな。当然だ」 私がぎゅっと涼真さんに抱きつくと、涼真さんは笑って私を強く抱き締め返してくれた。 ◇ 階段を降りた涼真さんに下に降ろしてもらった私。 リビングに行くと、そこには既に持田さんと間宮さんが居た。 夕食の準備をしていてくれていたのだろう。 2人は、私の姿を見ると駆け寄って来てくれた。 「加納さん!大丈夫でしたか!?」 「どこにも怪我はしていませんか?」 持田さんと間宮さん2人にそう話しかけられ、私は2人に安心してもらおうと努めて明るく言葉を返す。 「ええ、大丈夫です!あの時、涼真さんが助けに来てくれたお陰でどこにも怪我はありません!」 「それなら、良かったです。間宮から話を聞いた時は頭が真っ白になりました……。加納さんがご無事で本当に良かった……」 持田さんが私の両手を握り、安心したように笑ってくれる。 私達はそこで暫し話をし、夕食を摂るためにテーブルに着いた。 そして、そこで涼真さんが麗奈の事を話してくれる。 「柳 麗奈だが──。警察には引き渡していない。あの女からは色々な証言を引き出しておきたいからな。だが、心には近付けさせたくない。……然るべき場所でちゃんと柳を監視している」 「監視、ですか……!?でも、その……彼女
Leer más

249話

◇ どこかの一室。 その一室は、とても真っ暗で。微かな明かりすらも無かった。 その一室に閉じ込められるような形になっている女性──柳 麗奈は、固く施錠され、開きそうにない扉を力一杯叩いていた。 「──出して!こんな事をして良いと思っているの!?これは誘拐よ!監禁よ!立派な犯罪行為だわ!」 ドンドン、と強く叩き叫んでも。 扉の外に誰かが居る気配はするのに、動じる気配が無い。 麗奈はドアノブを掴み、ガチャガチャと動かした。 だけど、やはり扉はうんともすんとも言わず、開く気配は微塵も感じられない。 「どうして私ばっかりこんな目に……!全部心がいけないのにっ!私から瞬を奪ったのは心なのに……!どうして私が悪いの!?悪いのは心じゃない!心さえいなければっ!私の家だって、家族だって!全部心のせいだわ!」 麗奈の一家は、悪事を働きそれがバレて国内に居られなくなった。 清水家の運営する会社で、役員の1人として麗奈の父親は働いていたのだ。 当時、急成長をしていた清水の会社。 そこの役員を務めていた麗奈の父親は、外部から接触してきた人間に唆され、当時まだ未発表だった清水の会社の情報を漏洩させた。 その報酬で外部の会社に乗り換えるつもりだったが、漏洩させた事が清水の会社にバレたのだ。 そして社会的制裁を受け、麗奈の家は一家離散状態に陥った。 莫大な賠償金を背負わされ、どこにも逃げる場所がなくなった麗奈達はそれぞれ散り散りに海外へ逃亡したのだ。 外部から接触してきた人間は、最後まで麗奈の父親を助けてくれる事はなく、父親は外国で亡くなった、らしい。 母親と一緒に海外に逃げた麗奈は、それを数年後に知ったのだ。 それから、麗奈と母親の生活は想像を絶する程酷いものだった。 ヨーロッパへ渡り、次はアメリカへ。 短い期間で度々国を変えていた。 どこかの国に定住する事もせず、いつか母国に帰れるのだ、と儚い希望を抱いていた。 もしかしたら、瞬が迎えに来てくれるかもしれない。 そんな淡い期待を込めていた──。 だが、瞬が迎えに来る事など、無かったのだ。 母国から離れた遠い国で、麗奈は瞬が恋人を作り、婚約をしたと言う事を知った。 それを知った麗奈は、怒り、恨み、がむしゃらに行動した。 瞬は有名だったから彼の行動を調べる事も、居住区も、SNSも、簡単に
Leer más

250話

「心が流産して、瞬を縛り付ける物は全部なくなった……っ、瞬と心が婚約破棄した時までは良かったのに……っ」 それなのに、どうして幸せになれないのか。 「私の代わりに、心が地獄に落ちればいいと思ったのに……!私が味わった屈辱を、心にも味わわせたかったのに……!」 それなのに。 色々手を替え品を替え、心を攻撃しようとしても大打撃を受けずに終わってしまった。 SNSでの誹謗中傷も──。 わざわざ三橋まどかを使ってまで心の評判を落としてやろうとしたのに、逆手に取られてしまった。 そして、黒瀬を使って心を籠絡させようとしても。 黒瀬はちっとも麗奈の思う通りに動いてくれない。 最後には滝川 涼真の元婚約者──花里 愛海を死にものぐるいで探し、けしかけた。 滝川の二股疑惑を浮上させ、会社の株価も下落させてやろうと麗奈は企んだ。 そして、愛海と言う婚約者が居る、と知った心が傷つけば良い。 そう考えていたのに──。 「どうして心と滝川の関係が深まるのよ……っ!」 全部、全部全部。 麗奈の企ては失敗に終わっている。 「だからこそ……っ、だからこそ心を傷付けてしまえばって思ったのに──」 それなのに。 決死の覚悟で、麗奈は挑んだのだ。 心をこの世から消してしまえば、自分の気もようやく晴れるのでは──。 そう思い、心を連れ出して切り付けてやろうと思った。 それなのに。 「どうして心にはすぐに助けが来るの……!?私の時はっ、私の時は誰も助けてくれなかったのに!」 麗奈は部屋にある物を、手当り次第に掴み、扉に投げ付けた。 荒ぶる感情が、自分でも制御出来ない──。 麗奈は泣きながら破壊行動を続けていた──。 ◇ 「社長。連絡が……」 「──どこからだ?」 「柳を拘束した際に、診察を受けさせた病院から、です……」 「すぐに対応する」 夜。 夕食を食べ終わり、涼真さんの部屋で私たちがまったりと過ごしていると、部屋の扉がノックされた。 ノックしたのは間宮さんで、涼真さんは彼にそう答えると、1度扉を閉めて私の座っているソファに戻ってくる。 「すまない心、少し離れる。眠かったらベッドに入って寝てて構わない」 「ありがとうございます、涼真さん。お言葉に甘えて……眠く
Leer más
ANTERIOR
1
...
2324252627
...
31
ESCANEA EL CÓDIGO PARA LEER EN LA APP
DMCA.com Protection Status