Semua Bab 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Bab 261 - Bab 270

303 Bab

261話

(過呼吸だ!) 清水は胸中で叫ぶと、麗奈を抱き起こしてコールを力強く押した。 早く看護師が来てくれるよう、何度も何度も押す。 「おい、麗奈……っ、麗奈!」 「──ひっ、うぅ……っ、瞬っ、瞬……っ」 麗奈は息が出来ない苦しさに喘ぎながら、それでも清水の名前を呼び続ける。 そして、清水は麗奈が先程口にしていた言葉を思い出し困惑していた。 (麗奈が、俺のために誰かに抱かれていた──?対価に、体を差し出していた、と言っていたな……?) 清水は麗奈の仕打ちに、うんざりしていた。 子供の頃、会社の経営状態が悪化したと言うのは耳にした事がある。 会社に居た、内部に居た人間の仕業だと大人になってから知った。 その犯人が、まさか麗奈の父親だったなんて。 しかも、麗奈の父親のせいで自分達が離れなければならない結果になっていたなんて、清水は今の今まで知らなかった。 それも知らず、麗奈と離れた事に傷付き、悲しみに明け暮れていた日々を清水は思い出す。 胸にぽっかりと穴が空いたような虚無感。 辛い日々を送っていたのが、実は麗奈の家族のせいだったなんて──。 (あの苦しかった日々を埋めてくれたのは、紛れもなく心だ……。それに、心は自分の大切な権利を……生地を俺の会社に売ってまで、俺の会社を助けてくれた……) まるで、両極端な2人だ。 (俺がかつて愛していた初恋の人……麗奈は、俺の家族の会社を陥れるような行動をした。逆に心は、麗奈を失って悲しみに明け暮れていた俺を支え、ずっと傍に居てくれた。しかも、心は俺の家族の会社を救うために、実家と縁を切ってまで助けてくれたんだ……) 清水は自分の腕の中で苦しげに呻く麗奈を見下ろす。 (麗奈は、確かに俺の初恋で……忘れられない女性だ……。麗奈の父親がやった事に、彼女は何の関係もない。何の罪も無い。……だが、麗奈が心に対してやった事は、紛れもなく残酷な行為だ……。心をずっと苦しめていたなんて……。麗奈さえ、麗奈さえ帰国しなければ……俺が麗奈を見つけさえしなければ、俺は今頃心と変わらず幸せに暮らしていたかもしれないのに……!) 清水の頭の中は、様々な感情が入り乱れ、ぐちゃぐちゃになっていた。 麗奈さえ居なければ。 だが、麗奈は自分の初恋だ。 子供の頃は確かに麗奈に焦がれていた。 だが、そんな時に救ってくれたのは
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262話

看護師と医者が麗奈に処置をしていくのを、清水はぼうっと見ていた。 「お腹の子の、父親の方ですね?こちらへどうぞ、詳しくお話いたします」 看護師がぼうっとしている清水を気遣い、丸椅子を出して座るように促す。 だが、清水はその言葉にゆるゆると首を横に振った。 「いや……いえ、俺は……腹の子の父親じゃない、です……」 「──え!?」 看護師の目が、驚きに見開かれる。 清水は気まずい気持ちを耐えつつ、言葉を続けた。 「その女性と、確かに以前は付き合いがありました。……だけど、腹の子は俺の子じゃない……」 「えっ、と……」 看護師が気まずそうに表情を曇らせる。 何となく事情を察してしまったのだろう。 かつて付き合っていた人物が病室まで来ていると言うのに、腹の子は自分の子じゃないと言う──。 嘘か本当か、看護師には分からない。 困ったように眉を下げている看護師に、清水は懐から名刺を取り出すと、看護師に手渡した。 「医療費の請求は私にして下さって構いません。……体調が落ち着いたら退院させて下さっても、構いません」 「──えっ、ちょ……っ」 清水は看護師が名刺を受け取ったのを確認すると、そのまま麗奈の病室を後にした。 戸惑いつつ、呼び止めるような声が聞こえたが、清水は1度も振り返る事なく廊下を歩いて行く。 真っ直ぐ前を向いて歩く清水の表情は、どこか覚悟を決めたように硬かった。 「麗奈は、麗奈の腹にいる子供の父親がどうにかすればいい。もう、俺には関係ない。麗奈との関係も、今日ここで終わりだ」 ぐっと拳を固く握りしめ、前を見据える。 「俺にはやっぱり心しかいない。俺を1番愛してくれていたのは、心だ。絶対に心を取り戻してやる」 清水は静かな廊下を苛立つ足音をそのままに歩き、病院を去った。 ◇ 麗奈を病室に残し、一足先に帰ってきていた私と涼真さん。 間宮さんが運転してくれる車で家に帰宅した私たちは、間宮さんが駐車場に車を停めてくれている間に先に家に入った。 「──心、疲れただろう?もう今日は休むか?」 涼真さんが私の肩を抱き、心配するように顔を覗き込んでくれる。 私は肩を抱いている涼真さんの手にそっと自分の手を重ねると、小さく頷いた。 「そう、ですね。……今日はもう休みます。涼真さんも、もう休みますか?」 「そうだな。流石に
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263話

照明の光を絞り、かなり薄暗くなった室内──。 涼真さんの部屋で、私は寝巻き姿のままドキドキと緊張に胸を高鳴らせて立ちすくんでいた。 「──心、寝よう」 「は、はい涼真さん」 ベッドに座っていた涼真さんに手招きされる。 涼真さんも既に部屋着のゆったりとした服に着替えていて。 私はギクシャクとしながら涼真さんに近付いた。 私が近付くのを待っていた涼真さんが、苦笑いを浮かべる。 「そんなに硬くならないでくれ。心が声を我慢出来ないほどの事はしない」 「──りょ、涼真さんっ!」 「ははっ、緊張が解れたか?」 くつくつと喉奥で楽しそうに笑う涼真さん。 私は真っ赤な顔で涼真さんの胸元をぽかり、と叩いた。 涼真さんは私の手を優しく自分の大きな手のひらで包むと、そのまま力を入れて私を抱き寄せたままベッドに倒れた。 「わっ、わわっ!」 「心を抱くのは、婚約が成立してから。そう決めてるよ。だから緊張しないでくれ」 そう言いながら私の額にキスを落とす涼真さん。 「婚約が、成立してから……?」 「何だ?不服か?それなら今からでも──」 悪い顔をした涼真さんが、私の肩をベッドに押し付けたまま素早く私に覆い被さる。 見上げた涼真さんの顔が、とても格好良くて──。 意地悪な顔で私の腰をやらしく這う涼真さんの手のひらの熱さが、私にまで移ったように体が熱くなる。 「だ、大丈夫です!婚約が正式に成立してからお願いしますっ!」 「──ふっ、はは!了解。仕方ない、それまでは俺も我慢するよ」 楽しそうに笑う涼真さん。 涼真さんは、そのまま私を引き寄せるとぎゅうっと抱きしめてくれた。 「柳の件は、一先ず様子を見よう。……清水があのまま柳を引き取り、対応してくれれば……」 涼真さんは、私を抱きしめたままぽつりと呟く。 その言葉に、私も頷いてから返した。 「そうですね……。このまま……麗奈も、清水 瞬ももう私たちに関わって来なければ……」 「ああ。……黒瀬の事を清水に教えるのは様子を見てからの方がいいな」 涼真さんの会社での、新作発表パーティーも無事に終わった。 私の、生地開発の仕事も暫くは落ち着くだろう。 なら、あとは──。 私がそう考えていると、涼真さんも同じ事を考えていたのか。 私の頬に手を添え、そっと持ち上げると涼真さんの目と視線が合
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264話

◇ 翌週、月曜日。 私と涼真さんは、涼真さんの寝室から一緒に出てくるとそのままリビングに降りて行った。 「社長に加納さん、おはようございます」 キッチンで飲み物を用意していた持田さんが、私と涼真さんに気がついて声をかけてくれる。 「ああ、おはよう持田さん」 「おはようございます、持田さん!」 たっぷり寝れたお陰だろうか。 私の体調は今までに無いほど良くて。 涼真さんも顔色がとても良い。 「ふふ、お2人の仲がよろしいようで良かったです」 「えっ、えぇ……?」 そ、そんなに顔や態度に出てしまっていただろうか。 私は持田さんの言葉に、頬を抑える。 何だかじわじわと頬が熱くなってきている気がする。 「──揶揄うのはよしてくれ、持田さん。心は恥ずかしがり屋だから、これで一緒に寝てくれなくなったらどうしてくれる?」 「ふふふ、失礼いたしました」 くすくすと笑い声を上げる持田さん。 私は熱を持つ頬をそのままに、リビングの椅子に座った。 私の隣に、涼真さんも座る。 あれから──。 あの日から、私は涼真さんの部屋で一緒に眠るようになった。 婚約をして、結婚をしたら。 寝室は一緒にしたい、と涼真さんが言ってくれたのだ。 私も、出来るなら涼真さんと一緒の寝室が良い。 好きな人と眠りに落ちる寸前まで一緒にいて。そして、朝目覚めた時1番に目に入るのが、好きな人だったら。 これほど幸せな事はないだろう。 だから、私も涼真さんの提案に即座に頷いたのだ。 その時の涼真さんの嬉しそうな顔が目に焼き付いて離れなくて。 その時の表情を思い出した私は、じわじわと頬を染めてしまう。 そんな私の様子に気が付いた涼真さんが、揶揄うように目を細めたのが視界に入った。 「──涼真さん、余計な事を言ったら怒りますよ……」 じとり、とした目で涼真さんを見る。 すると涼真さんは楽しそうに笑って両手を上げた。 「はは……っ、俺の妻になる人は怒らせたら相当怖いみたいだ」 「ふふふ、社長が奥様の尻に敷かれるのが簡単に想像出来ますね」 「ああ、間違いない。まあでも俺は愛妻家だからな。喜んで尻に敷かれよう」 「──もっ、もう!涼真さんも!持田さんもこれ以上揶揄わないでください!早くご飯を食べて会社に行きましょう!」 楽しそうに笑う持田さんと、幸せそうに
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265話

社長室に着き、私と涼真さんは息をつく間もなく仕事に取りかかる。 午前と午後に予定していた対応を全てこなし、それからは自分の仕事に集中していた。 私は研究職から暫く離れ、涼真さんの秘書として彼の仕事をサポートする役に戻るだろう、と思っていた。 だけど──。 (思っていたより、生地開発に関しての仕事が多いわ……!それに……新作発表パーティーが、こんなに大きな話題になるなんて……!) ネットニュースでも報じられ、各種SNSでもこのパーティーの事は大きく取り上げられて話題になっていた。 ハッシュタグで検索すると、検索ランキングで必ず上記に表示されてしまう。 もちろん、この結果は涼真さんも知っている。 涼真さん自身も、まさかこんな大きく取り上げられるとは思わなかったようで。 知った時には困惑していた。 だけど、大きな話題となってくれたお陰で。 「加納さん。新作発売のスケジュールはどうだ?いけそうか?」 「はい、社長。今作のデザイナーと専属契約成立しております。新作のデザインについても、現在作成していただいております」 「そうか、分かった……。後は──……」 涼真さんは自分の口元に手を当て、考えるように俯いた。 涼真さんがこうして考え始めると、暫く考え込むためこちらの声はもう聞こえていないだろう。 私も、自分の仕事を少しでもこなしていなかないと。 大きな話題となったお陰で、元々予定していた次回新作の発売を前倒しする事になったのだ。 生地に関しては恐らくもう問題はない。 生産が追いつくかどうか、という心配は多少あれど、きっとそれも全て考慮した上で涼真さんは発売のスケジュールを前倒ししたのだから。 私に出来る事は涼真さんをサポートして、彼の仕事を円滑に回す事。 今は、それだけに集中していれば良い。 (──あ、デザイナーの人から連絡だ) 私は、自分のパソコンに目を落とし、メールが届いていた事に気付く。 私が、今回の新作のデザインに関わっていた事で、専属契約を結んだデザイナー達からこうして時折連絡が来る。 連絡内容はデザインについての相談が殆ど。 だから、私に出来る範囲ではあるけれど相談に乗っている。 「ああ……今日も何通か来て──っ」 そこまで口にした私の言葉が、途中で止まる。 私の仕事のメールアドレス。 私宛に、来るは
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266話

私の小さな声なんて、聞こえていないと思った。 それだけ、あの状態になった涼真さんの集中力が凄まじいから。 だから、絶対に聞こえていないと思っていたのに。 「黒瀬、だと……?心に届いたのか?」 「──っ、りょ、涼真さん!?」 いつの間に私の後ろにやって来ていたのか。 涼真さんは、私の椅子の背もたれに手を置き、パソコン画面を覗き込むように体を寄せて来た。 ぐっ、と涼真さんの体が近付き、彼が仕事用に付けている爽やかな香水の香りが私の鼻に届く。 爽やかだけど、どこか蠱惑的な涼真さんの香り──。 近付いたせいで、涼真さんの体温まで感じてしまって、私の体はぎくりと強ばった。 「──……。どんな内容?黒瀬からは今までも連絡が来たことがあるのか?」 涼真さんの剣呑な瞳が、私を射抜く。 もしかして、私がぎくりとした事が涼真さんに変な誤解を与えてしまったのかもしれない。 そんな誤解はすぐに解かなくちゃ。 そう考えた私は、慌てて首をぶんぶんと横に振って否定する。 「黒瀬社長から連絡が来たのは初めてです!もしかしたら、以前渡した名刺をまだ持っていたのかもしれません」 私が淀みなくキッパリと否定した事で、涼真さんもすぐに私の言葉を信じてくれたのだろう。 いつもの涼真さんの雰囲気に戻る。 「そうか。なら、どうして急に連絡をして来たのか……。メールを開封してもらってもいいか?」 「も、もちろんです!」 私のデスク周りには椅子が1つしかない。 だから私は涼真さんに椅子を譲り、すぐ傍に立ってパソコンを操作しようとした。 それが、今の私たちにとって当たり前の対応だと思ったから。 だけど、私が椅子から腰を浮かせた瞬間、私の考えを先読みしていた涼真さんは軽々と私の腰に腕を回し、ひょいっと持ち上げた。 「──へっ?……きゃあっ!」 涼真さんはあっさり私の椅子に座ると、持ち上げた私をそのままストン、と自分の膝の上に降ろす。 私のお腹に回った涼真さんの腕ががっしりと拘束していて、立ち上がる事も出来そうにない。 こ、これは社長と秘書として流石に行き過ぎではないか──。 「りょっ、しゃ、社長!離してください!私は隣に立っておりますから……!」 「俺の婚約者に対して個人的に連絡を寄越すなんてな……いい度胸だ、黒瀬 公紀」 だ、駄目だ……!涼真さんに言葉が
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267話

黒瀬さんからのメール内容。 それは、一見問題ないように思えるけど、私である必要がない内容だった。 確かに、私は涼真さんの秘書だ。 だから私に直接連絡を入れれば、涼真さんの目に留まる確率は高い。 だけど、それだけではない事が黒瀬さんからのメールの端々からひしひしと伝わってくる。 そう──。 結局、黒瀬さんは私と直接会ってやり取りをしたい、と申し出るようなメールを送ってきたのだ。 「……ふざけた事を」 涼真さんの低い声が耳元で聞こえる。 彼が私を抱きしめる腕の力が強くなり、後ろにいる涼真さんの胸元に抱き寄せられる。 「──わっ、わわっ、涼真さ……っ」 「心は俺の婚約者だと奴も知っているはずだ。それなのに、婚約者がいる女性に対して手を出そうとしている魂胆が透けて見えている。会食?相談?それなのにどうしてその場所をホテルの一室を指定するんだ」 確かに、涼真さんの言う事は尤もだ。 会食や相談をしたいと言うなら、こちらの会社や料亭で十分なのに。 それなのに、ホテルの一室を指定するなんて所謂「そういう事」を誘っていると言っても過言では無い。 「断るのは勿論として……少し黒瀬社長には大人しくしてもらうよう、あの件を伝えておくか」 ぶつぶつ、と涼真さんが据わった目で呟きつつ、私を膝に乗せたままパソコンのキーボードに手を置いた。 ぐっと涼真さんとの距離が更に近づき、彼の鼓動も、呼吸も、私の体を通じて伝わってきてしまう。 い、今は社長と秘書! 恋人じゃなくて、仕事の上司と部下! そう、自分に言い聞かせないと涼真さんの近さや体温に胸がドキドキと騒いで仕事にならなくなってしまう。 物凄い速度で文章を打ち込んでいく涼真さん。 その間、私は口を噤んだまま涼真さんがメールを打ち終わるのをただただじっと黙って待つ事しかできない。 「──よし、これで十分だろう」 涼真さんの満足そうな声が聞こえ、文章を打っていた手が止まる。 良かった、メールを打ち終わり、終わったみたい。 これで涼真さんも私を膝から下ろしてくれるはず──。 そんな淡い期待を抱いた私だったけど、涼真さんは私を膝から下ろしてくれる事はなく、それどころか私をぎゅうっと抱きしめてきた。 「わっ、涼真さ……っ」 「心……俺たちの婚約発表パーティー、急いで開催しよう」 「涼真さん?」
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268話

◇ パソコンに、メールの通知が送られてくる。 軽快な通知音に、椅子に座っていた男──黒瀬 公紀はダルそうに体の向きを変え、メールを確認した。 すると、まさか返信など期待していなかった人物からメールの返信があり、黒瀬は目を輝かせてメールを開封した。 「まさか、加納さんから返信があるとは……!」 「──っ」 黒瀬が「加納」と言う名前を口にした瞬間、室内のソファに座っていた人物がぴくりと反応した。 だが、黒瀬はその人物を気にする事なく届いたメールに目を落とした。 想像していたのは、加納 心 本人からの返信。 だが──。 「ふむ……これは滝川社長にバレたな……」 にいっと黒瀬の口が愉しげに歪む。 返信されたメールの内容は、滝川本人からだと分かるようにわざと文章の端々にそれが滲んでいる。 「ははっ。加納さん手を出すな、と言う事か。……確かに、今滝川グループを怒らせると怖いからな……だが、まだ加納さんは誰の物にもなっていないだろう。彼女を手に入れようと動いても何の問題もない」 これで正式に婚約が発表され、結婚でもされたらもう無理だが──。 そう呟く黒瀬に、ソファに座っていた人物が我慢ならない、といった様子で声を上げた。 「黒瀬さん……!」 「……何だ、麗奈。邪魔をしないで欲しいんだが。そもそも、今日は何の用で来た?」 麗奈の叫び声に、黒瀬は興味がないとばかりに冷たい言葉を返す。 そんな黒瀬の態度に、麗奈はカッとして声を荒らげる。 「心の事なんてどうでもいいでしょう!?今は私とあなたの子について──」 「その子供は、本当に俺の子なのか?」 「──は……?何ですって……?」 「もう1度言おうか?麗奈が妊娠しているという子供。その子供は本当に俺の子なのか?証拠は?」 「なっ、なんでそんな事……っ、あなたしか居ないわ!あの頃、体の関係があったのはあなただけで──」 「それを信じろと?そもそも君は清水社長の婚約者じゃないか。彼の子供の可能性の方が高いんじゃあ?」 「ち、ちが──」 「それに、婚約者がいながら他の男に簡単に足を開く。そんな阿婆擦れ女だろう麗奈、君は。他にも男が大勢いたんじゃないか?沢山の候補がいるはずだ。俺と断定しないで欲しいね」 「なっ、なんでそんなに酷い事が──」 まるで揶揄うように話す黒瀬に、麗奈は唖然とし
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269話

「しゅ、瞬……っ!?どうして……っ」 どうしてここに瞬がいるのか──。 麗奈は、真っ青になりつつそう言葉を発する。 清水は何の感情も籠っていない目で麗奈を見据え、ふらりと前方に一歩足を踏み出した。 「ひ……っ」 何を考えているか分からない清水に、本能的に麗奈は恐怖を覚え、後退る。 その時、麗奈は無意識にお腹の子を守るように下腹部を手で覆った。 その様はまるで我が子を外敵から守るような姿に見える。 その様子を見た清水は、嘲笑うように声を出した。 「──はっ。麗奈、お前はずっと俺を騙し続けていたんだな。俺と付き合っていた間に、複数の男と関係を持っていたなんて……」 「ちっ、違うわ瞬!複数の男となんて──」 「だが、黒瀬と関係を持っていたのは本当だろう!その腹の子も、黒瀬との子供、そうだろう!?」 「そっ、それは──……っ」 「それに、出産もしていたなんて……。本当に俺は馬鹿だ。お前みたいな股の緩い女のせいで俺は心を失った……!お前なんかのせいで、俺は……っ」 「ひっ、酷いわ瞬……っ!私が海外でどれだけ辛い目に遭ってきたか、何も知らないくせに……!辛い目に遭っていたのも、全部っ、全部瞬の会社のせいなのよ!?」 「そんなのはただの言い訳だろう!?俺は麗奈に対して何もしていない……!最初に清水家を裏切ったのは麗奈、お前の家族だ!」 「──っ」 清水の言葉は正しい。 それくらい、麗奈にも分かっていた。 だが、それが分かっていたとしても海外に出てからの生活の辛さは、誰かを恨まないと、誰かに責任を押し付けないと辛過ぎる日々すぎて──。 麗奈は、誰かを──清水を奪った心を恨まないと、潰れてしまいそうだったのだ。 「そんなの……っ、そんなの分かっているわよ……っ」 「──〜っ、もう、俺たちに関わるな、麗奈!麗奈、お前とはもう完全に終わりだ。俺や心にこれ以上付き纏うな」 「はっ、はは……っ、俺たち……?俺たちに付き纏うなですって……?心にも……?」 「当然だ!お前は勝手に逆恨みして、心を傷付けているだろう!?もう心をこれ以上傷付けるな!」 「あなたがそれを言うの、瞬!長年あの女を裏切っていたのは自分だって同じじゃない!心と婚約していたくせに!プロポーズだってしたくせに、私と関係を持っていたのは瞬、あなただって同じよ!私と瞬はあの女を傷
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270話

◇ 「心。俺たちの婚約発表パーティーの日にちが決まった」 「──えっ!」 ある日の休憩時間。 私は、涼真さんと一緒に昼食を摂りに都内某所にある和食屋にやって来ていた。 そこで美味しい料理に舌鼓を打ち、食後に美味しいお茶で喉を潤している時。 何の気なしに涼真さんからサラリ、と告げられた。 私は驚き、噎せてしまいそうになる。 「す、すまない心……!驚かせようと思ったんだが、びっくりさせ過ぎたな……!」 涼真さんはすぐに私の隣にやって来ると、落ち着くように背中を撫でてくれる。 優しく背中を摩ってくれる涼真さんにお礼を伝え、私は咳払いをしてから涼真さんに顔を向けた。 「婚約発表パーティーが……?」 私の言葉に、涼真さんは輝かんばかりの笑みを浮かべ、頷いた。 「ああ。本家とも、心のご両親とも日程の調整が済んだんだ。やっと心を俺の婚約者だって大々的に発表出来る」 「も、もうお話がそんな所まで進んでいたなんて……!一言仰って頂ければ、お手伝いしたのに……!」 ここ最近、涼真さんの忙しさは火を見るより明らかだった。 睡眠時間だって満足に取れていないのでは、と涼真さんの健康面が心配だったのだ。 私が何度かお手伝いを申し出てみても、涼真さんは「大丈夫」と笑って答えるだけで。 社長の立場である涼真さんのお仕事に、私がお手伝い出来る事は殆ど無い。 だから、大丈夫と笑って言われる度に肩を落としていたのだけど──。 「婚約発表パーティーの準備なんて、凄く忙しかったですよね……?お仕事が忙しい中、パーティーの日程まで……。それも知らず、呑気に仕事をしていた私は……」 「ちょ、ちょっと待ってくれ心……!落ち込まないでくれ。俺がやった事は加納家と滝川家、両家の日程を調整するくらいでそんなに大変な事じゃない。それに、準備は勿論心の手を借りるつもりだ」 「本当、ですか……?」 「ああ、勿論。俺と心の婚約だろう?だから、パーティーの内容に関しては2人で一緒に考えよう。心と一緒に考えたいんだ。その前に、目安の日付は決めておかないと、だろう?」 「そうです、ね……日付が決まっていないと、何も進みませんもんね……」 「ああ。だから、これからは一緒に考えよう心。まだ色々と解決していなくて、不安な日々は続くだろうが……それでも、この婚約発表パーティーは素晴らしい
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