(過呼吸だ!) 清水は胸中で叫ぶと、麗奈を抱き起こしてコールを力強く押した。 早く看護師が来てくれるよう、何度も何度も押す。 「おい、麗奈……っ、麗奈!」 「──ひっ、うぅ……っ、瞬っ、瞬……っ」 麗奈は息が出来ない苦しさに喘ぎながら、それでも清水の名前を呼び続ける。 そして、清水は麗奈が先程口にしていた言葉を思い出し困惑していた。 (麗奈が、俺のために誰かに抱かれていた──?対価に、体を差し出していた、と言っていたな……?) 清水は麗奈の仕打ちに、うんざりしていた。 子供の頃、会社の経営状態が悪化したと言うのは耳にした事がある。 会社に居た、内部に居た人間の仕業だと大人になってから知った。 その犯人が、まさか麗奈の父親だったなんて。 しかも、麗奈の父親のせいで自分達が離れなければならない結果になっていたなんて、清水は今の今まで知らなかった。 それも知らず、麗奈と離れた事に傷付き、悲しみに明け暮れていた日々を清水は思い出す。 胸にぽっかりと穴が空いたような虚無感。 辛い日々を送っていたのが、実は麗奈の家族のせいだったなんて──。 (あの苦しかった日々を埋めてくれたのは、紛れもなく心だ……。それに、心は自分の大切な権利を……生地を俺の会社に売ってまで、俺の会社を助けてくれた……) まるで、両極端な2人だ。 (俺がかつて愛していた初恋の人……麗奈は、俺の家族の会社を陥れるような行動をした。逆に心は、麗奈を失って悲しみに明け暮れていた俺を支え、ずっと傍に居てくれた。しかも、心は俺の家族の会社を救うために、実家と縁を切ってまで助けてくれたんだ……) 清水は自分の腕の中で苦しげに呻く麗奈を見下ろす。 (麗奈は、確かに俺の初恋で……忘れられない女性だ……。麗奈の父親がやった事に、彼女は何の関係もない。何の罪も無い。……だが、麗奈が心に対してやった事は、紛れもなく残酷な行為だ……。心をずっと苦しめていたなんて……。麗奈さえ、麗奈さえ帰国しなければ……俺が麗奈を見つけさえしなければ、俺は今頃心と変わらず幸せに暮らしていたかもしれないのに……!) 清水の頭の中は、様々な感情が入り乱れ、ぐちゃぐちゃになっていた。 麗奈さえ居なければ。 だが、麗奈は自分の初恋だ。 子供の頃は確かに麗奈に焦がれていた。 だが、そんな時に救ってくれたのは
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