Semua Bab 婚約者は私にプロポーズをしたその口で、初恋の幼馴染に愛してると宣う: Bab 251 - Bab 260

303 Bab

251話

◇ 間宮から話を受け、俺は間宮と共に柳 麗奈を診てもらった病院にやって来ていた。 「全く……せっかく心とゆっくりしようとしたのに……柳はこんな時まで邪魔をするんだな……」 「ははは……、しょうがありませんよ。何故か病院からの連絡は緊迫していたような感じでしたから……」 「詳しい話は聞いていないのか?」 俺の言葉に、間宮は「いえ……」と告げてため息を吐いた。 「……私も、今週は持田さんと部屋を探しに行く予定だったんですが……。持田さんに部屋探しを任せっぱなしになっちゃってて……」 「──ああ。そうだよな、持田さんと間宮も新居を探すんだったのにな……」 肩を落とし、ため息をついている間宮の肩を、俺は元気付けるようにぽん、と叩いた──。 病院に着いた俺たちを待っていたのは、柳 麗奈の診察をした医者。 昔から滝川家の専属医として働いていてくれている。 多少無茶な事も、滝川家の頼みならば聞いてくれる医者だ。 そんな医者だが、俺たちを部屋に案内すると、神妙な面持ちで口を開いた。 「滝川様……。昨日連れて来られた女性ですが……彼女、妊娠しております」 「──何だと!?」 「詳しい検査をしないといけませんが、妊娠は確実かと……。週数については、再度あの女性を連れて来てくださらないと詳しい事までは分かりません……」 「柳が、妊娠……?」 俺の頭の中にはふ、と「どっちの子だ」と言う言葉が浮かんだ。 何も知らないままだったら。 柳の子供は清水の子だろうと判断していただろう。 だが、柳と黒瀬の関係を目の当たりにしてしまった以上、もし、万が一黒瀬の子供だったとしたら。 「……清水が知れば、大変な事になるだろうな」 「滝川様?」 「いや……何でもない。柳が妊娠している事は分かった……。他に大きな病気などはないか?」 「──ええ、今のところは」 こくり、と頷いた医者に俺は「分かった」と告げて座っていたソファから立ち上がる。 今から柳の居る場所に向かい、柳に告げなくてはならない。 それに、あの場所に軟禁しておく事も、もう出来ない。 相手が妊婦である以上、これ以上体に負担をかけて子が流れてしまったら──。 子に、罪は無いのだから。 どんなに母親が悪どい事をしていたとしても。 心をどれだけ傷付けて来ていたとしても。 心身に負担をかけて
Baca selengkapnya

252話

◇ 間宮の運転する車は、柳を軟禁している場所に向かっていた。 滝川グループが所有している不動産は多い。 その中でも本家が所有している不動産は桁違いだ。本家の跡取りである俺自身にも、自由に使える不動産は複数ある。 文字通り、自由に使える不動産。 外部から干渉される事なく、俺が自由に使える。 俺は別荘や、国内のマンションの部屋を何部屋か所有している。 今回、柳を軟禁し監視しているのは俺が所有する別荘の内の1つだ。 少し郊外にあるその場所は、滅多に人が来るような場所じゃない。 暑い夏には避暑地だから多少人が来るだろうが、今は夏じゃないから柳を軟禁するには1番適した場所だった。 「──まさか妊娠しているとは……」 俺の呟きに、運転していた間宮が「何かおっしゃいましたか?」と声をかけてくる。 だが俺は「何でもない」と告げ、窓から見える景色に視線を移した。 目まぐるしい速度で変わって行く景色。 高層ビルだらけだった街並みから、時間が経つにつれて高層の建物はまちまちになり、緑が多くなる。 田んぼや畑が増えてきた頃、ようやく別荘の近くに着いたのだと分かる。 「もうすぐです、社長」 「──ああ、分かった」 間宮がそう口にしてから、10分ほど。 別荘の外観が見えてきた。 駐車場に車を停め、俺が車から降り立つと、別荘の管理と維持を頼んでいた滝川家の使用人が小走りでやって来た。 「涼真様!何かございましたか?」 「ああ、いや。君たちに不備があった訳じゃないから安心してくれ。……彼女は大人しくしているか?」 俺はそう問いながら足を動かす。 俺の後ろに着いてくる使用人は、少し言いにくそうにしつつ答えた。 「──はい、あの女性ですが……。時おりとんでもない罵詈雑言を叫びながら暴れ回っており……室内の物を手当り次第破壊しているようです。申し訳ございません……」 頭を下げる使用人に、俺は「そんな事をしなくていい」と手で制す。 「今もまだ暴れているのか?」 「はい。その……鎮静剤を打ちますか?」 「いや、鎮静剤は打たないでくれ」 「え?」 不思議そうにする使用人に対して、俺は大丈夫だから仕事に戻るように伝える。 後から着いて来ていた間宮と一緒に柳を軟禁している部屋の前にやって来る。 すると、今は驚くほど静かだ。 柳の叫ぶ声も、物を
Baca selengkapnya

253話

ガチャリ、と施錠を解く大きな音が鳴った。 そして、扉を開けるなり部屋の奥から悲鳴のような声が上がった。 「──誰ッ!?」 怯え、震える声が聞こえるが、俺はその声には言葉を返さずにそのまま室内に足を進めた。 「誰って言ってんでしょッ!!」 「──社長、危ないです」 柳が何かを持って突進してきた。 だが、すぐに間宮が動き、対応する。 柳の腕を掴み、動きを静止させた間宮に向かって俺は軽く肩を竦めて見せた。 「間宮が隣に居るなら、俺が手を出す必要は無いだろう?」 「──信用して下さっているのは有難いですが、少しはご自分の身はご自分で守る素振りは見せてください」 「女性1人だ、必要ないだろう」 俺と間宮がけろりとした表情で話しているのが気に食わないのだろう。 柳は金切り声で叫んだ。 「余裕ぶってんじゃないわよ!早く私をここから出しなさいよ!」 「──全く。妊婦があまり重い物を持って突進するな。転倒したら大変な事になるだろう」 俺はそう告げると、柳が手に持っていた花瓶を奪い取った。 この花瓶で、入ってきた人物の頭を殴ろうとしたのだろう。 だが、柳は俺の発した言葉にポカンと口を開き、呆然と立ち尽くした。 「──え……?」 「聞こえなかったか?柳、お前は妊娠している。腹に子がいる状態であまり暴れるな。最悪の事になったらどうする」 「……妊、娠?私、が……?」 柳は最初、呆然としていた。 俺の発した言葉を理解していないような態度だ。 だが、時間が経ち言われた言葉の意味を理解した柳の顔色が──。 どんどん悪くなって行く。 「──まさかと思ったが……黒瀬か」 ぽつり、と呟いた俺の言葉──いや、黒瀬という苗字に柳は大袈裟に体を跳ねさせた。 ◇ 「──いやっ、嫌よ!違うっ!私は妊娠なんてしていないわっ!」 「うるさい、黙れ。妊娠と週数を確定させるために病院に行く。お前が妊娠している以上、お前の相手にも連絡が必要だ」 「──ひっ」 「清水にした方がいいか?それとも黒瀬か?」 柳を連れ、車に押し込んだ俺と間宮。 内側からロックをして、車を走らせてしまえば柳はもう外に出る事は出来ない。 それでも柳は妊娠を認めようとはしなかった。 だが、俺が病院に連れて行く事。そして、柳の相手──実際には黒瀬で間違いないだろうが、清水の名前
Baca selengkapnya

254話

病院に着いた俺たちを待っていたのは医者だった。 医者は数人の看護師を連れ、わざわざ駐車場で待っていてくれたのだ。 その看護師達は皆、男性で。しかも屈強な男たちだとひと目で分かるほど体が大きく、鍛えられていた。 先程医者に連絡した時に背後で喚き続ける柳の声が聞こえていたのかもしれない。 暴れて、腹の子に何かあっては大変だ。 だから柳が暴れられないよう、男性看護師を連れて来たのだろうと言う事が察せられた。 「──ひっ」 後部座席からずらりと待ち構えている医者と男性看護師達が見えたのだろう。 柳は小さく悲鳴を上げ、内側からガチャガチャとドアを開けようとしているが開くはずがない。 「間宮」 「はい、承知しております」 こくり、と頷いた間宮を運転席に残したまま、俺は一足先に車から降りて医者の元へ向かう。 「滝川様……」 「事前に準備してくれていたんだな、有難い。察しの通り、本人があんな状態でな。暴れ回る」 「お任せください。ここにいる看護師はそういった患者様に慣れておりますので。さあ、患者を出迎えよう」 医者が看護師達に向かって声をかけると、返事をした彼らは柳が居る後部座席へと向かって行く。 車椅子とストレッチャー、2つが用意されていて、俺は医者に視線で問う。 「暴れてしまってしょうがない患者の場合は、ストレッチャーに固定してしまいます。今回は妊娠されている女性ですからね、万全を期して検査をしなければ」 「──なるほど?」 「それほど暴れない患者には、車椅子で移動するのですが……今回は妊娠されていますからね。やはりストレッチャーの方がいいでしょう」 「確かにその方がそのまま検査もしやすいだろうしな」 「ええ、滝川様のおっしゃる通りです。週数の確定と、他にご病気がないか、精密検査を行いますね」 精密検査ともなると、かなりの時間を有するだろう。 俺がそう考えていると、医者は俺に顔を向けて続けた。 「かなりのお時間を頂戴してしまうかと思いますので、検査結果が全て出揃いましたら再度滝川様にご連絡いたします。その際に、もし可能でしたら子供の父親も連れて来てくださると……」 「……ああ、そうだな。そうできるようにしよう」 俺と医者が話をしているうちに、柳が車から連れ出され、ストレッチャーに寝させられているのが分かる。 普段、暴れる
Baca selengkapnya

255話

◇ 涼真さんが帰って来たのは、日付けが変わるかどうか、と言う時間帯だった。 私が涼真さんの部屋でソファに座り、雑誌を読んでいた時。 玄関扉が開く音が聞こえた。 涼真さんが帰ってきた。 私は読んでいた雑誌を閉じてテーブルに置くと、急いで部屋の扉を開けた。 すると、声を潜めて話す涼真さんと間宮さんの話し声が聞こえ、涼真さんはそのまま2階に。 間宮さんは1階にある部屋に戻ったようで、涼真さんが階段を上がってくる音が聞こえた。 「──心?」 「涼真さん、お帰りなさい」 まさか私が起きて待っているとは思わなかったのだろう。 涼真さんは扉を開けて私が待っている姿を見て、驚いたように目を見開いた。 だけど、すぐに優しく瞳が細められ、涼真さんは嬉しそうに微笑みを浮かべた。 「ああ、ただいま」 涼真さんはそう答えると、そのまま部屋に入った。 「眠くないのか、心?」 俺は起きててくれて嬉しいけど、と。眠らなくて大丈夫かどうか聞いてくれる涼真さん。 私はそんな涼真さんに向かって微笑んだまま答える。 「ええ、大丈夫です。涼真さんが帰って来るのを待ちたかったので……」 私がそう答えると、涼真さんは嬉しそうに笑った。 「心が待っていてくれて、そんな風に言われると嬉しいな」 「ふふ、これからもずっと涼真さんが帰って来るのを待っていますよ?」 「ああ。そうしてくれると嬉しいな。出来れば一緒に退社したいが、それが難しい時もあるから」 ソファに座った私たちは、手を繋いでそんな事を話していた。 涼真さんがそっと私の肩を引き寄せてくれる。 私は引き寄せられるまま涼真さんの胸元にこてり、と頭を預けると、ちらりと彼の顔を見上げた。 見上げた先にある涼真さんの顔が、少し緊張したように強ばっている。 ──何か、私に話したい事。伝えたい事があるんだろう。 だけど、何か躊躇っている。 その事が分かって、私は繋いでいた涼真さんの手に少しだけ力を込めた。 「涼真さん、何か話したい事があるんですよね?……私に話しにくい事……?」 私がそう聞くと、涼真さんは少し迷ったように瞳を揺らした。 だけど、すぐに私と目を合わせると、ゆっくり口を開いた。 「俺がこれから話す内容は、心にとって辛い事を思い出させる。だけど、心も知っておいた方がいい事で……」 涼真さんに
Baca selengkapnya

256話

「──ああ。柳 麗奈の事で、心に話しておかないといけない事があるんだ」 ──やっぱり麗奈の事だった。 しかも、こんな風に涼真さんが躊躇うほどの内容。 一体何なのだろうか、と私の体にも僅かに緊張が走った。 涼真さんは、引き寄せていた私の肩を優しくさすってくれつつ、落ち着いた声で告げた。 「柳 麗奈が、妊娠していた」 「──え」 麗奈が、妊娠──。 その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中が真っ白になる。 そして、私は無意識に自分の下腹部に視線を向けてしまった。 そんな私を、涼真さんが悲しそうに、申し訳なさそうに見つめる。 「すまない、心。過去の辛い事を思い出させたくはなかった。……だが、この事を伝えておかないと今後の動きに支障が出る」 「──だ、大丈、夫です。びっくりした、けど……。そう、ですよね……。麗奈も、清水 瞬と付き合っていたんだから、そうなる事だって……」 私が必死に言葉を紡いでいたけど、涼真さんはゆるゆると首を横に振った。 「いや、恐らく柳の子供の父親は……黒瀬の方だ」 「──えっ」 新たな事実に驚いてしまう。 でも、だって麗奈と黒瀬社長が逢瀬していたのは、あのホテルの時だけじゃ。 私の考えている事が分かったのだろう。 更に涼真さんは言葉を重ねた。 「柳と黒瀬は、頻繁に寝ていたようだ。清水に見捨てられた柳は、黒瀬に泣きついていたのかもしれない。……黒瀬は相当な女好きだ。何かの対価として柳の体を求めたんだろうな」 「そして、麗奈が妊娠してしまった、と……?」 「ああ。恐らく。……妊娠の事を知った柳の顔色は酷かったよ。明らかに青ざめていた」 もしそうなら。 本当にそうなら。 麗奈は、清水 瞬をずっと裏切っていたと言う事だ。 まだ、関係が破綻する前からもしかしたら麗奈は黒瀬社長に近付き、様々な手助けを得ていたのかもしれない。 「──なら!今まで起きた一連の事件って……!」 私が婚約していた事がSNSで拡散された事。 その犯人は、受付の三橋まどかだったけど、ただ麗奈の知り合いだから話を信じ込み、誹謗中傷を流したんじゃない。 きっと、麗奈から報酬を得ていたから。 そして、次に涼真さんがかつて婚約していた元婚約者の花里 愛海の件だって。 黒瀬社長ならば簡単に調べる事が出来る。 海外に居たのに、彼女は帰国した
Baca selengkapnya

257話

「でも……どうやって黒瀬さんが関わっている証拠を手に入れましょうか?」 「ああ。そこだ……。奴もきっと痕跡を残さないように徹底しているはず……」 そう零した涼真さんは、自分の顎に手をやり暫く黙り込む。 今、涼真さんは様々な事を考えているはず。 こんな時、私も涼真さんの手助けが出来れば良かったのに。 いくら実家が大企業だとしても、私は学生の時に家を出てしまった。 半ば家出のような形で出てきてしまったせいで、私には人脈はない。 家出をせず、あのまま加納家で過ごしていたら、不足の事態に落ち着いて冷静に対応出来るような精神力も、アイデアも。人脈も。 きっと手に入れていただろう。 だけど、私は愚かな行動でそれを全て捨ててしまったのだ。 例え今からそれを取り戻そうとしても、長い年月がかかる。 こんな時、私自身が何も出来ずただただ涼真さんに助けてもらうのを待つだけ、と言う現状がとても歯がゆくて。悔しい──。 「──仕掛けてみるか」 「え……?」 私が自己嫌悪に陥っている間に、涼真さんは良いアイデアが浮かんだらしく、ぱっと顔を上げて私に視線を向けた。 「清水に仕掛けてみよう。既に柳を見切ったとは言え、かつて付き合っていた女性が、同時期に他の男と関係を持っていたら──しかも、その相手が黒瀬だと知ったら、いくらなんでも清水だって激怒する。柳と黒瀬の仲を清水が引っ掻き回してくれれば良い」 目を細め、低い声でそう言葉を紡ぐ涼真さん。 その様子は、どこか怒りを押し殺しているようにも見える。 「黒瀬が協力した事で、今回心が危険な目に遭ったようなものだ。柳に情報を与えた黒瀬が悪い」 「そ、それはそうかもしれませんが──」 何だか、半ば八つ当たりのようではないだろうか。 「黒瀬と清水の会社が揉めてくれるならば、それはそれで良い。2人には、心を傷付けた代償を払ってもらおう」 小さく笑みを浮かべる涼真さん。 私は、恐ろしい企をしている涼真さんにそれ以上詳細を尋ねる勇気は出なくて。 それに、今の私には殆ど力になれる事は無い。 涼真さんが無茶だけはしないよう、私がしっかり彼を見守ろう。 そう考えた私は、涼真さんとは違う意味で気合いを入れた。 ◇ 翌日。 私と涼真さんは間宮さんの運転する車に乗り、麗奈が入院している病院へ向かった。 麗奈の検査結
Baca selengkapnya

258話

◇ 「滝川様、お待ちしておりました!──そちらの女性、は……?」 「ああ。こちらの女性は加納 心さん。俺の婚約者だ。柳とは面識があってな……」 「そうだったのですね。私、この病院の外科部長を務めております、東雲と申します」 「よろしくお願いします、加納です」 東雲さんから手を差し出され、私は彼の手を握り返す。 そして、彼はそのまま私たちを椅子に座るよう促すと、早速麗奈の検査結果の報告に移った。 「柳さんの診察結果ですが。現在、妊娠8週ですね。健康面には何ら問題はありません。栄養も足りていますし、病気もありませんでした」 検査結果の資料を見つつ、東雲さんが伝えてくれる。 私の隣に座っていた涼真さんは、麗奈の健康面に何ら問題がない、と聞いてほっとしたようだった。 「そうか。それなら一安心だ」 頷いて答えた涼真さんに、東雲さんはどこか気まずそうな視線を向けて、口を開いた。 「それで……その、お相手の方は今日……お連れしていないので……?」 「ああ。まだ、な……」 「そうですか……」 「──?どうした?まだ、何かあるのか?」 涼真さんの問いに東雲さんは迷ったように視線を彷徨わせたが、1度瞳を閉じて再び目を開けると、真っ直ぐ涼真さん、そして次に私に視線を合わせてはっきりとした口調で告げた。 「柳 麗奈さん……彼女は、経産婦です。以前、出産の経験があるようです。お相手の方に、この事を知らせるか否か……どうなさいますか?」 「──は?」 「何ですって……!?」 経産婦──経産婦!? 麗奈が、出産経験があると!? 私と涼真さんは、2人して驚愕の声を上げてしまう。 そんな話、初耳だ──。 何と言葉を返したらいいのか。 私たちが呆気に取られていると、私たちの背後にある扉が大きな音を立てて乱暴に開けられた。 「今の話は一体どう言う事だ!!」 けたたましい足音を立てて部屋に乱入して来た男──それは、清水 瞬だった。 彼は、外で控えていた間宮さんの静止を振り切って来たのだろう。 間宮さんに肩を掴まれていたが、部屋に入ってくるなり滝川さんを鋭い視線で睨み付け、続けて叫ぶ。 「麗奈が妊娠!?それに、経産婦って……!麗奈は出産経験がある女だって言うのか!?」 「──清水社長」 「答えろ滝川!!」 青筋を立て、今にも涼真さんに掴み
Baca selengkapnya

259話

清水 瞬の視線がとても気持ち悪い──。 私の背筋にぞわり、としたものが駆け抜ける。 「心をそんな目で見るな。心は俺の婚約者だ。清水社長、君とはもう何の関係もない女性だ」 涼真さんは、私を深く抱き込み、清水 瞬の視界に入らないようにしてくれる。 ぎゅ、と涼真さんの胸元に顔を寄せられ、私はふわりと香る涼真さんの香りに、安心して体の力を抜いた。 「それに、清水社長。あなたの今のパートナーは柳 麗奈でしょう。……聞いていた通り、柳は今妊娠している。それに、出産経験があったらしい。彼女から聞いていたのか?」 涼真さんの言葉に、清水 瞬が拳を握りしめるのが見えた。 その拳は、力を込めすぎていてぷるぷると震えている。 まるで怒りを必死に押し殺そうとしているように見えた。 「聞いて……いる訳がないだろう……!麗奈が出産……!?そんなの俺は知らなかった……!それに、今妊娠しているだと……!?──はっ、俺はまんまとあの女に騙されていたんだな!」 「……出産に関しては、同じ男としてお前に同情するよ。だが、妊娠に関しては自分の子供かもしれないだろう?」 「俺の子供のはずがあるか!8週、8週だと言ったな!?麗奈と体の関係を持っていたのは、数ヶ月も前だ!それ以降、あの女を抱いた事はない!」 清水のはっきりとした言葉に、麗奈のお腹の子供は、やはり黒瀬さんなのだと確信する。 「麗奈……っ、あいつ平気で俺を裏切りやがって……!しかも子供を産んでいたなんて……っ、それでよくも堂々と俺の前に戻って来れたものだ!」 清水 瞬はそこまで怒鳴りたてると、涼真さんに顔を向けた。 「滝川……、お前麗奈の腹の子が誰か知っているな?それに、どうしてここに心まで呼んでいる?……麗奈はどうして医者の診察を受ける事になったんだ」 怒りで頭に血が上っているのだろう。 清水 瞬は血走った目で涼真さんを見据えている。 涼真さんは、私を抱きしめたまま溜息を吐き出すと、麗奈がどうして医者の診察を受ける事になったのか。 その経緯を説明した。 「──柳 麗奈が心を狙い、危害を加えようとした。警察には突き出さず、滝川が管理している不動産に柳を連れて行ったんだ。その前に一応医者の診察を受けさせた。その時に妊娠が分かったんだよ」 淡々と説明をする涼真さん。 だけど、その説明をしている時。涼真さん
Baca selengkapnya

260話

◇ 【麗奈の病室】 バタバタバタ、と荒い足音で廊下を歩く音が聞こえ、しかもその足音が自分の病室に迫っていると気付いた麗奈は、びくりと体を強ばらせた。 「な、なに……?何なのよ……っ」 怯え、シーツに包まり精一杯扉から離れようとする麗奈。 麗奈がそうしたのと同時、麗奈の病室の扉が勢い良く開かれた。 「麗奈!!」 「──えっ、瞬!?」 扉を開け、やって来たのが清水だと分かると、麗奈はぱっと表情を明るくした。 もしかしたら、滝川から入院している事を聞き、清水が心配して来てくれたのかもしれない──。 ここ数ヶ月、避けられていた。だが、やはり清水の心の中には自分がしっかりと深く刻み込まれているのかも。 そんな淡い期待を麗奈は抱いた。 「瞬、心配して来てくれたのね──」 「ふざけるな!俺を長年騙し続けていたんだな、お前は!俺を舐めるのも大概にしろ!」 清水はズカズカと病室に入ってくると、麗奈の目の前で足を止め、忌々しげに麗奈の腹に視線を向けた。 「聞いたぞ、お前今妊娠しているらしいな。俺だけだと言っていたくせに……っ、愛してると俺に言ったくせに、その口でお前は俺以外の男とも関係を持っていたなんてな……当時の俺の目は、相当節穴だったようだ……!」 「──えっ、え……?瞬、何を……。どうしてそんな酷い事を……?」 「お前、今妊娠8週目なんだろう?──はっ、とんだ女だよ、お前は!その腹の子は一体誰との子供だ!?」 妊娠8週目──。 どうして清水が週数までしっかりと把握しているのか。 麗奈は困惑したが、その答えなどとうに分かりきっている。 滝川 涼真──。あの男だ。 あの男が、清水に自分の事を話したのだ、と麗奈は悟った。 「ち、違うのよ瞬!8週目じゃないわ!一体誰から聞いたの?間違った情報を信じないで!このお腹の子は、瞬と私の子供よ!?」 「嘘を言うな!俺は医者の口からはっきりと聞いたんだぞ!医者が誤った事を言うはずが無いだろう!それに、お前に出産経験があった事も医者から聞いた!昔から俺を裏切っていた癖に、よくも堂々と俺に会うために帰国したものだ!」 「──っ!?」 まさか、出産経験がある事を清水に知られるとは──。 麗奈の顔が、途端に真っ青になる。 それに、麗奈が考えていた人物、滝川ではなく医者から話を聞いた、と言う清水にこ
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
2425262728
...
31
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status