◇ ──それからの日々は、忙しさで目が回るようだった。 婚約発表パーティーの日は決まったものの、招待客は多岐にわたる。 招待状の作成や、婚約発表パーティー内の食事やドリンクの手配や種類。 パーティー会場は滝川グループが経営しているプリンスホテルのホールを借りる事が出来た。 立地もとても良く、雨の日でも車から降りて濡れる心配もなさそうだ。 涼真さんと相談しつつ、持田さんや間宮さんにアドバイスをもらい、時折滝川さんの本家や、私の実家にも顔を出して着々と婚約の日が近付いて来た。 ◇ 「どうした、心?」 「──えっ?」 涼真さんの部屋。 私がソファに座り、ぼうっとしていると隣に座った涼真さんが心配そうに顔を覗き込んできた。 涼真さんの手には、2人で飲もうと言っていたワイングラスが握られている。 「仕事に、パーティーの準備に……疲れているだろう?大丈夫か?」 「だ、大丈夫ですっ!」 「本当に?無理していないか?」 「本当に大丈夫なんです、ただ……」 私が言葉を途中で切った事に、涼真さんの心配そうだった顔が不安気に揺れる。 いけない、涼真さんを不安にさせたい訳じゃない。 私は自分の恥ずかしい気持ちは置いて、涼真さんに理由を話す事にした。 ここで変な誤解が生まれて、涼真さんとギクシャクしてしまうのが1番嫌だ。 「そっ、その!本当に体調は大丈夫なんです。涼真さんが私の体調面も凄く気遣ってくれているから……。ただ、その……婚約発表パーティーの日付けが決まった時は、まだまだ先だなって思ってたんです。だけど、準備に忙しく過ごしていたらあっという間に時間が経っていて……」 「──うん。あとはもう当日の俺と心の服を選ぶだけだな」 私が言葉に詰まりながらでも、涼真さんは決して急かせる事なく、優しい表情で聞いてくれる。 私の頬に涼真さんの手のひらが触れ、愛おしそうに撫でてくれる。 私は、自然と無意識に頬に触れる涼真さんの手に頬を擦り寄せた。 「パーティーの日が近付くにつれて……実感してきて……。私、パーティーが終わったら、正式に涼真さんの婚約者になるんだなぁって……。堂々と、胸を張って涼真さんの婚約者だって、名乗れるんだ、って……」 「──っ、そんな可愛い事を考えていたのか?」 「かっ、可愛い事って……」 「だってそうだろう?物憂げな
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